そして古龍フレンズ二人の戦いの行く末はどうなるか!
私たちは急いでシマウマさんへと駆け寄ります。もしも目覚めたシマウマさんのお話が的を射ていたら誤解だったということになりますしね。あの二人は無駄な血を流してしまっていることになってしまいます。
というか話を聞いてあの二人が止まるんでしょうか……そっちの方が心配だなあ。
「シマウマさん、大丈夫ですか、起きてください! 大変なことになりそうなんです!」
私が体を揺すってもシマウマさんは起きる気配がありません。参りましたね、これでは話を聞くことすら難しそうです。かといって二人に戦いをやめさせることはできなさそうですしねえ……。
「リカオン、ちょっと荒療治だが試してみたいことがある。フレンズの特性を生かしてみる」
ヒグマさんが耳元で何か叫びました。すると――
「うひゃい!? どこどこ!? どこですかぁ!?」
なんとシマウマさんがいきなりがばっと上体を起こしました。なるほどそういう起こし方もあるんですね、勉強になりました。
「起きたか! リカオンが聞きたいことがあるそうだ、話せるか?」
「え、あなたはハンターの方ですか……いたたっ」
「無理に体を起こしたからですね、しばらくは安静にしていてください」
「ごめんなさい……」
キンシコウに安静になるよう言われると起こした上体をふたたびぽすんと倒してシマウマさんは横になりました。
「リカオンといいます。お会いするのは初めてですねシマウマさん。ちょっと聞きたいことが」
「なんでしょうか……? 話せる範囲でなら話しますけど……」
私はシマウマさんからその傷の理由を聞きました。驚くべきことに私の推測は間違ってはいなかったようでした。シマウマさんはセルリアンにやられて連れ去られていた途中だったとのことでした。
「もうだめかと思っていましたけど、突然セルリアンが誰かに攻撃されたみたいで、そのまま真っ逆さまに地面へと……そこからは記憶がありません」
「ちなみにさばんなちほーからここまで運ばれていた途中だったんですか?」
「ですねー、セルリアンから危害の及ばない場所へ避難させていたところをやられてしまいましてー……」
ちなみにセルリアンの見た目に関しては嘴は大きく大きな翼の生えた尾にとげとげのついた鳥のような怪物というものでした。私達も聞いたことのないような造形のセルリアン、一体パークで何が起こっているのでしょうか、一刻も早く二人を止めてその真相を突き止めないとですね。
「リカオン、話してるとこ悪いがまずはあの二人を止めよう、ヒートアップすればここらの地形に影響が出始めるぞ」
「止めるってどうやってですか? 私たちは空なんて飛べませんし」
「叫んでも声は届きそうにありませんね……」
「誰か戦ってるんですか……?」
ふとシマウマさんが私達に問いかけます。まあこんな派手な音がしてたらそりゃ気になりますよね。
「今風翔龍さんが勘違いなんですけどシマウマさんのために見知らぬフレンズさんと戦ってるんです」
「え? 私のためにですか??」
「ええ、よっぽど仲間を傷つけられたことが腹立たしかったようで最初は我を忘れてたくらいでした」
「そうなんですかー……後でドジ踏んだこと謝っておかないとですねー……」
「あとはわれわれにおまかせください。シマウマさんは安全なところに運びますんでしっかり休んでいてくださいね?」
シマウマさんはお礼をいうとそのまま寝息を立て始めました。さて、あの二人、どうやって止めればいいんだろう――。
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激しい攻防が続く。私がブレスを吐いても奴は炎でかき消してしまう。かといって多重に攻撃をすればこちらの体力の消耗も大きい。持久戦になりそうだ。
「はあ……はあ……だいぶ体力を使ってしまったようだな」
「ぜえ……ぜえ……貴様の体力も我と同程度か、どうやらこの力は無限ではないようだな」
むこうも息づいている。おそらくあと一回全力を出してしまえば体力はそこを尽きてしまうだろう。そろそろ小出しで行かねばな。
「風翔龍よ、一つ提案がある」
「なんだ炎王龍、言ってみろ」
提案か。戦闘好きな奴のことだ、おそらくは――
「最後、お互い全力の一撃をぶつけ合い、先に立った方が勝ちというのはどうか」
「……全力か。お互いどうなるかはわからんぞ、だが面白そうな提案だ」
ふ、やはりか。全力を出し切ってしまうのも悪くはないか、サーバルには悪いがこれもシマウマやあの三人の安全のためだ。負けるわけにはいかぬ!
