急に倒れ、体が透け始めてしまった友海と牡丹の二人。僕とカズマさんの二人で部屋に運ぶのであった。ちゃんと触れられるけど、こんな風に体が透けるのは一体……
アクアさんは部屋に運ばれ、眠っている二人のことじっくり見ていた。
「一体何が起きてるんだよ。何かの病気なのか?」
「こんな病気は聞いたことありません。ダクネスは知っていますか?」
「いや、私もこんな症状を見るのは初めてだ。一体……」
皆は何が起きているのか話していると、アクアさんは何かわかったのか僕の方を見た。
「この子達は病気じゃないわ」
病気じゃないって……それじゃ何が起きてるんだ?
「アクアさん、もしかして新手の呪いとかですか?」
銀がそう聞くとアクアさんは首を横に振った。
「この子達は病気でも呪いでもないわ。ただ存在が消えかけてる」
存在が消えかけてる?どういう事だ?なんで存在が……
「おい、アクア。わかりやすく説明しろよ」
「分かり易くって……カズマ、この子達は未来から来たっていうのはわかってるわよね」
「あぁ、こいつらがそう言ってた……けど………おい、それって……」
カズマさんも二人に何が起きているのかわかったみたいだ。それは僕も、ダクネスさん、めぐみん、銀もだ。
「そうよ。この子達が消えかけてるのは、この子達が生まれてくるという未来がなくなってきたということよ」
未来がなくなるって……それってつまり
「………友奈たちの身に何かが起きているのか?」
「そうとしか思えないわ。おまけにこの子達の存在が消えるって言うことは魂も消えてなくなっちゃうわ。リザレクションやエリスの所に行って新たな人生を送るなんてことも出来ない。本当に消えてなくなるということよ」
二人が………消える……
「どうしてこんな事が……」
めぐみんは牡丹の手に触れようとするが、透けて触れられなかった。さっき運ぶ時は普通に触れることが出来たのに……
「正直私では手におえないわ。出来るとしたら……」
「祈るって言うのか?女神のお前が誰に祈るんだよ!!」
「仕方ないじゃない。こういう時はもうどこかの神様にでも祈るしかないじゃない」
「…………みんな、ごめん。少し考えたい。二人のことを頼んだ」
僕はそう言い残して、部屋から出ていきある場所へと行くのであった。
銀SIDE
海の奴を追うべきかどうか悩んだけど、私は追えず友海と牡丹の二人のことを見守るしかできなかった。
「どうすればいいんだよ。二人を救うことは出来ないのか?」
カズマさんも必死に考えるけど、何も思いつかないでいた。そんな時めぐみんがある事を思いついた。
「あのそれでしたらユウナを助けに行けばいいんじゃないですか?そうすれば二人が消えかけるというのもなくなりますし……」
「そうか、ユウナたちを助けに行けば……それなら早速準備を……」
めぐみんとダクネスさんの二人が準備を始めようとした瞬間、カズマさんが止めに入った。
「無理に決まってるだろ!?どうやっていくんだよ」
「どうやってって、ウミの国は遠い場所にあるんですよね。それでしたら馬車とか使えば……」
「馬車とかで行けるような場所じゃないんだよ!!異世界だぞ」
「ちょっとカズマ!?」
カズマさんは禁句にしていた言葉を言ってしまい、咄嗟に口に手をやった。
「異世界って……どういうことですか?」
「いつもの冗談だろ?なぁ、カズマ、アクア………ギン?」
ここまで言ってしまったのならば話すべきだろうと思い、私はめぐみんとダクネスさんの目の前に立ち、
「冗談じゃないよ。私と海……勇者たちはこことは別の世界から来たんだよ」
海SIDE
僕はどうにかして二人を救う方法がないか考えるより、どうやって友奈のところへ行けるか考え、バニルさんの所にやってきた
「ほう、小僧よ。どうやら異変が起きたみたいだな」
「説明はいらないみたいだね。だったら教えてくれないかな?僕はどうすれば友奈たちのところへ行ける?」
「ふはははは、ならば一番手っ取り早い方法を教えてやろう。貴様は知っているはずだ。この世界は結界が張られ、あの使い共の進行を防いでいることを……」
「前は女神二人が、今は造反神がだろ」
「それだけではない。結界を万全なものにするために集合体がこの世界にあるものを植え付けたことを知っているであろう」
………この悪魔。それしかないのか?他に方法は……
「それが手っ取り早い方法だ。他の未来を知りたいか」
「知りたい……あるなら……」
「教えるわけ無いだろ。ふははははは」
僕の悪感情を食べられて嬉しそうにしているバニルさん。元々教える気はないって言うことか。もしくは僕が何か思いつくのを期待しているのか?
