この素晴らしい勇者に祝福を!   作:水甲

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14 災厄

ベルディアとの戦いの最中、突然空が割れた。

 

僕やダクネスさん、カズマさんはもちろん、さっきまで戦っていたベルディアも空をみあげていた。

 

「何だ?アレもお前の仕業か?」

 

「一体何をするつもりだ!?」

 

カズマさんとダクネスさんは空が割れた理由が、ベルディアの所為では無いかと思っている。だがベルディアは……

 

「いや、俺たちの仕業ではない。一体何が……」

 

その時、割れた空から何かが出現した。それは白色の袋のような身体に、触手と巨大な口のような器官が備わっている生物。

 

それが何百体も現れた。

 

「こいつらは!?」

 

「ちょっとあの気持ち悪い奴らから神格的なものが感じるんだけど!?何アレ!?神みたいなものなの?」

 

アクアさんはその白い生物を見て、そんなことを言っていた。すると白い生物たちは集まっていた冒険者たちに襲い掛かってきた。

 

「な、何だこいつら!?」

 

「食われる!?」

 

一体こいつらは何なんだ?すると若葉さんとひなたさんが僕らにあることを伝えた。

 

「奴らが人類の敵バーテックスだ」

 

あの気持ち悪い奴らがバーテックス!?何で突然……

 

「ちょっと待って!バーテックスってこんな気持ち悪いやつじゃなかったよ!もっと大きいやつで……」

 

銀は自分たちが戦ってきたものと違うことを指摘するが、ひなたさんが首を横に振った。

 

「いいえ、同じなのよ。アレもバーテックスよ。もしかしたら長い年月をかけてバーテックスは勇者相手には進化体で挑むようにって思い始めたんじゃないのかしら?」

 

「よく分からないけど、どうするんだ?こんな数いたら……」

 

カズマさんがそう言った瞬間、何体ものバーテックスが倒されていった。よく見ると高嶋さんたちがバーテックスを倒していっている。

 

「カズマ、ここは私達勇者が対応する。お前たちは町の人達の避難を頼む」

 

確かにバーテックスとの戦えるのは勇者しかいないみたいだ。

 

「分かった!ダクネス!」

 

「仕方ない……頼んだぞ」

 

「魔王軍幹部、戦いは中止だ。去るなら勝手にされ」

 

「ふん、戦いに水を差されたのだ。俺も一緒に戦わせろ」

 

「……勝手にしろ!海、銀行くぞ」

 

「うん」

 

若葉さんと銀の二人がバーテックスに立ち向かおうとしたが、僕はその場から動けないでいた。

 

「どうした?いや、無理もないか……初めてバーテックスを見たのだからな」

 

「海もカズマさんたちと一緒に避難してたほうが……」

 

後にカズマさん、ダクネスさん、銀、若葉さん、ひなたさんはこの時の僕の様子を語った。

 

バーテックスと初めて遭遇したのだったら、まずは怯えたりするだろうけど、僕は笑っていたと……

 

「ようやく……」

 

確かにこの時の僕は笑っていたのかもしれない。だって、そのっちや東郷……須美が傷だらけになりながら戦い、銀を殺し、友奈たちに辛く、悲しい日々を見せ続けた奴らとようやく出会えたんだ。

 

僕は二本の刀で迫り来るバーテックスを切り裂いていった。

 

「ようやく、お前たちと出会えたなバーテックス!!」

 

バーテックス二匹が大口を開けていた。僕を食べるつもりか?

 

僕は二丁の短銃を取り出し、バーテックスの口の中に銃弾を撃ち続け、バーテックス二匹はそのまま地面に落とされた。

 

「食い殺すつもりか?だったら無理だな!!」

 

今度は樹の武器を取り出し、ワイヤーでバーテックスを切り刻んでいく。更に大剣を取り出し、大きく振った瞬間、バーテックスが真っ二つにされていく。

 

「あはははははははははははは!!全部、全部ぶっ殺してやる!!」

 

僕は笑いながら、迫り来るバーテックスを倒していくが、突然バーテックスが一箇所に集まり始め、みるみる内に姿を変えていく。

 

「うわ、あいつって確か……」

 

「うん、私と珠ちゃん先輩を殺した……」

 

現れたのはサソリ型のバーテックス。サソリ型は巨大な尻尾を使い、僕を吹き飛ばした。

 

吹き飛ばされた僕はそのまま近くにあった岩に激突し、血を吐いた。

 

こんな痛み、彼女たちに比べたら……

 

僕が立ち上がろうとしたが、上手く立ち上がれない。

 

「こんな痛み……」

 

