古龍のフレンズ   作:まろにい

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野生開放した風翔龍!しかし戦闘衝動まけそうになりつつも二人のフォローにより見事打ち勝ち作戦を続行します!
その結末は……?


section Ⅸ: 作戦の決行

 徐々に私は奴へと近づいていく。上空で飛び回っていればこちらに気をそらすだろうという考えだ。あのどでかい密林の虫のように正面をひゅんひゅん飛んでいれば奴はトキには気づくまい。

 

「さあ撃ってきてみるがいい、水竜もどき!」

 

 私の挑発に乗ってくれればいいのだが果たして奴は乗ってくれるか――

 お、こちらを見た――ということはうまくいったか。

 予備動作だ。撃ってくるか、だが今の私にそんな攻撃はもう意味をなさない、何発撃とうが私に掠りすらしないだろう。ククク、撃ってきてみろ。

 

「すごーい、まるで別の生き物になっちゃったみたいだねふうちゃん!」

「あれが本来の風翔龍……開放したときはちょっと怖かったけど、改めてみるとなんかかっこいいなあ、ちょっと妬けちゃうかも」

「もしかして嫉妬してるのー?」

「え!? そんなわけ…………あるかもな」

 

 照れくさそうにフォッサが俯く。見惚れるのはいいのだがとりあえずトキの様子を見てきてほしいのだがなあ。うまく目的の配置につけたのかどうかが気になる。

 

「っと、見惚れてる場合じゃないね。私たちも行動に移ろうか!」

「なにするんだっけ?」

「とりあえず彼女がいま頑張ってるからトキの方の様子でも見に行ってみよう」

「よーし、いこー!」

 

 お、動いたようだな。奴も二人にはまるで気づく様子もない。このまま奴を翻弄し続けてやるとしようか。ふむ、あの方向はトキがいる位置が見える方向か、どうやら様子を見に行ってくれるようだな。

 水竜もどきは私にむかってブレスを撃ってくる、だがことごとく外れる。何度やろうと無駄なことよ。しかしあれだけ撃っておいて疲れはまったく見せないか。普通なら水に潜って疲れを回復すると思うのだがセルリアンは疲れという概念が存在しないようだな。私も体力を使いすぎないよう注意せねば。

 

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 そろりそろりとセルリアンをわき目にわたしたちはトキの見える位置へと移動する。うまく作戦通りに動いてくれてるかな――

 あ、いた!どうやら背後で待機してるみたいだね、よかった。でも結構セルリアンと距離が近いなあ、私ならそんな近くまで行きたくないけどトキって勇気あるんだなあ……私も見習おっかな!

 

「大丈夫そうだね! 後は落とし穴が完成するのを待つだけだね」

「うまくいくといいなあ……いや! きっとうまくいくはず!」

 

 さてトキも問題なさそうだし、私たちはどうしようかな……ふうちゃんのお手伝いは無理そうだし、私たちも落とし穴作りを手伝いに行こうかな!

 

「ねね! わたしたちも落とし穴作り手伝おうよ!」

「んーそうだね、ここでじっと待ってるのも落とし穴組になんか申し訳ないしね」

 

 わたしたちは落とし穴組のいる方向へ駆け出して行った。よーし、たくさん掘るぞー!

 

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 私たちはあれからかなりの土を掘り返していた。これはなかなか楽しいけど疲れてしまうなあ……まあ彼女のためだし頑張るしかないわな。

 

「ジャガー、そっちはどう? 結構掘れてるー?」

「んー? まあ土は柔らかいし、順調に掘れてるよー」

 

 こんな合図を繰り返しつつ私たちは作業を進める。あれが落ちる大きさかあ、まあでもあれがこの落とし穴に落ちるところは私もすごく見てみたい。セルリアンって普通はこんな罠みたいなもの作らなくたって倒せるしなあ。多数はちょっとそれも考えちゃうかもしれないけど。

