ヤミを祓うは七つ球   作:名枕(ナマクラ)

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第八話 ポルンガに願いを

 ギニュー特戦隊を始末して、対フリーザ戦に向けての準備をしている間にあのクソガキがドラゴンボールと一緒にいなくなったことで怒りが頂点に達した俺は、血眼になってあのクソガキを探していると、突如として空が暗くなり、視界の端に光の柱が立ち昇った。

 

 あの場所にドラゴンボールが存在して、今まさに願いを叶えようとしているのだと直感で理解した俺は、その光の柱目掛けてすぐさま飛んでいき、願いを叶えようとしているクソガキの姿を確認すると間髪入れずに攻撃を開始した。

 

 

 ドラゴンボールで願いを叶えるのはこのベジータ様だ!!

 

 

 だが願いを叶えるのにこのクソガキは邪魔だ。横槍を入れ返されても面倒だから願いを叶える前に先に排除するべく動く事にした。隙を狙ってこのガキが願いを叶えようとする可能性もあったからドラゴンボールがある場所から引き離すのには成功したが……そこからが誤算だった。

 

「どういう事だ……!? このガキ、前回と実力が桁違いだぞ……!?」

 

 ギニュー特戦隊との戦い、そしてサイヤ人の特性とも言える死の淵からの復活による戦闘力の増加によって、俺の戦闘力は以前と比べ物にならないほどに強化されている。

 

 にもかかわらず、前回俺から逃げる事しかできなかったクソガキに、何故こうまでこの俺様が翻弄されている!?

 

 

「――――喜べ、ベジータ(塵屑)。お前に役目を与えてやる」

 

「なっ!? しまっ――――」

 

 俺の戸惑いを読み取ったのか、その隙をついて至近距離から力の波動が放たれた。それは攻撃目的の物ではなく、こちらを閉じ込め拘束するためのもので、俺はそれを避ける事も出来ずに金縛りにあったかように動きを封じられ、球体のエネルギーの檻の中に閉じ込められた。

 

 このままでは無防備なまま追撃を食らってしまう! それを避けるために力尽くで破ろうと戦闘力を高めようとした時にヤツは憎たらし気にこう口にしたのだ。

 

 

「精々時間を稼いで私の役に立てよ。お前が生きている理由など、それだけだろうが」

 

「何!? どういう――――!?」

 

 

 

――――その言葉の意味を考える暇はなかった。

 

 

 

 何故ならあのクソガキはすぐさまある方向へとエネルギーの檻を俺ごとエネルギー弾のように撃ち出しやがったからだ。

 

 

「―――――――ッッッ!?」

 

 

 急激に変わる視界と、身体に急激にかかった慣性が、俺の判断能力を一瞬奪い取る。

 

 

 その一瞬の判断の差が致命的になった。

 

 

 その一瞬の間にヤツとの距離が離れ、同時に起動したドラゴンボールからも更なる距離を離されてしまった。

 

 

 さらには何かにぶつかったのか、それとも一定の距離でそうなるように仕組んでいたのか、エネルギーの檻はその内包するエネルギーを周囲に炸裂させたのだ。

 

 幸い、炸裂する瞬間に拘束が弱まった隙を縫ってエネルギーの檻から抜け出したおかげでその爆発に巻き込まれずに済んだが、それでもドラゴンボールのある場所から大分離されてしまった。

 

 何より、あんなガキに良い様にあしらわれた事、それを許した自分自身に腹が立つ。

 

「あのクソガキィ……! ナメやがってぇ……!!」

 

 再び全力であのクソガキを叩きのめすべく飛び立とうとして――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――まったく、何かと思えばベジータじゃないか。わざわざオレの邪魔でもしにきたのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――その背後から聞こえた声に、背筋が凍った。

 

 

 

 こ、この声……この戦闘力の感じは……まさか……!?

 

 

「ふ、フリーザ……ッ!?」

 

 

 瞬間、あのクソガキの呟いた『時間稼ぎ』という言葉の意味を理解する。あのクソガキは、こっちの方からフリーザが接近していると察知した上で俺を足止めの駒として使う為にここまで飛ばしやがったんだ……! 無視される可能性も加味してエネルギー弾という攻撃形式をとって……!

