えっ?笛で戦ってるのって僕だけ?   作:モグ・モグラ

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どうも、モグ・モグラと申します。

オリジナリティな第十一話です。

通算UA8000人突破!これからも張り行ってまいります!!

今回はオリジナルエピソード!!ソルに一体どんなことが起きるのか!?

それではどうぞ、ごゆっくりと。


第十一話~魂の渾沌 謎の白き少女~

2024年 3月6日

 

 

第56層 村『パ二』にて

 

今回の『攻略組』は、ここで『フィールドボス』の攻略会議が行われていた…

 

大きな岩からでできた、薄暗い大きな部屋に、数十名ものプレイヤーが会議をしていた。そんな会議に、笛を操る少年のソルも参加をしていた。商業を営むエギル、ギルド『風林火山』リーダのクライン、そして『黒の剣士』キリト。ソルの唯一の知人たちも参加をしていた。

 

バンッ!!

 

不意に、テーブルを叩く音がする。テーブルを叩いた本人は…

 

「『フィールドボス』を村の中(・・・)に誘い込みます!」

 

「「「「「「!!」」」」」」

 

そう宣言した。周囲のプレイヤー達もどよめきを隠せない。

そんな中、

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!」

 

異議を唱えたのは、『黒の剣士』キリトだった。

 

「そんなことしたら、村の人たちが――」

 

それ(・・)が狙いです!」

 

その人は、続ける。

 

「ボスがNPCを殺している(・・・・・)間にボスを攻撃、殲滅します!」

 

キリトはその意見に反発する。

 

「NPCは岩や木みたいな『(オブジェクト)』とは違う!それに彼らは――」

 

「『生きている』、とでも?」

 

「っ!」

 

その人は、キリトの言いたかったことを当てる。そして続けざまに言う。

 

アレ(NPC)は単なる『(オブジェクト)』です。たとえ殺されようと、また『復活(リポップ)』するのだから」

 

その人の指摘通り、NPCはプレイヤーとは違い、死んでも蘇るのだ。たとえモンスターに食われようが、殺されようが、時間さえ待てばまた、何食わぬ顔でプレイヤー達の前に現れるのだから。

 

「そんなの!!」

 

ここでソルが反論の声を荒げる。

 

「たとえ、NPCが復活しても!そんなのが良い筈がありません!!それは人としての道徳から外れています!NPCだからといって、囮にするのは決して良策とは思えません!!ここにいる皆にも、後々しこり(・・・)を残す可能性があります!!」

 

「ソルの言うとおりだ。俺もその考えには従えない!」

 

キリトがソルに続いて言う。すると、その人は2人を睨みつけながら言う。

 

「今回の作戦は、私、『血盟騎士団・副団長のアスナ』が指揮を執ることになっています。私の言うことには従ってもらいます!」

 

そう、この人はソルとキリトが第1層の『ボス・攻略会議』の時に、パーティーを組んだ…

 

 

アスナだった。

 

 

(アスナさん…、どうして……)

 

ソルは、何とも言えない表情でアスナを見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから約1ヶ月後のことであった。

 

 4月11日

 

ピ~ヒョロヒョロ~♪ピ~ヒョロヒョロ~♪

ピュヒャラヒャラ~♪ピ~ピッピッピ~♪

 

ここは1層の『はじまりの街』にある、狩猟笛の店の中。そこでソルは、笛売りの老人と一緒に、笛の演奏をしていた。

今日は、アインクラッドで最高の季節の最高の気象設定であり、風も、日差しも、全てがとても心地よい。

こんな日に、笛で楽しく演奏をしないのは損だ。

 

「お~ひょっほっほ~、旅人さん、以前より腕を上げたの~」

 

「いえいえ、これでもまだ未熟者ですよ。おじいさんの方がとても上手ですよ!」

 

「お~ほっほっほっほ~。これでもまだまだ若いもんには負けんわい」

 

「ははははは」

 

「おーほっほっほっほっほ」

 

二人の楽しい笑い声が店中に響き渡る。

そんなことをしているうちにも、時間は刻々と過ぎ、気づけば夕方になっていた。

 

「あっ、そろそろ戻りますね。今日は付き合ってくださって、本当にありがとうございました」

 

「なになに、気にすることもないぞ。わしも今日は楽しませてもらったぞ。また来なされ」

 

「はい、そうします」

 

チリンチリン…

 

そうして店をでるソル。夕日の光が少年を包み込む。

 

(……ここもとても静かになってしまいました…。少し、寂しいですね…)

