発案者は私の知り合いです。
朝になり制服に着替えてリビングに行くとそこにはいつもの光景が広がっていた。
リニスと母さんが朝食と弁当を作っていた。
「おはよう」
「あら、おはよう」
「おはようございます」
二人と挨拶を交わしそのまま自分の席に着くとリニスが紅茶と朝食を差し出してくれた。
「ありがとう」
「沢山食べてください。 今日のお弁当はハンバーグ弁当です」
「ああ、わかった。 楽しみにしている」
「はい」
いつものやり取りをしていると母さんはこちらを見てニヤニヤしている。
「その気持ち悪い笑いやめてくれ。 朝から鬱陶しい」
俺が言っても聞いていないのかニヤニヤしっぱなしだ。
「いやー、ホントにリニスがいて助かるわ。 もし徹に人間の彼女が出来なくてもリニスが居たら何とかなるでしょ。 全く何年経っても新婚みたいなやり取りをするんだから」
リニスは母さんの戯言が満更でも無いのか尻尾を振ってご機嫌そうだ。
確かにリニスなら嫁に来て欲しいぐらいだが……これって獣○にならね?
……せめて人でなくても変身しないで子供を産んでくれるモノと結婚したい。
雪女は除く。
「そうだろうか? ……ああ、それより少し厄介事に巻き込まれた」
母さんが物凄く嫌な顔をしている。
俺も嫌だがもうどうしようもない。
「今度は何があったの?」
「いや、なに魔導書の所有者になっただけだ。 まぁ、日常生活では役に立たないけど」
「そんなものどこにあったのよ。 元の場所に返してきなさい」
「学校の図書館にあった。 返却不可だ。 まぁ、リニス関係みたいだし実害は無い」
「……まさかそれも人型なったりしないわよね? ネクロノミコンやナコト写本みたいに」
「なるけど。 あれより大人だよ。 性格は真面目だが、詰めが甘くヘタレだ」
「……その子はご飯食べるの?」
「いや、分からんが……別にいらないと思う。 本だし」
「そう別にどっちでも良いけど。 要るようになったらあんたの貯金が減るだけだから」
「分かったよ」
まぁ、どっちでも構わない。
この前にオバリヨンに襲われたから金ならあるからリニスに換金させるだけだ。
しかし、夜天の書はどこに行ったのだろう朝から見かけない。
リニスに所在を聞くも起きた頃には姿が見当たらないらしい。
特に用もないし実害も無いから放置しておけとのことだ。
朝食を食べ終わる頃にリニスがお弁当を持ってきてくれた。
そのままリニスに食器を渡して学校に行く。
リニスが来てからずっと続いている光景だ。
学校について授業の準備をしていると写真部の浅田がニヤニヤ笑いながら近づいてきた。
「よう、川崎」
「よう、浅田。 その気持ち悪い顔を近づけないでくれ」
「そう言うなよ。 お前昨日また憑かれていたな。 いやー今度は本か」
「……見ていたのか。 写真とか撮ってないよな? 何の本か分からんから迂闊に撮って呪われても知らんぞ」
「うげっ、マジで」
浅田は顔を青くしている。
……冗談で言ったつもりだったのに信じてしまった。
「冗談だ。 あれはそうだな一言で言えばポンコツだ。」
「へっ?」
「だから冗談だ」
「驚かすなよ。 ……マジで呪われたかと思った」
本当に驚いていたのか顔色が戻った。
「そこまで過剰に反応しなくても良いだろ」
「いや、お前の冗談は分かりにくい。 基本がポーカーフェイスだからな。 それにオカルト関係でお前が言うと説得力がありすぎる」
……オカルト関係ではそうかも知れないが、そんなに表情に出ていないのか。
……リニスなんて大抵の事は何も言わないでも理解してくれているから顔に出やすいと思っていたのに。
その後は、小川も合流しそのまま朝礼まで話していた。
……昼休みになり、小川と浅田は食堂に出かけた。
俺は一人で弁当を食べることになったのだが、可笑しい。
弁当が何時もより重い。 ハードカバーの本ぐらい重い。
……嫌な予感がするが意を決して弁当の蓋を開けるとそこには……。
「…………」
「……zzz」
弁当の中身は夜天の書でした。
これはアレか? 俗に言う私を食べてという奴か?
……よし、帰って母さんが居なかったら性的な意味でお仕置きしてやる。
そっと、弁当箱を仕舞い。食堂に出かける。
このポンコツめ。
絶対にゆ゛る゛さ゛ん゛!
