「ううん、ここは……」
「戻ってこれたのかな?」
気がつくとそこはアクセルの街近くの平原だった。私たちは戻ってこれたのかな?
「多分戻ってこれたんだよ。牡丹」
「本当かしら?」
「本当だよ。だってほら」
私が指差した方を見る牡丹。私が指差した場所は物凄く大きなクレーターだった。
「あれ、私が一番最初に爆裂勇者パンチを撃った場所だもん」
「というより練習場だったもんね」
過去に行ってめぐみん師匠の凄さを改めて知った。今の私じゃまだまだだ。いつかめぐみん師匠を超えられるようにならないと
「それじゃ私は帰るわ」
「帰るって、お屋敷に帰らないの?」
「パパからさっきメールが来てね。あっちの家に帰ってるんだって」
「そっか、牡丹。またね」
「うん」
私は牡丹と別れ、アクセルの街に戻るのであった。そういえば時間はあんまり流れてないみたいだ。あっちで過ごした時間分、こっちでも過ぎていたらきっとパパとママが心配するだろうな……
でも折角だから寄り道していこうかな
「お邪魔しまーす」
最初に立ち寄った所はウィズお姉ちゃんのお店だった。お店にはウィズさんが出迎えてくれた。
「あら、ユミさん。どうしたんですか?」
「えっと、ちょっと帰ってきたから顔を見せに……」
「顔を?えっとどこか行ってきたんですか?」
ウィズさん、覚えてないのかな?私と牡丹が過去で会ったことを……
すると店の奥からバニルおじちゃんが出てきた。
「ふはははは、誰かと思えばネタ魔法に惚れ込んだ娘ではないか。どうだった過去の旅は?」
バニルおじちゃんは私のことを見てすぐに何があったのか理解してくれたみたいだ。私は笑顔で答えた。
「楽しかったよ。昔のみんなと会えたし、昔のパパとママと一緒に戦ったり……パパが私達のことを助けてくれたり………楽しかった」
本当だったらパパの手助けをしないといけないと思っていたけど、逆に助けられることがたくさんあった。でも、行ってよかった……
「えっとバニルさん。ユミちゃんはあの時間から……」
「鈍い店主だな。つい先程戻ってきたみたいだ。さぁお前の帰りを待つものがいるのであろう。ここでいつまでも油を売っているな」
「うん」
私は急いで屋敷へと戻るのであった。でもちょっと残念なのがあの言葉を言ってもらえなかったのは残念だった。
屋敷に帰ると何故かカズマおじちゃんたちはアルバムを見ていた。
「ん?ユミ。出かけたばっかりなのにもう戻ってきたのか?」
「うん、おじちゃんたちは何見てるの?」
「これだよ。ウミとユウナの結婚式の時のアルバム」
カズマおじちゃんが見せてくれたのは結婚式の集合写真だった。だけど何故か写っている人たちみんなボロボロだった。
「この時は大変だったわね~おめでたい日だって言うのにカエルに飲まれるし」
アクアお婆ちゃんは体を震わせながらその日のことを思い出していた。何でお婆ちゃんとカエルって相性悪いのかな?
「おや、ユミ、もう帰ってきたんですか?」
「さっき出かけてきたばっかりなのに早いな。何かあったのか?」
するとめぐみん師匠とダクネスおばちゃんもやってきた。何だか過去から戻ってきたからか、ちょっと色々とびっくりするな……カズマおじちゃんはあの頃よりちょっと老けてるし、アクアお婆ちゃんは変わらない。ダクネスおばちゃんはあの頃よりもちょっと綺麗になったし……一番驚きなのが過去では私と身長が変わらなかった師匠が今では背も伸びて、髪も伸びてるせいかすごく大人のお姉さんという感じだ。ただ……お胸が……
「ん?ユミ、どうかしたんですか?私のことをじっと見つめて……」
「ううん、師匠はいつ見ても綺麗で格好良いなって思って……」
「ふっ、今更そんなこと言われても喜びませんよ」
「いや、喜んでるだろ」
何だか師匠とおじちゃんが口喧嘩し始めた。それにしてもこの二人っていつになったら結婚するんだろうな……付き合い始めてもう長いのに……
「ダクネスおばちゃん、二人はいつになったら結婚するの?」
「本当にそうだな。私が身を引いてすぐに付き合い始めるものだと思っていたけど、付き合い始めるまでかなり長かったからな……」
「というか結婚以前に夫婦みたいなものよね……」
おばちゃんとお婆ちゃんの二人は呆れながらも二人の喧嘩を見ているのであった。
本当はおばちゃんとお婆ちゃんは師匠とおじちゃんが付き合い始めたからという理由でこのお屋敷を出ていくつもりだったけど、でもカズマおじちゃんは仲間を追い出すことなんて出来ないと二人を説得し、こうしていつもの皆と一緒に住むようになった。だからかな、パパとママも……
「そういえばパパとママは?」
「ん?あぁ、ウミとユウナは買い物に行ってるぞ。何だかユウナが声が聞こえたとかで……」
「あの子の体、神樹が作った体だからね。たまに聞こえるんだよね……それにしても何のお祝いだったかしら?」
「お祝い?」
「二人してお祝いをするんだって言ってましたね。もしかして二人目が……」
「いやそれはないだろ。ここ最近あっちには帰ってないから……」
「おじちゃん、師匠、そういえば子供ってどうやって出来るの?」
「「「「………………」」」」
何故かカズマおじちゃん達、全員黙り込んでいた。私、変なこと聞いたかな?牡丹に聞いたら顔真っ赤にしてたし……
「あれ?友海、帰ってたのか?」
「早いね」
おじちゃん達が黙り込んでいると今度は銀お姉ちゃんとクリスおばちゃんが帰ってきた。もしかして仕事帰りかな?
「お、おぉ、ギン、クリス。ようやく帰ってきたか」
「全く大変だったよ。ギンさんが何度も罠にかかって……」
「あはは、でもその分回収出来たでしょ」
ギンお姉ちゃんとクリスおばちゃんは神器回収の仕事をしている。以前はパパとおじちゃんと組んでいたけど、いつの日からか二人が組むようになったらしい。そして神器回収を頑張っていたりしている。
「ユミちゃん、もしかして……そっか今日だったんだね」
クリスおばちゃんは何故か私のことを見て、懐かしんでいた。どうしたんだろ?
「そろそろ二人が帰ってくるよ」
「本当に?クリスおばちゃんはどうしていつも分かるの?」
「分かるよ。付き合いは長いし、それに好きだった人が帰ってくる空気が分かるから……」
クリスおばちゃんが笑顔でそう言った瞬間、
「「ただいま~」」
パパとママの声が聞こえた。私は急いで玄関まで行き……
「パパ、ママ」
とびっきりの笑顔で
「おかえり、そしてただいま」
これでこの素晴らしい勇者に祝福をは終わりです。まさか100話以上続くなんて思ってもいませんでした。
最終回は友海視点での未来のお話でした。カズマとめぐみんの二人が付き合っているというのは、個人的にこの二人のカップリングが好きだからです。
そして海と友奈の二人は未来でも幸せだったりします。
これで海の戦いは終わりですが、別小説での海の戦いはまだ終わっていません。