古龍のフレンズ   作:まろにい

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棲み処から翌日の話です!前話の通り一人を残してついに……


section Ⅵ: じゃんぐるちほーへ

 日が昇り始めている。早めに目覚めた私はこの体に慣れるためにいろいろな行動を試していた。サーバルから教えてもらった走るという行動。シマウマから教えてもらった隠れるという行動。ちなみにこれらはすべて言葉と呼ぶらしい。と言うことは今は無意識のうちに言葉をしゃべれているということか。奥深いものだ。

 隠れるは言葉以外は何となくはじめから理解はできていたが、走るという行動は実に天地をひっくり返すようなものだった。地面をすばやく移動する、あれは走るという行動だったのか。何分ほとんど空中にいたものだからな、走ったことなどほぼ無かった。元の姿でも走っていた記憶はあるがやはり空中のほうが便宜がいい。自慢の翼は伊達ではない。

 しかし今の私には翼がない。となれば地上での戦闘は必須である。空を飛ぶ要領で跳躍ばかりしていたが、空中では無防備になるため隙が大きいという。複数を相手にするときは控えたほうがいい、そう二人に教わった。伊達にセルリアンを討伐してきていないのだろう。腐っても私よりはここの戦闘においては先輩である。忠告はしっかり守ることとしよう。

 

「どちらかの足を前方に出して……そのあとに後ろ足を前に……それを素早く勢いよく繰り返す……!」

 

 うーむ、ぎこちない。これでは跳躍して移動したほうが何倍もましだ。暫くは練習する必要があるか。二足歩行で走るのはなかなか難しい。サーバルたちにどうやって走れるようになったかを聞いても初めから走れていた、と言っていた。私はイレギュラーだからなのだろうか。いかんせん覚えることが多すぎる。頭は決して悪くは無いのだが耳にしたことも無い言葉を覚えるのはなかなか苦である。

 暫く走ることを練習していると後ろ声がした。

 

「おはよー! ふうちゃん早起きだねー!」

「む、サーバルか。おは……よう?」

「挨拶だよー! 朝起きたら言う言葉! ちなみに昨日言ったお休みは寝る前に言う言葉だよー」

「なるほど、おはようか。いい響きだ」

 

 改めてサーバルに挨拶を言う。

 

「おはよう、サーバル。シマウマはまだ寝ているのか」

「昨日のことで結構疲れちゃってたみたいだね」

「まあ無理に起こすこともあるまい。ところでちょっと私の走りを見てもらいたいのだがいいか」

「おおー、もう走れるようになったの?」

「ぎこちなさはあるがな」

 

 サーバルに見守られながら私は走る。軽く走った私をサーバルは訝しげに見ていた。

 

「んー、なんかちょっと変かなぁ。足がすごく上がりすぎてる気がするね……」

「む……まだまだ練習が必要か。実戦で使いこなせるようにならねばな」

「ふうちゃんは頑張り屋だねー。でもふうちゃんならきっとうまく走れるようになるよ!」

「そうか、すまないな。しばらくは走ることは実戦ではしないようにしよう。不完全な状態では足を引っ張りかねん」

 

 欲を言えばさっさと空中で戦いたいのだがな。その後暫く私は走ることを練習していた。

 暫くしてシマウマが起きてきた。挨拶を交わすとシマウマは眠たそうに目をこする。

 

「朝から元気ですねー二人とも……ふわぁぁ……」

「すごいあくびー! 指いれちゃおうっかなー♪」

「やめてくらひゃい……。……ふわぁあぁぁ……水浴びしてきます……」

「あ、ああ。気をつけてな」

 

 指入れられとる……。シマウマはふらふらと丘の方向へ向かっていく。……大丈夫なのかあれ。不安げな表情で見送る。

 

「ああ見えて耳はいいからねー。危ないと思ったらすぐ逃げれると思うよー」

「そ、そうなのか。安心……してもいいんだよな?」

 

 暫くしてシマウマが水浴びを終え、戻ってきた。

 

