ラスボスハイスクール 完結   作:ケツアゴ

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シスターを助けました

「全く、困った事になったわね……」

 

リアスは目の前の状況に頭を痛める。一誠が契約で向かった先に悪魔祓いが居ると気付き、慌てて助けに行けば、悪魔祓いと思われる少年は気絶し、怪我をした一誠の側には、見慣れぬ少年とシスターが居る。状況から考えるに、シスターは悪魔祓いの仲間で、少年は紛れ込んだ一般人だろう。そう判断したリアスだったが、一応確かめる事にした

 

「イッセー、事情を説明して貰えるかしら?」

 

「はい、部長。俺がこの部屋に入ったら、此奴に契約主が殺されていて、俺も殺されそうになった所を、この子が助けてくれたんです。……ッ」

 

「あ!すぐ治します!」

 

アーシアは、痛みに顔を歪ませた一誠に駆け寄り、神器を発動せた。緑色の光に包まれ、一誠の怪我が癒えていく。それを見たリアスは興味深そうな表情になった

 

「……あの神器は聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)ね。それにしても、悪魔を癒せるなんて聞いた事がないわ」

 

「これで大丈夫だと思います。え~と……」

 

一誠の名が分からず、どう呼んでいいか困惑しているアーシアに対し、一誠は礼を述べた後、名乗った

 

 

「俺は兵藤一誠って言うんだ。イッセーで良いよ」

 

「あ、はい。私はアーシア・アルジェントです。アーシアとお呼びください」

 

二人が自己紹介を交わす中、居心地悪そうにしていた柳に気づいたリアスは、柳に話しかけた。その目はどこか不審そうだ

 

「……貴方、此れまでの光景を見ても驚かないのね。所で、あなた誰?」

 

「私は神田 柳と申します。いや、驚いていますよ?アーシアさんの力は以前拝見しましたが、人がワープしてくるのは初めてです。驚きすぎて、どう反応すれば良いか分からないのですよ」

 

「ワ、ワープ。まぁ、確かにそうね」

 

「部長!そいつが前話していた友達っす。買い物帰りに、たまたま見かけた俺がアパートに入るのを不審に思って様子を見てたらアーシアの悲鳴が聞こえたんで駆け込んできて、悪魔祓いを気絶させてくれたんです」

 

友人に向けられた不審の目を払拭すべく一誠が言った言葉を聞き、床の買い物袋を見たリアスの目からは不信の色が消え、今度は興味の色が浮かんだ

 

「……そう、貴方が。それに、不意打ちとは言え、一般人が悪魔祓いを気絶させるなんて凄いわね」

 

リアスはそう言って興味深そうに柳を観察する。身長は170前後。少し白い肌に中性的な顔立ち。黒い髪を短く切りそろえ、温和な顔つきの中々の美形だ

 

「……まさか、でも……っ! 部長!堕天使が近づいてきますわ!このままでは此方が不利かと」

 

柳を見て、何やら呟いている朱乃の様子が一変し、警戒を募らせ、呪文を唱えた

 

「そうね。皆、魔方陣に集まって!部室まで転移するわよ!小猫、イッセーを運んでちょうだい」

 

「……はい」

 

小猫は、まだ上手く歩けない一誠を担ぎ、魔方陣まで運んでいく。リアスは眷属全員が魔方陣に乗った事を確認し、発動させた

 

「部長!柳とアーシアも助けてください!」

 

一誠はそう叫ぶが、

 

「……無理よ。この魔方陣は悪魔しか転移できないの。それも、私の眷属だけなのよ」

 

「そんな!アーシア!柳ぃぃぃ!」

 

一誠の悲痛な叫びが部屋に響き渡り、その姿は光に包まれて消え去った

 

「……さて、此れからどうしましょうか」

 

「柳さん、逃げてください!このままじゃ殺されてしまいます」

 

「いえいえ、そういう訳には行きません。逃げたいのでしょう?」

 

そう言って柳は手を差し出し、

 

「……はい」

 

アーシアはその手を取り、外に駆け出した。逃げる最中、柳は携帯をそっと取り出し、メールを送る

 

