ラスボスハイスクール 完結   作:ケツアゴ

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戦闘校舎のフェニックス
来客がありました


突然だが、友情が芽生える間柄にはどんな時があるだろう? 長い付き合いが有る? 話や気が合う? 勿論、其れもあるだろう。そして、死にそうな体験を一緒にした間柄

 

友情は国境や年齢を越える。勿論、種族さえも……

 

 

 

 

「ほら、柳さん。此れはどうですか?」

 

「ええ、とても美味しいですよ。姫島先輩はお料理上手なのですね」

 

「あらあら、朱乃ちゃんで良いと言ったじゃないですか。せめて、名前で呼んで下さりません?」

 

朱乃はそう言いながら拗ねたような顔をする。柳はそれを見て苦笑しながら謝った

 

「すみません。やはり、長い間会っていないもので、気軽に接しにくいのですよ。機会があればお呼びしますので」

 

「では、楽しみにしていますわ」

 

 

……何故、二人がこの様な会話をしているのか? それは少し前まで遡る

 

 

「一緒にお昼……ですか?」

 

「ええ、積もる話もありますし。それに、柳さんの為にお弁当を多めに作ってきましたわ」

 

昼休みになり、弁当を食べに行こうとしていた柳だったが、教室まで迎えに来た朱乃に連れられて一緒にお昼を取る事になった

 

 

 

「うふふ。こうしていると昔を思い出しません?よくピクニックに行きましたね」

 

「ええ。……妹にお弁当と称して泥団子を食べさせられそうになりましたので、よく覚えています」

 

「あらあら、あの子を泣かせないように食べて、後でお腹を壊していましたわね」

 

朱乃と柳は幼き日を思い出し、楽しげに談笑していた。お互い今まで辛い事が有り、幼き日々がとても幸せに思えたのだった。その時、朱乃が何気なく問うた

 

「そう言えば柳さんはご親戚の家にご厄介になっているのですよね? 今度ご挨拶に伺ってもよろしいかしら?」

 

何気ない問だったが、柳は難しげに考え込む。できれば指揮者(コンダクター)の正体が自分だと知らない者は家に上げたくない。家族と会った後、何処で様態に感づかれるか分からないからだ。アーシアは仕方なく上げてしまったが、今後は出来るなら控えたほうが良い

 

「……難しいですね。今三人と暮らしていますが、人見知りの激しい子がいるんですよ。……そう言えば姫島先輩は今はどうしているのですか? やはり、お父さんと?」

 

その言葉を聞いた途端、朱乃の表情が一変し、叫び声を上げた

 

「あの人の事は言わないでください!……ゴメンなさい。でも、出来ればあの人の事は聞きたくないので」

 

「……分かりました。では、お弁当を食べてしまいましょう」

 

「はい!」

 

再び笑顔を取り戻した朱乃は柳と共に食事を続け、別れ際にこう囁いた

 

「今日は楽しかったですわね。良ければまた作ってきますわ。……あの、私と最後に会った日にかわした約束を覚えていますか?」

 

「約束? すいません。あの日から前の記憶がボヤけていて」

 

「……そうですか。 なら、思い出したら教えてくださいね」

 

朱乃は残念そうな顔をしたが、すぐに微笑み去っていった。その背中が見えなくなった後、柳は誰にも聞こえないように呟く

 

「……忘れていませんよ。ただ、楽しかった思い出に止めておきたいだけです。貴女が彼奴の娘だと知る前のね」

 

 

 

 

 

 

「柳さん、お帰りなさい!……今日、奴が来るそうです。来る前に腹上死すれば良いのに」

 

笑顔で柳を出迎えたミラだったが、来客予定を伝える途端、不機嫌な顔になった。それを見た柳は微笑みながら彼女の頭を撫でる

 

「只今帰りました。……こらこら、そんな事を言わないでください。彼は私の友人の一人なのですから」

 

どうやら、先ほどの会話だけで客が誰か予想がついたようだ。ミラは窘められ、渋々といった感じで納得した。しかし、突如柳の体を嗅ぎ

 

「……そうですけど。柳さん!女の匂いがしますけど、何処の誰と逢引してたんですか!」

 

柳についた朱乃の匂いを敏感に察知したミラは柳に詰め寄り問いただした。あまりの剣幕に、柳がどう答えるべきか困っていると、奥から助け舟が差し出された

 

「これ、柳が困っておるぞ。其れくらいにしておけ。それに、今日はお主の食事当番の日じゃろうが」

 

「……はい。柳さん。ごめんなさい」

 

