亜人くんは気に入らない(仮   作:龍崎悠司

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初めましての方は初めまして。

アニメと漫画を見て書きたい衝動が抑えられずに勢いのまま書き始めました。

ユッキーが可愛かったので書きました。後悔はしていない。


シリアスもラブコメも、色々ぶっこんでいくつもりなのでよろしくお願いします。










デミちゃんたちは計六人

 

 

 人だけど人じゃない存在。

 

 

 亜人。

 

 

 ほとんど人と同じ。けれども昔話のような妖怪とも伝説ともとれる生態を持っている彼ら。

 それは、ヴァンパイアだったりデュラハンだったり雪女だったりサキュバスだったりする。

 亜人は種族ではなく「体質」であり、突然変異の場合が多いので「個性」という扱いだ。

 昔は迫害されていたが、現代になって受け入れる社会体制も整い、今では本当に人と変わらない待遇を受けている。

 

「……ま、いじめとかやっかみが無くなったわけじゃねぇけどな」

 

 しかしそれらも、普通の人間同士でも起こること。

 いじめを許容していいということでもないが、亜人差別だ!と卑屈になることもない。

 かといって、亜人の絶対数は少ない。

 一生の中で一度も亜人と出会うことがない人の方が圧倒的に多いと断言できるほどに。

 

 だから。

 

「私、雪女だから」

 

 その瞬間、衝撃を覚えたのは言うまでもない。

 

 

 

 これが俺、平山蒼也(ひらやまそうや)と、日下部雪との明確な出会いだった。

 

 

 

 

 

 

 ――――――

 

 ~side雪~

 

 私、日下部雪は、現在非常に恥ずかしい思いをしています。

 体育の授業中、暑さにやられて熱中症になりかけてふらふらしていたところ、クラスの男子に声を掛けられました。

 私は『とある事情で』触れられたくなかったので咄嗟に、

 

「私、雪女だから。冷やせば大丈夫だから」

 

 と自分の秘密をばらしてしまいました。

 案の定、その男子は時が止まったように止まってしまい。

 そんな彼の様子に、もしかしたら、亜人(デミ)が嫌いなのかと身を固くしました。

 

「んなの関係ねぇだろ。倒れたらどうすんだよ」

「えっ?」

 

 何を言われているのか理解に時間を要してる間に、なんと他の生徒に手伝ってもらって彼は私を背中に負ぶって保健室に向かい出したのです。

 

「だ、ダメだよ。私は雪女なんだから……」

 

 触れられている、それを不安に思って伝えるが、しりすぼみになっていく。

 

「あ~、なんて言っていいのか、だけどな」

 

 小さくて聞こえていないのではとも思ったが、耳元で言ったため聞こえたらしく困ったような声を出す。

 

「亜人だってことを引け目に感じてんなら、気にしなくていいぞ」

「え?」

 

 デミに偏見を持っていないとでも言うつもりなのか、と思っていた私は、その後に続いた言葉にとってもびっくりしました。

 

 

 

「俺も亜人だからな」

 

 

 

 一瞬、時でも止まったかのようにすら感じました。

 

 

 

 

 

 ――――――

 

 

 

 ~side蒼也~

 

 

「え、ええぇぇええええええええええ!!?」

 

 突然に耳元で大声をあげられて、心底ビビる。

 そりゃあ、意外だったかもしれないがそこまで驚くだろうか?

 

「ひ、平山くんもデミだったの!?」

「まぁな」

「ち、ちなみになんの?」

 

 当たり前の質問に、口を噤む。

 答えてもいいのだが、いいのだが……

 

「…………ぼう」

「え、なんて?」

 

 そんな葛藤が現れたのかぼそぼそ言うが当然のことながら伝わっていない。

 ええい!事実は変わらないんだから言っちまえ!!

 

「俺は!のっぺらぼうだよ!!」

「へぇ!!?」

 

 また日下部に叫ばれるかと思ったのだが、声は後ろではなく横合いから聞こえた。

 しかも男の声である(渋くていい声だと思ったのは内緒だ)。

 声のした方を見ると、声の主かと思われる先生と、見知らぬ明るい髪の女子生徒に頭のないぐったりした様子のこれまた女子生徒。そして、

 

「あれ?蒼也じゃん、どしたの?」

 

 首を『3メートル』近く伸ばした女子生徒――妹でろくろ首の(あおい)が首で?マークを作って訪ねてきた。

 

「いや、葵。それこっちのセリフ」

「なぁに言ってんの?授業中だってのに、そんなか弱そうな女子引き連れて」

 

 意地の悪い顔でニタァと笑う葵は一転してハッと何かに気付いた顔をする。

 

「まさか蒼也、相手が可愛いからって無理やり強引に……!」

「違ぇよ!こいつ、日下部ってんだけど雪女でさ。熱射病でふらふらだったから保健室に連れてってんだよ」

 

 ほら、と背負い直しながら日下部を見せるように少し横を向く。

 雪女、の辺りでその先生がまた驚いた顔してたのはスルーしておく。

 

「あ、あの平山くん。私は、冷やせば大丈夫だから、ね?」

「ほら、こう言ってんじゃん。ウチには元気そうに見えるけど?」

「そりゃ、こいつのやられ具合を見てないから言えるだけだっつの。保健室まではあんま距離ないし、そこまでは譲らねぇよ」

 

 葵が呆れるように首を振りながら元に戻す。

 先生も疲れた様子で首のない女子生徒――確かデュラハンだったはず――を背負って一緒に保健室へ。

 ……随分と大所帯だけど、保険の先生大丈夫か?これ。

 

 

 

 ――――――

 

 〜side葵〜

 

 いやぁ、ウチもびっくり玉手箱ってなもんだよ!

