ラスボスハイスクール 完結   作:ケツアゴ

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ノリで行動したら後が面倒くさいです

「あれ? 曹操は兎も角、ヘラクレスも居ないのね。ねぇ、ジャンヌ。あの二人何処か知らない? どこか遊びに行くから幹部全員誘おうと思ったんだけど」

 

アナスタシアが話しかけたのは英雄派幹部の一人、ジャンヌだ。彼女はアナスタシアに対し、嘆息を吐きながら言った。

 

「知らないわ。……ねぇ、アナスタシア。前から言おうと思っていたから、一応警告しておくわ。貴方の自由奔放な所は嫌いじゃないわ。でも、あの人の不興を買えば貴女の目的は果たされない。弟に会いたいんでしょ?」

 

「……分かってるわ。その為にお祖父ちゃんを裏切ったんだから……」

 

その時にアナスタシアが見せた表情は暗く、どこか迷いが見えた……。

 

 

 

 

 

 

「ヘラクレスっ! なんで勝手な真似をしたんだ!? 俺はこんな事許可した覚えはないぞっ!」

 

曹操の視線の先ではヘラクレスが殴りつけた時に起こった爆発により散乱した机や床の破片が散らばり、先程まで柳がいた場所からは煙がもうもうと上がっている。本来予定になかった襲撃をした事に対して理由を問いただす曹操に対し、ヘラクレスは不快げな表情を向けた。

 

「あ~ん? なんで俺がお前の言う事を聞かなくちゃいけねえんだ? 言っとくけどよ、俺もジャンヌもお前がリーダーなんて認めちゃいねえ。俺が言うこと聞くのはあの人だけだ。それに、指揮者(コンダクター)の従者は神器で呼び出されたんだろ? なら、所有者を殺しちまえば消えるに決まってるじゃねえか。それに、悪魔共の味方になる奴なんざ、死んじまった方が良いだろうが。違うか?」

 

ヘラクレスは曹操に向かってそう吐き捨てると背中を向け、帰ろうとし、最後に柳の死体を拝もうと先程までいた場所の煙を払いのける。だが、そこには死体どころか座っていた椅子すら無い。ヘラクレスが驚愕する中、後ろから声が響いた。

 

 

 

 

「いやいや、少し訂正させて頂けますか? 私の従者は確かに神器反英雄の柩(コンダクター・オブ・カタストロフィー)で呼び出しましたが、あくまでその力は、反英雄を一度だけ呼び出す、という事に過ぎません。私が死んでも彼女らは現界し続けますよ?」

 

「なっ! テメェ、生きて……」

 

ヘラクレスが振り返った先では椅子に座り、紅茶のカップを口に運ぶ柳の姿があった。その体には怪我どころかホコリすら付いておらず、まるでヘラクレスの攻撃など無かったように佇んでいる。だが、空いた手で剣を弄っており、その剣を見ただけで曹操とヘラクレスは寒気を覚えた。

 

「……その剣、ジークのバルムンク……いや、見た目は同じだがどこか違うな」

 

「ええ、この剣の名もバルムンクですよ。まぁ、異世界の、が付きますが……」

 

そう言って余裕そうに立ち上がった柳に対し、ヘラクレスは青筋を浮かべて怒鳴る。自分の攻撃を簡単に避け、あまつさえ自分を無視して曹操と話す事が気に食わなかった彼は今度こそ目の前の男を殺そうと腕を振り上げ、襲いかかった。

 

「無視してんじゃねえぞ、テメェッ! 俺を誰だと思ってやがるっ! ヘラクレスの魂を継ぐ男だぞっ!?