ミラはぺこりと頭を下げ、台所へと走って行った。柳はそれを見送り、苦笑した後に羽衣に頭を下げる

 

「有難う御座いました。……それにしても、ミラの嫉妬深さは相変わらずですね」

 

「まぁ、そう言うてやるな。奴が彼処までお主に懐く等、昔からは考えられなかったであろう?」

 

「……はい。まぁ、家族らしくなれた証拠でしょうか? では、私は自室に」

 

そう言って柳は羽衣の前を通り過ぎようとしたが、襟首を掴まれて止められる

 

「待て。この間の精力を吸わせる約束を果たして貰うぞ」

 

「えっ、ちょっと、今日は来客が有りますから、あまりヘロヘロになるのは」

 

「なぁに、後でゼノンにヒールを掛けて貰えば良いじゃろ」

 

柳は羽衣によって有無を言わさず部屋に連れ込まれ、ベットの上に投げ出される。そして、困惑する柳に向かって、羽衣は服を投げ捨てた

 

「ちょ、ちょっと!そこまでする必要はないでしょう!?」

 

柳の目の前にいるのは一糸まとわぬ姿の羽衣。真っ赤になり、手で目を覆う柳だが

 

「ふふふ。お主も男よな。指に隙間が空いとるぞ。ほれ、上だけで良いからお主も脱げ」

 

「ま、待ってくださいよ! 今日はどうしたんですか!?」

 

そう言いながら羽衣は柳に覆いかぶさり、上着を剥ぎ取っていく。やがて、柳が上半身裸になるとその首に手を回し、体を密着させて囁いた

 

「お主に他の女の匂いがついて気に入らんのは妾もじゃ。妾の匂いを上書きせんとな。まぁ、発情期と思ってくれれば良い」

 

「……貴女って大妖ですよね? んぐっ!」

 

柳の唇を自分の唇で塞ぎ、一度離した後、羽衣は自分の唇をひと舐めし、妖艶に微笑む

 

「細かい事は気にするでない。さぁ、夕食までの間、精気をじっくり吸い取らせてもらうぞ」

 

再び羽衣は柳に口ずけし、夕食の時間に出てきた時、柳は疲労困憊の姿になっていた……

 

 

 

 

「むぅ!今度は羽衣さんの匂いがしっかり付いています」

 

結局、ミラは不機嫌になり、そんな彼女を見て羽衣はクスクスと笑っていた

 

「嫉妬か? あいかわず可愛いのぅ。なぁに、お主も早く成長して、大人に変身出来るようになれば良い。今の童姿では伽はままなるまい?」

 

「と、伽!……や、柳さん。そんな所を……」

 

 

「ゼノンさん。回復してくださいませんか?」

 

「別に良いが……あれは放置か?」

 

ゼノンが指さした先では妄想に耽り、体をくねらせるミラの姿があった

 

「……疲れますので。それに、少ししたら治るでしょうから」

 

「大変だな」

 

「ええ、全く」

 

柳はゼノンに回復してもらいながら、盛大に溜め息をついた……

 

 

 

その日の夜。部室に集まったオカ研メンバーの他に見慣れない女性が居た。彼女はグレイフィア。リアスの兄の『女王』だ

 

「部活動を始める前に皆に話があるわ」

 

重々しい空気の中、リアスが口を開いたとき、部室内の魔方陣が変化し、見慣れない紋様となって光りだす

 

「ふぅ、人間界は久しぶりだな」

 

光が収まった魔方陣から出てきたのは、赤いスーツを着崩した金髪の男。一見するとホストの様な男の後ろには、フードをかぶり、魔術師の格好をした女性が付き従っていた

 

男は部屋を見渡し、リアスの姿を見受けると笑いながら近づいてくる

 

「やぁ、リアス。会いに来たぜ。おっと、ユーベルーナ」

 

「はっ!」

 

男が女性の方を振り向き名を呼ぶと、ユーベルーナと呼ばれた女性は菓子折りを取り出した

 

「土産だ。確かこの国では、つまらない物ですが、だったかな?」

 

「え、ええ。……一体、どうしたの? ライザー。前までは魔方陣から出てくる時は無駄に炎を撒き散らしていたのに」

 

菓子折りを受け取りながらリアスは困惑した表情で訊いた。ライザーは苦笑し、肩を竦めながら答える

 

「何、こっちに友人ができてね。あれは迷惑だから辞めろって言われたのさ。今日は顔を見に来ただけだが、明日にでも式場の見学に行かないかい?」

 

「なぁ、アンタ誰だ?」

 

