【習作】俺の周りは人外ばかり   作:レイオード

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ふと思いつきで書いたのでこれから先どうなるか分かりません。
思いついたら細々と書いていきます。


プロローグ

「やってられるか!」

 

 思わずキャラに似合わず叫んでしまった。

 ここは私立聖祥大学付属にある図書館の保管庫だ。

 私立聖祥大学付属中学二年の俺、川崎徹がなぜここにいるかというと俺が図書委員だからだ。

 カウンターで座っていたら大学の先生に3日以内に指定された本を見つけて持ってきてくれと頼まれたので探したのだが、その内の一冊が保管庫にあることが分かったので発掘に向かうことになった。

 

 ここの図書館は非常に大きいためにその蔵書数も多い。

 そして読まれなくなった古い本は保管庫に保存されているのだが、そこは特に整理されているわけでは無いのでちょっとした宝探しになるのだ。

 整理されない理由は幽霊が出ると言われているから誰も近寄ろうとしない。まぁ、実際に半透明な爺さん、清十郎爺さんがいるんだが……。怖がる必要はない寧ろ気の良い人(?)だ。

 今だって探すの手伝ってくれている。

 

 探し始めてもう1時間以上経つが見つからない。

 今日のところは諦めてまた明日探そうと思い最後の棚を見たら異質な気配を放っている本があった。

 その本は真っ黒な表紙のハードカバーで表面に銀色の剣十字がついている。

 さらに図書館の本には装丁とナンバーのが書かれているのだが、その本にはそれが全くない。

 ……一応周りに聞いた方が良いと思い清十郎爺さんを呼んでみるが……

 

 『見たことない本じゃの。 ……恐らく魔道書の類じゃないかの?』

 

 ……ファンタジーだ。 ……いや、爺さんが魔道書とか言っている時点でやばい気配がする。

 

 「そんなもんがどうしてここにあるんですか?」

 

 『恐らく主人を探しておるのじゃろ。 徹ちゃんが貰って上げたらええ』

 

 簡単に言ってくれるが唯でさえオカルトの経験は多いのにさらに増えるとかありえん。

 今家には喋って人にも変身する猫がいるのにそこに魔道書?

 どう考えても碌でもないことしか思いつかない。

 

 「呪われそうだからやめておきます」

 

 『ほほほ、それも一つの選択じゃな』

 

 爺さんはなにが楽しいのかこちらを見ながら笑っている。

 ただ一瞬、問題の本が落ち込んだような気がするが気のせいだろう。 

 

 「そろそろ下校時刻だし帰ります。 また明日探しますのでよろしかったら手伝ってください」

 

 『ほいほい。まぁ、明日の放課後までに探しておくよ。 じゃあ、気ぃ付けて帰りなさい』 

 

 「はい。 お願いします」

 

 清十郎爺さんがそのまま探しておいてくれるみたいだから恐らく明日には見つかるだろう。

 偶に悪戯で見つけた本を俺の枕元に置いて行ってたり俺と友達の携帯に方法は不明だが電話やメールをしてきたりする『リアル着信アリになり友達が気絶したけど』が基本良い人だ。

 

 「川崎くんお疲れ様。 頼まれていた本見つかった?」

 

 保管庫から出るとヘアバンドをした女子が話しかけて来た。

 彼女とは小学校のころに同じクラスだったと思う。 

 ……余り話したことが無いので名前がうろ覚えだ。

 

 「……いや、見つからなかった。 明日の下校時刻までには見つける。 お疲れ様、月岡さん」

 

 「うん、お疲れ様。 でも、ちょっと待ってくれるかな?」

 

 月岡さんに止められた。

 ……出来たら彼女から早く離れたい。

 こんな場面を誰かに見られたら変人どもに襲われる。

 彼女とその友達達……高島、バスティーユ牢獄、ハンマハンマ、八幡みたいな名前だったと思うが、彼女達にはファンが存在している。

 ……八幡の場合は家族の方が人気があるが。

 

 それに俺に声を話しかけてくる女は特にメンドくさいタイプや厄介ごとを持っているのが多い。

 ……俺の将来設計は市役所で働きながら普通の嫁さんを貰う事だ。

 断じて猫が変身した奴を嫁さんにもらうつもりは無い。 

 

