15歳。ーサライさんー   作:鈴木遥

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転校生たちのコンツェルト
チーズバーガーに合うシェイクはやっぱりイチゴ味


・日向明が陰我から解放されて数日。彼女はすっかりクラスに溶け込み、今では毎朝、蒼井結衣に髪のセットをねだる始末だ。

 

「結衣さ〜ん!おっはよーございますぅ!」

 

「おはよう明ちゃん。いつもので良いかな?」

 

クラスの二大美女のゆる〜いやりとりに、大抵の男子は和む……が、蒼井結衣(あおいゆい)と交際中の桧山一翔(ひやまかずま)には、面白かろうハズもない。

 

「オイ日向!テメェいつまでオレの蒼井にくっついてんだ!?」

 

たまらず明に食って掛かる桧山。一方の明は、余裕の薄ら笑いを浮かべる。

 

「何〜、嫉妬ですかァ〜?あ〜みっともない、仮にも私の結衣さんの彼氏が……あ〜情けない情けない。」

 

オレの(・・・)蒼井なんだよ、この0()能力者が!」

 

桧山の発言に、明は髪を逆立て、双眼を妖しく光らせた。永らく“眠っていた”明の臨戦態勢(ウラモード)を、呼び覚ましてしまったのだ。

 

「んだとォォォ!能無しはテメェもだろうがこの『ミスター銭湯』がァァァ!!」

 

「うるせぇエエェェ!人の実家を軽くディスってんじゃねエエェェ!!」

 

「ちょっと……やめて二人共!」

 

結衣の静止も聞かず、もう二人を止める事は出来まいと二組一同が諦めた時、意外にも、それはあっさりと幕を閉じた。

 

ガゴォン!!

 

遅れて来た沙羅井の『必殺学級日誌ダブルチョップ』をまともに喰らい、二人はたんこぶを作ってその場に気絶した。

 

「朝からうるせぇよ……ったく……。」

 

迷惑そうに呟きながらも、半ば気絶した二人を席まで運び、結衣に気恥ずかしそうにはにかんだ。

 

「えぇ……先日の日向の件、皆たいへんご苦労様……と言ってるそばからすまんが、まぁた転校生が来ま〜す」

 

「えぇ〜!?またぁ〜!?」

 

「ィやったぜィ!!また美女が増えるぅ〜!!」

 

賛否の両方に沸き返る生徒たちに、沙羅井は冷静に喝を入れた。

 

「落ち着け男子、安心せい女子。今度は美青年が二人とアフロ青年が一人だ。」

 

沙羅井の難解なキャッチコピーに首を傾げる二組一同。

 

「言うよりみるが早え。入ってくれや、三人共。」

 

沙羅井に促され、彼の言う通り、赤髪と黄髪の美青年と真っ赤なアフロ男が入って来た。

 

「相変わらず、騒がしいね〜このクラス……。」

 

クールに笑う赤髪の美青年を見て、レギュラーメンバー(唐沢カップル除く)はあんぐりと口を開けた。

 

「い……い……稲葉ァァァァァァ!?」

 

そう。小学生時代の同級生であり、 東京の私立中学を受験したはずの三上稲葉だった。

 

驚くのはまだ早い。彼と同じく 2組のほとんどが小学生時代を知る、堤歩。彼もまた、転校生としてそこにいた。

 

「稲葉だけかよ。やっぱ違うね、モテる男は……。」

 

『いやお前もブイブイ言わせてたわ!』と、筆者の鈴木はツッコミたい様だが 本人にはその自覚がまるでない。

 

 

「あれ?もう一人は?」

 

沙羅井が尋ねると、廊下に、やはり彼が言う通り、赤いアフロ男が立っていた。

 

 

「あなた……何なの?」

 

廊下に一番近い席の結衣がツッコんだのも無理はない。

赤いアフロに始まり、黄色いワイシャツに赤白のしましま手袋と、かなり派手ないでたちで、二組の生徒たちにしてみれば、『こんな日本人いんのかよ!』と叫びたくなるレベルだった。

 

「彼は、ドナルド・マクドナルド。お父上の仕事の都合でアメリカから日本に来てる。仲良くな。」

 

(変わったアメリカ人以前にツッコミ所満載だよ!)

と、明は心の中でツッコんだ。

 

「ヘッハッハッハ!ご紹介に預かりました、ドナルド・マクドナルドです。この通り、日本語ペラペラなので、気さくに接して下さい!」

 

「日本語の前にその変な笑い方……。」

 

学級委員の如月が少し引いて言った。

 

「では皆さん、お近づきの印に、元気になるポーズをお授けします。」

 

「お、何だ何だ?面白そう!」

 

とエイコー達がドナルドに群がる前に、彼は不自然なエコーの掛かった声で叫んだ。

 

『ラン・ラン・ルー!!』

 

ドナルドは、叫び声とともに全身から淡い光を放つ、光線は、次の瞬間教室の後ろへ伸び、そのまま壁に風穴を開ける。

 

桧山は風圧で椅子から転げ落ち、あわや明に直撃寸前だった。

 

「いやぁ……今日はかなり調子がよかった、やったね!」

 

まるで清々しいとでも言いたげなドナルド。クラス中からひんしゅくを買っているとは全く気付いてない。

 

「テメェ……!」

 

「ん?」

 

ゆっくりと立ち上がり、臨戦態勢(ウラモード)の明は余裕しゃくしゃくのドナルドを睨み付けた。

 

「ィ今のキショい光線……結衣さんに掠ってたよなァ!

あたしの女神にかすり傷でも付いたら……。」

 

「え?え?ちょっと、待っ……。」

 

「どう落とし前つける気だゴルァァァァ!」

 

「ァラ〜〜!?」

 

明が瞬時にドナルドへ飛び掛かろうとした時、沙羅井が二人の間に割って入り、明の拳、そしてドナルドの背中から漏れ出る黒いオーラを鎮めた。

 

「……いい加減にしろお前ら。何してんだ転校早々。」

 

 

大人しく席に座る二人を見つめる沙羅井だが、その不安はぬぐえないままだった。

 

(今のドナルドが放ったオーラ、もしや奴も、持ってやがる(・・・・・・)のか……!?

 

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