「お待たせしましたー。割と混んでて時間かかっちゃいました」

「朝に水浴びするフレンズは割と多いのか」

「ですねー。割と臭いとかをフレンズになってから周りの態度のせいで気にするようになったみたいで、結構朝に水浴びする子が多くなりましたねー。私ももう日課のひとつになったくらいですしー」

「そうか、サーバルは水浴びはしないのか?」

「しないことは無いけど、全身に水が掛かるのはちょっと嫌だから基本はしないかなー」

 

 意外だったな。サーバルが水を苦手としているのは。こんなおてんばなフレンズが水浴びをしないとは少し残念な気持ちだ。……って何を考えているのだ私は。

 

「水は苦手なのか? 私もまあ浴びるのは好きではないが」

「毛皮はあまり濡らしたくないからねー。濡れるとなんか変な気分になっちゃうんだよねー」

 

 さて、シマウマも戻ったことだ、そろそろゲートへ向かおうか。わたし達は棲み処を後にする。

 

「練習がてら走ってみるとするか。走るぞ、貴様ら」

「ふふーん、かけっこだね! 負けないよー!」

「えー……。あまり走りたくないんですけどー、ってもう走ってるし! 置いてかないでくださーいー!」

 

 ほう! 確かに早いなサーバル。私も負けてはいられんな。見よう見まねでサーバルの走り方をしてみる。……おお、これは! なるほど足をあまり上げすぎないとはこういうことか。

 

「おおお! 走れてる! まだぎこちないけど動きにもやもやしなくなった!」

「ふふふ、負けてはいられないのでな! それとお褒めの言葉、感謝するぞ!」

 

 風を受けて走る。一瞬私の中の何かが蠢いた気がしたが、私はそれには気づくことは無かった。

 

「とうちゃーっく! ふうー楽しかったー!」

「はあ……はあ……やるなサーバル。その走りっぷりには感服した」

「えっへん! かけっこは自信あるんだー!」

「ぐでー……」

 

 シマウマ……いかんすこし夢中になってしまったか。許せシマウマ、悪気は無かったのだ。

 

「シマウマちゃんも速いねー! それと、ごめんね……わたしかけっこになると夢中になっちゃって」

「……別に……気に……しては……いない……ですよー」

「暫く此処で休むとするか」

 

 腰を下ろす。ゲートの向こうは鬱蒼とした密林エリア。いよいよこのさばんなちほーともお別れか。少し物悲しいな。

 

「じゃんぐるちほーか……密林は過ごしやすかった記憶があるが私の特性上地上が悲惨な状態になってしまうのがな……」

「ジャングルにも行ったことがあるんですか?」

「ああ、あまり思いだしたく無い記憶もあるが、上質な食糧なんかを求めて行ったことがある。密林の獲物はなかなか肥えていて肉厚だったな……」

「ひいっ……!? 食べないでくださいよ!?」

「?? 別にとって食ったりはせんぞ。今の私はジャパリまんが主な食糧だからな」

 

 さて、十分な休息は取ったか……では行くとするか。

 

「ではな、シマウマ。貴様との冒険なかなか面白かったぞ」

「またねー! さばんなのフレンズ達にもよろしくねー!」

「……」

 

 ん? やはり別れるのはやめたのか? 黙ったまま動かない。ちょっとちょっかいでもだしてみるか。日ごろの仕返しとして。

 

「どうした? やはり寂しいのか?」

 

 にやにやしながら私は尋ねる。するとシマウマは……

 

「えーえーさびしいですねーなきそうですねーうわーん」

 

 すがすがしいほどの棒読みっぷりで返してくれた。こいつ……ホントいい性格している。

 

「まあさびしいのはホントですけど、あの轟竜のこともありますしねー」

「万が一の時はよろしくたのむ。お前だけが頼りだからな」

「まかされましたよー」

 

 私達はシマウマを残しさばんなちほーを後にした。今この瞬間図書館までの第一歩を私達は踏み出した。

 




一行はシマウマを残しじゃんぐるちほーへ!一体どんな出来事が待っているのか!
次回からじゃんぐるちほーの話です!
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