テメェ、なんざ、俺の神器巨人の悪戯(バリアント・デトネイション)でさっさと爆死しやがれっ!」

 

ヘラクレスの神器の能力は攻撃した部位を爆発させるという強力なもの。その一撃なら目の前の男を葬れると確信しているヘラクレスは迷いなく拳を振り下ろす。だが、柳はため息をつき、首を振って、静かに呟くだけだった。

 

「……話はまだ終わっていないのですがねぇ……」

 

柳はそう言うと剣を上段に構える。そして、ヘラクレスの拳が柳の顔前に迫ったその時、その姿が掻き消え、剣を振り下ろした状態でヘラクレスの背後に移動していた。

 

「……私は悪魔の味方ではありませんよ。中には友人もいますが、どちらかというと嫌いな方です。まぁ、仕事で仕方なく付き合っているだけです。ああ、それと、この剣は英雄の血を数多く吸った剣でしてね、……英雄殺しの力が宿っているのですよ」

 

柳がそう言い終わり、剣を鞘に収めた瞬間、ヘラクレスの体に縦一文字の傷ができ、そこから血が噴水のように吹き出した。

 

「ああ、ヘラクレスさん。最後に名前を教えて頂けますか? ヘラクレスを名乗っているのは魂を受けついだからでしょう? 貴方の本名は?」

 

 

「俺の…名前…? 俺の…、俺の、俺の名前は……」

 

柳の問いにヘラクレスは頭を押さえ、苦しみ出す。まるで、自分の本名を言うという事が、どうしても答えが分からない難問のように……。

 

 

 

 

 

 

 

少年が家までたどり着いた時、祖父や祖母は既に息絶えていた。体中を引き裂かれ、五体をバラバラにされた上で燃え盛る炎に焼かれている。祖父に至っては頭部が存在していない。その光景に少年が耐えられる筈も無く、地面に胃の内容物をぶちまけた頃、ようやく仲間が追いついてきた。

 

「おい、×××。一人で先に……うわぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

追いついてきた仲間も無残な姿の死体を見て嘔吐する中、後ろから近寄って来た気配を感じ、少年が振り返ると、そこには化物がいた。

 

「おや、こんな所にまだ食料が残っていたか。ふむ、柔らかくて美味しそうだな」

 

その化物は顔だけは人だった。ただし、手足は異常に細長く、肌の色は金属めいた黒だ。手の先には先端の尖った細長い指があり、そこからは血が垂れていた。少年たちは気づく。この化物が村をこんなふうにしたのだと。そして、自分達は今からこの化物に食い殺されるのだと。その時、一人の子供が角材の切れ端を拾い上げ、化物に向かって走り出していった。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

村を襲った化物への恐怖と怒りから錯乱したその子はそのまま化物に向かって行き

 

 

 

「うむ。やはり食べるなら子供に限る。先ほど食った爺は筋ばかりで不味かったからな」

 

化物に一口で頭を食いちぎられた。首を失った体はそのまま前のめりに倒れ、首から大量の血が溢れ出す。化物は先ほど食べた子供の肉をよく咀嚼した上で飲み込むと、少年達に向かって何かを放り投げた。それはコロコロ転がりながら少年達に近づいてき、腰を抜かした少年の前で止まる。少年がよく見ると、それは祖父の頭部だった。

 

「うん? 知り合いかね? 全く、馬鹿な爺だったよ。自分が囮になって婆を逃がそうとしたのでね、目の前で婆を殺してやったよ。アッハッハッハッハッハッハッハっハッ!!」

 

辺りに化物の笑い声が響く中、少年の意識は沈んでいった。次に目を覚ました時、少年の目に映ったのは全身を引きちぎられ、苦悶の表情で息絶える化物と、怯えた目で自分を見る仲間達だった。

 

「な、なぁ、何が…」

 

「化物っ!」

 

少年が何があったか聞こうと仲間に近寄った時、額に石が飛んで来る。少年が前を見ると、怯えた仲間が何度も自分に対して石を投げつけていたのだ。

 

「な、なんで俺に石を投げるんだよっ!?」

 

「うるさい、化物っ! あんな化物を殺せるアンタだって化物に決まってるっ! あっち行けっ!」

 

少年は石を投げてくる仲間から逃げる様に山へと走っていった。それから何日も山中で暮らしていたが、ふと気付いた。なんで自分は山の中で生きられているんだろう、と……。

 

今の季節は冬であり、食べ物もロクにない極寒の世界では子供なんてすぐに死んでしまう。そう、少年が疑問に思った時、突然知らない記憶が頭に入ってきた。神の子として生まれ、妻子を殺し、十二の試練を達成した事で神々の末席に座る事が許された英雄ヘラクレスの記憶が。ヘラクレスの記憶はとめどなく頭に流れ込み、反対に少年自身の記憶が失われていった。大好きな祖父祖母の顔。育った村の風景。友人たちの顔。そして、自分の名前。ただ一つ少年に残ったのは、全てを失う切っ掛けとなった悪魔への憎悪ただ一つ。