 何がって言われたらもうそりゃ色々と!

 まず最初に友達になったひかりちゃんがヴァンパイアというデミ仲間だったこと!

 そんでもってデュラハンの京ちゃんもデミ仲間!

 この学校では双子の(一応、生まれた順では一応!)兄の蒼也とウチだけだと思ってたからびっくりだよ~。

 ただ、何よりも驚いたのは他人と積極的に関わろうとしない『あの』蒼也がめっちゃ可愛い女の子をおんぶしてたこと!!

 もう、ババーンッ!!て効果音を付けてもいいくらいにびっくりだったね、あれは!!

 そんでもってその娘もデミってんだから二重びっくり!!

 今は皆で保健室に移動中だけど、こんなにいっぺんにはいるかなぁ?

 

「そ、それで平山くん。この人は……?」

「おおっと失礼!ウチは平山葵(ひらやまあおい)!蒼也の双子の妹で、ろくろ首!よろしくぅ!」

「うるさい妹で悪いな、日下部」

「なんだとぉ!?」

「あ、あはは……私は日下部雪。雪女です」

「うんうん!よぉろしくぅ!」

 

 握手を求めて手を差し出すけど、苦笑いで手を取ってくれない。

 

「蒼也、邪魔。雪ちゃんと握手できない」

「アホなこと言って病人に無理させんな。さっさと行くぞ」

 

 むぅ、蒼也のけちんぼ。

 言ってることは正しいから大人しく着いていくけど。

 

「でも、本当にらしくないじゃん。そんな風に助けるなんて」

「無理してんのが見え見えだったからな。あれで助けなきゃ人でなしもいいとこだ」

「あはは、デミなのに、ってうまいこと言うね」

「別に面白くもなんもねぇだろ……」

 

 ふぅん。でも本当に珍しい。

 あ、いいこと思いついた!

 

「もしかしてぇ、雪ちゃんに一目惚れとかぁ?しちゃったりぃ?」

「ふぇえ!?」

「アホか」

 

 からかってるのが分かったのか、ばっさり斬られちゃった。つまらん。

 けどいいリアクションしてくれたカモ――もとい子がいた。

 

「あれぇ?まさか雪ちゃん、まんざらでもなかったりぃ?」

「え!?えぇと、その……」

 

 わざとらしく首を伸ばして雪ちゃんの周りをくるくる頭と首だけで回る。

 赤くなっちゃってまぁ、初々しいのぉ!

 

「やめろっての」

「あいたぁ!!」

 

 こんの蒼也めぇ。首に頭突きなんぞかましてくれおってぇ!

 加減が分かってる分容赦ないから結構痛いのに。

 

「反省しろ」

「ちぇ~」

 

 まぁ、ウチが悪いのは分かってるから特に何も言わない。

 そんなこんなで保健室到着!

 蒼也の背中から降りた時、なんかやけに雪ちゃんがほっとしてたように見えたけど、そんなに恥ずかしかったのかね?

 

 

 ――――――

 

 ~side先生~

 

 俺は今、保健室前の廊下に座って疲れた顔をしている。

 まさか、あれだけ会うのに努力した亜人にこうも連続で出会うことになるとは……

 

「先生ぇ~」

 

 少し間延びした呼び方で小鳥遊が全員の症状を伝えてくれる。

 そこでつい驚いたと言ってしまい誤解されかけたが、理由を説明したら納得してくれた。

 思っていたより素直でいい子だった。

 

「いいじゃん!本人も大丈夫って言ってるんだしさぁ!」

「アホ。そんなの気を遣ったに決まってんだろうが」

「え〜、でもぉ……」

「病人は甘やかすもんだろ。病人に甘えんな」

「はぁい……」

 

 口論の末に論破されて勝敗の決まった平山兄妹が保健室から出てくる。

 

「おりょ?先生ぇ何かすんごい疲れてんね?どしたんどしたん?」

「お前との会話に体力持ってかれたんだろ」

「もぉ!今日の蒼也は意地悪だぁ!!」

「俺に言わせりゃどっこいどっこいだよ」

「あはは、まぁ二人ともその辺で……」

 

 収集がつかなくなりそうだったので会話に割って入る。

 

「んでんで、ひかりちゃん。何の話?」

「うん、亜人って呼び方は古い!って話」

「ああ、そだねそだね。もう、先生ぇも時代遅れなんだから!」

「時代遅れって……」

 

 おっさん扱いに割と凹む。

 そんな俺の心情などこの女子生徒二人は気にしていないようで。

 

「今の女子高生とか若い子はね……」

 

 自慢げに声を揃えて告げてくる。

 

 

「「デミって言うの」」

 

 

 その語感の良さに口角が自然と上がる。

 

「デミ……!」

 

 そうだ。俺は、高橋鉄男は語りたいのだ。

 

 

 

 亜人(デミ)ちゃんたちと語りたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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