 

 クソガキへの怒りが募るが、今はそれどころではない。恐る恐る、そう形容するのが適切なほどに緩慢に振り返る。致命的だと理解していても、その動作が早くなる事はなかった。

 

 だが、そこにあった姿は俺の知っているフリーザとは違っていた。

 

 俺よりも小柄だったその体躯が、明らかにデカくなってやがる……! 普段のフリーザと比べたら、その大きさはまさしく子供と大人程の差があった。

 

 そしてそれは体躯のデカさだけじゃなく、戦闘力においても同様に子供と大人程の差が生じていた。

 

「何で、もう変身してやがる……!?」

「ほう、まさかお前がその事を知っているとはな、ベジータ」

「……ザーボンの野郎が口を滑らしやがったんでな」

 

 フリーザが変身して戦闘力を向上させるタイプの種族だと聞いていたが、ここまで戦闘力が変化しやがるとは……さすがに予想外だ……!

 

 だがそれを表に出してはヤツの思う壺だ。少しでも、この動揺を抑えろ。奴に悟られるな。でなきゃ一瞬で殺される……!!

 

「しかし……まさか既に変身してやがるとはな。意外と余裕がないんじゃないか、フリーザさんよ」

「なに、ちょっとばかし強いナメック星人がいてな。このフリーザの持つ三回の変身の内、最初の物を使わせてもらった」

「な……!? 三回、だと……!?」

 

 つまりはあと二回、フリーザは変身できるという事だ。一度の変身でこれほどまでに戦闘力が増加しているというのに、それをあと二回も残している……!?

 

「まあそのままでも勝てたが、無駄に時間が掛かりそうだったからな。一気に叩き潰してやっただけの事だ。お前の相手をしてやりたい所だが、オレは今急いでいるんだ。そこをどくのなら、少しの間くらいは見逃してやってもいいぞ、ベジータ」

「急ぐだと? ……まさか、ドラゴンボールか!? アレは俺のもんだ! 貴様になんぞ使わせてたまるか!!」

 

 もしもフリーザにドラゴンボールで不老不死の願いを叶えられたら、俺がヤツに成り代わり宇宙の支配者になる事ができなくなってしまう!!

 

 たとえ生き残れたとしても、一生フリーザの存在に怯え続けなければならなくなるなど、堪ったもんじゃない! そんな事、サイヤ人の王子であるこのベジータ様のプライドが許せるものか!!

 

 そう気張るように臨戦態勢をとった俺に対し、フリーザはとくに反応することなく何かを思い付いたかのように口を開いた。

 

「そういえばお前もドラゴンボールを欲しがっていたな。ならこのオレが不老不死になる瞬間を間近で見させてやろう」

「何――――!?」

 

 

 

――――その瞬間、フリーザの剛腕が俺の首元へと叩き込まれていた。

 

 

(★)

 

 

 空が暗くなってから俺達は急いで光の柱が立ち昇っている場所へと向かった。

 

 全速力で向かっているが、それよりも早くあの場所に到着する先に到着するヤツがいるのを気で察知できた。

 

「くそ、ベジータの方が早い……!!」

「そ、そんな……!?」

 

 チアか、あるいはベジータが既に願いを叶えているという最悪の展開が頭をよぎるが、それを振り払う。とにかく今は向かうしかない!

 

 向かっている最中は不安に苛まれたが、到着の時にはナメック星の神龍の大きさに圧倒された。

 

「こ、これが本場の神龍……!」

「お、大きい……!」

「僕も見たのは初めてですが、こちらではポルンガと言います。でも一体誰が……?」

「……って、それよりも今はドラゴンボールだ!」

 

 神龍……じゃなくてポルンガがまだ消えていないって事はまだ誰も願いを叶えていないって事だ。

 

 少し離れた辺りにベジータの気が感じられる。相手の気配を感じられないからおそらくはチアと戦っているのだろう。

 

 多分二人とも邪魔をしあって牽制しあっている結果が今の棚から牡丹餅みたいな状況へと繋がったんだ。

 

 ベジータ、さらにはチアも出し抜く形になったが、それでも俺達には叶えなきゃいけない願いがあるんだ。

そんな事を考えていると、顕現しているポルンガがその口を開いた。

 

 

『いつまで待たせるのだ? 早くナメック語で願いを言うがいい。三つの願いを可能な限り叶えてやろう』

 

 

「え!? 三つ!? 一つじゃないの!?」

「本場の神龍は太っ腹だな!」

 

 というか願いもナメック語で言わないといけないのか。デンデがいてくれなかったら俺達も願いを叶えられなかったじゃないか。……というかもしかしてそれでチアもベジータも願いを叶えられなかったのか……? いや、今はそれを気にしている場合じゃない!

