この物語は少女雑誌「ちゃお」にて連載中の「12歳。」から3年後、中3を迎えた綾瀬ちゃん達の、成長と葛藤の物語。
そもそも私めがコレを書きましたのは、数年前、小学五年の後輩に、「12歳。」をほんの少し男向けにして書いてくれ
と頼まれた次第です。
原作のまいた菜緒先生の世界観を壊さぬ様、また男女平等に楽しめるように努めてまいります。
皆さまどうぞ宜しくお願い致します。
2017:4/24:鈴木遥
·市立相蓮中学の本年度始業式は、例年通りなんの変哲も無く進んでいる。
全校生徒の入場が終わると、これまた例年通りに校長のスピーチが始まった。
「えー、であるからして
「ちくしょー。話長えな校長……。」体育館後ろに座る三年生達が愚痴をこぼした。
「よくもまあ何時間もよくある教訓並べるもんだ。」
「本当にね。あ、そうだそういえば昨日イッテQでさあ……。」
「コラァ!お前達、集会中に無駄話とはけしからん!!」
体育主任の近藤が、説教を飛ばした。あわてて三人は口裏を合わせる。
「ちち違うんです先生!オレらじゃなくて後ろの女子が……。」
そういった三人は、自分たちの後ろに座る黒髪ツインテールの少女、綾瀬花日(あやせはなび)を指差し、口車に乗せられた近藤はまんまと彼女を叱った。
「お前かァ綾瀬!?」
「え!?いや、私、違……。」
あわてて否定しようとする花日だが、テンパって言葉が出ない。
そうとも知らず近藤はたたみかける。
「違わない!後で職員室に来なさい!」
花日は何も言い返せなかった。そんな彼女を見て、くっちゃべっていた男子三名はしばらくの間ほくそえんでいたが、その顔は青ざめた。
花日の親友二人が、前の方から後ろの三人をスゴい目で睨んでいたからである。
スピーチ後、職員室から憔悴して出て来た花日を待っていたのは、オレンジヘアのお団子娘、小倉まりんと、黒髪ショートヘアの蒼井結衣だった。
「その様子だと、随分と絞った見たいね。近藤のヤツ……。」
まりんは悔しそうにつぶやいた。
「止めなよまりん。職員室の前で……それよりホームルームでしょ?もう教室行こ。」強気なまりんと比べ、結衣はどこか萎縮している。教室へ向かう途中、まりんは花日を問いただした。
「花日も花日よ!なんでホントの事言わないかなー!」
「だって、そしたらチクリ魔とか言われるかもじゃん……。」花日は力なく答えたが、まりんは納得しなかった。
「そんなの、私らがいくらでも助けてあげるよ!」
「嘘だ……。」花日は短く、そしてはっきり言った。二人共、一瞬黙り込んでしまった。
「花日……?」結衣は驚いて、花日のカオを覗き込む。
「結衣ちゃんもまりんちゃんも、最近平気で下ネタ言ってるじゃん!私が嫌がってても、一緒になってて助けてくれないじゃん!クラスで一番おっぱい小さいって毎日からかわれて、ねぇ、分かる!?私の気持ち!」涙目になり二人に訴える花日。二人は言葉が出ない様だ。
「花日、それは……。」
ガッシャーーーン!!
結衣がようやく絞り出そうとした言葉は、窓ガラスが割れる音にかき消された。
「な、何ィィ!?」
三人が廊下の突き当たりまで向かうと、ガラスは穴が開くどころか『無くなって』おり、そこにはたった一人の男が立っていた。
まるで今の今まで『スカイダイビング』でもしていたかの様に、背中にパラシュートを背負い、ジーパンにピンクのノースリーブシャツという風変わりなファッションだ。
背は高く、ガタイも良い。浅黒く焼けた肌と、前をバッサリ切った黒髪が、男らしさを宣伝するかの様だ。
三人共、ただ呆然と彼を見つめていたが、当の彼は、三人に全く気付かない様だ。
「えあァ!畜生!スカイダイビングで登校は控えるべきだったか!!ん……?」
バカでかい独り言を吐いたかと思えば、彼はようやく三人に気付いた様だ。
「よお、お嬢さん達。突然で悪ィが、職員室どこか知らねえか?」
「あっちですけど……。」結衣は恐る恐る、自分たちが元きた方向を指差した。
「おう。サンキューな。」パラシュートを廊下に放り出し、立ち去ろうとする男に、まりんは呼びかける。
「ちょっと、アンタ一体何なのよ!?」
男は振り返り、三人をまじまじと見た。力強く、それでいてまっすぐ澄んだ瞳だ。
そして一言だけ言い残し、その場を去っていった。
「