何とかして立ち上がろうとした時、僕の前にクリスさんがいた。

 

「ダメだよ。そんな気持ちで戦っちゃダメ」

 

「どいてくれないかな?奴らを……倒さないと……」

 

立ち上がろうとした瞬間、クリスさんが僕のことを抱きしめた。

 

「そんな恨みや憎しみで戦おうとしないで下さい!そんな気持ちで戦い続ける人を勇者なんて呼びません!ウミさんの知る勇者たちはそんな風でしたか!?」

 

クリスさんは泣きながら言っていた。確かに彼女たちはそんな風に戦っていなかった。

 

人々を守るために必死になっていた。

 

僕は憎しみだけで戦おうとしていた。そんなの勇者と言わない

 

「………クリス……エリスさん、下がっていて下さい!もう大丈夫ですから」

 

僕は笑顔でそう答えた瞬間、クリスさんも笑顔で頷いてくれた。

 

僕は友奈の鉄甲を装備し、迫り来るサソリ型の尻尾を殴って弾いた。

 

「借りるぞ!友奈!」

 

僕は迫りくる尻尾を避けながら、サソリ型に接近していく。奴もそれに気がついているのか僕に接近させないように攻撃を仕掛け続ける。

 

「邪魔くさい尻尾だな!」

 

ベルディアとの戦い、さっきのダメージで身体が思うように動かない。一気に片を着けないと……

 

そんな事を考えた一瞬、僕に向かって尻尾の針が迫ってきた。

 

(まずい!?回避が!?)

 

避けれない、そう思った瞬間、ベルディアが僕の前に出た。尻尾の針はベルディアの腹部を貫いた。

 

「ベルディア!?」

 

「小僧!この尻尾は俺が抑えておく!俺達の戦いに水を差した奴をぶっ倒せ!」

 

漫画とかで見た敵と手を組んで、強敵を倒すって奴。こういう事って本当にあるんだな。

 

僕は尻尾の上を駆け抜け、サソリ型の頭上まで跳び上がり、拳を構えた。

 

「勇者パァァァァァァンチ!!!」

 

僕の拳がサソリ型の頭を砕いた瞬間、サソリ型の中から逆四角錐型の何かが現れた。アレがコアなら破壊しないと……

 

だけど次の瞬間、

 

「エクスプロージョン!!」

 

眩い閃光がコアを包み込んだ。今のってまさか……

 

「ワカバ達がアンデットナイトを倒してしまい、爆裂魔法を放つタイミングを逃しましたが、美味しい所用意してくれてありがとうございます!」

 

めぐみんが倒れながらそう言っていた。今のでコアが破壊できてるし、どれだけ爆裂魔法って凄いんだ?

 

残されたバーテックスは割れた空の中へと戻り、元の空に戻った。

 

「終わったのか?」

 

正直このまま倒れ込みたいけど……僕は目の前にいる腹部に穴が空いたベルディアを見つめた。

 

「互いに傷だらけだな」

 

「このまま引いてくれたら助かるんだけど……そのつもりはないだろう」

 

「あぁ、決着をつけよう」

 

ベルディアは大剣を構え、僕は生太刀を構えた。

 

「おいおい、あいつら去ったっていうのにお前、まだ戦うつもりかよ!」

 

「カズマ、ウミも、あのベルディアという者も決着を着けたいといけないと思っている。口出しはしないほうが良いぞ」

 

カズマさんが渋々納得した。ごめん、迷惑をかけて……

 

互いに構えたまま動かない。この勝負は一瞬で決まる。

 

辺りが静まり返り、誰かの汗が地面に落ちた瞬間、僕たちは同時に動いた。

 

「「ハアアアアアアア!!」」

 

互いの位置が変わり、僕らは武器を構えたまま動かなかったが、僕の右肩から血が吹き出し、僕は地面に膝をついた。

 

「…………小僧。貴様の名を教えてくれないか?」

 

「………讃州中学勇者部所属、上里海!勇者だ!」

 

「その名、俺の魂に刻んでおこう。いい冥土の土産が出来た」

 

ベルディアの身体砕け散っていく中、ベルディアは避難していたアクアの方を見た。

 

「そこのアークプリーストよ。俺を浄化しろ………」

 

「あんたみたいなアンデットに頼まれなくたって、やってあげるわよ!セイクリッド・ターンアンデット!!」

 

浄化の光に包まれ、ベルディアは消えていくのであった。僕はベルディアの最後を見届けると、意識がそこで途絶えるのであった。

 

 

 




バーテックスとの初戦闘、ベルディアとの決着でした。
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