 

「じゃあ地球でサイヤ人に殺された人たちを生き返らせてくれ!」

 

 俺達の願いをデンデがナメック語でポルンガに伝えてくれる。これで地球で殺された皆が復活する!

 

 

 

『それはできない。一つの願いで生き返らせることができる死者は一人だけだ』

 

 

 

「い!?」

「そ、そんな……!?」

 

 まさかの返答に変な声が出てしまった。

 

 というか意外とケチだな本場の神龍! 地球の神龍なら何人でも生き返らせてくれるのに! しかも普通に喋れるのに願いはナメック語じゃないと通じないって辺りも融通が利かないよな……って今はそれどころじゃない!

一つの願いで一人しか生き返らせられないんなら、誰を生き返らせてほしいって断言する必要があるけど、問題なのはその人数だ。

 

 生き返らせたいのはヤムチャさん、天津飯さん、チャオズにピッコロの四人。三つの願いを全部使ったとしても全員を生き返らせることはできない。しかも悩んでる時間もそんなにない。どうする……!?

 

 

 

――――その声が聞こえたのは、願いの使い方で頭を悩ませていた時の事だった。

 

 

 

 

 

『――――聞こえるか! 俺だ! ピッコロだ!!』

 

 

 

 

 

 地球で死んだはずのピッコロの声がどこからともなく聞こえてきたのだ!

 

「え!? ぴ、ピッコロさん!?」

「ど、どこから声が……!?」

 

 辺りを見渡してももちろん姿は見えないが、声だけ頭に響いてくる。そもそも死んでるはずなのにどうやって声が聞こえてくるんだ!?

 

『界王の所からお前たちの頭に直接話しかけている! 状況も大体だが界王から聞いてわかっている!』

 

 界王って……確か悟空が死んだ時に修行つけてもらったっていう界王様か!? そうか、ピッコロも界王様の所で修行してるのか!

 

『まずは俺を生き返らせるんだ! そうすれば神の野郎も生き返って地球のドラゴンボールも復活する!!』

「そ、そうか!」

 

 そのピッコロの助言によって俺達が叶えるべき願いが定まった。

 

 まず一つ目の願いでピッコロを生き返らせる。それによって同時に地球の神様も復活し、地球のドラゴンボールも復活する。あとの皆は地球のドラゴンボールで復活させればいい。

 

 そして二つ目の願いで本人たっての希望でピッコロをナメック星へと転移させた。故郷の星を好き勝手に踏み躙られたことが許せなかったらしい。昔のピッコロなら故郷がどうなろうと自分には関係ないと言い切っていただろうに……アイツ、本当に変わったんだな。

 

 ただ想定外にもピッコロはこの場に現れなかった。どうやら願いの際にナメック星以外に場所の指定をしなかったせいでピッコロはこのナメック星のどこかにランダムに飛ばされたらしい。

 

「ど、どうする!? 最後の願いでピッコロをここに連れてきてもらうか!?」

 

 時間をかければ合流はできるが、現状その時間があるかも怪しいから俺はそう提案したのだが、悟飯としては別の意見があるみたいでおずおずと口を開いた。

 

「あ、あの……チアの願いを叶えて上げるのはどうですか……?」

「チアの……?」

 

 ベジータの相手をしているだろうチア。確かに今のこの状況を作り出せたのはチアがいたおかげだ。悟飯の気持ちもわかる。でも……

 

「……俺としては正直、諸手を上げて賛成はできないな。だってアイツの具体的な願いの内容を俺達は知らないんだぜ?」

 

 俺はチアを信用しきれていなかった。だって人を塵扱いしたり、容赦なく見捨てたりするヤツを完全に信用なんてできる程俺は聖人なんかじゃない。

 

「で、でもチアにだってわざわざこのナメック星に来てまで叶えたい願いがあるんですよ! それを叶えるチャンスがあるのに叶えられないなんて……」

 

 悟飯の気持ちもわかる。宇宙船で一ヶ月くらい一緒に暮らしてきたんだ。俺も多少の情が湧いているのは確かだ。でもチアのあの性格からしてとんでもなくヤバい願いを抱いているかもしれないのも否定しきれないし……ああもう!