 

 

「くそ!逃がしたか。おい、起きろ!」

 

「痛てぇ!」

 

未だに気絶していたフリードはスーツ姿の男の堕天使に蹴り飛ばされ、目を覚ました

 

「何すんだよ、ドーナシークの旦那」

 

「貴様がさっさと起きないからだ。アーシアは何処に行った!?」

 

ドーナシークはフリドーの胸元をつかみ、問いただした

 

「あ~、わかんねっす。悪魔くんを殺そうとしたら後頭部に衝撃が走って、今気づいたんすよ」

 

「っち!役に立たん奴だ。流石にシスターを連れて行っては無いだろうから、一人で逃げたのか。まさか、感づかれたか?」

 

ドーナシークは大きく舌打ちをし、何処かに連絡をすると、アーシアを探しに外へ飛び出した。

 

 

 

 

黒い羽を羽ばたかせ、暫くの間、アーシアを探していた彼の目にアーシアと柳の姿が映る

 

 

「さて、力ずくでも連れて帰るとして、横の人間は邪魔だな。目撃者だろうし、死んでもらうか」

 

ドーナシークは残酷な笑みを浮かべ、右手に光の槍を発生させ、投擲の構えを取り、柳目掛けて投擲しようとしたその瞬間、

 

 

 

 

「ほぉ、誰に死んで貰うというのじゃ?」

 

若い女の声が聞こえ、ドーナシークの腕が消し飛ぶ

 

「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

激痛に絶叫をあげ、血が止めどなく溢れる腕を押さえた彼の前には、電信柱の上に立つ、フードを被った女の姿があった……

 

 

 

 

 

「さて、もう一度聞くぞ。此れはお主等の独断行動で、上は何も知らないんじゃな?」

 

「あ……、ああ……。全ては……レイ……ナーレが……、奴の……神器を……、手に入れる為に……」

 

レイナーレの目的は、本来は癒せないはずの悪魔や堕天使さえも癒す事のできるアーシアの神器を奪い、それを足掛かりに至高の堕天使へとなる事。その為に上層部を騙し、この街に留まっているという事だ

 

 

ボロボロのドーナシークからその事を聞き出したフードの女は、懐から携帯を取り出し、電話をかけた

 

 

 

 

「あ~、畜生!シェムハザの野郎。ちょっと仕事サボっただけで、こんなに押し付けやがって」

 

ここは堕天使の組織『神の子を見張る者(グリゴリ)』本部。先程から自業自得な目にあっているのは、堕天使総督のアザゼルだ。彼は書類整理の途中、別の書類が紛れ込んでいる事に気づく

 

「こりゃ、指揮者(コンダクター)の……」

 

そこに書かれていたのは柳の神器に関する詳細だった。判定は、神すら殺せる神滅具(ロンギヌス)扱い

 

 

本来、彼の神器である『反英雄の柩(コンダクター・オブ・カタストロフィー)』は、ハズレアと呼ばれる物だ。この世界だけでなく、様々に広がる異世界において、英雄や主人公と呼ぶべき者達が居る。当然、その敵対者となる者たちも存在し、死したその存在を3人、所有者の従者として呼び出すのがこの神器である。従者達は主に対して、ある程度の好意が植えつけられており、基本的に反逆はされない

 

其れだけなら強力そうだが、敵対者には雑兵も含まれる。強者と呼ばれるひと握りの者と無数の雑兵。今までどちらが呼び出されて来たか、考えるまでもないだろう

 

しかし、この世には奇跡と呼ばれる物がある。過去に二度、当たりを引いた者が居るのだ

 

一人目が呼び出したのは、不可逆の破壊を行う英雄。京の陰陽師が呼び出した彼の活躍により、人間を喰らっていた鬼の群れから京の都を守り抜いた

 

二人目が呼び出したのは、時を止める力を持つ吸血鬼。絶大なカリスマ性を持つ彼を呼び出したのは半吸血鬼の少女だった。当時バラバラで弱小だった吸血鬼を纏め上げ、今の勢力まで拡大したのだ