「行くぞ風翔龍よ! これで――最後だ!!」
「望むところよ、炎王龍!! そのセリフ――そっくりそのまま貴様に返してやるぞ!!」
お互いに全力のブレスを繰り出す!! 激しい光と猛烈な風がぶつかる!! 私の攻撃を炎が覆い隠す。だが私の風も負けてはいない。風圧で炎をかき消す。互いの攻撃が激しく押し問答を繰り広げる。
「く、限界か……済まぬサーバル、約束……また……やぶ…………」
私は目の前が真っ暗になり落下を始める。ははは……このまま私は死んでしまうのだろうか、このまま意識が戻らぬのであればわたしの獣生はここまでということか――
「やるではないか、風翔龍よ……ここ……まで…………やれる…………とは…………な」
相手もどうやら先の一撃で力尽いていたようだ、ほぼ同時に落下を始める。それから皆の声も届かなくなり。地面へと吸い込まれるように体は加速を始める。そして誰かに抱き留められたような感触を受け私の意識は完全に途切れてしまった。
あれからどれほど時間がたっただろうか。私は暗闇の中をさまよい続けている。こここそが本当の死後の世界なのだろうか。
何も見えない暗闇を私はただ歩き続ける。皆の声も聞こえない。ただ目の前にあるのは闇。何もない無の世界だ。
しばらく歩いていると声が聞こえてくる、私を呼ぶ声だ。だがわたしの知っているどのフレンズの声でもない、この声はいつか夢で聞いた声だ。
声は語りかける。「この世界を救ってほしい……」と。以前はそんなことに興味など微塵もなかったが犠牲が出てしまった以上無視するわけには行かなくなってしまった。
「貴様は何者だ。なぜ私に話しかけてくる」
私は声の主へと問いかける、しかし返答はなく救ってほしいという言葉のみが反芻している。一体何なのだ――
と、しばらくして私の声が声の主へと届いたのか、声の主が私に問いかけてくる。
「他世界の者よ。私の声が聞こえているのですか? 聞こえているのであれば一つお願いがあります」
お願い? 名も分からぬ者にお願いなどされても私はどうすることもできないのだがな。まあ聞き入れるくらいはしてやるとしようか。
「鳥のフレンズの言っていた歌を歌っていたフレンズを探してほしいのです。この世界を救うカギはその子が握っているはずです」
「なに? そ奴を見つけることができればこの異変はなくなるというのか?」
「それは私にもわかりません。とにかくその子をまず見つけてください。そうすればきっと何かが開けるはずです」
声は私にそのことを告げるとぱったりと聞こえなくなってしまった。いったい何者だったのだろうか。まだ私が出会ったことのないフレンズだったのだろうか。
やがて闇は徐々に晴れ始める。まばゆい光が目に入る、どうやら私は目覚めたらしいな。
「う…………生きてる……のか?」
「よかったあ! 無茶しすぎですよぉ! 丸一日目を覚まさなかったんですよ!?」
「そうなのか……すまない、迷惑をかけてしまったようだ」
「まったくだな。丸一日山頂で過ごす羽目になった私達の身にもなってくれ。それにシマウマにも謝っておけよ」
シマウマ!? 目を覚ましていたのか……。傷はひどいが目を覚ましてよかった、急いで図書館で治してもらわないとだな。
「ふふっ、よほど心配だったんですね、その慌てよう」
「な!? そういうわけでは……あるかもな……」
よそ見をしてぼりぼりと顎を掻く私。そんなに顔に出てたのか、なんだか恥ずかしい。
「おお! 起きたか戦友。戦いは我が先に目覚めたから我の勝ちだ! 目覚めはどんな感じだ?」
炎王龍がどっかりと胡坐をかいてこちらを見てにかっと笑っている。ぷいっと顔を背けてやった。
「む、その態度、感心せんな。起きたその後は貴様のことを看てやっていたのだ。感謝くらいはするべきだと思うのだがな」
「貴様が? ……シマウマの件は許せないが、そこまでしてもらったのであれば、感謝しよう……」
「ふははは! なかなかにいい気分だな感謝されるというものは!」
「あなた最初は起きても我関せずで何もしてなかったじゃないですか」
「そうだったな、私達に頼まれてもかたくなに嫌がってたし、我はそんなことは興味ないって」
「まあ結果的にはしてやったのだ、それで問題なかろう! ふははは!」
