古龍のフレンズ   作:まろにい

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いよいよ一行は山頂へ! 果たして――


section Ⅱ: 湧き上がる感情

 

 アルパカのカフェを後にし、私達は山頂にいる謎のフレンズを目指して飛び続けていた。しかし遠目から見れば低そうな山だったが、実際に近くで見るとこんなにも大きな山だったとはな。もっとスピードを上げねば山頂まではかなり時間がかかりそうだ。

 

「少しスピードを上げるが貴様らいいか?」

「ヒグマさんは疲れて寝ちゃってるみたいですしいいのではと」

「そうですね、一刻も早く犠牲が出ないうちに山頂へ行きましょう!」

 

 能天気なものだな。この体勢で眠ることができるとは。風が当たって眠るどころではないと思うのだがなあ。

 私は二人の同意を得てスピードを上げて飛翔する。うーん何とも風が心地が良い。普段風をまとっていた私にとってはこのくらいの強い風がちょうど良い。

 やがてきらきらとしたものが上から降り注ぎ始めた。これは私の野生解放時のものと同じか。ということはこれはサンドスターが降ってきているということか。フレンズ化した者が当たっても何ら影響はないようだ。と同時に私と同じような気配を感じ始めた。いる――間違いなくこの上に。

 

「覚悟はいいか、貴様ら。これはなかなか強い相手の可能性がある。私と互角なほどのな。もしかすると戦闘は避けられぬかもしれん。もしも危険だと感じたときは私を置いてさっさと逃げてくれ。そして図書館の連中に伝えてくれ。もちろん私も機をうかがってすぐ戻る。」

「私達ではお力になれないのでしょうか――」

「そういう問題ではない。下手をすれば殺される可能性だってある。それに貴様らはここでフレンズ同士の殺し合いなどしたくはあるまい?」

「う、言われてみれば確かにフレンズ同士の本気の戦いなんてしたことは……」

「ならば尚更だ。ここは私の言うことを聞いてはもらえぬか」

「……わかりました。いう通りにします。ただし風翔龍さんの身が危険だと感じたときはすぐさま私達も加勢します」

「――わかった、それでいい。そろそろ山頂だ。行くぞ貴様ら……!」

 

 山頂を通り越し一気に上昇する。まずは上から状況を確認する。おお、なんとも幻想的な見栄えだろうか。これからサンドスターが降り注いでくるのか。こんなところに現れたのであればフレンズ化するのも頷ける。

 徐々に高さを低くしていく。―――ん?何か見覚えのあるような影が見える。あの縞々な毛皮……あいつか。

 ふわりと地面へと降り立つ。遠目で見てわかる。あれはシマウマだ。しかしなぜこんなところへ……。まさかあいつがここへ?

 

「――!? あ奴、傷を負っている。気絶しているようだな」

「まさかここにいるフレンズが――」

「ふぇ? もう着いたのか? ふあぁあー……」

「シリアスが台無しですよ……」

 

 ヒグマの欠伸をよそにシマウマの元へと近寄る。まだ例のフレンズには気づかれてはいないようだ。腕に抱いて状況を見る。ひどいな……あちこち傷だらけだ。ここまでこっぴどくやれるとはよほどの戦闘狂なのか。

 

 その時私に何かふつふつとこみあげてくるものがあった。何なのかはわからない。だが気持ちが高ぶってきているのは自分でもわかる。なんなのだろう、だんだんと奴に対する不思議な気持ちがこみあげてくる。

 

 "ヤツハオマエノナカマヲキズツケタ、コ ロ シ テ シ マ エ"

 

 何かが私に囁いた気がした。その瞬間無意識のうちに私は野生を解放していた。――ほほう、これはなかなか気持ちがいい。これならば奴とも競り合えそうだな。まだ奴の力はわからないが。

 

「我に何の用か――見知らぬ者たちよ」

 

 唐突に声がした。奴だ、私の友達を傷つけタやつだ。気持ちは高ぶったままだが不思議と落ち着いている。この世界へ来たばかりの頃だったら声のする方へとびかかっていたかもしれぬな。

 