放課後になり図書館に荷物を置いてから保管庫に向かう。
入ってすぐに清十郎爺さんが待ち構えていた。
『おうおう、来たな徹ちゃん』
「はい。 ところで見つかりました?」
『ああ、見つけておいたよ』
「ありがとうございます。 今度お供えに饅頭持っていきますね」
『そんなもん気にせんでええのに』
そうは言いながらも清十郎爺さんは嬉しそうにしている。
……清十郎爺さんのお墓に参るのは俺しか居ないからな。
奥さんは最近歩けなくなったので動けないし、息子さんは海外に移住したと言っていた。
そんな清十郎爺さんの後ろについて行き、指さされた場所を見たら確かにあった。
「ああ、これです。 ありがとうございます」
『ええ、ええ。若いもんが気にするな。 老人の暇つぶしじゃ。 ……妻が死ぬまでのな』
俺は何と答えたら良いのか分からなかった。
早く会えると良いですねとか言うもんじゃない。
だからと言って、早く成仏しろとも言えない。
爺さんはただ、残した奥さんが心配で成仏できないでいる。
『そういや、徹ちゃん。 また呪われたの』
爺さんは、嬉しそうに笑いかけてきた。
「冗談じゃないですよ。 あれは魔導書でしたけど、日常生活に役立つどころか魔導書としてもポンコツです」
「あ、主! 私はポンコツではありません!」
いつの間にかポンコツ(夜天の書)が居た。
「どうやってここに入った? お前は弁当箱の中に居ただろう」
「ふふふ、 探索魔法と転移魔法を使いました。 ただ、術式が未完成なので短距離で私しか移動出来ませんが」
……物凄いドヤ顔で話しているが、俺と爺さんは呆れている。
未完成の術式で転移って失敗したらどうするつもりだったのか。
不意にポンコツが周りを見渡し始めた。
「どうした?」
「いえ、主がどなたかと話されておられたようですが一体?」
どうやら彼女には見えていないようだ。
面倒だが、意識できるように誘導する。
「ここにお爺さんがいるだろ」
爺さんの方に目線を動かすと彼女も動かし硬直した。
「あ、あ、あの主? この方まさか死んでおられません?」
「ああ、そうだな。 それがどうかしたか?」
「あわわわ、はわわわわわ……きゅう」
情けないことにまたも気絶しやがった。
見た目だけならタイプなのにどうして此奴はこんなに残念なのか。
爺さんも呆れた顔をしている。
「……昨日のヤツが効きすぎたか?」
『何とも残念なオナゴじゃな。 この子はアレか。 昨日の魔導書の妖精か?』
「ええ、似たようなものです。 昨日は映画を見せたのですが、何時も通りの現象が起きまして……こう言った怪異とかに免疫が無いみたいなので失礼しました。 後で躾ておきます」
爺さんは哀れなものを見るような目をしている。
『……可哀想に……仕える主を間違えおったな』
爺さん聞こえているぞ。
何も言わんがな。
『ところでこの子の名前は?』
そう言えばまだ決めていなかったな。
めんどくさいな。
「まだ、決めていません」
『呆気者!名前は大切じゃぞ。 だから大した力もだせんのじゃ』
「……そうなんでしょうけど。 俺は苦手なんですよ。 取り敢えず、前の主からはリインフォースと呼ばれていたみたいです。 彼女自身は違う名前がいいみたいです。 あと、魔道書の名前は夜天の書です」
『候補ぐらいはあるじゃろ?』
「まぁ、一つはリインフォース・ヌル。 ドイツ語で0を意味します。 まぁ、可愛くないのでメールかメルーにするかと言ったところです。 渾名はヌルハチです」
『……徹ちゃんも残念な思考回路しておったか』
哀れなものを見るような目をされた。
俺が悪いのだろうか。
「これでも考えたんですよ。 10秒ぐらい。 生活に役に立たないどころか……邪魔なヤツの為に」
『まぁまぁ、そういう事言うもんじゃねぇ。 何か縁があって出会ったんじゃ。 これからしっかりと関係を築いていきなさい。 ……貞子とかレイコとかはどうじゃ』
「由来をお聞きしても」
『嫁と孫の名前じゃ』
「……昨日リング見せたのでそれはちょっと。 名前を呼んだ瞬間に気絶しそうです」
『そうか。 残念じゃの』
本当に残念そうな顔をされて罪悪感を覚えた。
なんでよりによってその名前なんだ。
「すみません。 奥さんとお孫さんのお名前なのに」
『ええよ。 そうだの後は、黄泉ちゃんとかはどうかの?』
