【習作】魔術王は他作品にまで聖杯をばらまいた様です。 作:hotice
「まず事の起こりから話そう。
おおよそ8年前突如太平洋のどこからか深海棲艦と呼ばれる存在が現れた。船や船乗り達の亡霊が魔力で強化されたものだ。君たちの言う通りなら聖杯によるものなんだろう。
とにかくやつらは数は多いし魔術的効果を持たない現代兵器だとまともなダメージを与えられない。そのため人類は深海棲艦に負け続けた。
そんな時"妖精"と呼ばれる存在が現れた。」
「妖精・・・?」
立香は予想外の言葉に少し驚いた。まあ神様とか鬼とかいるし存在そのものには驚いてはいないが。
「あぁ、魔術的には小さな人型をしたアラヤというべきか。」
「一体なぜアラヤがそんなことを?彼らはサーヴァントを召喚するだけだと思うんだが」
ダヴィンチが疑問を投げかける。アラヤはあまり直接問題を解決することはほとんどないためだ。
「いや、まさに召喚するためだ。艦娘を建造するという形でな。」
「成程!軍艦だからこそ彼女達は生み出せるのか!」
ダヴィンチが驚愕した声を上げる。
「ダヴィンチちゃん、どういうこと?」
「いいかい立香君。そもそも魔術において理というのは無視するものであるけど無視するべきものではないんだ。
さっきの魔術にしてもいきなり火が出るのは理に反している。でも燃やすものがあればその分負担は減る。道理に従う程消費する魔力は少なくなるんだ。
そして召喚というものは道理に反している行為だ。無いものを呼び出す行為だからね。でも生み出すというのは無を有に変える行為だ。現界させるための魔力をかなり減らすことが出来る。多少魔術的なプロセスを含んでも大量の魔力が必要な召喚よりはずっと燃費がいいんだ。もちろん普通のサーヴァントだと召喚という手段しか取れない。両親に当たる存在を用意できないからね。
そう、でも艦娘ならば、軍艦である彼女達ならば、"建造"できるんだ。」
「まさにその通りだ。さすがは万能の天才だな。
建造出来て、近代のサーヴァントである彼女達はとても燃費がいい。加えて彼女達は複数召喚できる。」
「何だって!いや、確かにナーサリーライムちゃんのスキルのことを考えればありえなくはないのか・・・。複数の同じ軍艦が建造されることに何の矛盾も存在しない・・。」
「そして亡霊でしかない深海棲艦ならば艦娘でも十分対抗できる。膨大な数の深海棲艦が存在しているが、太平洋中に散らばっているせいで殲滅力のあるサーヴァントも使えない。分裂や分身等の能力を持つサーヴァントを呼ぶにしても水上戦闘能力まで揃えているのはほとんどいない。ただひたすら数を召喚できる艦娘のみが深海棲艦に対抗できるのだ。
故に今海軍はマスター適性と多少の魔力を持つ人間を提督として徴用し、艦娘を揃えているところである。」
「ふむ。とても合理的な判断だね。アラヤも案外やるもんだ。」
「坂崎元帥、少し質問してもいいですか?」
「ああ。気になることは何でも聞いてくれ。」
「じゃあ大和はどうやって召喚されたんですか?」
立香はそう言って大和の方を見た。
「どうやら大和は最強であるという希望、願望といった物を向けられていたのが原因なのかきちんとした霊基を得ていてな。
彼女だけはそのまま英霊として召喚されているのだ。だが余裕がないようでアラヤから彼女の維持を頼まれてしまってな。
こう見えてそこそこの魔術師だったものでね。サーヴァント一騎なら負担できるとアラヤが判断したのだろう。」
元帥はそういって笑ったが、何気にすごいことを言っていた。彼はほとんど独力でサーヴァントを一騎現界させているのだ。
「ふむ。現代の魔術師の割にはなかなかやる様ね。」
メディアはそう言って笑う。決して嘲りではない。極端にマナの少ない現代ならば極めて優秀である。彼女も聖杯戦争でアサシンを召喚したが、神代においても同じことが出来る魔術師は恐らくそうはいなかったであろう。
「神代の魔女に認められたとは、嬉しいもんだね。」
そういって元帥は笑うと顔を引き締めた。
「さて、次はもっと重要な話をしよう。これからのことについてだ。」
かなり優秀なじっじ。