この素晴らしい勇者に祝福を!   作:水甲

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113 絶望の鎮魂歌

あちら側では若葉さんたちが切り札を発動した。しかも若葉さんと友奈さんの二人は今まで見たことのない切り札だ。あれはもしかして……

 

「二人共、本気ということだったら……」

 

「そうだな。私達も……」

 

僕と銀は頷きあい、残っている大型バーテックスに向けて叫んだ。

 

「「満開!!」」

 

僕と銀は満開を発動し、無数にいる星屑もろとも大型バーテックスを倒していった。残っている敵の数も少なくなってきた。このままなら……

 

そう思った瞬間、突然バーテックスの動きが止まった。見ると無数の星屑や再生していた大型のバーテックス。扉を通ってきたバーテックスが一点に集まっていた。

 

「あそこに何が……」

 

「なぁ、海。すごく寒気がするんだけど……」

 

銀の言うとおり、僕も寒気が止まらなかった。もしかしてこれって……

 

「まずい!!すぐに止めないと!!借りるぞ!東郷!!」

 

僕は東郷の満開の砲台を取り出し、バーテックスが集まっている一点に向かって砲撃を放った。砲撃はその場所に来た瞬間、眩い閃光に包まれた。

 

「やったか!?」

 

「いや………当たる瞬間、防がれた気がする………」

 

砲撃が放った場所は煙に包まれていたが、そこから白い触手が伸びてきて、僕らに襲い掛かってきた。銀は巨大な斧で、僕は巨大な2本の刀で触手を切り裂くが……

 

「おいおい、あんな化物……あっちでも見たことないよ!!」

 

「あの世界でも一番の大きさだったのは、レクイエムっていうバーテックスだけど……こいつはそれ以上だ」

 

僕は端末を取り出し、奴の名称を確認した。そいつは蜘蛛の巣のような姿をし、その中心には御霊があり、下には無数の触手が動いていた。

 

「デスペア・レクイエムバーテックス。絶望の鎮魂歌か……」

 

「本気でやばいかもしれないね……」

 

銀は冷や汗をかきながら、目の前のデスペアを見つめた。こいつが現れた以上……奴らも決着をつける気なのかもしれない……

 

「銀……行くぞ!!きっとこいつを倒せば、僕達の勝利だ」

 

「あぁ」

 

僕と銀の二人はデスペアに接近していった。デスペアは無数の触手で僕らを近づけないようにしているが、僕らはその触手を切り刻みながら、向かうスピードを緩めなかった。

 

「借りますよ!!先輩!」

 

僕は先輩の大剣を取り出し、銀と共に同時に御霊に向けて攻撃をしようとした瞬間、突然空から無数の矢が降り注いだ。

 

「「うああああああああああああ!?」」

 

僕らは攻撃を受け、地面に堕ちかけたけど何とか踏みとどまり、攻撃してきた方向を見た。敵の姿はいない……だけど……

 

「まさかと思うけど、攻撃はどんな場所からでも出来るってことなの?」

 

「やばいな………それにさっきの攻撃……十二体のバーテックスの攻撃が全部できるのかよ」

 

デスペアは僕らの姿を見つけた瞬間、炎の塊を放ち続けてきた。僕と銀の二人は逃げながら対策を考えた。

 

「どうする?攻撃がどんな所でも出来るんじゃ……」

 

「攻撃しようとした瞬間に止められるしな……弱点が見えるのに……」

 

本当にどうしたものかと考え込んだ瞬間、デスペアは今度は巨大な炎の塊へと姿を変えつつあった。太陽みたいな姿になって……一気に神樹ごと僕らを殺すつもりか?

 

「はは、本当に絶望かもしれないな……」

 

「海……」

 

僕は諦めかけた。攻撃しようにもする前に潰されてしまい、前にレオバーテックスよりも巨大な炎の塊になった以上……止められるすべは……もう………

 

『パパーーー!!諦めないでーーーーー!!』

 

突然、聞き覚えのある声が聞こえてきた。僕は扉の方を見るとそこには須美とそのっちに支えられている友海と牡丹の二人がいた。

 

『諦めないでください!!あんな不気味な太陽に勇者は負けないはずです!!』

 

「友海……牡丹……」

 

『海くん、銀!?こんな所で倒れたら、みんなの頑張りが無駄になるんだよ』

 

『カイくん、ミノさん、最後まで頑張ろう………』

 

『そうだーーーー!!勇者なんだろう!!最後まで諦めるなーーーーーー!!』

 

『ここで諦めたら、ぶん殴ってやるからなーーーーーーー!!』

 

須美、そのっち、街のみんなの声が聞こえてきた。そうだよな。まだ諦められないよな………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カズマSIDE

 

皆がウミたちを応援する中、俺と近くにいた杏の二人でどうするか話し合った。

 

「敵は巨大……二人の満開では抑えきれません……」

 

「だけどよ。あの満開っていうのは二人しかできないんだろう。切り札を使ってるワカバ達もあっちにはいけないし……」

 

どうにか手がないかと考えるが、何も思いつかない。くそ、こういう時に何で何も思いつかないんだよ。

 

「……友奈ちゃん達が動ければ……抑えられるかもしれないのに……」

 

「つっても、あいつらは大怪我で動けないんだぞ。回復魔法を使えるやつが………」

 

俺は思わずアクアの方を見た。そうだ、こいつなら……

 

「おい、アクア……ここからユウナたちに回復魔法って……」

 

「カズマ、貴方バカね……女神であるこの私に不可能はないわ」

 

「よしだったら、あいつらにも手伝ってもらうぞ!!ウミもみんなと一緒に戦いたいって言ってたからな」

 

 




次回で最終決戦終了です
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