チーズバーガーに合うシェイクはやっぱりイチゴ味
・日向明が陰我から解放されて数日。彼女はすっかりクラスに溶け込み、今では毎朝、蒼井結衣に髪のセットをねだる始末だ。
「結衣さ〜ん!おっはよーございますぅ!」
「おはよう明ちゃん。いつもので良いかな?」
クラスの二大美女のゆる〜いやりとりに、大抵の男子は和む……が、
「オイ日向!テメェいつまでオレの蒼井にくっついてんだ!?」
たまらず明に食って掛かる桧山。一方の明は、余裕の薄ら笑いを浮かべる。
「何〜、嫉妬ですかァ〜?あ〜みっともない、仮にも私の結衣さんの彼氏が……あ〜情けない情けない。」
「
桧山の発言に、明は髪を逆立て、双眼を妖しく光らせた。永らく“眠っていた”明の
「んだとォォォ!能無しはテメェもだろうがこの『ミスター銭湯』がァァァ!!」
「うるせぇエエェェ!人の実家を軽くディスってんじゃねエエェェ!!」
「ちょっと……やめて二人共!」
結衣の静止も聞かず、もう二人を止める事は出来まいと二組一同が諦めた時、意外にも、それはあっさりと幕を閉じた。
ガゴォン!!
遅れて来た沙羅井の『必殺学級日誌ダブルチョップ』をまともに喰らい、二人はたんこぶを作ってその場に気絶した。
「朝からうるせぇよ……ったく……。」
迷惑そうに呟きながらも、半ば気絶した二人を席まで運び、結衣に気恥ずかしそうにはにかんだ。
「えぇ……先日の日向の件、皆たいへんご苦労様……と言ってるそばからすまんが、まぁた転校生が来ま〜す」
「えぇ〜!?またぁ〜!?」
「ィやったぜィ!!また美女が増えるぅ〜!!」
賛否の両方に沸き返る生徒たちに、沙羅井は冷静に喝を入れた。
「落ち着け男子、安心せい女子。今度は美青年が二人とアフロ青年が一人だ。」
沙羅井の難解なキャッチコピーに首を傾げる二組一同。
「言うよりみるが早え。入ってくれや、三人共。」
沙羅井に促され、彼の言う通り、赤髪と黄髪の美青年と真っ赤なアフロ男が入って来た。
「相変わらず、騒がしいね〜このクラス……。」
クールに笑う赤髪の美青年を見て、レギュラーメンバー(唐沢カップル除く)はあんぐりと口を開けた。
「い……い……稲葉ァァァァァァ!?」
そう。小学生時代の同級生であり、 東京の私立中学を受験したはずの三上稲葉だった。
驚くのはまだ早い。彼と同じく 2組のほとんどが小学生時代を知る、堤歩。彼もまた、転校生としてそこにいた。
「稲葉だけかよ。やっぱ違うね、モテる男は……。」
『いやお前もブイブイ言わせてたわ!』と、筆者の鈴木はツッコミたい様だが 本人にはその自覚がまるでない。
「あれ?もう一人は?」
沙羅井が尋ねると、廊下に、やはり彼が言う通り、赤いアフロ男が立っていた。
「あなた……何なの?」
廊下に一番近い席の結衣がツッコんだのも無理はない。
赤いアフロに始まり、黄色いワイシャツに赤白のしましま手袋と、かなり派手ないでたちで、二組の生徒たちにしてみれば、『こんな日本人いんのかよ!』と叫びたくなるレベルだった。
「彼は、ドナルド・マクドナルド。お父上の仕事の都合でアメリカから日本に来てる。仲良くな。」
(変わったアメリカ人以前にツッコミ所満載だよ!)
と、明は心の中でツッコんだ。
「ヘッハッハッハ!ご紹介に預かりました、ドナルド・マクドナルドです。この通り、日本語ペラペラなので、気さくに接して下さい!」
「日本語の前にその変な笑い方……。」
学級委員の如月が少し引いて言った。
「では皆さん、お近づきの印に、元気になるポーズをお授けします。」
「お、何だ何だ?面白そう!」
とエイコー達がドナルドに群がる前に、彼は不自然なエコーの掛かった声で叫んだ。
『ラン・ラン・ルー!!』
ドナルドは、叫び声とともに全身から淡い光を放つ、光線は、次の瞬間教室の後ろへ伸び、そのまま壁に風穴を開ける。
桧山は風圧で椅子から転げ落ち、あわや明に直撃寸前だった。
「いやぁ……今日はかなり調子がよかった、やったね!」
まるで清々しいとでも言いたげなドナルド。クラス中からひんしゅくを買っているとは全く気付いてない。
「テメェ……!」
「ん?」
ゆっくりと立ち上がり、
「ィ今のキショい光線……結衣さんに掠ってたよなァ!
あたしの女神にかすり傷でも付いたら……。」
「え?え?ちょっと、待っ……。」
「どう落とし前つける気だゴルァァァァ!」
「ァラ〜〜!?」
明が瞬時にドナルドへ飛び掛かろうとした時、沙羅井が二人の間に割って入り、明の拳、そしてドナルドの背中から漏れ出る黒いオーラを鎮めた。
「……いい加減にしろお前ら。何してんだ転校早々。」
大人しく席に座る二人を見つめる沙羅井だが、その不安はぬぐえないままだった。
(今のドナルドが放ったオーラ、もしや奴も、