機動未来戦記 Aガンダム   作:神風アマツ

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嵐の前の静けさ

1章 夏の日、図書館にて

 

____の為の革命であった。彼らは自分たちの自治権を要求し、自らの独立を悲願としていた。しかし時代は彼等の独立を許してはくれなかった。時代は彼等を[ローヒューマン]と呼んだ。____

 

???「なーにやってんの?」

???「うわぁ!」

 

パソコンに向かい集中していた彼は、持っていたコーヒーを零しそうになった。突然声を掛けられた彼ーダイチ・カミカゼは声の主へ声を荒らげる。

 

ダイチ「いきなりなんだよソラ!」

ソラ「ごめんごめん、あまりに必死そうだったからつい…ね?」

 

彼女ーソラ・アオキは笑い混じりに答えた。彼女いわくエールのつもりだろうがダイチにはいい迷惑だった。唯でさえ教授に提出するレポートが完成しておらず、苛立っていたのだ。

 

ソラ「あまり根詰めすぎると良くないよ。はいこれ。」

 

ソラの手には炭酸飲料が握られていた。自分が飲むついでに買ってきたらしい。

 

ダイチ「…ありがと。生憎だが俺は今コーヒーを飲んでるんだ。後で飲むよ。」

 

そう一言言うとまたパソコンに向かい始めた。ダイチたちがいるこの施設は旧世紀からの書物を取り扱う巨大な国営図書館であり、彼等は今近代史コーナーにいる。ダイチとソラしかいないこの空間には炭酸飲料を開ける音とキーボードを叩く音が響く。時空世紀0165年7月、それは初夏の暑い日だった。

 

 

 

ダイチ「だァーーーーーー!!書けねぇ、書けねぇよこの野郎!」

 

頭を抱え叫ぶダイチ。エアコンの心地よい風でウトウトしていたソラも目を覚ました。

 

ダイチ「何がレポートだ、こんなの書けるわけねぇよぉ…」

 

頭を掻きながら悶えるダイチを横目にソラは炭酸飲料を飲み干す。そして暴れるダイチに一言

 

ソラ「気分転換に家来る?ご飯食べていきなよ!」

 

あぁそうさせてもらう、と言うとパソコンを荒っぽく閉じ鞄にしまう。と同時に早足に出口に向かっていった。

 

ソラ「あっ、待ってよ!ソーダはー!?」

 

後を追いかけてソラも図書館を後にした。外はもう夕方近くになっていた。

 

 

2章 フーリ フィックス メカニック

 

 

その工場は都市部からバスで1時間の郊外にある。『フーリ フィックス メカニック』通称FFM。郊外のこの地域では最大規模の修理工場である。[椅子からモビルスーツまで]の看板を掲げ、多くの人々からの依頼で農耕機械や日用品の修理を手掛けている。

軍上がりの工場長ーフーリ・ナイルの元で同じく軍出身のメカニックや職人が50人ほど勤務している中規模の企業である。

 

ソラの家はこの敷地内にある日用品受付棟の中にあった。受付にはcloseの看板がぶら下がっており1人の女性が伝票整理をしていた。

 

ソラ「お母さんただいま!ダイチ連れてきたよ!」

 

受付にいる女性は顔を上げて暖かな笑みで迎えた。彼女ーナンシー・ナイルはソラの義母でありフーリの妻である。ナンシーは腰を上げるとダイチとソラを奥の部屋へ通した。

 

ナンシー「おかえりソラ。ダイチくんも久しぶりね。ゆっくりしていって頂戴。」

 

そう言うとナンシーはまた受付に戻り伝票を処理し始めた。夫であるフーリと同じく軍隊上がりの彼女は事務経験を活かして工場の経営に一役買っている。

 

ダイチ「フーリのおじさんはまだあっちに居るのか…もう就業時間すぎてんぞ?」

ソラ「それはね、この前お父さんの軍人時代の知り合いからのつてでMSの修理依頼があったて皆張り切ってたからね!」

 

あぁ、なるほど…とダイチは納得した。大規模な戦争が行われなくなり1世紀、今稼働しているMSは農耕・工業用を合わせてもごく僅かしかない。軍部や一般企業でも細々と生産は続けているらしいが滅多に新造されず、パーツ単位の生産が主だ。後は旧世紀のMSを多額の金をかけレストアするマニアや修理工がいるくらいである。そんな貴重なMSの修理依頼が来たのだからメカニックの血が騒ぐのは想像に難くない。きっと今頃従業員総出で嬉嬉として準備しているのが目に浮かび少し笑った。

 

ソラ「んー?何笑ってんの?」

ダイチ「んー?なんでもないよ。そうだソラ、コーヒー頼める?」

ソラ「うんいいよ、待っててね。」

 

キッチンに向かったソラを待っていると背後から声を掛けられた。

 

???「おーダイチじゃないか、久しいな!」

 

そこにはこの工場の長でありソラの義父、フーリがいた。2mはあろうかという高身長に軍人仕込みの筋肉が立派な体つきをしている。顔にはちょび髭がありダンディーな雰囲気を醸し出している。

 

ダイチ「あ、おじさん。聞いたよ〜MSの修理依頼が来たんだってね。」

フーリ「そうなんだそうなんだ!今回は大仕事だからな、皆気合を入れ直してるさ。ただ…」

ダイチ「ただ…?」

フーリ「依頼人からはMSの修理依頼のみで機体の情報を教えて貰えなかった。どうやら機密にしたいらしい。いつもなら設計図ごと押し付けてこっちに丸投げさ。」

ダイチ「ほぅ…」

 

戻ってきたソラはダイチとフーリにコーヒーを手渡し、2人は飲みながら話を続ける。

 

ダイチ「守秘義務…とかじゃない?」

フーリ「馬鹿言え、ならこんな片田舎の修理屋に任せずに軍で対処すればいい。それにわざわざ元同僚に話を聞いてやってきたんだとさ。」

ダイチ「つまり、おじさんにしか頼めない事…。」

フーリ「ハハハハ!ただの修理工に出来ることなんざ限られてるさ。何にせよ明日には運ばれてくる。ただ俺達は仕事をこなすだけさ。」

 

長時間話し込んで、気が付けば夜になっていた。今夜はソラの家に泊めてもらった。ナンシーの特製ビーフシチューを頬張り、夕食後には皆で星を見た。その夜は、綺麗な満月だった。

 

 

 




翌日にFFMにMSが運ばれてきた。

それを見たダイチ達は驚愕する。

運ばれて来たのはあの伝説の…

次回『異変』

運命が変わる時は───

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