「……黄泉路という意味でしたら却下です。 それは俺に縛られそうなんで……ドイツ語で夜を意味するナハトとはどうでしょう?」
『MSのイフリートみたいじゃの。 若しくは古鉄とかの』
なんでこの爺さんマニアックなモノ知ってんだよ。
こうして爺さんと30分程考えた末に名前が決まった。
ドイツ語を参考にして初まりを意味するエスターに決まった。
爺さんはまた驚かせるといけないからと言って奥に戻っていった。
さて、このままエスターを寝かせていても仕方が無いので起こす為に頬を軽く叩く。
「いい加減に起きろヌルハチ」
「う、うん。 あ、主? ヌルハチはやめてください」
「いつまで寝ているんだ。 このまま寝ているのならここにおいて帰るぞエスター」
「そ、それだけはお許しを!」
完全に意識を取り戻したのか急に立ち上がった。
……なにげにコイツも運動神経がすごいな。
「と、ところで主。 先ほど私の新しい名前を呼んで頂けたと思うのですが……」
「……さぁ? それは本当に俺の声だったか?」
「え?」
また顔色が青くなってきたので早々に教えてやるか。
「エスターだ。 ドイツ語で初まりを意味するErster Ball
を略してエスターにした。 渾名はヌルハチだ」
「私の名前はエスターですね。 ありがとうございます。 渾名は遠慮します」
「じゃあ、帰るぞヌルハチ。 夜天の書に戻れ」
「いえですから! エスターとお呼びください」
ヌルハチの叫び声を背にして夜天の書と目的の本を持って保管庫を後にした。
保管庫から出て鞄に夜天の書を直してからカウンターに本を持っていき、大学の先生の研究室に連絡をしたところ持ってきてほしいと言われたのでカウンターに通して大学に持っていく。
大学構内を中学の制服で歩いていると注目されたが、俺だと分かると一斉に離れていった。
少し離れた所から写真とっている奴が居たのでサービスしておいた。 悲鳴が上げていたけどナニが撮れたのだろうな。
大学構内に入ってから10分位したところに先生の部屋があるのでノックをする。
扉が開き先生に本を渡すと直ぐに締め出された。
俺が何をした。 まぁいいや。 早く図書館に戻って帰ろう。
図書館に戻るとシャドームーンさんと小狸を連想させる女子が話していた。
……学内で人気のある二人を遠目から見ている奴も多い。
特にシャドームーンさんは図書委員達から絶大な人気を誇っている。
こんな時に限って怪異が居ない。 居たら巻き込んでもらって移動できたのに。
普通に通り過ぎたらイイだけだよな。
と思っていました。
……あっさりと見つかり話しかけられてしまった。
「あっ、川崎くん。 本は見つかった?」
「ああ、 さっき大学に持って行ったところだ。 お疲れ今日はもう帰る」
「ああ、そうなんだ。 手伝えばよかったね」
……笑顔で申し出てくれるが、周りの視線が鬱陶しい。
と言うか羨ましいのなら自分から話しかけろ。
他人に嫉妬なんかしているから童貞なんだ。
「……前にも言ったが別に必要ない。 自分で出来る事は自分でする。 出来ないなら(怪異に)助けを呼ぶ。 友達と話していたんだろ。 迷惑にならないようにしろよ。 お疲れ様」
「あっ、うん。 お疲れ様」
……よし、最低限の会話で切り抜けることが出来た。
さっさと帰ってヌルハチにお仕置きしないと。
鞄をもって振り返った先には小狸がいた。
「なぁなぁ、 君が噂の川崎くん?」
「噂? ……人違いだ。 俺は川岸だ。 帰りたいんだどいてくれ」
さっきから夜天の書が反応して鬱陶しい。
念話で『主、主、生で見る前主はやてです。 可愛いです。 もっと見ていたいです! 私が見つからないようにもっと近くで話してください』と五月蝿い。
五月蝿くてウザイ。八幡にこのままこいつを渡しても良い様な気がしてきた。
「またまた、さっきすずかちゃんに川崎くんって呼ばれてたやん」
「……すずか? 悪いが俺の知っているすずかは鈴鹿御前しか居ない。 彼女なら今滋賀の山で剣道場を開いているが……。 こっちには来ていないぞ」
「は?」
小狸は何を言っているのかよく分からないという顔をしていた。
仕方が無いので写真を見せてやる。
「……イヤイヤ。 そんなんに誤魔化されへんよ。 そんな事よりちょっと大切な話があんねん。 ええかな?」
