ラスボスハイスクール 完結   作:ケツアゴ

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私だってやる時にはやります

ライザーの『女王』ユーベルーナは最初、柳の事が気に食わなかった。彼の従者に手も足も出ずに敗れたライザーはすっかり落ち込んでしまい、引き篭るようになったかと思えば、今度は柳と共に山篭りに連れ出され、帰ってきた時にはすっかり変わっていた。以前のような傲慢さは消え、精進を重ねるようになった事は好ましく思えたが

 

「すまない。もう俺はお前らを女として愛する事はできない。俺は本気でリアスが好きになったんだ」

 

ライザーから告げられた、その言葉に彼女はショックを受け、彼を変えた柳を恨んだ時期もあった。しかし、変わったライザーの傍に居る事が以前のライザーの寵愛を受けてた時より幸せだと感じている事に気づいた時、恨みの念は感謝の気持ちへと変わっていた……

 

 

「……やりましたか?」

 

だからこそ、彼女は本気で柳の相手をした。それこそが主を変えてくれた彼への礼儀だからだ。彼女の放った弾幕をしばえらく避けていた柳ではあったが、背後での爆発の衝撃で体勢を崩した所に残りの魔力が降り注ぎいだ。アナスウンスが流れるまでは油断してはならないと、ユーベルーナが警戒していると、やがて煙が晴れ、彼女の目の前には巨大な扇を広げた柳の姿があった

 

二尾の鉄扇(にびのてっせん)。……借りておいて正解でしたね」

 

柳は冷や汗を拭うと、扇を小さくし懐にしまい、弓を構えた

 

「さぁ、ここからは私のターンです。一気に決めさせていただきますよ!」

 

「くっ!」

 

ユーベルーナは柳の放つ矢の連射に翻弄されて逃げ惑う。彼女が反撃をしようと手を突き出すと容赦ない一撃が襲い掛かり、彼女の反撃を防いでいた。しかし、やがて反撃の好きはやってくる。柳の持つ矢の数は残り6本。これを射ち尽くした時が反撃のチャンスと彼女は虎視眈々とその時を狙っていた

 

「……矢が残り少ないですね。接近戦はさせてくれそうにありませんし、この6本に賭けますか……」

 

柳はそう呟くと、5本の矢を同時に引き絞り

 

「え? 何を?」

 

上空へと放った。5本の矢は上空へと一直線に昇っていき、やがて見えなくなる。ヤケを起こしたかと唖然としていたユーベルーナが反撃のチャンスと柳の方を向き直ったその時、

 

「がっ!? さっきのは囮!?」

 

 

最後の一本が彼女の肩を射抜いた。利き腕を射抜かれて狙いが正確に付けられ無くなった彼女の魔力を避けつつ柳は接近し、剣で切りかかる。空戦に一日の長があるユーベルーナは必死に避けるが、少しずつ切り傷が増えていく。柳が一気に勝負を仕掛けようと大きく振りかぶったその時

 

「死なば諸共……でしたっけ?」

 

「なっ!」

 

ユーベルーナは間近で爆発を起こした。思わず距離をとった柳に対し、ユーベルーナは逆転の一撃を与えようとし

 

「そんな……。こっちが本命だったなんて……」

 

空中より降り注いだ5本の矢に射抜かれ、地上へと落下していった……

 

『ライザー・フェニックス様の『女王』一名リタイア』

 

「……曲射撃ち、結構便利ですね。まぁ、姫島さんが与えたダメージが無ければ危なかったですが。おや、やっと来ましたか」

 

戦闘の疲労から息を切らしながら地面に降りていった柳の視線の先には、駆けて来るリアスの姿が映っていた……

 

 

 

 

「うおおおおおおおおおおっ!!」

 

一誠の拳はライザーの

体の正中線めがけ、真っ直ぐに抉り込むように放たれる。ライザーの腹部目掛けて放たれたそれは。倍加の力も相まって、当たれば大ダメージとなる一撃だった

 

「いい一撃だ。最初に会った時と違い、動きに無駄がなくなっている。だが……」

 

「がはっ!」

 

「無駄がなければ良いというものじゃない。正確すぎると、どこを狙っているか丸分かりだからな」

 

一誠の拳を受け止めたライザーは一誠の体を引っ張り、腹部に拳を打ち込む。正中線目掛けて的確に放たれた一撃を受け一誠は悶絶しながらもライザーの手を振り払い、距離をとった

 

「はぁ、はぁ、やるじゃねぇか」

 