 

「……デンデ、ポルンガはまだ待ってくれそうか?」

「え? お、おそらくは……!」

「クリリンさん!」

「……まずはチアの願いの内容が悪い類じゃないってのを確認してからだ。じゃなきゃ俺は認めない。そもそもそれがわからないと神龍、じゃなくてポルンガに頼めないしな」

 

 とはいえベジータとやり合ってるだろうチアがここに戻ってこれるかどうか……ベジータが先にきた時にどう対応するべきか考えとかなきゃな……

 

 そんな事を思っていた時だった。

 

 

 

――――突如としてポルンガの姿が掻き消えて、暗くなっていた空が明るさを取り戻したんだ。

 

 

 

「な!? どうして!?」

「願いはまだ一つ残ってるはずだろ!?」

 

 突然の出来事に訳も分からずに慌てふためく俺達だが、デンデが何かを悟ったように静かな声で俺達の疑問に答えてくれた。

 

「……最長老様が、寿命を迎えられたのです。それによって願い玉もただの石に……」

「そ、そんな……」

 

 最長老さんには俺も悟飯も世話になった。そんな人が死んだという事に少なからずショックを受けるが、ショックを受けたのは俺達だけじゃなかった。

 

 

 

「――――何……だと……」

 

 

 聞こえてきたのは呟きのような声。俺達三人の誰でもない四人目の声。この一ヶ月強の間で何度も聞いた女の子の声。

 

「え……?」

「チア!?」

 

 後ろを振り返ると、いつの間にかそこにはチアがいた。

 

 ベジータの手から逃れられたのかと驚いたが、どこかチアの様子がおかしい。

 

 何というか、張りつめすぎて千切れそうな糸、もしくは決壊寸前のダムのような、ギリギリの瀬戸際のような危うさを感じた。

 

「あと少し……あと少しだったというのに……!」

 

 そのチアの言葉には途轍もない感情、念が込められているように聞こえた。気のせいか、チアから放たれる雰囲気が、周囲の空気を淀ませているようにも感じた。

 

「チ――――」

 

 そんなチアを心配して悟飯が声を掛けようとした時―――――

 

 

 

 

 

 

――――突如として飛来してきた何かが近くにあった岩山に盛大な音を立てて激突した。

 

 

 

 

 

 

「な、なんだ!?」

 

 突然の事に思わず振り返ると、衝撃で砕けて崩れていく岩山の中に一つの人影を見つけた。

 

「ぐ、げほっ……!! く、くそったれ……!!」

「べ、ベジータ!?」

 

 おそらくは先程までチアと戦っていたであろうベジータが血を吐きながら崩れる岩山に埋まっていたのだ。

 

 だが先にきていたチアに後から飛んできたベジータを岩山に吹き飛ばすなんてことは出来ない。

 

 

 

 つまり――――別の誰かがベジータをあの場所に叩き付けたって事になる。

 

 

 

 そして、現状考えられる相手は一人しかいなかった。

 

 

 

 

「――――よくもやってくれたな、虫けら共……!!」

 

 

 

 その怒気に塗れた声だけで、身体中から冷や汗が噴き出てきた。この声は、確か……!?

 

「ふ、フリーザ……!?」

「何だよ、アレ……! 身体がデカくなって、気も……有り得ない……!?」

「ひっ……!?」

 

 前に見た時でも相当ヤバかったのに、今はさらに身体がデカく、ゴツくなってる。感じられる気も尋常じゃない! こんなヤツ相手に、戦おうとしてたのかよベジータは!? 俺なんかが相手になるわけがない!