「ずいぶんなご挨拶だな。見知らぬフレンズよ。よくもまあここまで派手にやってくれたものだな」

「ふん、そ奴か。宙を舞っていたものでな、叩き落してやったわ」

「宙を?? シマウマって空飛べましたっけ」

「さあ、私は詳しくないからわからない」

「同じく私もわからないですね」

 

 私の腕の中にいるシマウマを見て鼻で笑う謎のフレンズ。見た目は私と同じ硬いてかてかした物体を纏っている。色は赤い。形は私とは異なる。 頭の赤々としたふわふわしたものも私よりは多い。そういえばこのふわふわは髪と言っていたな。

 

「叩き落したか――そのあともここまでボロボロにやったのか」

「あまりにも手ごたえがなかったものでな。実に詰まらなかった」

「ほほう、そうかそうか。ならば今の私とならばつまらないものにはなるまい?」

 

 ぎろりと相手をにらみつける。久しぶりに全力が出せそうダな。面白くなりソうだ。

 

「なんか様子がおかしくありませんか、風翔龍さん」

「もしかしてあれが風翔龍の完全な野生解放……なのか?」

「でもなんか不気味ですよぅ……黒い風が周りに吹いてます……」

 

 私の様子を見て向こうも不敵に笑う。その余裕そうな顔が苦痛にゆガむのが楽しミだ。

 

「ハハハハ! 面白いではないか! いいぞ貴様、それならば存分に殺り合えそうだな。あの忌々しい人間ども以来だ、このような強敵と巡り合えたのは!」

 

 やがて高笑いをして私の姿を見てニヤリとする。向こうもやる気か。まあ奴は生かシてハおかヌがな。

 

「その余裕ガいつまデもつカ、楽しみダな!!」

「貴様こそ、私の力にどこまで耐えられるか見ものだな!!」

 

 む!? あれはサンドスター!? 奴も野生解放ができるというのか!?

 

「ほほう、驚いているようだな。何故かは知らぬが私にもできるのだ。貴様が有利に立てるとでも思ったか?」

「いや、むしろソれほどの力とヤり合えてうれシいぞ。無力な貴様をたたき伏せても何も面白みなどないからな」

「言ってくれる。気に入った、貴様なんという?」

「風翔龍。人間はそう呼んでいた」

「心得た。我は炎王龍。火山に住まう炎の王だ。炎王龍は貴様と同じ人間どもが呼んでいた」

 

 炎王龍――炎か。風と炎、どちらが勝負を制すか。だが今の私にはそんなことハどうでモいい。奴を倒す。それダけダ。

 

「行くぞ炎王龍よ。ここが貴様にとっての死に場所とナルノダ!!」

「良くはわからぬが我は貴様には負けん!! 来るがいい!!」

 

 同時に上空へ飛翔する! スピードは私の方が上か。ならば空で圧倒してヤロウ。

 上空へ高く高く飛び上がり、渾身の体当たりを奴めがけてぶちかます。しかし読んでいたのかひらりとかわされる。

 

「空中で体当たりとは笑わせる。かわせる場所はどこにもあるのだ、そんなものか風翔龍!!」

 

 構わず二撃目の体当たりをぶちかます。だがあっさり避けられる。

 

「やっぱりなんか様子がおかしいですよ、風翔龍さん」

「もしかして、シマウマがやられたことに怒ってたりしてるのか?」

「としたら今の状態は怒りで我を忘れていたりしているのでしょうか」

 

 今度は体当たりの直後に背後から渾身のブレスを繰り出す。だがこれも避けラレタ。

 

「愚直な攻撃だな。貴様は我と戦う気があるのか? つまらぬな」

「……ツマラヌカ、ナラバコレデドウダ」

 

 大きく息を吸い込み地面めがけて噴き出す。着弾した地面から渦を巻いた黒い風が吹きあがる。こレナラばヤツも――

 

「ぬぅあああ!」

 

 風にまとわれた直後、まぶしく風の中から光があふれだす。その直後激しい轟音とともに風が散った。アレヲハネノケルトハナ――ダガソレガタンパツダケダトオモウナヨ?