「当たり前だ。俺はリアスを守れる男になる為に修練を積んだのだからな。炎の兵隊(トルーパー)!」

 

炎でできたライザーの分身が一誠に迫り、その身を焦がした

 

『不死鳥フェニックスの炎はドラゴンの鱗にも傷を残す。拡散型の魔力で全て吹きとばせ!』

 

「分かった! 行くぜ、ドラゴンショ……ガァっ!?」

 

炎の光の矢(ライトニング・アロー)!」

 

自らも炎を全身に纏ったライザーは分身に紛れ、魔力を放とうとした一誠の背後から攻撃を仕掛ける。予期せぬ攻撃により魔力が霧散した一誠は素早く反撃を試みるも、ライザーのスピードに対処できず、次第に追い詰められていった

 

『相棒、やばいぞ。このままではジリ貧だ。なんとか逆転の手を打たんと負ける』

 

「! 負けて、たまるかぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

ドライグの言葉を受けて叫び声を上げた一誠は目を閉じて構え、ライザーが攻撃を放った瞬間を狙い

 

「捕まえたぜ! 覚悟しろ、ライザー!!」

 

ライザーの体を掴み、その顔に拳を放った。今度こそ一誠の拳は受け止められること無くライザーを捉え、深々と捩じ込まれた。一誠はライザーの体を掴みながら空いた手でラッシュを仕掛ける。そして、大振りの一撃を顔面目掛けて放つが

 

「なっ! 額で……」

 

球の盾(ラッピング)!」

 

ライザーはその一撃を額で受け止め、全方位への炎を噴出して一誠を無理やり引き剥がした。不死の特性によって瞬時にダメージを回復したライザーは、上空高く飛び上がり炎の翼を広げると、一誠に向かって叫ぶ

 

「中々やるな、兵藤一誠。お前に一つ問おう! お前はもうボロボロのはずだ。何故、其処まで頑張る!?」

 

先ほどの炎で吹き飛ばされた一誠はダメージによってフラつきながらも立ち上がり、ライザーに向かって拳を突き上げた

 

「部長の為だ! 俺は、俺に第二の人生をくれた部長に幸せになって貰いたい。だから、俺は部長の為にアンタを倒す!」

 

「良い覚悟だ! ならば、この一撃を受けてみよ! 炎の槍(ジャベリン)!」

 

その言葉を聞いたライザーはニヤリと笑うと足先に炎を集め、蹴りの姿勢のまま一誠に向かって来た。それに対して一誠は再び巨大な魔力を放つ。一誠の手から放たれた魔力はライザーを完全に飲み込んだ

 

「や、やった!」

 

『直撃したぞ! これなら奴ももタダでは済むまい』

 

……一誠とドライクが勝利を確信する中、ライザーは一誠の魔力の中を突き進んでいた。一誠の巨大な魔力に対し、全ての炎を足先に集中。さらに高速回転を掛ける事により、さながら炎の槍と化したライザーはついに魔力を突き破った

 

「喰らえぇぇぇぇぇぇっ!!」

 

ライザーは両手を組み合わせ、戦鎚の様に振り下ろす。完全に虚をつかれた一誠はその一撃をマトモに喰らい、豪炎と共に吹き飛ばされた。この一撃で意識を失い、時間切れによって鎧も解除され、リタイアしそうになった一誠だったが

 

「イッセェェェッ!」

 

「部……、長……!」

 

駆けつけたリアスの声を聞き、姿を見た事によって持ち直した。すでにボロボロで、今にもリタイアしそうなのに未だに闘志を漲らせる一誠に対し、ライザーは感嘆の言葉を漏らした

 

「素晴らしいな。気力だけでよく其処までやる。……だが、もう休め。お前はよく戦った」

 

「イッセー、もう良いわ! 後は私が……」

 

「やめなさい! 彼は今、貴女の為に戦おうとしているのですよ! 此処で止めるのは彼への侮辱です」

 

傷だらけの一誠の姿を見て駆け寄ろうとしたリアスだったが柳の言葉を受け、その場に立ち止まった。一誠の戦いを最後まで見守る為に……

 

「……もう休めだと? ざっけんなぁ! お前の様な奴に部長を渡してたまるか! お前は部長に相応しくねぇ! お前なんかには部長は勿体無いんだよ!」

 

そう言って拳を振り上げてライザーに突撃する。既に足元はふらつき、拳も定まらない。すぐに避けられるか、防がれてしまうだろうその一撃は

 

 

