古龍のフレンズ   作:まろにい

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湖畔で二人へと別れを告げる一行。
そして話はしんりんちほーへ!


section Ⅲ: ジャパリ図書館

 

 翌朝、もう日課の走ることをしなくてもよくなった私は野生解放について調べていた。これまでで分かったことといえば一つは敵を相手にすると自然と解放ができるということ。一つは意図的にでも解放ができるということ。あとはそうだな、意図的に解放するときは、戦った敵のことを思い浮かべていることくらいか。そして相変わらず風の力は使えない。

 

「おはようっスー、おおー、野生解放っスか。風翔龍さんは野生解放すると翼が生えてくるんスねえー」

「ああ、だが憶測ではあるがまだ力を残しているようなそんな気がするのだ」

「へえ――いったいどんな力が残ってるんスか?」

「信じられんとは思うが私は本来風を操れる特性を持っていた。おそらくその力もまだ引き出すことができていない」

「空を飛べて風を操るってまるで神様みたいっスね……確かに俄かには信じられない話ッスねそれ」

「神様か――案外当たっていたりするかもな」

 

 そんな話をしているうちに皆がぞろぞろと起きてきた。珍しいなサーバルがあくびするなんて。

 

「ふあぁー……おふぁようふうちゃん、びーばー……お顔洗ってくるね」

「ああ、いってこい。――昨日はしゃぎすぎたからだなおそらく」

「でしょうね。ベッドで飛び跳ねて壊してたくらいだったし」

「まあいくらでも作れるでありますけどね! 木さえあればでありますが」

 

 ふらふらと湖へ向かうサーバルを見送り、出発の準備を整える。嬉しいことに貯蓄してあったジャパリまんをビーバーとプレーリーから分けてもらった。これでしばらくは食糧には困らないはずだ。

 

「さて、もう出発するのかしら」

「ああ、――っとその前に」

 

 辺りを見回す。何かがこちらへ近づいてくる。この気配はおそらく、

 

「セルリアンかしらね、こちらへ向かってくるようね」

「うう、ここも危険になりそうっスか……ここは手放したくはないっスよ……」

「まかせておけ。一晩泊めてもらったお礼だ、奴を倒してからここを出るとしよう」

 

 さて、どんなやつが出てくるか――私達は身構える。

 

「む? 今までのやつとは毛色が全く違うな」

「あれが本来の姿よ、セルリアンは形を変えることができるの、何らかの条件が必要らしいけど私はよく知らないわ」

 

 見た目は丸い形をしている。不気味な物体であることには変わりないか。だがあれは今まで対峙してきたものとはまるで強さの質が違う。確かにあれくらいなら普通にフレンズでも倒すことは可能だろう。だが油断は禁物だな。

 

「あれくらいであれば貴様やサーバルでもやれるのではないか?」

「私は攻撃に特化したフレンズではないわ。どちらかといえば補助をする方ね」

「なるほどな。ならばひきつけ役はお願いできるか?」

「ええ、ただ私が危なくなったらすぐに助けて頂戴ね」

「当たり前だ。というか、貴様がそんなへまをするようには思えんな私は」

「言ってくれるわねえ、ならばなおさら頑張らないとね」

 

 そんなやり取りをしているうちに敵は腕を伸ばして攻撃を仕掛けてきた。ふ、安直すぎるなその攻撃は。私は横っ飛びで、トキは宙へ舞い上がり攻撃をかわす。

 

「こいつのいしはどこにある!? 探せるか!?」

「ええ、空中から見れば丸見えのようね! どうやら頭のてっぺんにあるみたいね……!」

「こいつは隆起しているのか。了解だ、一発で終わらせる!」

 

 セルリアンはどうやら私の方に目を付けたようだ。また安直に一直線に腕を伸ばして私を捕えようとしてくる。当然そんな愚直な攻撃が当たるはずもなく、

 

「残念だったな化け物よ、これで終わりだ!」

 

 私は跳躍し、奴の頭上へと一撃を食らわせる。手応えあったな。

 

「ふう、ぬるいな普通のセルリアンとの戦闘は」

「あなたが別格すぎるんじゃないかしら……」

 

 パカーンとセルリアンはブロック状に霧散した。やがてそれも消滅しセルリアンは跡形もなくなった。

 

「ごめん、遅れちゃったみたい! ってあれ? 終わっちゃったの?」

「ああ、さっき片付いたぞ。一足遅かったようだなサーバル」

「どうやら普通のセルリアンだったようね、さっきのは」

「なあんだ。あのこわーいセルリアンじゃなかったんだ」

「普通のなら倒せるのか?」

「大きさによるけどねー」

 

