すいません、次回出しま~す!
え!?やだ、そんな白い目で見ないで下さ~い!w
・その日もそんなこんなで三限がおわり、花日は保健室へ向かった。
未だ保健室から戻らない結衣と、今朝からの桧山の異変が気がかりだったからだ。
さすがの高尾も心配し、桧山から話を聞いている。
今、花日に出来ることはせめて結衣の無事を確認し、桧山を少しでも安心させることだ。
部屋の前に立ち、花日はなぜか扉を開けるのをためらってしまった。
なんとなく、本当になんとなくだが、結衣と沙羅井の邪魔をしている様な気がしてならないのだ。
仕方なく、持って来た紙コップで扉に聞き耳を立ててみる。
と、その時。
「『紙コップ』、私にも分けて下さいませんか?」
後ろからか細い声がした。
びっくりして振り向くと、くだんの転校生『日向明』が立っていた。
花日は少し警戒した。なにしろ、ここ数日の蒼井の悩みの種を作ったのは彼女なのだ。真意はともかく、そう簡単に打ち解ける相手ではないだろう。
「ひゅ、日向さん、だっけ?どうしたの、こんな所で。」
明は一瞬間を置いて答えた。
「昨日のいい匂いがしなかったので、クラスの方々に話を聞いた所、蒼井さんがココにいると……。」
(心配してたのかな……案外いい人かも……。)
もう一つの紙コップを手渡し、笑いかけた。
「私、綾瀬花日。よろしく!」
コクッと頭を下げる明。頬が赤いのは、照れているからだろうか。
なんとなく相手との距離が縮んだ様な気がして、少しうれしい花日。
数分後、昼近くなって出勤した養護教諭の白鳥が見たのは、四つん這いで扉に聞き耳をたてる、奇妙な二人の女生徒だった。
(また盗み聞き!?おまけにこの
「ちょっとあなた達!いったい何やって……。」
「先生!しー!」
人差し指を唇に当てる花日。
「いや『し~』じゃなくて!てかもうすぐ4限でしょ、こんなとこで油売ってていいの?」
質問には答えず、明は紙コップを差し出した。
「せんせーも、どうぞ……。」
白鳥は不審がったものの、扉にコップと耳を当てた。
中から結衣と沙羅井の会話と思しき声が聞こえる。
「あん、先生ダメですよ、そんな……。」
「いいじゃねえか、少しくらい……。」
(……!!)
白鳥は耳を疑った。
元々彼は変わり者ではあった。だが仮にも校長に『見どころあり』とまで言わしめた男が、そんなふしだらな、それも白昼の保健室で、生徒相手に、そんな、『そんなコト』を……!?
気が付けば彼女は乱暴に扉を開け、大声を出していた。
「くぉらああああああああ!何してるんですか!このハレンチ教……師?」
活火山級に燃え上がる白鳥が一瞬でクールダウンしたのは、目の前の光景が自分の予想に大きく反していたからだろう。
沙羅井と結衣は、紙の輪を折り、繋げた輪っかで床は足の踏み場もなくなっていた。
「ハレンチに見えるんスか?これ......。」
ムッとした沙羅井の問いかけに、少し焦る白鳥。
「ごごごごめんなさい!だ、だってあんな......。」
「あんな?」
「いいえ!申し訳ありません。」
「ところで、なんで綾瀬と日向がいるんだ?」
彼の問いかけに、二人は気まずそうにカオを見合わせた。
「わ、私たちは、その、結衣ちゃんと先生が心配で……。」
明もコクコクと頷く。
「ふうん……。」
その『ふうん』に揶揄の響きを感じ、花日はとっさに頭を下げる。
「あの、先生!今朝はごめんなさいでした。話も聞かずに薄情ものとか言って……。」
「確かにあれは焦ったな。」
「うぅ~……。」
涙うるませる花日を見た沙羅井は、こらえていた笑いを抑え切れなくなった。
「プッ!ハッハハハ……冗談だよ。お前、素直だな。」
「わ!ひどーい先生!私めちゃくちゃヒヤッとしたのに~。」
昨日の結衣の様に頬を膨らます花日。それでもホッとしたように笑っている。
「良かったですね。綾瀬さん。」
「うん!……じゃなくて!明ちゃんも結衣ちゃんに言いたい事あるんでしょ?言わなきゃ。」
花日の言葉を聞いた結衣は、キョトンとして明を見た。
「あの、昨日は私に仲良くしようとして下さったのに、素っ気なくしてすいませんでした!」
先程の花日位頭を下げる明。
結衣は少し間を置いて言った。
「なあんだ、そんなコト気にしてたの?」
「許してくれるんですか?蒼井さん……。」
「許すも何も、ホッとしたよ。うちのクラス気に入らなかったのかと思って、心配してたから……そうだ、じゃあ、まりんと花日も一緒にお昼食べよう。」
「いいんですか、蒼井さん……。」
「ストップ!一緒にお昼食べる約束したんだから、私達もう友達でしょ。結衣、花日、まりんで良いよ。」
少し涙ぐんで礼を言う明に、花日も良かったねと寄り添った。
「うむ、友情は美しき哉とはよく言ったもんだ。……ところでお前ら、4限は?」
「しまった~!急いで戻ろう、明ちゃん!」
「はい!花日さん!」
「蒼井、お前ももういいから、教室戻んな。」
「はーい。」
花日、明、結衣の三名は大猫から逃げる子ネズミの様な速度で走り去った。
女生徒三名が退室し、一気に静かになる保健室。沈黙を破ったのは、白鳥の素朴な疑問だった。
「この輪っか、何に使うんですか?」
「とある特別授業にね。生徒の一生が賭かってるんですよ。」
白鳥は適当にあいずちを打った。なんとなくだが、沙羅井のいたずらっ子の様な笑顔を見て、これ以上どう聞いても、きっと意味の分からない答えが返ってくる様な気がしたからだ