 

当たりを引いた二人だが、残る二人の従者は、双方とも雑魚だったと伝わっている

 

 

「でっ、三人目だが、……当たり引きすぎだろう」

 

三人目が呼び出した三人は、全て当たりという驚くべきものだった。もし、彼が何処かの勢力に属せば、勢力バランスが一気に傾くほどの……

 

最も、彼はその辺を分かっているのか、仕事は請け負っても勧誘は蹴っている。その事に安堵しているアザゼルが書類を戻そうとした時、電話が鳴った。送信相手は

 

 

『羽衣』

 

「おいおい、厄介事じゃないだろうな……」

 

冷や汗を掻きながらもアザゼルは電話を取った……

 

 

 

 

 

「うむ、それでは奴らは追放という事で良いのじゃな?」

 

「ああ、迷惑かけたな」

 

「……全くじゃ。柳から止められておらねば、既にお主等など皆殺しにしているのじゃぞ。……ではな」

 

「……分かってるよ。追放を示す書類は直ぐに送る。後は奴らを煮るなり焼くなり好きにしてくれ。じゃあな」

 

 

「っだ、そうじゃ。お主、いきたいか?」

 

アザゼルの言葉をドーナシークに伝えたフードの女……羽衣はその事を彼に伝えた

 

「い、生きたい。助けて……」

 

「そうか、いきたいのか。では、いかしてやろう」

 

「あ、ありが……」

 

 

羽衣から生えた金色の尻尾はドーナシークの体を貫き、その肝を抜き取った

 

「ど……、どうして……!?」

 

「何を言っておる。妾はちゃんと言ったぞ。行きたいか?、と。おっと、あの世へ、と付け加えるのを忘れておったか」

 

羽衣はクスクスと笑い、肝を一呑みにすると、ドーナシークの死体を吹き飛ばした

 

 

「……それにしても、もう10年に成るのか。妾が晴明に地獄へ落とされ、捨てたはずのこの寄り代に宿って柳の元に現れたのは。最初は余興のつもりじゃった。神器とやらで植えつけられた偽りの好意等、すぐ消えると思ったんじゃがな。あやつ等と過ごした10年は悪くなかった。……この妾がすっかり情を移してしまうとはな」

 

元々は植え付けられた偽物の好意。しかし、人にとっては長く、人外にとっては短い10年は彼女達が「家族」になるには十分な歳月だった

 

ヤレヤレといった感じに首を振った羽衣は家族の待つ家を目指し、闇へと消えて行く……

 

 

 

アーシアを連れ、家へと戻った柳を出迎えたのはミラだった

 

「おかえりなさい!柳さ……」

 

笑顔で柳を迎えたミラだったが、アーシアの姿を捉えると、その顔が慌てふためいた物へと変わり

 

「ゼ、ゼノンさぁぁぁん!柳さんが女連れで帰ってきましたぁぁぁぁ!」

 

「あ、いや、これには理由がありまして」

 

慌てて家の奥へ駆けていくミラを止めようとした柳だったが、ミラは止まらずに駆け出していった

 

「ゼノンさん!」

 

「五月蝿い。今、良い所なのだ」

 

ゲームのコントローラを握り締めたゼノンは画面から目を離さずにそう言った

 

「それ所じゃないんですよ!柳さんが女連れて帰ってきたんですって!」

 

「それがどうした。奴とて、年頃の男だ。女の一人くらい作るだろう。まぁ、我は奴の童貞は羽衣に食われると思っていたが、真逆、ポッとでの女に奪われるとはな」

 

「ど、童貞!?」

 

顔を真っ赤にして呟くミラと、どうでも良いといった感じにゲームを続けるゼノン達に対し、入り口の方から声がかけられた

 

「何、とんでもない事を言っているんですか」

 

「あわわわわ!」

 

聞こえていたのか、顔を真っ赤にして入ってきた柳は同じく顔を真っ赤にしたアーシアに向かい、二人を紹介した

 

「とりあえず紹介いたしますね。白髪の方がゼノンさん。少女の方がミラ、私の家族です」

 

