15歳。ーサライさんー   作:鈴木遥

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・高校生の為、不定期の投稿が多く、お待たせすることがあるかもしれません。
どうもすみませ~ん!!


渡る世間は曲者ばかり

・相蓮中学は、中学校としては珍しい、完全なる『自由昼食』校である。

校内の学生食堂か、持参した弁当を昼休みの間に食べるシステムになっている。

屋上では、綾瀬花日、蒼井結衣、小倉まりん、日向明の四人が、各々の持ち寄った弁当をシェアしていた。

「おいひ~!!結衣さんどうやってこんな美味しく作れるんですか?」

滝のような涙を流し、結衣の卵焼きを絶賛する明。

「確かに、悔しいけど、お姉以上の味だわ......。」

「さっすがわ結衣ちゃん、将来良いお母さんになるかもね!」

まりん、花日も揃って絶賛する。

結衣の家は父子家庭で、父の帰りが遅い時は全て食事の用意は自分で済ませている。

今でこそ家事炊事をこなせる結衣だが、母がなくなった頃はは色々と苦労したもので、その成果を誉められるのは、彼女にとってそこはかとなく嬉しかった。

「そんなに美味しかった?じゃあまた明日も作って来ようかな~。」

「明日と言わず、もう毎日作ってください!」

「そういえばさ、明ちゃんの弁当はお母さんが作ってるの?」

まりんの問いかけに、明のカオは少し曇った。

「ウチには、母がいないんです。弁当は一緒に住んでるお寺のお姉さんが......。」

「あっ、ごめんね、辛いこと聞いちゃって。」

焦って謝るまりんに、明は優しく笑った。

「いいえ、私ちっとも寂しくないんですよ?『天照寺』の皆さんは立派な家族ですし、学校に来れば結衣さん達がいますから......。」

「明ちゃん、結衣ちゃんと同じくらい大人だねぇ。」

各々がコメントを出す中、結衣は何も言わなかった。

『言えなかった』と言った方が良いかもしれない。

自分と似た境遇の明。だが、さらに彼女は目が見えない上、それを周りに隠して生きている。

その苦労は、人並み以上のはずだ。

なのに、なのに、なのに......。

(なぜあなたは、そんなに幸せそうなの......?)

疑問を持ったまま、明を見つめる結衣。

次の瞬間、彼女は絶句した。

幻覚?見間違い?否。

結衣の目は間違いなく、“それ”を捉えていた。

明の姿がほんの一瞬、赤紫の鬼の様な姿になったのを......。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

花日達が屋上で弁当をつまんでいた頃、沙羅井は昼食にありつけないまま、応接室に向かった。

日向明の父が、至急話をしたいと来校したのだ。

沙羅井にとって待ちに待った日向父との面談、今の彼にとって昼飯を投げてでも優先すべき事柄だ。

「いやー日向さん、どうもお待たせしました。」

腰掛けに座る明の父、宗庵は短い黒髪を真ん中以外刈り上げた風変わりなヘアスタイル。肌は白く、鷹のような鋭い眼光と、娘と異なる厳格そうな顔立ちは、一度見たら忘れられない。

(元祖『日本のお父さん』って感じだねぇ、オレ、生きて帰れんのか?)

目の前の男に若干萎縮しながらも、精一杯の笑顔を作る沙羅井。

「本日は、わざわざご足労いただき、誠に......。」

パン!と机の上に名刺を叩きつける宗庵。

沙羅井はびくびくとして受けとる。

「能書きは結構。私としては娘の今後を大変危惧しておりましてねェ。」

「と、おっしゃいますと?」

「娘が言うには、沙羅井先生が私との約束をどうも守って下さらない様で......。」

何を指摘されているのか分からない沙羅井。

宗庵は察した様に続けた。

「私は校長に、『学年の生徒達との交流を一切避ける様に』とお願いしたはずですが?」

沙羅井は絶句した。驚いたことは二つ。

校長からそんな連絡を一度たりとも受けていない事。

子に『友達を作らせるな』などと言う親がこの世にいた事。

二つが相まってリアクションに困った沙羅井は、またもや作り笑いを浮かべた。

受けている報告といえば、盲目である事と、その原因が

彼女の『中に居る』“とある存在”によるモノであることである。

「なるほど。しかしながら、娘さんはクラスの生徒達とここ数日、打ち解けて......。」

「下らない!一時のつながりが何になるんです!?

少なくとも今まで渡り歩いた学校の子供達は、最初にこそあの子に優しくはしました。あの子の『中に居る』存在について知るまではね!!」

沙羅井は気付いた。この父は今、遠回しに自分を試している。

(煙をまいて笑って帰そうってのはムダか......)

沙羅井は、それこそ宗庵を威圧する程の気概で目を見開き、宗庵の表情を伺う。

「存じております。お父さんが、日向さんが辛い思いをして今まで生きて来た事、故に私共を信じていただけないのも。ただ、その上でもう一度、信じていただけないでしょうか!?

私を、いえ、日向さんの『友達』を......!!」

机に頭を擦り付ける沙羅井を見た宗庵に、先ほどまで無かった『ある迷い』が生まれた。

それは、男のくせに、今、自分の、否、娘の為に迷いなく頭を下げたこの男の覚悟を、垣間見た気がしたからだろう......。

(彼なら、否、『彼とその生徒達』ならあるいは、明を......。)

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