お独り様のハンター生活   作:獅子脅

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強者はいつも圧倒的で。

飛竜種目、レックス科、その名をティガレックス。

 

別名、轟竜。

 

その走行スピードは全飛竜の中でもトップクラスで、時速50km以上にもなる。

 

そしてそのティガレックスを象徴する最大の特徴は、轟々たる大音量の咆哮だ。

ティガレックスの体内には大鳴き袋と呼ばれる専用の特殊な内臓器官があり、これを利用して暴力的なまでの膨大な音量を誇る咆哮を放つことができる。

 

そして、最早それは音の領域を超える。

 

放たれた瞬間に衝撃波と化して周辺の物体を壊してしまうほどだ。

 

しかし、轟竜が一番恐ろしいのは興奮した状態だ。

血行が良くなり肉質も軟化するが、その分動きが加速化し、最早暴走と断言してもいいほど危険な存在と化す。

怒りに燃え滾るティガレックスとの遭遇は死を意味するといっても過言ではないとされ、対峙する者は新米ハンターはおろか、熟練ハンターですら命の保証はない。

 

その圧倒的な力と凶暴性から呼ばれる異名、その名をーーー

 

『絶対強者』

 

目的地に向かう途中にティガレックスに関する軽い情報を少年にレクチャーしたんだが、何この子どこ見てるの?明後日の方向?緊張するのはわかるけど大丈夫だって、下手しても死ぬだけだ。

 

『あ、あの…本当に僕なんかに狩れるでしょうか…』

 

ん?何を言っているんだこの少年は?

 

『お前は、証明しに来たんだろ?これくらいでビビってちゃ燼滅刃なんて夢のまた夢だぞ?』

 

『そ、そうですね…やる、やるんだ…。』

 

ハンターってのはいつも死と隣り合わせだ。例えその相手が、イャンクックだろうがドスファンゴでもだ。どんな時でも死の覚悟をしなければならない、それがハンターになる最低限の資格と言っても過言ではない。

 

『そういえば、何故ガンナーメインなんですか?』

 

よく聞かれる質問だ。俺はこの質問に決まってこう答える。

 

『ハンターって職業を一番表してるって思うからだ。』

 

『表してる?』

 

『ハンターってのは自分の能力を大きく上回っているモンスター達と対峙するだろ?』

 

『はい。』

 

『そんな中で正々堂々、真正面からやり合っても勝てる道理なんてない。臆病に、そして確実に狩猟しなければならない。』

 

まぁ、中には殴り合って余裕で競り勝つバケモノもいるがな…。

 

『ガンナーってのは距離を取り誰よりも臆病に、知識を駆使して確実に狩猟する。そういうところがハンターを表してると思ってな。』

 

まぁガンナーは身軽でなければならない故に防御力もないから、モンスターの一撃に対してしっかりと危機感を覚えて避けれるようになるからメンタル的にも強くなれるんだよなぁ。

 

『なるほど…勉強になります!』

 

勉強熱心なのは素晴らしい。お兄さんはなまるあげちゃう。

 

『君は何故大剣を使ってるんだ?』

 

『えと、やっぱり一撃必殺!!みたいな感じでかっこいいから、ですかね?』

 

馬鹿みたいな答えだが、案外的を得ている。

大剣というのは双剣や太刀とは違い手数もなければ練気もない。

あるのは他の武器にはない圧倒的な破壊力だ。動きの早い敵でも一撃一撃を確実入れられればかなり強い武器だと思う。しかし、そのシンプルさ故に一定以上になると上達がかなり難しくなる。

 

『なるほどな、スタイルは?』

 

スタイル。ハンターの基本的な行動や連携をそれぞれの方向性に特化させたのが狩猟スタイルと呼ばれるものだ。まぁ、従来と同じようなスタイルもあるが武器種毎に相性のいいスタイルがハンターの中で日々研究されている。

 

『ぎ、ギルドスタイルです…』

 

何を縮こまる。従来通りの狩り方が悪いというのか、最近の若者は。

 

『まぁ、俺はガンナーメインだからそこまで詳しいことは教えられないがある程度はアドバイスするから安心しろ。』

 

『はい…』

 

おっとぉ?返事に元気がないぞー?お兄さんペケつけちゃうからなぁ?