「分かった………それしか方法はないんだね」
「小僧、貴様が選んだ未来。どうなるかは楽しみにしておくぞ」
僕が屋敷に戻ってきたのは夜遅くだった。ある準備をするためにバニルから色んな道具を買った。出来れば誰も傷つけたくないし……
「友海……」
「………パパ?私………」
友海は僕の事を見て、笑顔になった。
「私………牡丹も………このまま消えちゃうのかな?」
「そんなわけ無いだろ」
「ねぇ……パパ、ママを助けて………」
こいつは、なんで自分のことより母親である友奈の事を助けてって頼むんだよ。
「友海、お前を助けるからな」
僕は立ち上がり、ある場所へと向かうのであった。その前に広間に手紙を残しておいた。もしものとき、カズマさん達に迷惑をかけないようにと思ってだ。
「………満開を使っていくか」
転送してもらえばいいのだけど、お金はもしもの時のために置いていく。それに満開を使って休んでいけば直ぐにでも……
そんな事を思いながら、街の外へと出るとそこには見覚えのある人物が待っていた。
「待っていたよ。海くん」
「………ひなたお姉ちゃん」
お姉ちゃんは巫女服を着て待っていた。何でこんな所にいるんだって聞かないほうがいいな。きっと僕がやろうとしていることに気がついている
「行くんだね。御神木を壊しに……」
「うん、御神木を壊して、結界に穴ができた瞬間、友奈たちがいる世界まで行く」
「………他に方法は?」
「あるかもしれないけど、でも考えている暇はないだろ。いつ二人が消えるかわからない」
「………カズマさんたちには相談しなかったの?」
「出来るわけないよ。皆を助けるために結界を破壊するなんて……」
僕がそう告げた瞬間、ひなたお姉ちゃんは涙を流した。
「結局この未来なんだね。それにカズマさん達も間に合わないみたいだし……海くん、結界を破壊したらどうなるかわかってる?バーテックスが進行してくるんだよ。この世界の住人達や勇者たちで何とか出来るわけないんだよ。それでも………」
「それでも……そうするしかないんだよ!!他に方法があるんなら教えてくれないか?」
僕は勇者に変身し、ひなたお姉ちゃんに白月を向けた。お姉ちゃんは懐からナイフを取り出し、僕に向けた。
「仮面の悪魔から貴方を止める方法は………殺すしかないって聞いたの……」
「………僕を殺せるのか?」
「…………私に残された選択肢はそれしかないみたいだから………」
ナイフを構えながらそう告げるひなたお姉ちゃん。お姉ちゃんは手を震わせていた。それはそうだ。人を殺すことなんて優しいお姉ちゃんに出来るわけない
僕はそっとひなたお姉ちゃんに近づいた。当て身か何かして気絶させれば、お姉ちゃんは罪を背負うことはない。これから先罪を背負うのは………僕だけでいい
「お姉ちゃん……ごめん」
僕がそう告げ、お姉ちゃんに当身を食らわせようとした瞬間、突然上から誰かが降ってきた。僕はお姉ちゃんを突き飛ばし、後ろへと下がった。
「やっと見つけた。海!!」
上から降ってきたのは、銀だった。銀がここにいるということは……
「お前も止めに来たのか?」
「あぁ、そうだよ。私達が止めに来たんだよ」
銀の後ろを見るとひなたお姉ちゃんを抱えるカズマさん、アクアさん、めぐみん、ダクネスさん、そしてクリスさんがいた。そうか……
「僕を止めるか………こういう時、言うべきセリフを言わせてもらうぞ。邪魔をするな!!」
「お前、何でそんな方法しか思いつかないんだよ」
「どうせあの悪魔にそそのかされたんでしょ」
「忘れたのか?自分で言ったことだろう」
「私は………撃てません」
「「満開!!」」
次回『決断した先の戦い』