「いやまあそりゃそうなんですけど……」
改めて話してみるとまた面倒くさそうな性格の者だな……。気に入られてしまったのはもうどうしようもないが。無下に扱うわけにもいかなくなってくるだろう。
「そういえば貴様、変な夢を見たか? 世界を救ってほしいだのという」
「!? 貴様も見たのかその夢」
唐突に炎王龍が夢の話をしてきた。驚くべきことに今までつながりもない炎王龍も私と同じ夢を見たらしい。うーむ、ということはこれからは炎王龍とともにフレンズ探しをしろとでもいうことなのだろうか。
「フレンズに危害を加えるような輩と旅などしたくはないのだがな」
「?? 危害だと? 我はそこの縞々に危害を加えた覚えなぞないが」
「あ、そういえば風翔龍さんにはまだ説明してませんでしたね。事の真相を」
わたしは三人とシマウマ本人から真相を聞かされる。なるほど奴の言っていたことは本当だったのか。邪険に扱ってしまったことに罪悪感が出てしまうな……。
「私の勘違いで……飛んだとばっちりを」
「ふははは! 良い良い、もう気にするでない、我は飛び切りの戦友と巡り合えたのだ。そのくらい些細なことよ。貴様といつでも一戦交えることができる方が大切だからな! これから世話になるのだ、よろしく頼むぞ!」
「もうできれば無駄な戦闘はしたくないのだが……ああ、よろしく頼む」
がっくりと項垂れる私を見て豪快に笑い飛ばす炎王龍。あの戦闘を些細な事扱いとは、さすがは戦い好きなフレンズだ。もうあんな過激な戦いは私は御免被りたいが。
こうして私達は新たなるフレンズと巡り合い勘違い戦闘を経て仲間となり旅を共にすることとなった。というかいつの間にかそういう流れになっていた。とても先行きが心配だ、主に戦闘面的な意味で。
「さて、皆さん目を覚ましたようですし、山を降りましょうか」
「居心地がよかったのだがなあ此処は。まあ仕方あるまいか」
「さすがにずっとここに居るわけには行かないですよ、図書館に戻って報告しないと」
「そうだな。それにシマウマの傷も早く治してやらなければならぬし」
「また空の旅か……覚悟を決めないとだな」
今回は空を飛べるものは二人いる。私にとっては少し楽にはなったか。奴にとってもほかの者と行動を共にするということは初めてなようだしな。すこぶる機嫌が良いようだ。快く運搬を引き受けてくれた。
「行くぞ、しっかりつかまっていろ……!」
「ふははは! 今日は久しぶりに機嫌がいい! 落ちぬようにな!」
一斉に飛び立つ。二人が大きな翼を広げて飛ぶのはなかなかに壮観だ。
「傷を負っている者もいる。なるべく早く飛びすぎるなよ」
「心得た!」
山沿いに私たちは下山を始めた。アルパカにもこ奴のことを紹介した方が良いだろうか。まあいずれは立ち寄るといったからな。報告が終わればあの二人のところにも行かないとだな。
「ところで貴様の背負っている武器、なかなかに良さそうなものだな!」
「力を取り戻した以上あまり使う機会はなくなってしまいそうだがな。そういう貴様は武器を持っていないのか?」
「我のか? ふむ、そういえば我の武器は――」
「まてまて! 今探さなくてもいい! 抱えている子を落としかねないぞ!」
「む、そうか……心得た」
不安だ。こ奴途中で落としたりしないだろうか――そんな心配事を抱えつつ私達は山を下り続ける。
しばらくしてカフェが見えてくる。まあ今回は立ち寄らなくてもいいだろう、まずは報告が先だ。お、下でアルパカが手を振ってくれている。こっちも振り返してやりたいが両腕はふさがっている。そのままびゅーんと素通りしてしまう。すまないなアルパカ。あとでしっかりふもとにカフェ、作ってやるからな。
またしばらくすると周りに木々が見えてくる。だいぶ降りてきたようだな。そのまま図書館へと方向を変え、飛翔する。どうやら心配事は杞憂だったようだな。私は少し安心する。そんな私を炎王龍は横眼に見て不思議そうに首をかしげている。まったく、こっちの気にもなってもらいたいものだな。
無事に和解をし、仲間になってしまった炎王龍、
果たしてどんな活躍も見せてくれるのか!そして謎の声は……
次回は再び森林ちほーへ舞台は戻ります!