終わりのセラフ~斬月持って異世界ライフ~   作:沢田空

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今回は短いです


29話~家族~

俺の過去を聞いて皆が黙り、重い空気が流れる。

俺の後ろにいる葉月も苦しそうにしている。

 

そんな彼女を見て

 

「(お前がそんな顔すんなよ……。本来ならお前は俺のことを恨んでもいんだ。なのに…なんで、そんな苦しそうにするんだよ……)」

 

「……れ」

 

ふと聞こえたシノアの声に皆が視線を向ける。

シノアは下を向き悔しそうに下唇を噛んでいる。

 

「なんなんですかそれ…。あまりにも酷すぎます…!翔さんは殺したくて殺した訳でもないのに…!葉月さんを守ろうとしただけなのに…!!それを…なんで…!」

 

「シノア……」

 

そんなことを言ってくれたのはお前が初めてだよ。だからこんな感情は持ってはいけないんだろうけど、素直に嬉しいよ。

俺のために怒ってくれてありがとう。

 

「確かに人を殺すことは重罪だ。だけどお前はそれに対してちゃんと向き合おうとしたんだろ?だから警官に向かって自分がやったって言えたんだろ?

ならお前が周りの奴らのことを気にする必要はねぇよ。そいつらはお前の、朝倉翔の根本的な所なんて見てなかったんだ」

 

「君月……」

 

まさか君月からこんなことを言われるなんて思ってもいなかった。

お前がそんな風に思ってたことが素直に嬉しいよ。

でも……

 

「それでも……それでも俺は自分のことを許せない……」

 

だからって許せるほど俺の罪は軽くはない。そんなのは俺自身が一番わかってる。

だから……

 

「翔、俺は馬鹿だから輪廻転生なんて言われてもわかんない。だけどお前は今も昔も変わらないんだよ。優しくて不器用で家族想いで。それで一番愛情深いんだと俺は思うよ。だからもう許してもいんじゃないか?」

 

「優……」

 

俺はお前のそういうところにいつも救われてきた。それにこんな俺よりもお前の方が愛情深いと俺は思うよ。

だって…俺のこれは原作を知っていたから出来た仮初の想いなんだよ。

家族の愛情ってのに憧れて、それに縋って。そして失った。

 

 

「翔くんは優くんの言う通り優しいよ。だってそこまで葉月さんのことを思ってるんだもん。僕なんかと比べたら全然すごいよ。

だってどんなに言われてもそれに立ち向かってたんだから」

 

「与一……」

 

違う、違うんだよ。俺は立ち向かってなんかないんだ。ずっと俺は逃げ続けたんだ。

むしろお前の方が俺なんかよりも断然強いんだよ。

 

「あたしにはお前がどれだけ辛いのかは分からない。でもお前が自分の起こしてしまったことから目を背けずに立ち向かい続けたことだけは分かる。だからもう責め続けるな」

 

「三葉……」

 

もう、やめてくれ……。俺はお前のように素直に物事を言えない。だからこそ俺は自分のことを許せない。

例えこの場のみんなが許してくれても…俺だけは許しちゃいけないんだ…。

 

『もう大丈夫だよ。私はあなたの事を怨むことはないよ。例えこの世界があなたの事を責め続けても私だけは、私達だけはあなたの味方だよ』

 

「もう…やめて…くれ…。」

 

気づけば俺の目から大粒の涙がボロボロと流れる。

止まれと思うのにそんなのを無視してどんどん溢れてくる。

 

「おれは、おま、えらといっ、しょにいちゃ、いけ、ないんだよ。それ、ぐらいに、お…れは…うすよごれてる…から」

 

「「「「「そんなことない!!」」」」」

 

『あの時も言ったでしょ?もう許してあげていんだよ。あなたにはこれだけあなたの事を想ってくれる家族がいるんだから』

 

「…ぐすっ…なん、なんだよ、お前ら。なん、で、そんなにおれを、たす、けようと、すんだよ」

 

「そんなの決まってるだろ」

 

「今に始まったことじゃないだろ」

 

「なんせ僕らは」

 

「あぁ、あたし達は」

 

「『家族』なんですから」

 

そう言って笑う五人を見て俺は

 

「こんな崩れた落ちた世界で『家族』なんてホントお前らはバカだな」

 

文句を言いながらも笑っていた。

 

「バカってなんだよ翔!」

 

「ああ、バカは優だけだろうが」

 

「ンだと電柱野郎!!」

 

「やんのかアァ!?」

 

「やめろ二バカ!!」

 

「お前には言われたくねぇよ三葉!!」

 

「そうだそうだ!三葉もバカなんだから三バカだろが!!」

 

「優さん…それはちょっと…」

 

「お前ら…!表に出ろ!誰がバカなのか教えてやる!!」

 

「やめなよぉ三人ともー」

 

 

そんなやり取りを見て自然と笑いが零れる。

あぁ本当にお前らはバカだよ。そんなバカ達に言われるまで向かい合おうとしなかった俺は大バカだ。

 

だけどもう大丈夫だ。

 

なんせ俺にこんなにも俺の事を想ってくれる大切な『家族』がいるのだから。

 

そして涙はいつの間にか止まっていた。

 

 

 

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