 

「周りを気にせず攻撃か! 理性をなくしたか風翔龍よ!」

 

 マワリ? フン、イマハソンナコトヨリキサマノホウガサキダ。サッサトツブレテシマエ。

 私は今度は上空へ舞い上がり大きく息を吸い、噴き出す。風の渦が奴へと上から襲い掛かる。

 

「くっ……さすがの我でもあれはなかなか厳しいか……!」

 

 奴がよけようとした時だった。ふと気づく。奴の直線上に彼女たちがいることを。その瞬間意識が一瞬消えた。まずい、私のせいで彼女たちを巻き添えにしてしまう。

 

「ちょ、あれこっちに来てますよね……!? 逃げないと――」

「ごめんなさい、足がすくんじゃって動けないんです……」

「ナラバ抱え込んででも――! こっちに来るのが速い! まずい、これはもう無理だっ……!」

 

 心が揺らぐ。仲間を失うことへの恐怖心。ああ、また私は感情だけをあらわにして無我夢中になってしまっていたのか。だが放った攻撃は無情にも一直線に奴と奴の直線上にいる彼女らへと降り注ぐ。

 

「よけろおおおおおおおぉおおおっ!!」

 

 とっさに叫んでいた。のどがかれんばかりの大声で。そうか、私はここまで仲間に対する意識が強くなっていたのか。我を失うほどまでになっていたとはな――。ここにまたサーバルがいたらと思うと、鼻水まみれになってそうだな。本当に彼女には感謝しなければ。

 猛スピードで彼女らへと突っ込んでいく。間に合え……!!

 

「阿呆が――」

 

 よしっ、間に合った……!! 轟音とともに地面に激突する勢いで着地し私は二人を覆い隠すように壁になる。ククク、自分の攻撃を自分で受けることになるとはな。まあこれも自分のやったことだ、素直に受け止めよう。

 

「風翔龍さん!?」

「あれをまともに食らえばどうなるか――」

「ああ、私にもわからない! だが貴様らが死ぬよりはましだ!」

 

 だがいくら待っても風は起こらない。不思議に思い上を見上げる。

 

「――ほほう、目に輝きが戻ったようだな風翔龍。今までは感情に身を任せて我に対してがむしゃらに突撃していた、といったところか」

「貴様は憎い。憎いが助けてもらったことには感謝している。」

「ク――ハハハ、感謝か。なんとなくその意味はわかる。だが我は彼女をたたき落としたのだぞ?」

「それはこれから清算しよう。行くぞ炎王龍! これからが本当の勝負だ!」

 

 再び宙へと舞い上がる。しかしなぜ奴はああも簡単に野生解放ができたのだろうか。しかもあれは完全な状態のようだしな。

 

「ひとつ聞きたい。どこでそれを習ったのだ」

「ならう? よくはしらぬが貴様と戦って初めて繰り出したのだぞ、この不思議な力は」

 

 何!? 誰かに習ったわけではないのか!? だとしたら戦闘で解放できたとでもいうのか? だとすれば奴が根っからの戦闘好きならば出来ないこともない。キーは戦闘にあったのか、解放は。

 

「なにを考えている。まだ先頭の真っ最中だぞ。これからが楽しくなるのではないか! 存分にやり合おうではないか!!」

「私は貴様ほど戦闘は好きではない。しかし今の気分は戦いたくて仕方がない! 貴様と全力でやり合えること、心から嬉しく思うぞ!」

 

 再び私はブレスを繰り出す。だが今度は普通の風だ。あの禍々しい黒いオーラはない。これにはやつも少しがっかり気味だが楽しんではいるようだ。

 

「ふん! 何度やっても同じことだ!」

 

 あたりに粉塵が舞う。それをカチンと歯を鳴らし大きな轟音を立てて炎が包み込む。

 

「まさか風が炎に完全に遮られるとは。貴様なかなかやるな」

「貴様の風もなかなかに手ごわいものだな。うかつには近づけぬ」

 

 ならばと私は連発してブレスを繰り出した。三発のブレスが扇形に広がっていく。

 

「数が増えようと同じ事! こうしてやるわ!」

 