 普通のも十分不気味だと思うがな私は。どちらかといえば見た目は普通の方が私は怖さを感じた。セルリアンについてはまだまだ知らないことが多い。早く図書館で理解を深めなければだな。

 

「強いっスね風翔龍さん! 助かったっス!」

「風翔龍殿はセルリアンハンターみたいでありますな! かっこいいであります!」

 

 二人が駆け寄ってくる。ハンターか。あまり聞きたくはない言葉だな……。

 

「わ、ごめんなさいであります!? 何か気に入らないことでも言っちゃったでありますか?」

「む? ああ、すまない。気にするなプレーリー、ただ生前のことを思い出していただけだ」

「生前でありますか……昨日聞いたでありますが、確かに風翔龍殿は一度死んでいるのでありましたな」

「ああ、間違いなく私は死んだはずなのだ」

「それが気づいたらフレンズになっていたと、いつ聞いても不思議っスよねえ……」

「それを調べるために図書館へ向かっている途中なのよ」

「うん、私達はそれをお手伝いしたいから付いて来てるの!」

 

 まあ私が好きにしろって言ったから好きにしているだけなのだろうがな。なんだかんだで私もこの状況には慣れてしまった、ここへ来て仲間という言葉を知ってから私は一匹でいることがだんだん怖いと感じるようになってきたからかもしれない。

 

「ふふふー、私達をもっともーっと頼ってね!」

「あまりそう言われると鬱陶しいのだがな逆に。まあ頼りにはしているぞ」

 

 よし、ここでもうやることはないな。ではここを離れるとしよう。

 

「世話になったな二人とも。旅の途中でまたここを通ることがあったら寄らせてもらうこととしよう」

「いつでも歓迎するっスよ! いろいろと助かったっス、感謝してもしきれ無いっスよ」

「私も感謝するであります! 風翔龍殿と出会っていなかったらこんな素敵な仲間と巡り会うことはなかったでありますよ」

「言い過ぎっスよ……素敵だなんてなんか照れちゃうっス……」

 

 すっかり仲もよくなってしまったようだな。仲間か、やはり良いものだな。私はだんだんこの仲間という言葉が好きになりつつあるようだ。ついぽつりと心にもないことをつぶやいてしまう。

 

「私も仲間がいたのだろうか、生前は――」

「きっといたに違いないよ! だってふうちゃんって素敵な子だもん!」

「ちょっとネジが抜けてるところもあるけれどね」

「ねじが? よくわからんがそれは褒めているのか?」

 

 サーバルはいると思ってくれているようだ。少なくとも今は仲間は存在している――私のそばに。万が一のことがないようにしっかりせねばな。

 

「よし、貴様ら準備はできたようだな。少しスピードを上げていくぞ」

「あまり速すぎると私は付いてこれないからお手柔らかにお願いするわね」

「うう、あれを思い出しちゃうなあ……」

「それはお前が蒔いた種だろう。怖かったら目でも瞑っておけ」

 

 二人にお別れをいうとふわりと宙に舞い上がる。さてと、しんりんちほーは二つちほーを抜けた先だったな。私はサーバルをしっかりと抱えて目的地のある方角へと飛ぶ。

 

「いいコンビだったね、あの二人!」

「ああ、またいつか会える日が来るだろう!」

「その時はまた歌を聴いてもらいたいものね」

 

 しばらく飛んでいるとやがて砂地が見えてくる。ここが一つ目のちほーのようだな。さっさと抜けてしまうか。

 

「うわあー、凄いな辺り一面が砂ばっかりだー」

「砂漠だな。生前はこういうところでも活動していたな」

「暑さとかは平気なの? 見た感じかなり暑そうに見えるのだけれど」

「これくらいなんてことはない。それに空を飛んでいるからな。暑さはほとんど感じない」

 

 うーむ、しかし結構広いなこの砂漠は。もう少しスピードを上げるか。こんなところで休憩などしたくはないしな。私はスピードを上げて飛ぶ。

 結構な時間がたち。砂漠は遠くなった。代わりに今度は過ごしやすそうな広い草原が現れた。おお、ここでなら休憩も取れそうだな。いったん降りるとしようか。

 

「ここで休憩するか。しばらくしたら出発だ」

「ここはいいところね。私の歌が遠くまで届きそう」

「ここで一日中ごろごろしてたら気持ちいいだろうなあー!」

 

