15歳。ーサライさんー   作:鈴木遥

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「まりんちゃん出番ないじゃん!」
すいません、次回出しま~す!
え!?やだ、そんな白い目で見ないで下さ~い!w


友達にゃ切符も書類もいらないが、下の名で呼ぶ覚悟が必要だ。

・その日もそんなこんなで三限がおわり、花日は保健室へ向かった。

未だ保健室から戻らない結衣と、今朝からの桧山の異変が気がかりだったからだ。

さすがの高尾も心配し、桧山から話を聞いている。

今、花日に出来ることはせめて結衣の無事を確認し、桧山を少しでも安心させることだ。

部屋の前に立ち、花日はなぜか扉を開けるのをためらってしまった。

なんとなく、本当になんとなくだが、結衣と沙羅井の邪魔をしている様な気がしてならないのだ。

仕方なく、持って来た紙コップで扉に聞き耳を立ててみる。

と、その時。

 「『紙コップ』、私にも分けて下さいませんか?」

後ろからか細い声がした。

びっくりして振り向くと、くだんの転校生『日向明』が立っていた。

花日は少し警戒した。なにしろ、ここ数日の蒼井の悩みの種を作ったのは彼女なのだ。真意はともかく、そう簡単に打ち解ける相手ではないだろう。

「ひゅ、日向さん、だっけ?どうしたの、こんな所で。」

明は一瞬間を置いて答えた。

「昨日のいい匂いがしなかったので、クラスの方々に話を聞いた所、蒼井さんがココにいると……。」

(心配してたのかな……案外いい人かも……。)

もう一つの紙コップを手渡し、笑いかけた。

「私、綾瀬花日。よろしく!」

コクッと頭を下げる明。頬が赤いのは、照れているからだろうか。

なんとなく相手との距離が縮んだ様な気がして、少しうれしい花日。

  数分後、昼近くなって出勤した養護教諭の白鳥が見たのは、四つん這いで扉に聞き耳をたてる、奇妙な二人の女生徒だった。

(また盗み聞き!?おまけにこの()達も沙羅井先生_(あの人)のクラスじゃないの!)

「ちょっとあなた達!いったい何やって……。」

「先生!しー!」

人差し指を唇に当てる花日。

「いや『し~』じゃなくて!てかもうすぐ4限でしょ、こんなとこで油売ってていいの?」

質問には答えず、明は紙コップを差し出した。

「せんせーも、どうぞ……。」

白鳥は不審がったものの、扉にコップと耳を当てた。

中から結衣と沙羅井の会話と思しき声が聞こえる。

「あん、先生ダメですよ、そんな……。」

「いいじゃねえか、少しくらい……。」

(……!!)

白鳥は耳を疑った。

元々彼は変わり者ではあった。だが仮にも校長に『見どころあり』とまで言わしめた男が、そんなふしだらな、それも白昼の保健室で、生徒相手に、そんな、『そんなコト』を……!?

気が付けば彼女は乱暴に扉を開け、大声を出していた。

「くぉらああああああああ!何してるんですか!このハレンチ教……師?」

活火山級に燃え上がる白鳥が一瞬でクールダウンしたのは、目の前の光景が自分の予想に大きく反していたからだろう。

沙羅井と結衣は、紙の輪を折り、繋げた輪っかで床は足の踏み場もなくなっていた。

「ハレンチに見えるんスか?これ......。」

ムッとした沙羅井の問いかけに、少し焦る白鳥。

「ごごごごめんなさい!だ、だってあんな......。」

「あんな?」

「いいえ!申し訳ありません。」

「ところで、なんで綾瀬と日向がいるんだ?」

彼の問いかけに、二人は気まずそうにカオを見合わせた。

「わ、私たちは、その、結衣ちゃんと先生が心配で……。」

明もコクコクと頷く。

「ふうん……。」

その『ふうん』に揶揄の響きを感じ、花日はとっさに頭を下げる。

「あの、先生!今朝はごめんなさいでした。話も聞かずに薄情ものとか言って……。」

「確かにあれは焦ったな。」

「うぅ~……。」

涙うるませる花日を見た沙羅井は、こらえていた笑いを抑え切れなくなった。

「プッ!ハッハハハ……冗談だよ。お前、素直だな。」

「わ!ひどーい先生!私めちゃくちゃヒヤッとしたのに~。」

昨日の結衣の様に頬を膨らます花日。それでもホッとしたように笑っている。

「良かったですね。綾瀬さん。」

「うん!……じゃなくて!明ちゃんも結衣ちゃんに言いたい事あるんでしょ?言わなきゃ。」

花日の言葉を聞いた結衣は、キョトンとして明を見た。

「あの、昨日は私に仲良くしようとして下さったのに、素っ気なくしてすいませんでした!」

先程の花日位頭を下げる明。

結衣は少し間を置いて言った。

 

「なあんだ、そんなコト気にしてたの?」

 

「許してくれるんですか?蒼井さん……。」

 

「許すも何も、ホッとしたよ。うちのクラス気に入らなかったのかと思って、心配してたから……そうだ、じゃあ、まりんと花日も一緒にお昼食べよう。」

 

「いいんですか、蒼井さん……。」

 

「ストップ!一緒にお昼食べる約束したんだから、私達もう友達でしょ。結衣、花日、まりんで良いよ。」

 

少し涙ぐんで礼を言う明に、花日も良かったねと寄り添った。

「うむ、友情は美しき哉とはよく言ったもんだ。……ところでお前ら、4限は?」

「しまった~!急いで戻ろう、明ちゃん!」

「はい!花日さん!」

「蒼井、お前ももういいから、教室戻んな。」

「はーい。」

花日、明、結衣の三名は大猫から逃げる子ネズミの様な速度で走り去った。

女生徒三名が退室し、一気に静かになる保健室。沈黙を破ったのは、白鳥の素朴な疑問だった。

「この輪っか、何に使うんですか?」

「とある特別授業にね。生徒の一生が賭かってるんですよ。」

白鳥は適当にあいずちを打った。なんとなくだが、沙羅井のいたずらっ子の様な笑顔を見て、これ以上どう聞いても、きっと意味の分からない答えが返ってくる様な気がしたからだ

 

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