……逃げたいな。
ああ、ここで断っても油汚れみたいにしつこいそうだし、さっさと終わらせるか。
「……手短にしてくれ。 人に聞かれたくないなら保管室で話すか。 あそこなら人間は来ないし」
「人気がないところに私を連れ込んでナニをする気なん」
ニヤニヤ笑いながら体を抱きしめるようにしてクネクネしているが、その程度のスタイルではな。
「ナニって何だ? 俺にはさっぱり分からん。 後学の為に教えてくれるか?」
「ナニって言ったらナニやろ。 女の私から言わせんといてや。 やらしいなー」
「へぇ、口に出して言えないようなやらしいこと考えていたのか。 見かけによらず変態なんだな。 皆に教えよう」
「あ、あれ? 普通に対応されて、いつの間にか痴女扱い?」
「違うのか? 化け狸?」
「さっきから、何なんこの扱い。 初対面の人に狸扱いされたの初めてや! 私の初めて返して!」
「……初対面なのに名前を名乗らず、 勝手に初めてを返してと叫く狸が出ます。 皆さん気をつけましょう」
orzの姿勢になり、そのまま謝りだした。
おい、 そこの一年、這いつくばってカメラをこっちに向けるな。
それは犯罪だが……だが、もっとやれと言いたくなった。
こちらと目が合うとサムズアップしてきたので返しておいた。
「そろそろ、帰っていいか? あんまり夕方に帰りたくないんだ。 逢魔が刻になると出やすいから」
「なぁ、ガチで見えたりするん?」
「さぁ? もしかしたら俺の幻覚かも知れない。 ……ところで何時までそのままの姿勢なんだ? 頭とか踏み潰していいか?」
狸は慌てた様子で立ち上がりこっちを睨んできた。
……後ろのご両親も呆れた顔をしている。
「まぁ、冗談はここまでにしておいて。 名乗らへんかったんも私が悪い。 ただ、初対面の女の子に狸はないんちゃう?」
「さて、さっさと本題に入ってくれ。 大体さっきも言ったが、初対面が自分の名前を呼んできたら警戒するに決まっているだろ。 ……そんなんで大丈夫か?」
「ぐぅ、 私の名前は八神はやて。 すずかちゃんとは小学校からの友達や。 ……まぁ、話は保管庫でええわ。 ちょうどそっちの関係で調べたいし」
……保管庫関係の話。
爺さんか?
「分かった。 ただし早くしてくれよ。 下手すりゃ夜になってから帰らないと行けないし。 ああ、八幡も家族に迎えに来てもらえ。 ……場合によっては食われるぞ」
「はいはい。 そっち系の冗談はええって。 さっさと移動しよか」
八幡はそのまま保管庫に向かって歩いて行った。
俺は念話でヌルハチに声をかける。
『ヌルハチ』
『エスターです。 主! 早くはやてを追いかけましょ』
『……彼女は異世界で働いているんだよな?』
『はい。 それがどうかなさったんですか』
『いや、お前関係ならどう処分するか考えていただけだ。 可能性としてはどうだ?』
『……バレてないと思いますが、もしかしたら主の能力を魔法と考えて接触してきたか若しくは魔力に反応したかのどちらかですね』
『分かった。 お前関係ならお仕置き追加な』
『…………助けてください』
八幡は保管庫の前で腕を組んで待っていた。
図書館にいた時より真剣な表情だ。
「遅かったね」
「……帰りたい」
「まぁ、待ってや。 取り敢えず入ろか」
俺の返事を待たずに八幡は保管庫に入っていった。
俺も後に続いて中に入る。
保管庫の脚立を椅子にして向き合う。
「で、何の用だ?」
「そやね、 単刀直入に聞くわ。 川崎くんは魔導師ちゃう?」
魔導師ね。 そっち関係か。
「……何のゲームで知り合った?」
「誤魔化す必要はあらへんよ。 今日一日私の周りにサーチャーの反応があったし、放課後もこちらで魔力反応があったからね。 今日はなのはちゃんとフェイトちゃんも休みやし、私が来たわけや」
「……可哀想に。 ゲームか漫画の読みすぎでこんな残念な子になって。 まぁ、年齢的にもちょうどだしな。 ご両親が泣いているぞ」
「中二病ちゃうわ! ……あくまでも白を切るきやな」
「……白を切るも何も俺には分からん。 もしそうだったらどうするんだ?」
「何が目的でここに居るかや。 次元漂流者ならまだええけど犯罪者かもしれへんからね。 管理局に登録されていない魔導師そんな危険人物を野放しにする気はあらへんよ」