 

ソルはだれ一人いない(・・・・・・・)この光景を悲観した。

第1層『はじまりの街』にはまだプレイヤーが数百人規模で住んでいるのだが、外に誰一人もいない。まさにもぬけの殻になってしまったぐらいの静けさだった。なぜかは簡単なことだ。全員が自分の部屋に閉じこもっているのだ。いつか、この世界から出られるはず。そう希望を持ちながらも、外に出る気力すらなくなってしまったプレイヤー達の巣になってしまったのだ。

 

「…さて、宿に戻ろうかな…」

 

そうして、ソルは転移広場へと向かったのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな彼を後ろを陰からのぞき込む誰かの気配に、ソルは気づかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

転移広間に着いたソルはそこでやっと気づく

 

(……誰かに、ずっと見られてる…?)

 

微かな気配を感じ取る。ソルはわずかにだが冷や汗が出る。ソルの『索敵』スキルはキリト君と同じくらい高い方だ。そんなソルのスキルですら、やっと僅かに感じるぐらいだ。外に誰一人いなかったのが幸いだった。相手は相当高い『隠れ身(ハイディング)』スキルの持ち主だとソルは確信する。

 

「先ほどから僕を付けているみたいですね。気づいているので出てきてください」

 

ソルは後ろを振り向きながらカマをかける。ソルの声が無人の広間に響き渡る。

 

(どうする?どうでる?)

 

ソルは震える手を握り締める。次の相手の行動に対応できるように、背中に背負ってある狩猟笛を取り出せるよう準備する。

 

すると、

 

…タタッ

 

「!」

 

「………」ブルブルッ

 

建物の陰から、一人の女の子が震えながら出てきたのだ。その女の子の印象はある意味強かった。

 

サラサラな白く長い髪に、美しい肌、シンプルな白いワンピース、背丈はソルよりずっと小さく、そして、綺麗な、ソルと同じ黒い瞳を持った女の子だった。

 

「(お、女の子…?しかもたった一人で…?)…き、君、どうしたの?」

 

ソルはなるべく怖がらせないよう、女の子に優しく声をかける。

 

「っ!」ビクッ!

 

「あ、ああ、別に僕は君に何もする気はないよ。だから、怖がらないで」

 

一瞬、少女が泣きそうになりかけたので、ソルは慌てて言う。

 

「……」

 

「大丈夫だよ。本当に何もするきはないから」

 

ソルは一歩も動かずに待つ。こういうことは、少女の方から言い出さないと何も始まらないからだ。

しばらく、待っていると…

 

 

「………ぇ」

 

 

「…『え』?」

 

少女が何か発言をしている。しかし、遠すぎるのか、声が小さすぎるのか、聞こえない。

 

「ご、ごめんね。ちょっと聞き取れなかったから、もう一回言ってね」

 

「……ふ、ふえ…」

 

「『ふえ』?……もしかして……」

 

そう言いながらソルは背中に背負ってある狩猟笛を手に取る。

 

「これの…ことかな?」

 

「…!」コクコク!

 

少女は首を縦に振る。どうやら、合っていたようだ。

 

「…さ…」

 

「?」

 

「触っても…い、良いです……か?」

 

少女がどもりながら聞いてきた。ソルはここで、あることを考えたのだ。

 

(服装…っていうより、フードで顔が見えないから、怖がってるのかな…?)

 

ソルは改めて、今の服装を見直した。ローブはまだ良い方だが、フードがやはり気になったのだ。ソルは、常にフードを被っているのだ。基本、フードは自分の部屋ぐらいでしか取らないため、キリトやエギル、クラインでもソルの素顔を見たことがないのだ。

 

「…あ、あの……」

 

少女が涙声で呼びかけてきた。ハッ!とするソル。慌てて…

 

(こうなったら、取るしかない…!)