 サーバルがコロンと横になってごろごろしている。吹き抜ける草のにおいがまた心地がいい。ここで十分に休めそうだ。私もドスンと寝転がる。確かにサーバルの言うとおりここで寝転がっていたい気持ちになってしまいそうだ。

 

「ねえ、二人とも。ここで歌ってもいいかしら? ここで歌わなかったら損をしている気がするから」

「ああ、私は構わないぞ。サーバル次第だな」

「んー? トキ、ここで歌うのー? まあふうちゃんがいいなら私もいいかなー!」

 

 私たちの了承を得るとトキは歌い始めた。あの地獄の轟音がまあ何とも心地の良い声に変ったものだ。思わず眠ってしまいそうだな。歌っているのは依然聞いたあの歌か。

 

「どうかしら? 私の歌」

「ああ、前と比べるととても心地のいい気分だったぞ」

「うん、わたしも耳が痛くなくなったよ! トキ歌がうまくなったんだね!」

「むふふ♪ ありがとう♪」

 

 さてと、十分休めたし、出発するとしようか。二人に合図をしてまた舞い上がる。ホントを言うともうちょっと寝転がっていたかったが、まあさっさと目的地を目指した方が良いだろう。私達は草原地帯を後にした。

 

 森林地帯へ着くころにはもう陽は真上にあった。ここのどこかに図書館があるのだな。そのことについてはサーバルが知っているか。渡すはサーバルに図書館について聞いてみる。

 

「え? 図書館がどこにあるかって? んーとね……あれ、どこだっけ?」

「おい、ちょっとまて。サーバルまさかわからないのか?」

「うん……わかんない」

「私は知ってるわよ、案内するわね」

 

 トキ、サーバルと違って貴様は役に立つのだな――サーバルにも見習ってもらいたいものだな。その記憶力を。

 

「あ、わたしのことバカって思ってるでしょ!?」

「そこまでは思っていないぞ、5割ほどだが」

「やっぱり思ってたー! ひどいよー! 私ドジだけどバカじゃないもん!」

 

 ドジなのは認めてしまうのか。サーバルには悪いがやっぱり阿呆だな。まあお前も切れるときは切れるのだが。

 

「みえてきたわ、あそこが図書館よ」

「あれか、なんだか思っていたものとずいぶん違うな」

 

 見えてきたのは不思議な形をした建物だった。あそこに博士が住んでいるのか。しかし、長旅だったな。これでようやく私に起きたことを知ることができるのか。

 

「よし、降りるぞ」

「ええ」

 

 ふわりと地面に降り立つ。近くで見ると割と大きいな。これが図書館か。早速中に――

 

「あー! どろぼうなのだー!」

 

 入ろうとしたら叫び声が聞こえてきた。どろぼう?

 

「アライさーん、泥棒はそんな堂々と入ったりしないと思うけどなあー」

 

 遅れてもう一人声がした。だんだんこっちに来ているようだ。

 

「何者だ。私達はただ調べたいことがあってここへ来ただけだ」

「あやしいのだ……ホントは博士たちがいないのを狙ってきたのだ。――ホントのことを言うのだ!」

 

 思わず私たちは首をかしげる。何を言っているのだこのフレンズは。

 

「アライさん、どうやらほんとに調べ物をしに来ただけみたいだよー?」

 

 どうやら青色の毛皮をまとったフレンズが一人で突っ走っているようだな。私達をどろぼうとか言っているが隣にいるピンクの毛皮のフレンズはどうやら彼女が勘違いをしているのを窘めてくれているようだ。こっちはまともそうな奴でよかった。

 

「図書館はいま留守だよー。博士たちは見慣れないフレンズが出たーとうわさを聞いて飛んで行っちゃった」

「見慣れないフレンズか。もしかするとそれは私のことか?」

「どうだろうねえー。この世界ではいまなにか不思議なことが起こっているみたいだしねえ」

「不思議なこと? どういうことかしら」

 

 私達は二人の言う不思議なことに興味を持った。私がここへ来たことも十分不思議なことに当てはまるか。それ以外にもその不思議なことが起こっていたとはな。例のセルリアンもそうか。私達は彼女たちの話を詳しく聞くため図書館へ案内するよう頼んだ。

 




さて物語もだんだん深みへ入っていきます。
例のあの子もどう絡んでくるのか……

次回は図書館でのお話です!
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