 「……何だ?」

 

 彼女は笑顔だが、どこか呆れている感じだ。

 

 「私の名前は月村。 月村すずかだよ。 小学校4年の時に同じだったけど覚えてない?」

 

 どうやら名前を間違えていたらしい。

 正直小学校で一年しか一緒に居なかった相手の名前を覚えておくなんてこと俺には出来ない。

 図書委員になったからといっても彼女に関われば厄介事に巻き込まれそうなので距離をとっていたのだが……甘かったか。

 

 「……す、すまない。 これから気をつける。 それじゃ、今度こそお疲れ様、鈴村月歌さん」

 

 急いで鈴村さんから離れようとするが……捕まった。

 何故に、と言うか2mは離れたのにいつの間にか間合いを詰められていた。

 ……運動神経が良いとかそう言ったレベルの動きじゃ無いだろうこれ。

 

 「……三度目は無いよ? 私は月村すずか。 月岡でも、鈴村でもない。 分かったかな?」

 

 ……見た目より肉食系だ。

 いや、雰囲気と握力が。

 

 「すまない。 月村さんだな。 そろそろ行くよ」

 

 「本当に覚えた?」

 

 「大丈夫だ、問題ない」

 

 サムズアップしておいたが呆れた顔をされた。

 

 「あっ、ちょっと待って、司書の岡村さんに頼まれて明日は、本探し手伝うように言われたから手伝うね」

 

 ……ありがた迷惑とはこの事か。

 確かに人手が増えるのは嬉しいが、彼女、いや女生徒はダメだろ。

 あまり人が来ない密室に年頃の男女が2人っきり……清十郎爺さんは俺以外に見えていないからノーカンだが、 誰かに見られたら変な噂が立つこと間違いなし。

 よし、断ろう。

 

 「……気持ちは嬉しいが、後少しで終わるから手伝いはいらない。 それに保管庫の噂は知っているだろ? なら余り近づかない方が良い。 特に俺といると……な」

 

 ……そう、俺が心霊スポットに近づくと高確率で色々出る。 

 心霊スポットだけでなく遊園地のお化け屋敷でもだ。 

 そこでも色々出てきてネタバレされるし、その後写真を撮られると絶対に心霊写真が出来る。

 ……昔入ったお化け屋敷では、係員が気絶したこともある。

 

 そう、この体質を利用して月影さんから距離を取ろうとしたのだが、彼女は予想外の返事をしてくれた。

 

 「あはは、噂は聞いているけど大丈夫だよ。 私はそんなの気にしないし」

 

 ……月影さんは何故にそんなに押せ押せモードなのだ。

 

 「……そうか。 でも、男と女が曰く付きのところに二人っきりというのは如何なものだろう? ……まさか俺、狙われている? ……俺にソリッドブックみたいな事をする気だろ」

 

 「ち、違うよ! そんなことしないよ!」

 

 月影さんは顔を真っ赤にして否定してくる。 ……どうにも嗜虐心が刺激される。

 このまま弄り倒したいと思ったがやめておこう。

 倍返しでは済まないような気がする。

 

 「冗談はここまでにしておいて、本当に大丈夫だ。 もういいな? もう、お家に帰りたい」

 

 「……分かったよ。 でも、今度何かあったら手伝うからね」

 

 分かってくれたのかやっと引いてくれた。

 どうしてか嫌な予感がするから早く帰ろう。

 

 

 

 ……大変だ。 何かに後を付けられている。

 周りの人の反応でよく分かる。

 ……初めは俺の周辺の状況を見て驚くが、俺の姿を見た瞬間に納得するのはやめて欲しい。

 さっきからすれ違う人たちがこちらを見ているのがよくわかる。

 因みに人じゃないのは何時ものことなので確認しなくても良い。

 ただ、何が憑いてきているのか確かめるのにカーブミラーを見上げたら……。

 

 

 

 ……遅かった。もう呪われていた。

 保管庫で見つけた本……魔道書?が電柱の影に隠れながらこちらを付けていた。

 ……なんで浮いているんだよ。

 …………いや、何で隠れながら憑いてくるんだよ!

