え、お前の轟雷起動しねぇの?   作:ししゃも丸

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「こいつ(榴雷)の肩は……赤く塗らねぇのか?」
「貴様っ……塗りたいのか?!」
「へっ、冗談だよ」



3機目 轟雷、今度は私が確かめてやる!

あおが轟雷を見せに来た翌日のこと。明人は仕事を終えて真っ直ぐ自宅へと帰ってきた。

(にしても、不思議な話もあるもんだよなあ)

自分の元轟雷を含め、試作品として世界中に轟雷が送られたのにも関わらず、起動出来たのはたったの二機。現実には一機という不可解なことになっている。

撫子のアレが効いたんだろうな、

発売されているFA:Gのすべてはファクトリーアドバンスを通して、コトブキヤは全機把握している、と会社側は発表している。

FA:Gはプラモデルながら人と同じように動き、自我を持ち、常に学習を続けている現代のオーパーツと言っても過言でない。しかし別の言い方をするならば、小さな隣人ともいえる。よく映画である人間とロボットの関係に近いものがある。

明人もネットの片隅で目にしただけだが、FA:Gを違法改造して法を犯す者もいるらしい。他にも現代兵器に転用などと言った空想までもある。

けれど、それは現実に在り合えるのだ。

ガンプラバトルはそういう話があるって聞いたことがあることを明人は思い出した。つまり、FA:Gも例外ではない。

 

「ま、そんな映画みたいなことが身近で起こるはずもないよな」

 

気付けばすでに自宅の玄関の前。

笑いながら明人は自宅の玄関のドアノブに鍵を刺す。しかし、開ける筈の方向に回らない。

おかしいな。鍵しないで出たのか?

疑問に思いながら明人は玄関を開けた。

 

「ただいま……?」

 

違和感の正体はすぐにわかった。それは、見覚えのない靴だ。我が家には通勤用の靴と普段靴にサンダルが一足ずつある。それなのに、どう見ても女物の靴がある。それも、見たことがあるやつだ。

ドスドスとわざとらしく歩き、居間に出ると、

 

「や、明人。仕事お疲れ―。お邪魔してるよ―」

「こんばんは、明人。お邪魔しています」

「なんでお前がいる?!」

「撫子ちゃんが入れてくれたよ。ね―」

「ねー」

 

可愛らしく答えるバーゼラルドこと撫子。

 

「ね―、じゃない! 撫子、何を考えてる! アレほどあおは入れるなと言いつけてあるだろ!」

「え、そうだったの?」

「まあ、明人の言いたいこともわかるのですよ? ただ、外に女の子を放置しておくのは些かどうしたものかと思いまして」

「自分の部屋に待たせればいいだろうが」

「いいじゃん、私と明人の仲なんだからさ。あ、大丈夫だよ。部屋は漁ってないから!」

 

ぐっと親指を立てるあおに明人は頭を抱えた。彼は諦めたのか、バッグを置いてあおの対面に腰を下ろした。

 

「で、何の用だ」

「いや―、新しい子が来たから紹介しようかと

「はあ?」

 

するとまたまたよく見ているFA:Gが現れた。

 

「初めまして、スティレットよ」

「バーゼラルドでーす!」

「……なんだ、追加で買ったのか」

「それがさ、送られてきたんだよぅ。なんでも、轟雷とバトルするためだって」

「なんで」

 

明人が尋ねると、スティレットとバーゼラルドが代わりに答えた。

簡単に言えば、世界中で一機だけ起動した轟雷にファクトリーアドバンスが興味を示し、当初の予定通り様々な形で轟雷をテストすることになったらしく、その方法がバトルということらしい。

 

「いやあ、バトルするだけでバイト代が入るのはいいんだけど、今日は学校に遅刻しちゃったよ」

「あっそ。頑張れよ、学生。社会人に遅刻なんて許されんからな。一杯遅刻しろ」

「ぶぅ、酷いぞ、明人ぉ―!」

 

明人はあおを無視してスティレットとバーゼラルドと再び話を始めた。

 

「あっちの思惑は理解したが、うちにも轟雷はいるんだがな」

「え、そうなの?!」

「いや―、世間は狭いですなあ」

「正確にはちょっと弄って現在は榴雷と名乗っているが。榴雷」

「はい、明人。お呼びですか?」

 

どこから現れたのか、緑を基調とした轟雷に似た轟雷が現れた。

 

「わ、本当に轟……雷? 姿は似てるけど……」

「色々と違うね―。でも……」

 

バーゼラルドは榴雷とデータリンクして彼女のデーターを照合した。

 

「たしかにファクトリーにある個体番号とも一致しているね。でも、向こうは起動を確認していないのはどうしてなんだろう?」

「なんでですかね。ね、撫子さん」

「あらやだ、明人さん。私が知るわけないではありませんか」

「おぉ―」

「仲がいいのね。明人と撫子って」

「うーん、これもマスターの差ってやつですな」

「あれ、さりげなくまた私ディスられてる?」

「明人はいいマスターのようです」

「はい。私が保証します」

 

明人の撫子の関係は、あおや轟雷のようなそれと違う。友人でもないし、ましてやそれ以上とも思えない。

しかしこれが、二人の当たり前な光景なのだ。

 

「ねえ、スティレット。明人のFAガールとバトルしてもさ、バイト代って入るのかな?!」

 

あおは急に大声で言いだした。

 

