これは其のデスゲームにて何処にも記されなかった物語である・・・
「何なんだよ・・どうしてこうなったんだよ!?」
このゲームで死んだら現実でも死ぬという言葉に対して俺は頭を抱えていた。
「落ち着け・・・俺は前にもこの世界にいたんだ。だから落ち着け・・・」
そう、俺は元ベータテスターだ。この世界のことはそこらの連中よりは分かる。
「・・・まずは準備だな。」
そうと決まれば話は早い。俺は急いで路地裏から街の外へ向かおうとした。
するとそこから話し声が聞こえてきた。
「チッ、別の道を通るか・・」
ここは死ねば終わりという世界。そのため普通は大勢の人数で行動するのが安全といえよう。
しかし俺は一人を選んだ。理由は簡単、効率の良い場所を独占できるからだ。
・・・まぁ、人と話すのが苦手という理由がほとんどなのだが。
とにかくそんな訳で俺は一人でこの世界を攻略しようと思った。
ここらへんの敵の行動パターンは身に染みてるしソードスキルのモーションも問題ない。
俺は効率を求めて町の外に出たのであった。
「・・・はやくこのゲームを終わらせないとな・・」
俺は途中で出会った敵を全部倒し、序盤で強いとされる武器を求めひたすら走った。
武器が手に入るクエストを受け、早速依頼をこなそうと思ったら
「既に他のプレイヤーがいたのか・・・」
何となく近くの木に隠れながら様子を窺っていた。
「男プレイヤー2人か・・」
結構早く来れた気がしたのだがそれよりも速いプレイヤーがいたとは。
多分、彼らも元ベータテスターなのだろうと考えていたら
軽い破裂音と共に一人のプレイヤーが消えた。
いや、隠蔽スキルで隠れたのかと思い直す。
「馬鹿野郎が・・・」
あのモンスターには隠蔽スキルが効かないのだ。
あのままではやられてしまう、そして彼はそのまま生き返らないだろう。
助けにいこうか?と考えていた時、不意に背後から音がした。
「!!」
勢いよく後ろを振り返るとモンスターがすぐそこにいた。
「くっ、(油断していた!)」
あらためて見ると敵が5,6体ほど見えた。
ここで対処すればあっちが死ぬかもしれない。しかしこっちを放っておけば自分が死ぬかもしれない。
俺はその場で固まったまま考えてしまったが、敵は待ってはくれなかった。
「ちっ!」
ぎりぎりのところで剣で攻撃を跳ね返せれた
止むなく俺は目の前の敵を優先することにした。
何とか敵を倒し2人のプレイヤーの方を見るとそこには一人しか立って無かった。
残った男プレイヤーはその場に何か置きその場を去っていった。
完全にその姿が見えなくなってからそこを確認してみるとそこにはクエストの必要アイテムが墓のお供え物のようにおいてあった。
俺は呆然としながらクエスト完了を知らせに行こうとした。
ふと、窓の外からさっきのプレイヤーが見えた。
その人は泣いていた。しかし彼が悪くはないだろう。
見ていて何もできなかった俺の方が悪いだろう。
そんな気持ちで俺はしばらくそのプレイヤーを眺めていた・・・