 普通は、いつの間にか鞄に入っているとかじゃないのか?

 

 こういったことはさっさと済ませるべきだ。

 少し歩くスピードを上げて角を曲がって待ち伏せる。

 数秒後魔道書?がこちらを覗くように姿を現したので捕まえる。

 

 初めは暴れて居たが次第におとなしくなったので取り敢えず鞄にしまう。

 ……もうどうやっても解放されないならさっさと人目につかないようにするのが一番だ。

 ……いや、手遅れだったが、目撃者が増えなきゃいいや。 

 もはや諦めの境地である。

 

 家に帰ると薄茶色の髪をした落ち着いた雰囲気の女性が迎えに来てくれた。

 

 「ただいまリニス」

 

 「おかえりなさいトール」

 

 「母さんはどうした?」

 

 「涼子は先ほどご近所の方とカラオケに出かけました。 ……下手すれば今日は帰ってこないかも。 総一朗は今日は帰れそうにないと先ほど電話がありました」

 

 彼女の名前はリニス。

 その本性は、山猫であるが元々誰かの使い魔だったらしいが死にかけた状態で家の庭に連れてこられた。

 ネコのようなナマモノが猫缶の代金として置いていった。

 そのまま放置するわけにもいかないので両親に頼んで世話をしていたらふやけたクッキーのような顔をした、いい声のネコにいつの間にか契約させられていた。

 お礼として煮干しを一袋を上げたら携帯の連絡先も交換された。

 ……因みに使い魔とはよくファンタジーモノの小説とかで出てくる奴だ。 ……何故か人型になるが。

 少し前にリニスの猫耳が周囲に見つかった時に俺に猫耳属性があると噂された。

 

 「しかし、トール。 何か疲れてますね」

 

 さすがリニスだ。

 俺の状態を一目で看破してくれた。

 

 「ああ、何かに憑かれているんだ」

 

 「……えっ? ……またですか?」

 

 リニスは笑顔のまま凍りついた。

 全く俺の使い魔を名乗るならそろそろ慣れて欲しいものだ。

 

 「……今度は何に憑かれたのですか? ……ガチムチな森の妖精ですか? ……それとも露出強な雪女ですか? まさかまたネコのようなナマモノですか?」

 

 「どれも違う。 ……清十郎爺さん曰く魔道書らしい」

 

 「……なんだってそんなものが普通の学校にあるんですか!」

 

 それは俺が聞きたい。

 早く着替えて魔道書の処分方法を考えないと。

 部屋に戻り着替えてからリニスを呼ぼうとしたのだが、どうやら猫になって既に俺の部屋に侵入していた。

 

 鞄から問題の魔道書を取り出しリニスに見せる。

 リ二スは人型になって魔道書を見ている。

 

 「……これはデバイス? しかもかなり昔のモノみたいですね。 ……ミッド式では無いみたいです。 これ以上のことは機材がないことには何とも言えません」

 

 「そうか」

 

 ……リニスに分からなければどうしようもないな。

 後ろを付いて来たということは何らかの意思かプログラム……人間じみた動きしていたからかなり高度なプログラムが組まれていると思うのだが今は黙りだ。

 

 「どうせ使わないし、何も言わないから後で海に捨ててくるか。 うん? そういやリニスはこちらに魔導師がいると言っていたな?」

 

 「はい。 恐らく7、8人位います。 それから海に捨てるのは不法投棄になるのでやめてください」

 

 「怒らないでくれ冗談だ。 じゃあ、彼らに売りつけよう」

 

 「それが良いかも知れませんね」 

 

 『ち、ちょっと待ってくれ』 

 

 ……ああ、やっぱり喋った。

 下手すりゃこれも人型に……。

 少しすると魔道書から光が溢れたので目を瞑り収まった頃合で見るとそこには長い銀髪で赤い瞳の美人がいた。

 ああ、やっぱりな。 ……早くもこの場から離れたい。

 リニスは俺の後ろで臨戦態勢をとっている。

 

 「少し待って欲しい」

 

 「……お前は一体何だ? いや、それもどうでもいい。 何が目的だ?」  

 

 「驚かないのだな」

 

 「お前のような存在には慣れている。 さっさと本題に入ってくれ。 今日はリニスをお風呂に入れる日なんだ」

 