先程から自分達を放って話が進められている事に戸惑った一誠はライザーに尋ねた。一誠に漸く気づいたライザーは訝しげに一誠を見る

 

「……俺の事を知らないのか? って事は転生者か。俺の名はライザー・フェニックス。お前の主の婚約者だ。後ろのは俺の『女王』のユーベルーナだ。ほれ、こっちが名乗ったんだからお前も名乗れよ」

 

「あ、ああ。俺はリアス・グレモリー様の『兵士』 兵藤一誠だ。って、婚約者ぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 

 

 

 

「いや~、リアスの『女王』の入れてくれたお茶は美味しいね」

 

「恐れ入りますわ」

 

ライザーにお茶を入れる朱乃の顔はにこやかだが、何時もの口癖が無い事から表面上の物の様だ。先程からライザーはリアスの隣に座り、肩や髪を触っている。その度にリアスが振り払っているのだが彼に気にした様子はなくしつこく触り続けていた

 

 

 

 

「いい加減にして!私は貴方と結婚する気はないと何度も言ったはずよ!」

 

ソファーから立ち上がったリアスは激昂してそう叫ぶが、ライザーは困った様に方を竦めるだけだった

 

「リアス。そういう訳には行かないのは分かっているだろう?君の家のお家事情は相当切羽詰っていると思うし、俺たちは純血の上級悪魔だ。俺達にはその血筋を残す義務がある。この縁談には悪魔の未来がかかっているんだ」

 

その言葉を聞いたリアスは歯噛みして答える

 

「……やっぱり貴方は私の事をグレモリー家のリアスとしか見ていないのね。心配していただかなくても婿は取るわ。でも、それはあなたじゃ無い!私達の様な古い家柄の悪魔にだって、自分で結婚相手を決めるくらいの権利は有るはずよ!」

 

その言葉を聞き、初めてライザーの顔が不機嫌なものとなった

 

「……リアス、やっぱり君は。君の言いたい事は分かった。でもな、俺だってフェニックス家の看板を背負っているんだ。婚約者に嫌だって言われたからって、はい、そうですかと引き下がれるか!」

 

ライザーの背中から炎の翼が現れ、周囲に熱気を撒き散らす。リアスも負けじと赤いオーラを発している。一誠達が身構えると、ユーベルーナもライザーと一誠達との間に入り、魔力を練りだした

 

 

「皆様お辞め下さい。これ以上やるのでしたら私も黙ってはいませんよ。サーゼクス様の名誉の為に全力を出させていただきます」

 

グレイフィアが静かにそう言うと二人は魔力を収めた。どこか彼女を畏怖しているようだ

 

「最強の『女王』と称される貴女と争う気はありませんよ。化物ぞろいのサーゼクス様の眷属と、……今は関係ないが、彼奴の従者と敵対すると考えただけで震えが来る」

 

「……こうなる事は両家の皆様はご承知でした。これが最後の話し合いの場でしたが。やはり決着がつきませんでしたか。こうなった時、最後の手段を取るように言われています。……お嬢様。それほどまでにご自分の意思を貫きたいのなら『レーティングゲーム』で決着をつけられてはどうですか?」

 

『レーティングゲーム』 上級悪魔の間で流行している下僕同士を戦わせる試合の事だ。本来なら公式戦には成熟した上級悪魔にしか出れないが、例外もある。非公式な試合が行われ得る場合。身内や御家同士のいがみ合いだ

 

「お父様達は最終的にゲームで婚約を決めようってハラなのね。一体何処まで私の人生をいじる気なのかしら……。良いわ!そのゲームで決着をつけましょう!」

 

リアスの挑戦記な物言いにもライザーは余裕の表情を崩さない

 

「良いのかい? 俺は何度か公式戦を経験しているし、勝星も多い。それでもやるのか?」

 

「良いわ! 貴方を吹き飛ばしてあげる!」

 

「……やはり君はそうでなくちゃね。良いだろう。君が勝てば婚約は破断。俺が勝てば即結婚だ!」

 

「では、双方共ご了解という事で宜しいですね?」

 

「ああ」

 

「ええ」

 

「では、両家の皆様にはそう伝えさせていただきます」

 

話についていけず当惑している一誠を見て、ライザーは面白そうに視線を向ける

 

「リアス。君の下僕はここに居るだけで全部か?ああ、例の『僧侶』は別だが」

 

「だとしたらどうしたと言うの?」

 

リアスは眉を吊り上げながら答え、ライザーは愉快そうに笑い出した

 

「いや、確かに君の眷属は中々やりそうだ。まぁ、そこの男は別だがね。『女王』である雷の巫女なんて、俺かウチの『女王』でないと相手にするのはキツいだろう。でも、それでも足りないよ」

