友海SIDE
めぐみん師匠とゆんゆん先生がアイリスお姉ちゃんを迎えに行っている間、私、牡丹、みゆの三人はギルドに来ていた。
「ルナさん、お久しぶり……なのかな?」
「あら、ユミさん、ボタンさん、それにみゆさんでしたね。どうかしたんですか?」
ルナさんは特に驚く様子がなかった。パパは昨日の内に冒険者の人たちやギルドの職員さんに色々と事情を話しておいてくれたらしい。
「えっとみゆの冒険者登録をお願いしたいんですけど」
「みゆさんの……大丈夫なんですか?」
「お姉さん、私がんばります」
みゆはそう言うと、牡丹もあることを言い出した。
「ここにずっといるってわけじゃないので、ちょっとした記念みたいなものなので……それにもしものときは私達がいますから」
「まぁお二人のことは以前来ていたときからわかっていますから、大丈夫ですよ。ではみゆさん、カードに名前と生年月日を、終わったらこれに手をかざしてみてください」
みゆは言われたとおりにやり、魔道具に手をかざすと……
「えっ!?えっと……」
ルナさんはステータスを見て驚いていた。どうかしたのかな?
「みゆさんって、えっと、別世界のウミさんの娘でしたっけ?」
「そうだよ。でもそこのパパは勇者じゃないらしいけど……」
「そ、そうですけど……その………」
ルナさんは物凄く言いにくそうにしていた。もしかしてステータスが低かったりするのかな?
「みゆさん」
「はい!」
「その貴方のステータスなのですが、全てがトップクラスなんです」
全てがトップクラスって……今の状態ですごく強いってこと?
「それにこれは……新たな職業が生み出されていまして、巫女勇者というものになっています」
「えっと、それって巫女のスキルと勇者のスキル、両方使えるということですか?」
「牡丹さんの言うとおりです。言うなれば新たな冒険者の誕生ですね」
「友海お姉ちゃん、私駄目だったの?」
「ううん、みゆは凄い子だってことだよ」
「私、凄いの……えへへ~」
あっ、何だか笑顔が園子おばちゃんにそっくりだ。やっぱり親子なんだね。
晴れてみゆは冒険者になったのだった。
めぐみん師匠との待ち合わせ場所で待ちながら、みゆがどんなスキルを覚えられるか見ていると……
「えっと、巫女スキルは全部覚えられて……勇者スキルは……あれ?牡丹」
「どうかしたの?んん?」
「どうしたの?お姉ちゃん」
みゆの覚えられるスキルは勇者……騎士などのスキルではなく、魔法系のスキルを覚えられるようになっている。みゆは近接系って言うより遠距離型の勇者みたいだ
「好きなスキル、覚えてみて、例えばばくれ……」
爆裂魔法を覚えてみたらと言おうとするが、みゆは首を横に振っていた。
「あれ、苦手……」
「そっか……」
「それ以外の魔法を覚えたら?スキルポイントで大体は覚えられるし……」
「うん」
みゆはほとんどの魔法系のスキルを覚えていく。するとめぐみん師匠がアイリスお姉ちゃんをつれて戻ってきた。
「ただいま戻りました。みゆは無事に冒険者に慣れたんですか?」
「はい、師匠。巫女勇者っていう職業です」
「巫女勇者って……ウミさんとひなたさんみたいな感じなの?」
「はい、でもスキル的にはアークウィザード寄りですね」
それでもやっぱりみゆは凄いな~
「みゆの冒険者登録も終わったことですし、では早速……」
師匠たちと一緒に私達は街の近くの湖にピクニックしに行くのであった
めぐみんSIDE
ゆんゆん、アイリス、ユミ、ボタン、みゆと私でピクニックに行き、みんなそれぞれ楽しんでいた。ユミとボタンも休暇としてきたのだからちょうどよかったかもしれない。
アイリスがメイドに作らせたお弁当も食べ終わり、みんな満足そうだった。
「って違う!!」
「ど、どうしたのよ。めぐみん」
「何か問題でも?」
「私達の本来の目的を忘れるところでした。今日はピクニックしに来たのではないです。盗賊団としての活動を……」
「めぐみん、もういいんじゃ……」
「駄目です。とりあえず拠点は昨日手に入れた別荘にするとして、今後活動していくのに、各地方に支部を作るため……いうなれば勢力を広げるためには先立つものが必要になります。なので、今日は資金集めと行きましょう」
私達は冒険者ギルドに行き、受付にいるルナに声をかけた。
「長期に渡って、安定して稼げつつ、なおかつ名声も得られる仕事をください」
「どこかでアルバイトしたらどうですか?」
「そんなのではなく、もっとこう街を脅かす存在を撃退し、代わりに守り代をいただくとかそんな仕事を……」
「以前そういった団体はありましたが、ある事情でなくなりましたね」
何故かゆんゆんは顔をそむけていた。その団体についてなにか知っているのかな?
とはいえ、ルナも何かしらないかと探していると、条件に見合った依頼があったみたいだった。