 

 

フードを取り、素顔をみせながら

 

 

「あ、うん!もちろん良いよ!」ニ、ニコォ

 

ぎこちない笑顔を作りながらソルは答えた。

少しボサボサ感がありそうな黒髪だが、決して汚くはない。顔は、まぁまぁ整っていて、中の中、普通だ。そして瞳は少女と同じくらい、透き通るような綺麗な黒い瞳だった。

 

「!」

 

少女はソルの行動にびっくりしたが、さっきよりかは緊張感が解れていたような感じだった。どうやら、フードを取ったことが大きかったようだ。

 

「い、いいの?」

 

「うん、いいよ」

 

「……」

 

トテトテトテトテ

 

少女がソルに近づき、そっと、狩猟笛に触れる。

 

「!…ザラザラしてる…」

 

「これは猛獣の固い鱗と頑丈な金属結晶で作られた笛なんだ。名前は『蛇蜥蜴(ヘビトカゲ)笛(サラマンドラ・レプタイルホルン)』って言うんだ」

 

「へび…とかげ…?」

 

「うん、とても使いやすいし、音も比較的高くて吹きやすいんだ」

 

「…わぁ~…すごい…!」

 

少女が少し笑顔になる。それに釣られて、ソルもニッコリとした雰囲気をだす。

 

「さ、さっき…店から…とてもきれいな音色が…し、したから…」

 

(ああ、なるほど…そういうことでしたか…)

 

ソルは少女の言葉で大体把握した。たまたま外に出てみたら、どこからとなく笛の音がしたから、音のする方に行ってみた。しばらくすると、ソルが出てきたので追ってみた。っという感じなのだろう。とソルは推測した。

 

「良かったら、他にも色んな笛があるけど…少しだけ見てみる?」

 

「!…ホントに…!?」

 

「うん、いいよ」

 

そう言って、ソルはアイテムストレージを操作して、色んな笛を出し、並べる。大きい笛から、小さい笛まで、その数は20本は超えていた。

少女の顔はみるみるうちに明るくなった。

 

「す、すごい…!ホントにすごい!こんなに、あるんだぁ…!!」

 

「ほとんどの笛は揃えているつもりだけど…、まだまだかなぁ…」

 

「そ、それでも、こんなに持ってるなんて…!お、おにいさんは笛好きなの?」

 

「う~ん、最初のころは取り扱いがとても難しかったけど…、今では好きな部類に入るかな」

 

「ホント!?」

 

「う、うん。本当だよ(あ、あれ?この子、こんなに積極的だったっけ?)」

 

「~♪」

 

とても明るくなる少女。次第には笛に頬ずりをし始めた。ソルは苦笑いをする。

 

(でも…、嬉しそうだから、別に良いかな…)

 

 

 

そうこうしているうちに、日が落ち、夜になり始めたころ、

 

「さて…、僕も戻らないと…。君もそろそろお家(部屋)に帰った方が良いよ」

 

そう促すソル。すると…

 

「…………」

 

少女は悲しい顔をして俯いてしまったのだ。

 

「…どうしたの?何かあったの?」

 

少女と同じ視線なるようにしゃがむソル。少女はすこし震えながら言う。

 

「じ、実は……」

 

涙目になりながら少女は涙声で言う。

 

「い、家が……、な、ないの……」

 

「………………………………………………

 

 

 

 

                     ………………………………………え?」

 

少女のまさかのカミングアウトに、ソルは目が点になる。

 

「い、家が…家が……ないの……う、うう……ううう……!」

 

「そ、そうだったんだ…、わ、わかった!僕の家…って言うより宿に連れて行ってあげるよ!そ、それで大丈夫かな…?」

 

泣き出す5秒前ぐらいの状態の少女に、他の人がいたら、色んな意味で危ないと思われるであろう提案を慌ててするソル。仕方ない、ソルの性格上、目の前で困っている、泣き出しそうな人はほっとけないからだ。

 

「う、うう…ほ、ホントに、い、良いの…?」

 

「うん、いいとも!行く当てもないなら、とりあえず僕のところに泊まればいいよ」

 

優しく言いかけるソル。すると、少女はパァ~っと明るい顔になる。

 

「あ、ありがとう、ございます…!え、えっと…」

 

「ソル。ソルだよ」

 

「そ、そるおにいさん…。わ、わたし!『クロ』って言います…!」

 

「そうか、『クロ』ちゃんって言うんだ……………ん?『クロ』?」

 

「?」

 

その名前に、違和感を覚えるソル。少女の見た目はほとんどと言っていいほど『白い』のだ。なのに少女の名前は『クロ』なのである。

 

(外見とは反対な意味で、不思議な名前だね…。それでも一応プレイヤー名だ。僕が突っ込むことではない…)

 

そう考え、これ以上の詮索をやめるソル。仮にもここはゲームの世界。相手への過剰な詮索はマナー違反だ。

思考を一旦リセットするソル。

 

「クロちゃん。とりあえず、転移門を使って一緒に宿に行こうか」

 

「は、はい」

 

こうして、ソルと少女クロと一緒に宿へ行くのだった。

 

しかし、ソルはふと考える。

 