 

「おう、少し休憩入れないか? ぶっ続けだと体力が持たないだろう」

「お、ありがとう! んー、ひときわおいしく感じてしまうな!」

「ふふっ、ほんとですわね」

 

 コブラのくれたジャパリまんを食べつつ皆座ってのんびりする。何の変哲もないじゃパリまんなのに不思議だねえ。みんなもそう思ってるみたいだね。

 

「しかしあの子の素性は未だわからぬままか」

「昨日サーバルから聞きましたけど住んでいたところは雪山と言ってましたわね」

「へえ、それじゃシロクマとか?」

「シロクマがそんなにごつごつしてる? やっほー」

 

 唐突に上から声がした。――なんだオセロットか、ちょっとびっくりした。

 

「報告があるんで聞いてね? 風翔龍ちゃんが野生開放しちゃったみたい?」

「「「「!!!!」」」」

「――嘘じゃないよね? 嘘だったら怒るよー?」

 

 カワウソがジト目でオセロットに問いかける。んー私はその予兆を見たからそうとは言えないかなあ。

 

「いや、十分可能性はあるな、実質その予兆は何度も起こっていたと思うんだ」

「ええ、私も目にしていましたわ、最初は気のせいだと思っていたのですけど」

「実は私も見てたんだけどインドゾウと同じで気のせいだと思ってたんだ」

 

 私のほかにもそれを見た子はいたんだな。このメンツで知らないのはカワウソだけか。まあ特に気にしないだろうなカワウソだったら。なんだかんだでジャングルでの付き合いは長いしね。

 

「みんな知ってたの!? ずるいよわたしにも教えてくれてもよかったのにー!」

「言っても気のせいで済ましちゃうでしょカワウソだったら」

「う゛……そういうこと言うのずるいなジャガー」

「ははは、まあ今知れたのだからいいじゃないか。しかし彼女の野生開放か、気になるがこっちの作業を止めるわけにもいかないし」

「彼女は作業を続けてくれと言ってた?」

 

 作業は続けてくれか――まあ彼女にも考えがあるんだろう、その指示通りに動くとしようかな。私たちは再び作業を始める。

 しばらくして遠くから声がしたのを感じた。この声は――

 

「おーい! 私たちにも手伝わせて―!」

「張り切って掘っちゃうよー! みゃみゃー!」

 

 え、サーバルとフォッサ? こっちに来ちゃって大丈夫なのかな、まあ掘ってくれる子が増えるのは大歓迎だけど。

 

「彼女は大丈夫なのかい?」

 

 私は二人に聞いてみた。すると二人は、

 

「うん、びゅんびゅんって空を飛び回ってすごかったよ!」

「まあ私たちが手伝えそうなことはなさそうだからこっちに来ちゃった」

「トキは大丈夫なのだろうか、そっちの方が心配だが」

 

 コブラがトキのことを聞くがサーバルは平然と答えた。

 

「トキも大丈夫そうだったよ? セルリアンの後ろで歌うのが待ち遠しくて今か今かとうずうずしてたみたい」

 

 強い子だなあトキって。私でもあんなのと近づくことすらしたくないくらいなのに。まあ二人が大丈夫そうだったらいいかな。さてと、穴掘りを再開しようか!

 

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 あれから二人はどこかへ行ってしまったようだ。まあ予想からするに落とし穴の方へ行ったのだろう。今の私なら一人でも囮役は十分だ。さてと、オセロットの報告はまだか……まあこいつを落とすほどの大きさだし時間がかかってしまうのも当然か。

 が、それも杞憂に終わったようだ。オセロットが下から叫ぶ。

 

「準備完了!」

「よし、それじゃ作戦を開始するぞ! トキのショーの開幕だ!!」

 

 私大声で叫ぶ。これが作戦開始の合図だ。オセロットはすぐさま距離を取って歌に備える。

 

「すうーはぁー……」

 

「わぁあああたぁあああぁしはああぁとぉおおおおきぃいいいいぃい~♪゛」

 

 ぬうっ!? こ、これはなかなかに強烈な……めちゃくちゃ歌いたかったんだなあの調子だと。この私ですら抵抗しそうになるとは、恐るべしトキの本気……だがこれならばやつも間違いなく……!

