ホットスパーズ ~命知らずの騎士と二人の女神~   作:公私混同侍

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あいあい傘

誠「――ようするに僕は悪い夢を見ていたと」

 

恭夜「そ、そうだよ!ルナもそう思うでしょ?」

 

ルナ「うん。ゲルマは私と遊んでた」

 

ゲルマ「優雅な遊びであったぞ!ハッハッハ!」

 

誠「それならどうして作業場がこんなにメチャクチャになってるのかな?しかも頭がズキズキしてるんだけど」

 

恭夜「ゲルマ、はしゃぎ過ぎだぞぉ!」

 

ルナ「ゲルマ、謝って」

 

ゲルマ「誠殿、かたじけない。お詫びと言ってはなんだが(それがし)、誠意を尽くしていく所存にて(そうろう)

 

誠「そ、そう。まあそう言うなら仕方あるまいな」

 

恭夜「しゃべり方、移ってるでござる……あれ?」

 

ルナ「ふふふ、みんな面白い」

 

ゲルマ「早速と言ってはなんだが、ここで働かせて頂きたい」

 

誠「それはいいよ。僕は君の体の方に興味があるからさ。代わりと言ってはなんだけど恭夜を雇うことにするよ」

 

ルナ「良かったね」

 

恭夜「いやいや、まだ責任者の許可がなきゃ無理でしょ。あはは……」

 

誠「冗談はこの作業場を見てから言ってほしいよねぇ。ユイシロキョウヤ君?」

 

ゲルマ「生きるということは働くということだ。そうだろ?マスター」

 

恭夜「誰がマスターだ!」

 

ルナ「頑張れマスター」

 

誠「今日中に片付けないと僕が父さんに怒られちゃうからよろしくね……マスター」

 

恭夜は誠の下で働くことになった。ルナとゲルマも片付けを手伝い四人は夕食を共にした。

別れ際には豪雨は霧雨に変わり雲間から月が顔を出している。ゲルマは誠に預けられ恭夜はルナを送ることに。警備員に許可証を返し正門を出るとすぐにあることに気づく。

ルナは傘を持っていなかった。

 

恭夜「俺の家、すぐ近くだからこの傘貸してあげるよ」

 

ルナ「大丈夫」

 

恭夜「それじゃあ家まで送るよ」

 

ルナ「帰る場所がないから大丈夫」

 

恭夜「帰る場所がない?どこに住んでるの?」

 

ルナ「橋の下」

 

恭夜「あはは、雨はしのげるね……」

 

ルナ「うん」

 

恭夜「もし良かったら……」

 

ルナ「恭夜?」

 

恭夜「もし良かったらでいいんだけど、うちに来る?」

 

ルナ「でも……」

 

恭夜「ルナには感謝してもしきれないし、俺に出来ることがあれば何でもするよ」

 

ルナ「いいの?」

 

恭夜「俺が面倒みてる兄妹もいるから、ルナが来てくれたら喜んでくれると思うんだ」

 

ルナ「そうなの?」

 

恭夜「うん。それに俺が一人だったらルナも嫌だと思うし――」

 

ルナ「そんなことない」

 

恭夜「本当に?本気にしちゃうよ?」

 

ルナ「傘に入ってもいい?」

 

恭夜「う、うん!」

 

ルナ「――くしゅん!」

 

恭夜「か、風邪引いちゃうから早く帰ろう!」

 

二人は寄り添いながら帰路につく。アパートが見える頃には雨が上がり、月が闇夜を照らしている。

恭夜が扉をあけるとあかりが出迎えた。

 

あかり「遅いよ恭夜お兄ちゃん!合コンもほどほどに――ちょっ、ちょっと!隆太お兄ちゃん、大変だよ!」

 

隆太「夜も遅いんだから大きな声出しちゃ駄目だよ」

 

あかり「だって恭夜お兄ちゃんが美女をお持ち帰りしてるんだよ!」

 

隆太「えっ!?」

 

恭夜「紹介したい人がいるんだ。ルナ、中に入って」

 

ルナ「……」

 

あかり「この人がサリーさん?」

 

恭夜「違うよ」

 

隆太「さっきルナさんって言ってたでしょ……あっ、どうぞ中に入って下さい」

 

ルナは無言で中に入る。あかりがバスタオルをルナに手渡す。無言で受け取ったのであかりが不機嫌になった。隆太は味噌汁をルナに出すが、見とれていたのか少し火傷した。

恭夜は不穏な空気を変えるべくルナに助けられた話をする事に。

 

恭夜「――というわけなんだけどルナも泊めてあげて欲しいんだ」

 

あかり「先に言ってくれないと――」

 

隆太「僕は大歓迎です!」

 

ルナ「やっぱり私……」

 

恭夜「あかりは駄目?」

 

あかり「ダメじゃないけど……」

 

隆太「ルナさんは少し緊張してるんだよ。あかりが協力してくれればルナさんも心を開いてくれるよ、きっと」

 

恭夜「連絡しなかったのは謝るよ。でも放っておけなかったんだ」

 

あかり「わかってる……だから恭夜お兄ちゃんもあたし達に会いに来てくれたんだもんね」

 

隆太「あかりは小さい時、お姉ちゃんが欲しいって言ってたよ」

 

あかり「一つだけ……一つだけお願いしてもいい?」

 

ルナ「……うん」

 

あかり「ルナお姉ちゃんって呼んでもいい?」

 

ルナ「うん……よろしくね、あかり」

 

隆太「それじゃあルナさんの歓迎会をしましょう!」

 

ぎこちなさは残ったがルナも家族の一員として認められた。あかりはルナと打ち解けていく。ごく自然に姉妹のような関係を築いていく。




登場人物紹介

ルナ・ホワイトクロス―女・18歳
ポニーテールと艶やかな美貌をあわせ持つ天然美女(二重の意味で)。まるで作者の願望を忠実に再現したようなキャラクターだ。
複雑怪奇な言動とマイペースな性格が災いして、周囲の人間から「要注意人物」に指定される(たぶん)。
男からは愛され、女に疎まれる稀有な女性。
水を操る刀を持ち歩いており、命よりも大事な物らしい。警察は仕事をしているのだろうか?
好きな飲み物はケチャップとタバスコ。

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