(でも、自分の『家(部屋)がない』とはどういうことなんだろう…?第1層には全員分(・・・)の部屋が支給されているはずなのに……。それにクロちゃんのスキル値の高さ……あれは絶対に圏外に出て、敵を倒しているはず……。しかし、あのビクビクした態度、性格……想像できない…。…駄目だ、分からない…クロちゃん…君は一体…………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第50層 街『アルゲード』

 

ソルの宿はこの層にある。人も多く、夜でもそれなりに賑わっている街だ。

 

「クロちゃん、ここは人もたくさんいるから、はぐれないように行こっか」

 

「は、はいぃぃい…!」

 

どうやら少女は人見知りの様だ。ソルのローブを強く握っているのがその証拠だ。でもこれならはぐれないので安心だ。

 

「宿が見えてきたよ。僕が使っている宿はキッチンとシャワーがあるから多分、困ることは……あっ」

 

「…?どうしましたか?」

 

「たしか…ベッドはシングルの1つだけだったような…。まぁ、心配しないでね。僕が椅子で寝れば良いだけのことなので」

 

「い、いいんですか?」

 

「良いんだよ。むしろ、女の子に椅子とかで寝かせようとする人はいないよ」

 

「は、はぁ…」

 

そして、ソルの使う宿に入る2人。ここの宿の部屋はソルが言った通り、キッチンとシャワーが付いていて部屋もそこそこ広い、1人で使うにははちょっと豪華な部屋である。もちろん他の宿よりかは値は張る。

しかし、ソロで最前線に挑んでいるソルの所持金では、余裕でずっと住める宿である。

 

ソルはクロに簡単な説明をすると、キッチンの方に行く。

一応、ソルも『料理』スキルは持っていて、なんと!あと少しで最大値に達するのだ。流石は食堂屋の看板娘の息子なだけある。

 

「さて…、今日は何を作ろうかな?クロちゃんは何か食べたいものとかあるかい?」

 

ソルはベッドに座っているクロに聞く。クロは唸るように考えたが、

 

「ご、ごめんなさい…。ずっと食べていたのが黒パンだったから…」

 

「別にいいよ。その代りに、美味しいものをたくさん作るから、少しだけ待っててね」

 

「は、はい」

 

ソルは早速、アイテムストレージを開く…前に、

 

「ん?キリト君からだ」

 

キリトからメッセージが届いていたのだ。ソルはさっそく読んでみる。

 

 

――キリトだ。大変なことがあった。圏内で『殺人事件』が起こった。しかも、それも『決闘(デュエル)』によるPK(プレイヤーキル)ではなく別の手口でだ。まだその手口が見つかってない。今、俺とアスナで調べている。お前もしばらくは十分注意してくれ――

 

 

これを見たソルは顔が険しくなる。

 

(……なんて厄介なことに……。『圏内殺人』の新たな方法が見つかってしまいましたか……。今はクロちゃんもいる。あの子にも十分注意するよう言わなければ…)

 

そう言って、クロちゃんの方を見るソル。

 

「?」

 

頭に?を浮かべながら首を傾げ、ソルを見るクロ。ソルは真剣な眼差しで言う。

 

「クロちゃん。最近、物騒な事件が起きているから、僕と一緒に外出する時以外は絶対に宿に出ちゃ駄目だよ。いいね?」

 

「っ!わ、わかりました…」

 

今までのソルの雰囲気とは違った雰囲気を感じ取ったのか、少しだけ固くなるクロ。しかし、ソルはすぐに雰囲気を入れ替えて声をかける。

 

「大丈夫だよ。僕が君を守るから。それより、料理をしないとね!」

 

そう言って、ソルはアイテムストレージからせっせと色んな食材を出す。

 

(僕も食堂屋の一人なんだ!絶対にクロちゃんが喜ぶような美味しい料理を作って見せる!見ていてください!お母さん、じぃじ、ばぁば!)

 

そう言いながらソルは包丁を握り、食材と時間との攻防が今、始まったのだった!

 

 

 

 

 40分後

 

(ちょっと奮発し過ぎたけど、きっと喜んでもらえる!)

