僕には妹がいる。名前はアリス。金色の髪をなびかせて、いつもにこにこ笑っている。と思えば、今度は泣いたり、怒ったり、感情表現がめまぐるしくて見ていて飽きない。そんなかわいい妹。
アリスは実は、僕の本当の妹ではない。僕が3歳のとき、突然家に来た女の子、それがアリスだった。
アリスの父親も母親も僕は知らない。父さんと母さんは僕にそれを教えてくれなかった。ある事情があってダンブルドアに預けられたって言っていたから、他の魔法族の孤児なのかな。当の本人のアリスは、自分が僕たち家族と血の繋がりがないということを全く知らない。
僕たちの家に突然現れたアリスを、僕は最初怖がった。見た目は普通の赤ん坊と変わらないのに、彼女がいる部屋は窓ガラスが割れ、壁や天井が剥がれ落ち、床がめくれていた。大抵父さんか母さんが魔法で直すんだけど、それが追い付かないくらい彼女はなんでも壊した。
そのうちこの家が壊れてしまうんじゃないかと、僕は本気でそう思っていた。
アリスが家に来て数日が経った日のことだ。アリスは突然泣き出した。どうして泣いているのか誰にもわからなくて、宥めようと母さんがアリスを抱こうとしたとき。
「きゃあっ」
母さんが悲鳴をあげた。あろうことかアリスを抱き上げようと触れた母さんの手には、切り裂いたような傷がつき、真っ赤な血が流れていた。
慌ててその傷を魔法で治した父さんは、
「やはりあれしかないか…」
と言った後、姿現しでどこかへ行った。アリスの癇癪が収まり、ぐちゃぐちゃになった家の中を母さんが片付けていた頃、帰ってきた父さんの手には指輪のケースが握られていた。
その指輪を付けてからというもの、アリスの様子は一変した。物を壊さない。誰も傷つけない。それからは僕もようやく、アリスをかわいいと思えるようになった。
「ハーマイオニー、早く行こう!」
そう言って友達に笑いかけるアリスは、もう11歳だ。アリスがうちへ来てからもう10年ほどが過ぎようとしているけど、今では血が繋がっていなくても本当の家族だと胸を張って言える。僕の自慢の、かわいい妹だ。
僕にひっついて離れなかったアリスは、心配していたけど意外と社交性があって、ダイアゴン横丁ですぐ友達を作ってきた。「だってお兄ちゃんはお兄ちゃんの友達と乗るんでしょう?」ってそう言ってたけど、お兄ちゃんは君を僕の友達に紹介しなきゃいけないんだよな。
僕が持っている家族との写真を見た級友たちは、アリスを見るや否や「「「この子に会わせて!!」」」と懇願してきた。曰く「セドがいつも自慢してくるからどんな子かと思ってたけど、本気でかわいい。」らしい。だろ。
ということで、僕は級友にアリスを紹介できないお詫びにかぼちゃジュースを奢ることになるだろう。そんなちょっと気が重くなることもあるけど、久しぶりに帰る学び舎、また始まる楽しい日々に、僕はアリスと同じくらいワクワクしていた。
アリスは赤ちゃんの頃、おもちゃどころか家を壊すほどの魔力の持ち主でした。大変なことになりそうだから指輪は取らせたくない。。