ライザーの顔にめり込んだ。一誠が再び拳を振るおうとした時、今度はライザーの拳が彼にめり込む。ライザーは一誠の拳を避ける事も、防ぐ事もしないばかりか、炎すら出さず、ただ単純な殴り合いを続けながら叫んだ

 

「俺がリアスに相応しくない? 分かってんだよ、そんな事! 才能に溺れて驕っていた俺と違い、リアスは努力を続けて来た! フェニックス家のライザーとしての自分しか持てなかった俺と違い、リアスは自分というものに誇りを持っている!  俺は、何時も自分に正直で一直線で自分の道を行く、そんなリアスが好きなんだ! グレモリー家のリアスじゃなく、彼女自身に惚れているんだよッッ!!」

 

同時に相手目掛けて放たれようとした一誠とライザーの拳だったが、ライザーの叫びを聞いた一誠の頭に、柳の言葉が過ぎった

 

『もし、ライザーが彼女自身を愛していた場合、貴方はどうしますか?』

 

一誠の拳が急に止まり、ライザーの拳がモロに入った事により一誠は吹き飛ばされ、その姿が消えていく。しかし、その顔は晴れやかなものだった

 

「……なぜ、拳を止めた?」

 

怪訝そうに質問するライザーに対し、一誠は笑いながら答える

 

「あんな顔であんな事を叫ばれたら、仕方ねぇだろ? それに、言ったじゃねぇか。俺は部長に幸せになってもらいたいってよ……」

 

『リアス・グレモリー様の『兵士』一名リタイア。……投了を確認しました。このゲーム、ライザー・フェニックス様の勝利です』

 

 

 

 

 

 

「俺は、何時も自分に正直で一直線で自分の道を行く、そんなリアスが好きなんだ! グレモリー家のリアスじゃなく、彼女自身に惚れているんだよッッ!!」

 

「……ライザー」

 

ライザーの心からの叫びを聞き、呆然とするリアスに近づいてきた柳は淡々と話しだした

 

「……実は、私と彼は友人なのですよ。彼は言っていましたよ。恥ずかしくって上手く思いを伝えられないって。だから、グレモリーとして貴女を愛している事を伝えたり、嫉妬してもらいたくって関係を絶った眷属達とイチャついてみたりしていたらしいです。……失敗しましたけど。リアス・グレモリー様。彼は変わりました。そして貴女自身に惹かれたのです。……相手の事をちゃんと見ていなかったのは、貴女ではないのですか?」

 

「……」

 

柳の言葉に無言で答えるリアスの視線の先では、笑いながら消えていく一誠の姿があった

 

「どうしますか? 私の禁手を使えば彼に勝てますが」

 

「……いいえ、その必要はないわ。このゲーム、私の負けよ。投了します」

 

柳の言葉に静かに首を振ったリアスは自らの敗北を宣言した……

 

『投了を確認しました。このゲーム、ライザー・フェニックス様の勝利です』

 

 

 

 

 

 

「やれやれ、結局なるようになったと言うべきですかな?……だが、バカ息子が自分の気持ちを伝えられただけでも良しとしましょう。グレモリー卿、これからよろしくお願いしますよ」

 

「ええ、これからの事は二人の問題です、我々はそっと見守るといたしましょう」

 

ゲームを見守っていた二人の父親達はそう言って、握手を交わした……

 

 

 

 

 

「リアス、入ってもいいか?」

 

「……どうぞ」

 

敷の打ち合わえの為に一時的に冥界の自宅に戻っていたリアスをライザーが訪ねてきた。彼を素直に部屋に招き入れたリアスと彼の間には以前の様な険悪な空気は流れていなかった。あの後、ライザーのことを柳から詳しく聞かされたリアスは何を話したら良いのか分からず、ライザーもまた、緊張から話を切り出されずにいた

 

「「あ、あの……」」

 

「ラ、ライザーからどうぞ」

 

「いや、リアスから……」

 

しばらくその様なやり取りが続き、リアスは我慢できずに立ち上がった

 

「あ~、もう! 貴方から話しなさい! 男なんだからシャッキとしなさい!」

 

「わ、分かった! 俺から話すよ」

 

リアスの迫力に押され、ライザーは話を切り出した

 

「リアス。今回の結婚なんだが……延期になった」

 

「……え? ちょっと、どういう事!? 貴方が勝ったらすぐ結婚だったんじゃなかったの!?」

 