 

ライザーがそう言って指を鳴らした途端、部屋中に魔方陣が現れ、続々と人影が出てくる。総勢14人の眷属悪魔らしき者達が集結し、先に来ていたユーベルーナと合わせ、持てる下僕の最大数である15人が揃っていた。ちなみに全員女だ

 

「俺の所は総勢15人居る。だが、君の所は封印された『僧侶』を除いてたった5人。これだけの数の差をひっくり返すには圧倒的な実力差か、予想を超えた奇策でもない限り無理だ。……なぁ、なんで君の下僕は俺を見て号泣しているんだ?」

 

ライザーを見て大号泣する一誠に対し、リアスは困り顔で額を押さえている

 

「この子はハーレムが夢なのよ。貴方の眷属を見て感動したようね」

 

「きもーい」

 

「ライザー様ぁ。あいつ怖いですぅ~」

 

「こらこら、そんな事を言ってやるな。上級階級の事を羨望の目で見るのは下賎な輩の常だ」

 

そう言ってライザーは一誠を本気で気持ち悪がり、容赦ない言葉を浴びせる下僕たちを慰める。ライザーは彼女らの頭を撫で、最後には額にキスをし始めた。その様子を見たリアスは不快気だ。一瞬、残念そうな顔をしたライザーだったが、すぐに得意げな顔でイッセーを見て笑う

 

「どうだ? こんな事お前には一生できないだろう?」

 

「ちくしょー!神器(セイクリット・ギア)!」

 

ライザーの言葉に切れた一誠は赤い籠手を出現させライザーに指を突きつける

 

「おい、コラ!そんな事じゃ部長と結婚した後も女の子達とイチャイチャする気だろ!」

 

「……お前には関係ないだろ」

 

「俺はリアス・グレモリー様の眷属悪魔だ!関係有るに決まっているだろうが。この、焼き鳥野郎!」

 

「!」

 

一誠の言葉を聞いた途端、ライザーの表情が一変する。怒気に満ちた顔になった彼は背中から再び炎の翼を出現させ、一誠を睨みつける

 

「……焼き鳥だと? 下級悪魔風情が! その言葉、我がフェニックス家への侮辱と取らせてもらう! ミラ、少し灸を据えてやれ!」

 

 

「はい、ライザー様」

 

棍を持った武道家のような少女が一誠に飛びかかる。神器(セイクリット・ギア)を発動し、その能力によって力を倍加して迎え撃とうとした一誠だったが

 

「えっ?」

 

あっさりと足を払われ、床に尻餅をつく。そして、無防備な脳天に向かって棍が振り下ろされた

 

「うわっ!」

 

一誠の脳天向かって振り下ろされた棍はその直前で寸止めされる。一誠がライザーの方を見ると見下した目で見ていた

 

「弱いな、お前。受身も防御もロクにできない。それに、その神器は龍の手(トゥワイス・クリティカル)か。所有者の力を倍加させるだけの有り触れた神器だな。しかも、倍加してもお前の力じゃたかが知れてるぞ」

 

ライザーはそう言って馬鹿にしたように一誠の籠手をコンコンと叩く。立ち上がったライザーは顎に手を当てて思案しだした

 

「う~ん。これでゲームをしても面白くないな。……そうだ!おい、リアス。10日間やる。それまでに少しは下僕を鍛えるなり、新しい眷属を集めるなりしておけ。ああ、なんなら一名程度なら助っ人を頼んでも良いぞ」

 

ライザーは矢継ぎ早にそう言うと、魔方陣に向かって歩いて行く

 

「おい、少しは強くなれ。お前が無様な姿を見せれば、それがリアスの恥になるんだ」

 

一誠に向かってそう言い残して……

 

 

 

その少し後、ライザーは一人で、ある家に入っていった

 

「悪い、少し遅くなった」

 

「ええ、全くです。……お久しぶりですね、ライザーさん」

 

ライザーがそう言い、家に入ると一人の少女が彼を出迎える。その姿を見た途端、彼の顔が蒼白になり

 

「すみませんでしたぁぁぁぁぁぁっ!お久しぶりです、ミラ様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

床に額をこすりつけ、盛大な土下座を行った。その姿からは先程までの誇りや自信など見受けられない

 

「……ライザー。お久しぶりですね」

 

この家の主である柳が声を掛けるまで、その状態は続いていた……




意見 感想 誤字指摘お待ちしています

イッセーの神器の事はまだ話していない状態です まだ正式に発動していませんから
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