……何の確証があるんだろうな。
まさかアリバイと言うか証拠が魔力反応と時間のみとか言いだしたら笑うしかない。
「フムン。 まさかその程度の証拠で捕まえる気か? 大体俺にあるのは霊感だ」
「まだ、そう言うか。 まぁ、確かに証拠は少ないから捕まえる事は出来ひんけど、何かしたら覚悟しときや。 今回は警告や」
……ヌルハチは死刑決定だな。
今日はいい声で鳴いてもらおう。
ただ、こちらも魔導師と言うより魔法を知っているだけの霊感を持った人間に過ぎない。
「そうか。 なら俺からも一言いいか?」
「なんや?」
「親父さんの宝物のパイオツ辞典をそろそろ処分してやれ。 後ろで泣いているぞ。 え? 『奥さんの胸は俺が育てたが、はやては可哀想に』と泣いている。 ……あっ、奥さんに殴られている」
八幡は一瞬顔色を変えて後ろを振り返るが何も見えなかったのだろう。
落胆の表情をした後こちらを睨んできた。
「……因みに広辞苑の中に隠しているみたいだな。 そうですか。 八幡がおっぱい星人なのはお父さんの影響ですか。 えっ? 結婚するならギル・グレアムさんにしなさい?」
八幡は顔色を赤から青に変えていた。
「ななななな! い、一体何なんやー!」
「何って、お前のご両親の言葉だ。 ああ、グレアムさんは老い先短いだろうしお金を持っている。 殺されそうになったのだからそのぐらいは良いだろうとの事だ。 ちょうどグレアムさんが死んだあたりでお前の女盛りになるからそこで年下のツバメを捕まえろとの事だ」
「もうー堪忍してください」
『五月蝿いのう徹ちゃん』
「ああ、清十郎さん。 もう終わりますからすみません」
「も、もしかして保管庫の幽霊? いやー! 出たー! あわわわ、はわわわわわわ……きゅう」
あっ、気絶した。
どうしよう? ヌルハチも気絶しているし。
『悪いの徹ちゃん。 また噂になってしまうの』
爺さんは本当に悪いことをしたという顔をして謝って来た。
別に気にしないで良いのに。
「気にしないでください。 これで厄介事が遠ざかってくれます」
『……本当にスマンの』
取り敢えず、気絶した八幡を背負って図書館に戻る。
……思った以上に軽いな。
ご両親も彼女が異世界で無茶をしているから心配でならないらしい。
シャドームーンさんがまだ居たら彼女に任せようと思い探したら直ぐに見つかった。
「あれ、川崎くん? は、はやてちゃんどうしたの?」
「保管庫の幽霊を見たら気絶した。 悪いが、彼女の家族に電話してくれ。 俺は保健室に運ぶ」
「わ、分かった」
シャドームーンさんが走って外に電話しに行った。
八幡が気絶している間にサービスしておくか。
夢の中だけだが両親と再会させてやる。
……色々溜まってそうだし、相談に乗ってもらえ。
そのまま保健室まで八幡を連れて行き、寝かせてやる。
初めは悲しそうにしていたが段々穏やかな表情になっていった。
……余り女性の寝顔は見るものじゃないとリニスにも言われたのでそっと離れる。
『ヌルハチ。 いい加減に起きているか?』
『はい、主』
『……帰ったら覚えておけ』
『申し訳ありません』
……気がつけば逢魔が刻になっていたので暫くは学校に待機だ。
リニスに連絡を入れておき、 ヌルハチの食事も用意しておく様に伝えた。
あっ、人体模型が心配そうにこっち見てる。
五分ぐらい経った頃にシャドームーンさんがこちらに来た。
こうして八幡の家族が迎えに来るまで彼女の他愛のない話に付き合わされた。
何が嬉しいのかずっと笑顔で話していた。 ……悪い気はしなかったが厄介事だけは勘弁な。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
気がつけば8000字を超えていました。
……だらだら書きすぎですね。
どうしてこうなった。
気がつけば夜天の書の管理人格エスターことヌルハチがどうしようもないポンコツになってしまいました。
……ASで一番好きなキャラなのに。
リインフォースファンの皆様ごめんなさい。
今回はやてが出てきましたが、酷い扱いになってしまいました。
ハヤテファンの皆様申し訳ありません。
総合評価1000ptを超えました。
皆様ありがとうございます。
これからも頑張っていきたいと思います。