神戸更地計画……というべきか。神戸の街の調査も一段落し、街があった場所は更地に変わっていた
「ねぇ何というか……これやりすぎじゃない?」
「先輩……僕もちょっと提案した身としてはやりすぎたなと思っています」
新しく建て直すためとはいえ、これは本当にやりすぎたかもしれないな。めぐみんと友海はというと満足そうな顔をしていた。
「これはいいですね……」
「うん、でも満足……」
「お~い、神戸はこれで大体調査終了だろ」
カズマさんがテントを設置しながら僕に声をかけてきた。確かに調査完了というべきだろうし……明日からは別の場所を目指していかないとな。
「にしても……未来で変な影響とかないんだろうな……」
「はい、色んな街は建て直していっていますから……とはいえまさかこんな理由があったとは……」
牡丹もある程度のことは知らされてはいたみたいだけど、本当に自分たちがこうやって関わるとは思ってなかったみたいだな
それから僕らは夕食の準備を進めて行くことになった。爆裂魔法の影響で動物たちに影響がないか心配していたが、特に住処とかに影響はなさそうだった。それにしたって……
「ねぇ、カズマさん」
「何だ?ウミ」
「僕らの場合はレベルでの能力向上がこっちでも扱えるって感じだよね」
「そうだな。魔法とかスキルとか使えるしな」
「あんまり気にしないようにしてきたけど……僕らって熊とか普通に倒せるようになってるなんてね」
「あぁ……俺もビックリだよ。普通素手で熊を倒すなんて……いやまぁ魔物に比べたらって言ったらお終いだけどな……」
僕らの今日の夕食は熊の肉を使ったものだった。くさみが強いらしいけど、そこら辺は料理スキル持ちのカズマさんの力のためか美味しくいただける……本当に普通の世界だとチート能力持ちだよな……僕らって
みんなが寝静まる頃、僕、友奈、クリスさん、カズマさんで見張りをすることになった。
「明日から別の場所に移動か~何というか私達、世界を支配しようとする侵略者みたいだよね……あはは……」
「クリス、やめとけ。目が笑ってないぞ……」
「でも……こうして崩壊した世界を見ていくのって……ちょっと辛いよね」
友奈は悲しそうにしながらそう言った。確かにこんな風に見て回るっていうことはしたことなかったけど……結構辛いよな……
「だけど未来では世界を元の形に戻そうと頑張ってるんだろ。だから今の僕たちは目を背けずに頑張っていかないと……」
「そうだね……」
友奈は悲しそうに笑った。本当に頑張らないとな……
するとカズマさんがあることを思い出し、僕らに聞いてきた。
「そういえば話が変わるんだけど……お前らって新婚旅行って行ったのか?」
「新婚旅行?」
「そういえば……」
「ウミさん、ユウナさん、まさか行ってないんですか?駄目ですよ!結婚しているんですから!」
いやそうは言うけど……
「何というか結婚した後……いろいろとあって……」
「うん、別世界のことや今回のこととか……海くん、忙しかったし……」
「だとしてもだ。そういうのはちゃんとやっておいたほうが良いぞ」
「そうだよ。女神様二人に祝福されたんだから、やらないと天罰が下るよ」
クリスさんが言うとなんと言うか脅しに聞こえるのは気のせいかな?でもやるべきだよな……
「そうと決まったら……ちょっと待ってろ」
カズマさんはテントの中に入り、誰かに声をかけた。するとカズマさんはひなたお姉ちゃんを連れてきた。
「なんですか~まだ寝ていたいのですが……」
「悪い。ひなた、聞いてくれよ。実は……」
カズマさんはお姉ちゃんに事情を説明すると……
「それは由々しき事態ですね……海くん、友奈さん。これは一刻も争うことです!」
そんなに重要なことなのか?
「お二人はあちらに戻り、即刻新婚旅行に行って下さい。調査の方は私達がやっておきますから」
「で、でも……」
「そうだよ。ちゃんと……」
「大丈夫だ。俺たちに任せておけって……」
「女神様に頼み込んで……」
「はい、事情はわかりました」
いつの間にかクリスさんからエリスさんに変わっていた。何でこの人達はこんなに乗り気なのだろうか……
「お二人にはやるべきことをやって頂くために……転送しますね」
エリスさんが指を鳴らした瞬間、僕と友奈の二人は白い穴に吸い込まれていくのであった。
壁の調査編は今回で終わり……次回新婚旅行編になります。
調査編は書いている内に、物凄く二人をいちゃつかせたくなってしまい、今回で終わりという形に……
新婚旅行編で短編も終わりですが、頑張って甘々にしたいと思います