「ああ、そのはずだった。だが、俺が父とグレモリー卿に頭を下げ、当初の予定通り、君の大学卒業後に延期してもらった。……今回の騒動の発端はお互いの行き違いが原因だ。だから、俺たちはお互いのことをよく知る必要がある」

 

「これは?」

 

そう言うと、ライザーは懐から包を取り出し、リアスに渡した。リアスが包を開くと、中に入っていたのは

 

「レターセットだ。まずは、文通から始めないか?」

 

リアスは暫くの間固まり、急に笑い出した

 

「ふふふふふ、良いわ。始めましょう、文通。……ライザー。目を閉じてくれる?」

 

「あ、ああ」

 

ライザーが言われるがままに目を閉じると、唇に柔らかいものが触れた

 

「今まであなたのことを誤解していて、御免なさい。此れはお詫びよ。私のファーストキス。日本では女の子が大切にする物よ」

 

「リアス……」

 

暫く見つめあった二人は恥ずかしそうに真っ赤になりながら、お互いの顔を見つめて笑いあった……

 

 

 

 

 

 

「これが、今回の結末です。それにしても、今回は疲れましたよ。まだ疲れが残っています」

 

家に帰った柳は三人に事の顛末を説明した。二人がキスした事はライザーが嬉しそうに電話してきたので知っていたのだ。柳は説明が終わると、白くてフカフカしたものに体を預ける

 

「……全く、まるで小学生の恋愛じゃのう。ほれ、くすぐったいから、そんなに触るな」

 

柳が触っている白いもの。それは羽衣の尻尾だった。言葉とは裏腹に柳を尻尾で包んでいた彼女であったが

 

「……あんっ! こ、これ、どこを触っておる!?」

 

「どこって、尻尾ですけど?」

 

「や、やめい! 付け根付近は弱いのじゃ。あっ、また!」

 

突然、艶のある声を上げた羽衣に驚き、思わず先ほど触った所を触り、その度に艶のある声が聞こえてきた。普段からかわれてい仕返しにと、しばらく触っていた柳だったが、突如、頭をガシリと掴まれる。恐る恐る視線を向けた先では息を荒げた羽衣の姿があった

 

「……もう、我慢できぬ。お主のせいですっかり体が火照ってしまったわ。この責任、お主の体でとってもらうぞ!」

 

「え? いや、ちょっと!」

 

息を荒げた羽衣は自分の服を脱ぐと柳の服に手をかけ、脱がしていく

 

「なぁに、天井の染みを数えておればすぐ終わる」

 

「いや、天井にシミなんてありませんけど!? それに、二人が見てますって! って居ない!」

 

いつの間にか二人の姿は消え、部屋の中には柳と羽衣の二人っきりだった。羽衣は柳の顔を手で包むと、深い口づけをし、そっとのしかかり

 

「えい!」

 

「あがっ!?」

 

後頭部への一撃を受けて気絶した。羽衣の背後にはフライパンを振り下ろしたミラが立っており、どこか不機嫌だ

 

「流石に私が殴ったら怪我をさせますのでフライパンを使いましたが……私のお気に入りが」

 

ミラが手に持ったフライパンは折れ曲がり、使い物にならなくなっている。柳は羽衣の下から這い出ると服を着直し、ミラの頭をそっと撫でた

 

「ミラ、助かりました。流石に私には早いですからね。何かお礼をしたいのですが、何が良いですか?」

 

ミラはしばらく考え込み、満面の笑顔で答えた

 

「じゃあ、今度デートしてください!」

 

「おや、そんな事で良いのですか? はい、今度二人でどこか遊びに行きましょう」

 

「はい!……所で、羽衣さんにした悪戯は見過ごせませんね。正座してださい」

 

「え、いや……」

 

「……正座」

 

「……はい」

 

その後、ミラの説教は羽衣が起きる一時間後まで続いた……




これにて2巻終了! 魔法使いの7巻終わらせたら一気に3、4巻と進みます!

次回は更に可愛そうなヴァーリをお楽しみください!

意見 感想 誤字指摘お待ちしています

次回予告

『アザゼル、俺は戦争を求めるのを辞めるぞ……』

『大丈夫。俺がきっと迎えにいってやる。それまで頑張れ』


『あぁ? 聖剣に復讐だぁ? こんなもん、ただの道具に過ぎねぇだろうが!』

『助けに来たぞ、リアス!』

『俺は絶対に貴様ら悪魔を皆殺しにしてみせる!』

『俺は死ぬまで復讐をやめねぇよ。てめぇら悪魔と教会の連中を皆殺しにするまで、俺は戦い続ける!』
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