「え、それは……。そこんところ、どうなのかしら。ね、バーゼ」

「ん―、バトルして轟雷のデータを取ることが目的なんだから……入るんじゃない?」

「よしやろう、早速バトルだ、明人!」

「……素直にバイトしろよ」

「ふ、分かってないな明人は。こんなにいいバイトがあるんだから、他のバイトなんてできるわけないじゃん」

「……お前の将来が心配だよ、オレは」

 

そういうわけで、轟雷と榴雷がバトルすることになった。

 

「負けてもバイト代は変わらないんだろ?」

 

明人はバーゼラルドに尋ねた。

 

「うん、そうだと思うよ―!」

「なら手加減なしでやるか。榴雷、装備Bで準備」

「了解」

「うわ、なんだかカッコイイ!」

「じゃあ、オレベランダ行くわ」

「え、なんで?」

「支持を出すんだから、情報を与えるわけないだろう? 武装の追加はしなくても問題はないだろうし」

 

それを聞いた轟雷がむっとしながら反論した。

 

「それは、私が簡単に負けるということですか?」

「だってよ、オペレーターがあおなら楽勝だろう」

「くっ、言い返せません!」

「酷い、さっきから私の扱いが酷い!」

「ソンナコトナイヨ」

 

明人はベランダに行き、そしてバトルは始まった。

 

 

バトルフィールドに降り立った轟雷の目には、身に覚えのなる光景が広がっていた。

ここは、砂漠ですね。

スティレットと対戦したときと似たようなステージだ。ここはまさに砂漠といったようなステージで、黄砂が舞っている所為か少し視界が悪い。天候も昼というよりは夜と夕方の間ぐらいだ。それがさらに視界を悪くしている。

 

「状況はいいとは言えませんが、それは榴雷も同じはず」

『轟雷、頑張って―!』

「はい、あ――!」

 

警報。

上空に熱源反応。ミサイルがこちらに向かって接近中。榴雷の固定装備にはミサイルはない。つまり、明人が言っていた装備Bの武装の一つということか。

しかし、ロックオンはされていない。脅しだろうか。

 

『轟雷!』

「大丈夫です、あお。これは当たりません!」

 

その通りにミサイルは轟雷を中心に囲うように少し離れた場所に弾着。その衝撃で爆炎や砂が舞いさらに視界が悪くなる。

 

「くっ、相手の動きが分からない!」

『とりあえず、撃ってみたら?』

『アンタ馬鹿ぁ? いま撃ったらこちらの位置がわかっちゃうじゃない!』

『八方塞がりだね―』

『さっきから辛辣な言葉が胸に突き刺さるぅ』

「しかし、このままでは……!」

 

接近警報。

同時に轟雷の目がそれを捕えた。自分の前方、榴雷を確認。ただ、不思議と変な風に見えた。

ゆらゆらと左右に揺れてそれはこちらに向かってくる。何よりも、ある物が目立っている。それだけが認識できる。

赤い、赤い肩が迫ってきている。

 

 

バトル開始直後、ベランダ。

 

『榴雷、状況は?』

「開始位置は互いに離れているようです。現在、レドームを起動して……いま来ました。轟雷はここから少し離れた位置二いるようです」

『よし、なら発射可能領域になったらミサイルを発射。背部のバスーカ破棄してもいいな、あとは練習でやったアレだ』

「アレですね。了解です」

 

そして、榴雷は移動しミサイルを発射。予測通り轟雷は足を止め、その場で動きを止めた。

 

『轟雷を目視で確認!』

「よし、撃て」

「了解!」

 

榴雷のバイザーが下がり、3つのレンズがついているターレットが周る。榴雷はその手に持つアサルトライフルを斉射し、その間にも轟雷との距離を縮める。

 

「轟雷が回避行動を取ります」

『させるな。グレネード発射』

「グレネード発射」

 

アサルトライフルに装備されているグレネードを発射。回避を使用とした轟雷の動きをさらに止めさせた。

 

『榴雷、ターゲットを中央に固定!』

「――そのまま一気に集中砲火!」

 

轟雷の周りにぐるぐると周りながら集中砲火。

 

「そして最後は――」

『中央突破だあ!』

 

ライフルを破棄、榴雷は真っ直ぐ轟雷に向けて突貫。

ジャックパーツで作成した電磁式パイルバンカーを構え、

 

「これで、終わりです!」

「きゃあああああ!!」

 

轟雷を貫いた。

 

『榴雷 WIN』

 

 

「いやあ、飽きれるほど有効な戦術だぜ」

 

やはり男の子。勝って嬉しいのか、満面の笑みでベランダから戻ってきた。

 

『……』

「な、なんだよその目は」

「明人、大人気な―い! ていうか、何アレ」

「榴雷レッドショルダー仕様だ」

「れっど……なに?」

「ボトムズを見てから出直してこい」

「ジーンズかなんだか知らないけど、うちの轟雷になにしてくれてんのさ!」

「はあ?」

 

あおが指さす方をみる。そこには……。

 

「くる、赤い肩をしたやつがくる……。レッドショルダーが来るんですぉおおお!!」

「……トラウマっていう貴重なデータが取れただろ」

「そういうことじゃな――――いっ!!」

 

 

一話完結だけど、もうちょっとだけ続くんじゃよ。

 

 

 




FA:Gが放送してからなんとかマテリアのシロ以外が我が家に勢ぞろい。買うか迷っているが、消費するペースよりも積んでいくペースのが早い昨今。
ただ、普通のフレズヴェルクは買ってなくて、アーテルは限定と通常版を予約してます……。

まあ、コトブキヤ以外にもガンプラも欲しいのが一杯あるし、今日もプレバンでザンライザー予約しちゃったし、積みプラが0になる日は来るのだろうか……。
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