 後ろからの轟音に驚いたのかすごい勢いで前へ飛びだしてきた。いいぞ! 

 

「え!? とびだしちゃった……」

「いい仕事だぞトキよ! 事情は後でしっかり説明してやる、まずはこいつを誘導するぞ!」

「え? え? ……わかったわ、そのかわりその事情、しっかり説明してもらうわね?」

「もちろんだ! 行くぞ、トキ!」

「落とし穴まで誘導すればいいのね、わかったわ!」

 

 びたんびたんとはねていた水竜もどきは立ち上がり、こちらを見る。

そして一直線に私たちへと突っ走ってきた!

 

「きたぞ! 私に続け! 遅れるなよ!!」

「ええ!!」

 

 怒りをあらわにして私達をめがけて突っ走る。ブレスも当たりはしないものの頻発して撃ってくる。トキの歌がとてもお気に召さなかったようだな。

 

「あなた何か失礼なこと考えたでしょ!?」

「さあな! もうすぐ落とし穴の近くだ、一気に行くぞ!!」

 

 人影がポツリポツリと見え始めてきた。いよいよだ!! 景気良くはまってくれよ、水竜もどき!!

 そしてついに落とし穴が目の前にまで迫った、これで終いにしようか水竜もどき。私達の勝ちだ。

 

 ずどおんと音を立てて落とし穴へ水竜もどきが頭から前のめりに倒れこむ。おお、これはでかい落とし穴だ。よく頑張ってくれたな皆、後でお祝いとやらでもするとしようか!

 

「やったあああああ! これでもう安心だね!」

「まだだ。落としただけだからな、私の毒で……がぶりっ」

 

 ぴくぴくと痙攣している隙を見てコブラが水竜もどきの腹へと滑り込み毒を流し込む。毒が水竜もどきへと流れ込んでいく。そいつに毒は効くのか、盲点だったな。

 

「おおー! だんだん動かなくなってきてる! 効いてるね!」

「これでセルリアンは倒したも同然だね、あとはいしを探して消滅させるだけだね」

「これほどうまくいくとはな。皆のおかげだ、感謝するぞ!」

「ふうちゃんがこの作戦を考えなかったらずっとあのセルリアンを野放しにしてたと思うよ?ふうちゃんのおかげだと私は思うな!」

 

 サーバル……お前ってやつはどうしてそんなことを平然と言えるのだ……少しうるっときてしまうではないか……

 

「私も今回は風翔龍がいちばんの功労者だとおもうぞ」

「私もですわ、彼女がいなければこんなことできるわけないですもの」

「それはさすがに大げさだと思うけど……でもこの作戦は確かに私達じゃそう簡単には思いつけるものじゃないね」

「ありがとうねー! ふーちゃん! またやりたいなー!」

 

 皆まで……くうっ! やはり仲間とはいいものだなあ……! ――さすがにもう一回さっきのをやりたくはないが。

 

「あ、泣いてる? 鬼の目にも涙というやつ?」

「誰が鬼だ誰が……。それに泣いてなどいない、決して……」

「泣いちゃいなよー、素直じゃないんだから」

「やかましい……! 誰が涙など……!」

 

 その日初めて私は感動というものを覚えた。同時に初めて泣いた。もう孤高だったあのころには戻れぬな。だがここでの出来事も悪くは――ない。

 




ついにセルリアンを討伐!
皆に褒められてうれし泣きしてしまう風翔龍!
フフフ、これ書いてて私ゲームで狩れなくなってしまいそうw

次回は中断していた橋造り再開です。
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