 

そう言って作ったのは、

 

・ハンバーグと自家製デミグラスソース(もどき)

 

・クリームコーンポタージュ

 

・黒パンに自家製フルーツジャムと(牝牛の逆襲)クリーム

 

・トマト、レタス、キュウリのサラダ

 

の4品にドリンクのオレンジジュース。子供が喜ぶ、王道の献立だ。

 

「できましたよ~」

 

「っ!おいしそう…!」ゴクリ

 

ソルはテーブルに料理を運ぶ。クロはおもわず唾をのみ込む。そして、

 

「「いただきます!」」

 

クロは最初にハンバーグを切って、急いでパクリと食う。すると…

 

「っ!?~!~!」

 

「あ、ああー、そんなに慌てて食べたら熱いよ!ってもう遅かった…。ほらジュースを飲んで」

 

そう言ってジュースを差し出すソル。クロは受け取ると一気に飲んだ。

 

「ゴクリ!っは~、熱かったです~…」

 

「ゆっくりでいいから食べてね」

 

「は、はいィィ…」

 

さっきの光景を見られてしまったのか、顔がゆでタコのように赤くなるクロ。しかしソルは気にしてない素振りを見せながらハンバーグを食べる。

 

「…うん、ちょっと熱いね…ゴクゴク」

 

ソルも表情には出さなかったが急いでジュースを飲む。すると、

 

「…クスッ」

 

「っム、今笑いましたね?」

 

「ご、ごめんなさい…クスッ。でも、面白くて…クススッ」

 

「…ははは、そうでしたか。それで味はどうかな?ちょうど良い?」

 

「はい。とっても、とっても美味しいです!こんなの生まれて初めて食べました!!」

 

この言葉に、一瞬固まるソル。

 

「…え!?クロちゃん、ハンバーグ食べたことないの!?」

 

予想外の言葉にソルは思わず驚いてしまう。今時、ハンバーグは冷凍食品で安く、ご家庭で手ごろな値段で買える食べ物だ。それさえも食ったことがないというと…

 

「…クロちゃん。『カレーライス』って食べたことある?」

 

ソルの質問に、クロは首を傾げながら、またとんでもないことを言う。

 

「『カレーライス』って何ですか?」

 

これを聞いた瞬間、ソルは涙を一滴こぼしながら言う。

 

「クロちゃん…。僕が色んな料理、作って食べさせてあげるからね!!」

 

「は、はい!」

 

「さぁ、どんどん食べて!なんなら僕の分もあげるからさ!!」

 

「そ、そるおにいさん!?どうしたの!?」

 

ソルの突然の涙からのこの言葉。もはや、クロもあたふたし始める始末。

 

このあと、ソルは何とか落ち着きを取り戻し、食事を食べ終わる。そのあと、シャワーを先にクロに譲ってから、ソルがシャワーを浴びたとさ。

 

 

 

 

 

 

そして就寝のとき

 

「ホントにい、いいのですか?」

 

「もう、大丈夫ですよ。気にしないで寝てください」

 

クロはベッドで、ソルは椅子に座り眠ろうとするが、クロはやっぱり心配になって聞いてきた。

 

「あ、あのう…」

 

「うん?」

 

クロはもぞもぞしながらソルに言う。心なしか顔がすこし赤い。

 

「ね、寝る時まででいいので、その…て、て、手を…」

 

「手を?」

 

クロは深呼吸をして、そして…

 

「手を握っててください…!」

 

「!」

 

クロの意外なお願いに、少し驚くも、

 

「いいよ」

 

ぎゅっ…

 

「!!」

 

そっと優しくクロの手を握ったのだ。そして、静かに囁く…

 

「おやすみなさい」

 

「お、おやすみなさいィィ…」

 

クロは顔を赤くしながら瞼を閉じる。やがて、数分後には

 

スゥ…スゥ…

 

寝息を立てて眠るクロがいた。ソルはそれを見て懐かしむ。

 

(昔を思い出すよ…。まだ僕が小さいころによく、母さんが寝るまで 僕の手を握ててくれたことを…)

 

そうしながら、ゆらゆらと揺れる椅子に眠気が沸いてきたソルは、

重くなってきた瞼を、ゆっくりと下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソルが出会った謎の少女、クロ。彼女と出会ったことを境に、ソルは、これから自分が変わっていくことを、今は知る由もなかった。




さて、いかがでしたか?

あれ、途中から苦いコーヒーが甘くなったって?キノセイデスヨ(白目)
あと、ソルはどうやら子供と対話をするときは、物腰柔らかく話す癖を持っていますね。

さて、次回ですが、ソルはクロと出会ったことで様々なことがおこります!また新たな人物が出てくる予定です!
今日はとりあえず、ここまでとさせていただきます。

では、次のお話でお会いしましょう。

次回 「魂の渾沌 謎の黒き少女」
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