 どこか困った顔をしている古本女性……何か中古の女と書けば如何わしい感じになる。

 ……余り人と話し慣れていないような感じだな。

 リニスはお風呂と聞いて猫になって逃げようとするので捕まえておく。

 

 「分かった。 なら一つずつ聞いていく」

 

 「ああ」

 

 「まずは、お前の名前は何だ?」

 

 「私に名前は無い。 敷いて言うならこの『夜天の書』の管理人格だ」

 

 「リニス、 この名前に聞き覚えは無いか?」

 

 「……どこかで聞いたことが有るような無いような。 すみません思い出せません」

 

 「そうか。 で、何が目的で俺の後を付いて来たんだ?」

 

 「そ、それは私の主になって欲しいからで……」 

 

 ……絶対何か隠しているだろコイツ。

 面倒なタイプの思考してそうだ。

 

 「……ホントのこと言えよ。 それに別に俺じゃなくてもこの街にいる魔導師で良いじゃないのか?」

 

 「いや、彼女らではダメなのだ」

 

 「なぜ?」

 

 「実はな。 私は……少し前まで『闇の書』と呼ばれていた『夜天の書』の同型機なのだ」

 

 ……響きからしてヤバそうな名前が聞こえた。

 リニスが念話で話しかけて来た。

 

 『闇の書なら聞いたことがあります。 本来は優れた魔導師や魔法の情報を記録するデバイスだったらしいですが、悪意ある改変により暴走してしまい無限に再生と転生すようになり完成すれば無差別に破壊活動を行うらしいです。 さらに主人の魔力を際限なく使い殺してしまうこともあったらしいです』

 

 ……何だその厄介極まりないモノ。

 つまり今度は俺がそれの犠牲者になるのか?

 

 「何でそんな物騒なものが俺のところに?」

 

 「ああ、誤解しないでくれ。 私はあれと同型機なだけで別物だ。 情報を記録するのにバックアップや予備が無いと不便だろ。 まぁ、今までアレが動いていたから私が目覚めることが無かっただけだが、情報は共有している。 そんな訳であなたに主になってもらおうと」

 

 「どういう訳だ。 前の主人を見守るとかゴメンだぞ。 それこそもう一度前の主人のところに行け」

 

 「大丈夫だ、問題ない。 あなたと契約したら後は勝手にやるからあなたの生活には影響はない。 それにアレが居たところに私が行ったところで向こうは混乱する。  私はアレとは違う。 そんなことで失望させたくない。 その点あなたは非常にいい位置関係だ。 お願いできないだろうか? 私に出来る事は何でもする。 この通りだ頼む」

 

 ……姿は同じでも中身が違うね。

 でも前の主の事を大切に思っているのは痛いほど良く分かった。

 あんなに泣きそうな顔されたら……さらに歪め……手を差し出したくなる。 

 

 

 ああ、彼女に手を伸ばしたらまた厄介な事に巻き込まれるのだろうな。

 しかし彼女もリニスと同じか……会いたいけど会ったらどうしたら良いのか分からない。

 でも心配だから近くで見ておきたい。

 はぁー、魔法関係は複雑な奴が多いな。

 

 「分かった」

 

 「良いのか? 本当に良いのか?」

 

 嬉しさと驚きが混ざった顔をしている彼女の顔に笑いそうだ。

 

 「所で俺の近くに居るのは良いけど幽霊とか妖怪とか平気な方か?」

 

 「はぁ?」

 

 非常に失礼な反応された。

 何を言っているんだコイツみたいな反応された。

 仮にも主に向けるような視線じゃない。

 

 「そんな非科学的なモノが居るはず無いでしょ」

 

 「取り敢えず、窓からした見てみろ。 首なしライダーの隼さんがいるから」

 

 「そんなまさか」

 

 彼女は笑いながら俺に言われた方を見てそして気を失った。

 ……大丈夫かコイツ?

 

 




ここまで読んで頂きありがとうございます。
本当にプロットも何も無い状態で気ままに書いていきます。
夜天の書の管理人格の名前を募集します。
私だとナハトとか単純なモノになりそうなので。
それではこれからよろしくお願いします。
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