 こんどは前方に粉塵が舞う。奴はそれをブレスに向かって吹き付け、大きく息を吸い込んだ。

 

「これだけで終わると思うなよ炎王龍! 追加だ!」

 

 また三発お見舞いする。先行して飛んでいたブレスに交じりさらに強力な風へと変貌する。

 

「くっ……! 凌げるか……! いや、凌ぐ!」

 

 息を噴き出すとともに炎が噴き出した。そして炎のブレスは風を覆いつくさんばかりに襲い掛かる。そして粉塵がそれを助長し、さらに大きな炎へと変貌する。だが競り負けてやがて炎は消える。

 

「ちぃ、凌げぬか!」

 

 奴は横へと飛翔しブレスをよけようとする。だがそれは意味がなかった。

 

「ククク、その風は一直線に飛ぶわけではないぞ?」

 

 私が合図をするとくいっと向きを変える。伊達に風を操れる能力を使っていないからな。ちなみに合図は目で行う。

 

「な!? ぐぅ!?」

 

 三方向からからブレスを受ける。ククク、結構な痛手となっただろう。奴もたまらず下へと降りていくようだな。

 

「逃げるのか炎王龍! 貴様らしくないな!」

「ふん! 一時的にだ」

 

 再び奴がこちらへ向かってくる。体はタフなようだな。私も迫りくる奴へとむけて臨戦態勢をとる。

 

                ・

                ・

                ・

 

 ひええー、これはなにがなんだかよくわからないです……。ヒグマさんもキンシコウもぽかーんとしてるみたいですし。

 うーんしかしなぜシマウマさんがズタボロの状態でここにいたんでしょうか。たしかあのフレンズの言う話だと飛んでいたのを叩き落したと言ってましたね……ほんとに彼女だけで空を飛んでいたのでしょうか――なるほど、もしかするとそういうことなのかもですね。

 

「ヒグマさん、キンシコウ。ちょっと聞いてもらいたいことがあるんですが」

「「え?」」

 

 間の抜けた返事が返ってきました。あの二人の戦いによほど見とれていたのでしょうねたぶん。

 私は自分の立てた推測を二人に話しました。

 

「となると誰かが運んでいたところを叩き落とされたっていうのか?」

「はい、おそらくですけど」

「それだとほかの方も一緒に落ちてきているのではと思うのですが」

「じつは憶測なんですけど、彼女、セルリアンの類に連れ去られている途中だったんじゃないかと思ったんですよね」

「セルリアンに? それって一体どういうことだ?」

「私も気になりますね、その話」

 

 私の推理を聞いて二人は興味津々に聞いてきました。あくまで私の考えていることなんですけど。

 

「おそらくですけど彼女もセルリアンと戦って傷ついていたんじゃないかと思うんです。んでやられてしまってそのセルリアンが彼女を自分の住処へと持ち運んでいる途中であのフレンズに叩き落とされてしまったってところでしょうか」

「おおー! なんかかっこいいぞリカオン! となると彼女はシマウマを助けたってことになるのか? 結果的には」

「そうなりますね、おそらく」

「でもそのセルリアンはどこにいるんですか?」

「知らず知らずに彼女が消滅させてしまったんでしょうね。戦ってる最中で偶然いしを破壊してしまったんじゃないかなと」

 

 ん? もしこの推測が正しかったら、彼女たちって戦う理由がないんじゃ――

 

「まずいですよ、早くシマウマさんを目覚めさせて事情を聴かないと!」

「ど、どうしたんだリカオン。今度は慌てだして」

「無駄に傷ついてしまっている可能性があるんですよあの二人が!」

「――なるほどそういうことですか。理解しました、これは確かにシマウマさんを目覚めさせてあげる必要がありそうですね」

「え? え? よくわからないんだがどういうことなんだ?」

「「とにかくシマウマさんの元へ行きますよ!」」

「わ、わかった!」

 

 私達は急いで気絶しているシマウマさんの元へと向かいました。果たしてこの推測が吉と出るか凶と出るかですね――。

 




でました、何とかテスカトルさんです! 
性格はちょっと戦闘狂な感じにしてみましたw

次回は戦いの行方と事の真相が明らかに!
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