 

『んじゃ、俺から一つアドバイスだ。』

 

『は、はい!』

 

そうだ、その返事だ。フレッシュすぎてちょっとムカつくけど。

 

『君は大剣使いならば基本的な立ち回りは下位で経験してるだろう、正直大剣に関しては基本的な立ち回りの精度を上げるくらいしか上達はない。』

 

『えぇ…でもそれは一朝一夕でできるものじゃないのでは…?』

 

うん、その通り。経験に勝る成長はない。

そんなすぐに強くなる方法なんてないんだ。

 

『俺は強くしてやるなんて言ってないぞ?戦えるレベルにしてやるって言ったんだ。』

 

『そ、そんなぁ…。』

 

甘えるな少年よ、これがハンターの世界だ。

 

『立ち回りどうこうは今すぐにはどうにもならない、だからーーー』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『なるほど…やってみます…!!』

 

♦︎♦︎♦︎

 

そうこうしてるうちに目的地の遺跡平原に着いたわけですよ奥さん。

運よく揃ってベースキャンプに着いたもんで準備してる少年に喝でも入れてやろうとか思ったけど、顔がもうテツカブラみたいになってたから普通に励ますことにした。

 

『武運を祈ってるぞ、少年。』

 

『はい…証明してきます!!』

 

なんだ、いい顔できるんじゃないか。

少し、安心した。

 

さて、軽く観察させてもらうぞ、少年よ。

 

♦︎♦︎♦︎

 

いつも、人任せだった。

 

自分一人で狩ったモンスターなんてせいぜいドスファンゴぐらいだった。

 

『キリュウはベースキャンプで待っててもいいぜ〜!』

 

『一緒に行っても剣士のくせにモンスターとガンナー並みに距離取ってるしな〜!』

 

自分に価値なんてないってずっとそう思って、みんなに任せてればいいって、甘えてた。

 

『男の子でしょ!!私にかっこいいとこ見せてよ!!』

 

『で、でも…僕、弱いし…』

 

『弱かったら…逃げてもいいの…?』

 

『弱くてもいいから…偶には見せてよ…かっこいいところ…!』

 

でも

 

甘えてちゃ、いけないんだ。

 

誰かに任せてちゃ、いけないんだ。

 

言い訳してもいい理由なんて、ないんだ。

 

 

グォオオオオオオオオオオオ!!!!!!

 

 

だって

 

 

『好きな女の子に…!!!いつまでもカッコ悪いところ見せられないじゃないか!!!!!』

 

証明するんだ、弱くても、一人でもカッコいいって!!!

 

『まずは…!!喰らえェ!!!』

 

閃光玉をティガレックスの眼前に投げ込む、ここまでは上手くいった…!

 

ーーー『…だから、閃光玉や罠を駆使するんだ。』

 

『閃光玉や罠…ですか?』

 

『あぁ、大剣に機動力はお世辞にもあるとは言えないからな。まず相手の視界や身体の自由を奪うことで攻撃のチャンスを作れ。』

 

『そんでそのあとは…ーーー

 

『相手の弱点にッ…叩き込むッッッ!!!!!』

 

グォオオオオオオオオオオ!!?!

 

顔面に溜め3斬りを当てられた…!!あとは…あとは…罠を!!!

 

ドンッ

 

『がぁっ…!!!?』

 

なんだ…今のは…?

 

尻尾か…?回転した尻尾に当たったのか…?

 

なんて威力だ…いや、そこじゃない…速さだ、罠を仕掛けようとはしてたけどちゃんと見ていたのに見えなかった。

 

体制を立て直…!?

 

尻尾で吹っ飛ばされてあんなに距離が空いたのになんでもう

 

『目の前にいるんだ…?』

 

避けられない!!!

 

なんでそんなに速いんだよ!!?

 

 

 

ガキンッッッ

 

 

『ぐぅゔゔッッッ!!!』

 

咄嗟にガードできた…当たったら死んでいた…。

 

こんなのに勝てるのかよ…?

 

『はっ、ハハハ…強すぎだよ…』

 

これが、上位。

 

これが、モンスター。

 

これが、強者。

 

思考が纏まらない。

 

圧倒的な格の差に軽く絶望を覚えた。

 

人間達が食物連鎖の下にいることをここで、再認識した。




そんなこんなで初のちゃんとした狩猟シーンを描くことができました。
やっぱり楽しいと同時に文字だけですと難しいですね。
次回はもっと事細かく描写することになるのでよければお楽しみにィ!
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