 

数年後、ヘラクレスを名乗って世界を放浪していた少年はある男と出会い、やがてテロリストになった。もう、憎む理由すら思い出せないが、悪魔を皆殺しにする事だけを目的にして……。

 

 

 

 

 

 

「俺の、俺の、オレノナマエェェェェェェェェェェッ!?」

 

狂ったように叫び出すヘラクレスに対し、柳の向ける目は冷たいものだった。まるで、つまらない物を見るような目だ。

 

 

「……受け継いだ魂に精神まで侵食されましたか。非常にツマラナイ……」

 

柳はそう言うと、錯乱して暴れだしたヘラクレスの首筋に剣を振り下ろす。バルムンクの刃がヘラクレスの首に突き刺さろうとしたその瞬間、曹操に横から突き出された槍によって、その一撃は防がれた。

 

「……君を襲った事は謝る。だが、虫の良い話だとは思うが彼を見逃してやってくれないか? どんな奴だろうと、仲間は仲間なんだ。……頼む、指揮者。これで落とし前としてくれ」

 

曹操はそう言うと、迷いなく自分の右目に槍を突き刺し、えぐり出した目を自ら踏み潰した。それを見ていた柳は嘆息を吐き、追い払うかの様に手を振った。

 

 

「あ~、はいはい。まぁ、逃がしたことについては、貴方は最強の神滅具持ち相手ですから、馬鹿な悪魔には適当に言い訳しておけばいいでしょうし、逃げていいですよ。……貴方とは話が合いましたし、私の事は柳でいいですよ、曹操さん」

 

「……すまない。恩に着るよ、柳。俺も曹操で良い」

 

そう言って暴れるヘラクレスを押さえ込み、曹操は転移していった。曹操が消える直前、柳はふと思い出した様に曹操に声をかけた。

 

「ああ、そういえば私も持っていますよ、ロンギヌス。倉庫に二十本ほど眠っています」

 

「……え? えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」

 

消える寸前に曹操が見せた顔は非常に間抜けだった……。

 

 

 

 

 

 

 

「……さて、この惨状をどうしましょうか?」

 

柳の目の前にはヘラクレスによって破壊された店が映っている。つい新しい友人ができた嬉しさに逃がしてしまったが、正体バラしたのは彼ですし、逃がさなかったら良かったですかね?と柳が悩んでいると、ようやくミラが戻ってきた。その手には大量のベーグルを抱えられている。

 

「あ、終わりました?」

 

ミラが柳にそう問いかけている間にもベーグルは彼女の口に吸い込まれていく。その様子はまるでブラックホールの様だ。その後ろからやってきたアーシアはおずおずといった様子でミラに話しかけた。

 

「あの~、ミラちゃん? 柳さんを助けなくて本当に良かったの? あ、柳さんのベーグルです」

 

「有難うございます。まぁ、あの程度なら私一人でも無傷で倒せますし、曹操が何かしようとしたら、直ぐにひき肉になっていましたよ。……ご心配をおかけしたようですね。すみません。私もたまには戦わないと鈍るので、私一人でも倒せる相手は出来るだけ相手をするようにしているのですよ。……守って貰うばかりは嫌ですから」

 

柳がそう呟いた頃、やっと警備の悪魔達が駆けつけてきた。




意見 感想 誤字指摘お待ちしています

今回ヘラクレスを見逃したのは曹操と仲良くなった事と、ヘラクレスに殺す価値なしと判断したからです


感想にあったヴァーリの不幸

羽衣にボコられ、足置きにされる

ゼノンに壁にめり込まされる

羽衣にぼこられ掃除をやらされる さらにそれを友人に見られる

楽しみにしていた好敵手が変態 落ちこぼれ 

性癖を味方中に暴露される

ケツ龍皇と呼ばれる

ミラの火炎を喰らう

初恋の人に振られていた

間違って自分でケツ龍皇と名乗る

ゼノヴィアに襲われる

相棒がボケる

こんなもんかな?





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