「よ、よろしくお願いします!」

 

二人に向かって頭を下げるアーシアだったが、

 

「うむ」

 

ゼノンはテレビから目を離さずに生返事をし、

 

「……」

 

ミラは黙って横を向いた。その対応に歓迎されていないと感じ、アーシアは表情を曇らせる

 

「すみません。ゼノンさんは人として大切な何かが欠けていて、ミラは私達以外には存在価値がないと思っているだけなんです。悪い人ではないので……。ミラ、お客様には、きちんと対応してください」

 

「……でも」

 

「ねっ?」

 

不満げにするミラに対し、柳は目を合わせ、笑顔で対応し、ミラは渋々といった感じでアーシアに向き直おる

 

「……分かりました。初めまして、ミラです」

 

「は、始めまして。アーシア・アルジェントです」

 

「うん。良かったですね。アーシアさんはこの町の教会に赴任してきたのですが、神父様が乱暴な方で、暴行されそうな所を保護したんです。ねっ?」

 

「は、はい!そうなんです」

 

 

柳が悪魔や堕天使とは無関係だと思っているアーシアは、ミラやゼノンも無関係だと思い、話を合わした。当然、柳も彼女がそう思っている事を知って嘘の事情を話したのだった

 

「ですので、しばらく彼女を家に泊めますよ」

 

「……決定事項ですか。まぁ、柳さんが決めた事ですから仕方ないですね」

 

「我には関係ない。故に、文句は言わぬ」

 

「あ、あの、其処までご迷惑をお掛けする訳には……」

 

そう言ってアーシアは帰ろうとした。その時、

 

「まぁ、待て。もう遅い、話し合いは明日にしたらどうじゃ?」

 

ようやく帰ってきた羽衣はアーシアを引き止め、今日の所は泊る事になった

 

 

とりあえずアーシアを羽衣の部屋で寝かせた4人は今後の事を話し合い始める

 

「私達が皆殺しにしても良いのですが、悪魔側に目を付けられかねませんね」

 

「うむ、仕事がしづらくなるのぅ。……どうせなら奴らに始末させたらどうじゃ?奴らの独断行動と知ったら、容赦なく戦うじゃろ」

 

「そして、それを教えた事を貸しとし、今後の邪魔を控えさせる」

 

「決定ですね!では、明日にでも教えに行きましょう。……終わった後はどうするんですか?何時までも泊めておけませんよね」

 

「追放された身ですからね。イッセーを助けてたし、グレモリーの眷属になるか、グリゴリに保護して頂くかで良いのでは?どれにするかは彼女に決めて頂きましょう。では、私もそろそろ寝ます。明日は事情を話さなければいけないでしょうしね」

 

ミラは、欠伸を噛み殺しながら立ち上がった柳を引き止めた

 

「柳さん。なんで、あの女を助けたのですか?何時もは仕事以外で人外関係には関わらない様にしているのに……」

 

その言葉に対し、柳はどこか寂しそうに家族の遺影を見る

 

「……少し、ホンの少しですが、似ていたのですよ。アーシアさんと妹が……」

 

柳の視線の先には、幼い柳と妹が、笑顔で写っている写真があった……

 

 

 

 

「あっ!今日、羽衣さんは私の部屋で寝るとして、私は何処で寝ましょう?」

 

「うむ。ならば、妾と一緒に寝ると良い。一応、お主は主なのだからな。妾はベットで寝たいし、一応、お主は主なのだから、お主をソファーで眠らせる訳にはいかぬからな」

 

「わ、私の部屋でも良いですよ」

 

そう言って二人は柳を両サイドから引っ張っていく

 

「痛たたたたたた!ゼノンさん、助けてください!」

 

「我は知らぬ。貴様で何とかしろ」

 

柳の救援要請を無視し、ゼノンはさっさと自身の部屋に戻っていく

 

「そ、そんなぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

部屋中に柳の悲鳴が木霊した……

 

 

 




羽衣さんはアニメの終わりからこっちに来ていただきました(笑)

新シリーズは期待できそうにありませんし


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