 

「お前らのせいでドラゴンボールは効力を失ってしまったようだ。このフリーザが永遠の命を手に入れる前に……!」

 

 フリーザは怒りで身体が震えているが、それに対峙してる俺達は恐怖で身体が震えている。まるで蛇に睨まれた蛙みたいに身体が固まっちまって逃げようにも逃げられない。

 

「ここまで虚仮にされたのは初めてだッ!! 簡単に死ねると思うなよ下等生物共がッ!! じわじわと嬲り殺しにしてやるっ!!」

 

 この場の雰囲気は完全にフリーザへの恐怖で染まっちまってる。かくいう俺も震えが止まらずに動けそうにない。本当なら年長者として悟飯やデンデを守ってやらないといけない立場だってのに……! 今まで何とか死なずに済んでたけど、さすがにこれは無理かな……くそ……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――黙れよ塵屑」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その一言が、絶望的な雰囲気を引き裂くように耳に入ってきた。

 

「…………何? まさかと思うが……その塵屑とはオレの事ではないだろうな」

「それ以外に誰がいるというんだ? 他に煩い塵はいないだろうが……そもそも貴様がいなければこんなことにはならなかったのだ。貴様さえいなければ、今頃私は願いを叶えられていたのだ……」

 

 それは流石に八つ当たりじゃないか……とも思ったが、そんなことを考えるくらいには俺も余裕を取り戻せていた。さっきまでこの場を支配していたフリーザへの恐怖が、まるでチアの態度によって緩和されていっているようだった。

 それでもフリーザに対してまで塵屑扱いなんて、命知らずにも程があるぞ……

 

「さっさと死んで詫びろよ、塵屑。それだけが貴様に出来る唯一の事だろうが」

「……虫けら如きが、このオレにそんな口を利くとは、どうやらよほど死にたいようだな」

「いいからさっさと頭を垂らせよ。塵屑如きがいつまで私を見下ろしているつもりだ」

「――――――――」

「――――――――」

 

 二人の威圧で空気が歪んでいくような錯覚を抱く。まさに一触即発。どちらから動いても不思議じゃない。

 

 

 

 

 

 

――――そんな中で、フリーザの姿が掻き消えた。

 

 

 

 

 

 

「え――――」

「消え――――」

 

 

 

 

 フリーザが動いたんだと気付いた時にはもう既に――――――――殴りかかっていたフリーザの側頭部にカウンターのようにチアの気弾が炸裂していた。

 

 

 

「――――な……にぃ……!?」

 

「――――のろまが」

 

 

 驚愕に染まるフリーザとそれを嘲笑するチア。

 

 その様子は、まるでこの二人の力関係を顕しているようにも見えて……

 

「――――虫けら如きが、調子に乗るなっ!!」

 

 それを否定するためにフリーザがさらにスピードを上げてチア目掛けて殴りかかるが、それを悉く躱して気弾を撃ちこんでいく。的確に、確実に、フリーザにダメージを蓄積させていってる。

 

 戦場が地上から空中へと変わってもそれは変わらず、むしろ気弾が飛んでくる方向が増えた事によりフリーザはさらなる苦戦を強いられていた。

 

 

「すごい……!」

「ああ、すげぇ……!」

 

 目で追うのも厳しいくらいに速いフリーザを、チアはもっと早いスピードで翻弄していく。パワーはわからないけど、スピードじゃ完全にチアが上だ。

 

 それを悟ったフリーザも攻め方を変えてくるけど、それを瞬時に読み取ったチアには通じてなかった。

 

 

 

 完全にあのフリーザが封じ込まれてる。誰がどう見てもチアが優勢だ。

 

 

 

 というかチアのヤツ、あんな実力を隠してたんだったら言ってくれたらよかったのに。そしたらベジータやフリーザにビクビクせずにドラゴンボールを取り戻せたのに。

 

 でも、これなら俺達も生き残れる! そう思え始めた時だった。

 

 

 

 

 

――――追い込まれて息の上がったフリーザが、俺達の方を見て、笑みを浮かべたんだ。

 

 

 

 

 

 ま、まさか…………ヤバいッ!?

 

「――――悟飯! デンデ! 気を付けろ!」

「え……?」

 

 俺の警告に悟飯たちが反応するが、それよりもフリーザが動く方が早かった。

 

 

「――――庇わなければ、他の連中が死ぬぞ!!」

 

 

 

 

 

 

――――そして、俺達のいた島全域に上空から衝撃が襲ってきた。

 

 

 

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