エリスさん……というよりクリスさんと一緒に訪れた場所はこの街のギルドだった。
「ここで冒険者登録できます」
「ん、あぁ、わかりましたけど……お金とか大丈夫なんですか?」
「それでしたら、ポケットの中を見てみて下さい」
ポケットの中を探ってみると見覚えのない袋が入っていた。
中身を見てみるとお札やら小銭が入っていた。
「転生者にはある程度の資金を渡してあるんです」
確かにある程度のお金がないと餓死してしまう。
「えっと、冒険者登録する場所は……」
「あちらですね」
指を指した方を見ると受付のカウンターがあった。
「ルナさん、こんにちわ」
「あら、クリスさん。今日はどうしたんですか?」
「ちょっと冒険者登録したいって子がいてね。その子の案内をしてるんだよ」
何だかクリスさんとしての口調で話しているのを聞いていると、違和感しか感じない。
まぁ文句を言ってもしょうが無いか
登録料の1000エリスを渡した。エリスさんってこの世界の通貨の名前にもなってるんだ……
「それではこちらのカードに名前、性別を書き込んでください。記入が終わりましたら、こちらの魔法具に手をかざしてください」
言われるまま渡されたカードに触れ、受付の女性に渡した。
「ウエサトウミさんですね。えっとステータスは……はい?」
「どうかしました?」
「筋力、生命力、器用度、敏捷性、知力が平均以上ですよ!魔力と幸運は低いですが……それでもすごい数値です」
まぁ、色々と頑張ったからその成果が出てるんだと思う。
魔力とかってどう鍛えればいいかわからないけど……
「幸運は特に必要はないですけど、ある程度の職業ならなれますよ」
受付の人からリストを見せてもらうと、かなり見覚えがある文字がかかれていた。
「あの、この勇者という職業で……」
「勇者ですね。勇者になれる方がワカバさん達以外にもいるとは思っていませんでした!?」
ワカバ?何だか聞いたことがある名前なんだが……
「これで登録完了です。ようこそ冒険者ギルドへ、スタッフ一同、今後のご活躍を期待しています」
そんなこんなで冒険者登録が終わるのであった。
登録が終わり、クリスさんにある場所に案内された。
「ここでクエストの受けられるから、何かしらのクエストを受けてみたら」
とは言っても、どんなクエストを受けるべきか悩むところだけど……
「クリス、どうしたんだ?こんな所で……」
するとクリスさんが騎士みたいな人に声をかけられていた。
「あぁ、ダクネス。ちょっと新しく冒険者になった子に指導をしてるんだ」
「そうか……にしてもクリス。何だか前に会ったときより凄い神聖な感じがするのは気のせいか?」
「えっ!?そ、そんなことないけど……ダクネスの気のせいじゃない?」
「ならいいが……」
なんか女神だって危うくバレそうになってなかったか?
ダクネスって人は僕の方を見ると、
「私はダクネス。職業はクルセイダーだ」
「僕はウエサトウミ。ウミでいいよ」
「ウミか。何のクエストを受けようか悩んでいるみたいだな。それだったら、これなんかどうだ?」
ダクネスさんが見せたのジャイアントトード討伐のクエストだった。
聞いてみると初心者には結構おすすめなクエストみたいだ。
「それじゃこれにしてみるか」
「早速行って……」
クリスさんと一緒に行こうとした時、ダクネスさんがクリスさんの肩を掴んだ。
「クリス、お前のことを探していた奴がいたぞ」
「あ、そうだった……誘われてたんだっけか……えっと」
「約束があったなら先にそっちの方行ったら?最初は一人でやってみたいし……」
「う、うん。ごめんね」
クリスさんはダクネスさんと一緒に何処かへ行くのであった。
その時のクリスさんは何だか申し訳無さそうだった。
町の外へ出ると巨大なカエルがいっぱいいた。
「こっちじゃこれが普通くらいだったら嫌だな……」
そう呟きながら持っていたスマホを手にし、画面に映された沈丁花の紋章に触れると、僕の姿は制服から白い衣装に変わり、手には白い刀が握られていた。
「武器は刀か……それだったら……」
僕の変身に驚いたのかジャイアントトードがこちらに向かってきた。僕は迫りくるジャイアントトードの横を通り過ぎた。
その瞬間、ジャイアントトードは真っ二つに切り裂かれていた。
「刀だったら居合だよな」
更に迫りくるジャイアントトードを僕は一気に切り裂いていった。
気がつくと辺り一面血で染まっていた。
「やりすぎたな……とは言え目標数は達成してるしいいか……」
一旦街に戻ろうとした時、僕と同じようにジャイアントトードと戦っている二人組を見つけた。
だけど何だか一人、カエルに飲まれてない?
ここは助けるべきと思い、僕は助けに向かうのであった。
「わ、悪かったな。助けてもらって……」
茶髪にジャージの男がお礼を言うと、カエルに飲まれてぬるぬるになった水色の少女は泣いていた。
「ふええええ~」
「いい加減泣き止めってアクア。俺はサトウカズマ。こっちのぬるぬるになっているのはアクアって言うんだ」
「僕はウエサトウミ。ウミでいいよ」
自分の名前を告げた瞬間、何故かアクアさんは泣き止んだ。
「ねぇ、ウエサトって言った?あんた、先祖か祖母とかにウエサトヒナタって人いない?」
「確か先祖がそんな名前だった気がするけど……」
「やっぱり、何となく面影もあるし、そうじゃないかって思ったのよね。なにせあの三人はかなり特例中の特例で来たわけだし……」
何だかぶつくさ言ってるけど、この人大丈夫か?
「カズマさん、この人きっと頭かどこかぶつけたと思うんで病院かどこかに……」
「あぁ、そうだな」
「ちょっと待ちなさいよ!!私は頭なんておかしくなってないし!」
僕らはここで会ったのも何かの縁ということで、一緒にギルドへ行くのであった。
ギルドに戻るとクリスさんが戻ってきていた。
「おかえり~どうだった?」
「特に問題はなかったけど、頭のおかしい人にあったかな?」
「頭のおかしい人?」
「うん、水色の髪の人で、ここに帰る間ずっと自分が女神とか言ってたけど……」
突然クリスさんは冷や汗をかいていた。もしかして知り合いなのかな?でも、クリスとしてなのかエリスとしてなのか?
「これからご飯に誘われてるけど、一緒に……」
「ご、ごめん、私は先に帰るね。宿の場所教えておくから……」
クリスさんはそそくさと去っていった。何だか嫌な先輩だったりとかするのかな?
カズマさんと合流し、一緒に食事をすることになった。何故か僕のおごりだけど気にしなくていいか
「「「かんぱい!」」」
シュワシュワと呼ばれる飲み物を飲みながら、食事を取っているとアクアさんがあることを言い出した。
「そういえばあんたの持ってる武器って生太刀よね」
「「生太刀?」」
「知らないの?スサなんとかって奴が使っていた武器よ。それを使ってたのってワカバだけだったかしら?」
またワカバの名前……本当に聞いたことがあるんだけど思い出せない
「おまけに特典が勇者を選んだんでしょ」
特典のこと知ってるということはこの人、女神とかだったりして……まさかね
「にしては同じ武器を使えるなんて……変わった勇者ね」
アクアさんがそんなことを言うと、僕はちょっと気になり冒険者カードを見ると……
「これって!?」
冒険者カードに書かれているスキル一覧に、彼女たちの使っていた精霊の名前が書かれていた。
これは一体どういうことだ?