この素晴らしい勇者に祝福を!   作:水甲

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20 機動要塞

いつもの日課である鍛錬を街の外でやり終え、僕は地面に倒れ込んだ。

 

「今日の日課終わり!」

 

さて今日はどうするんだろうな?クエストに出かけるならそれでもいいし、出かけないならクリスさんの手伝いをするのもいいかもしれない。

 

「……休憩中?」

 

何をするか考え込んでいると千景さんが僕の顔を上から覗き込んでいた。

 

「珍しいですね。僕に話しかけるなんて……」

 

僕は起き上がり……というかいくらタイツを履いてるからって言っても、パンツが見えそうだったから、起き上がった。

 

「別に……ただ見かけたから」

 

「街の外でですか?」

 

僕がそう言うと千景さんは顔を背けた。あんまり怒らせないほうがいいかもしれないな

 

「毎日やってるの?」

 

「はい、こっちに来る前からの日課みたいなものですから……」

 

「貴方は勇者になれなかったのに、どうしてそこまで頑張っていたの?」

 

いきなりそんなことを聞いてきたけど、何か気になることでもあるのかな?

 

「勇者になれなかったからって、頑張らない理由にはならないですから……身体を鍛えること、誰かを支えることだって出来る、誰かを助けることだって出来る」

 

それにもしかしたら奇跡の力で勇者になれたかもしれない。僕はずっとそう思い続けていたんだ。

 

「………そう、ねぇ聞いてもいい?」

 

「何をですか?」

 

「勇者が敗北した時、人々にひどいことを言われ続けたらどうする?自分たちが必死に戦っているのに、人々が私達に非難を浴びせ続けたらどうする?」

 

それって、前に上里家の本で読んだ覚えがある。勇者が二人死んだ時、今まで勇者たちを応援してきた人々が、手のひらを返すように非難をし始めたって……

 

「僕だったら……それでも戦い続ける。戦い続けて非難の言葉なんてかき消してやる」

 

どんな非難を浴びようが関係ない。僕だったら戦い続けて、もう一度人々に認めてもらう。

 

「貴方ならそう言うと思ってた……」

 

「千景さんだってそうするんじゃないのかな?」

 

何気なくそう言うと、千景さんは俯いていた。あれ?なんか聞いちゃいけないことでも聞いたのかな?

 

「私は……そんな風に考えられなかった。そんな風に……」

 

千景さんが何かを言いかけた瞬間、突然街の方から警報が鳴り響いた。僕と千景さんの二人は急いで街に戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

街に戻り、警報の理由を知った。どうやらデストロイヤーがこの街に迫ってきているということだった。

 

デストロイヤーって確かメチャクチャ凄い機動要塞じゃなかったっけ?

 

僕は屋敷に戻ると……

 

「逃げるのよ! 遠くへ逃げるの!」

 

「もうジタバタしたって始まりませんよ。住む場所も全てを失うなら、もういっそ魔王の城にカチコミにでも行きましょうか」

 

アクアさんは大慌てで荷物をまとめ、めぐみんは落ち着いた様子で座っていた。

 

「どうしたんだお前ら。何だこの状態は? 緊急の呼び出し受けてるんだぞ、装備を整えて早く行こうぜ」

 

カズマさんは何がなんだか分からずにいた。するとアクアさんとめぐみんの二人がデストロイヤーについて語った。

 

機動要塞デストロイヤーは元々対魔王軍用の兵器として、魔導技術大国ノイズで造られた超大型のゴーレム。魔法に強い結界が張ってあり、デストロイヤーが通ったあとは何も残らないと言われるほどだった。

 

「正直デストロイヤーに立ち向かうのはかなり危険だよ」

 

クリスさんも思いっきりあきらめモードだし……これはどうしたものか?

 

するとダクネスさんと銀の二人が準備万端で二階からおりてきた。

 

「……遅くなった! ……ん、どうしたカズマ。早く支度して来い。お前ならきっとギルドへ行くんだろう?」

 

「デストロイヤーが相手だからって私たちにもまだ何かしら出来るからね」

 

「おいお前ら、こいつを見習え! 長く過ごしたこの屋敷とこの街に、愛着は無いのか!ほらギルドに行くぞ!」

 

僕らはギルドへ向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギルドへ行くと数多くの冒険者が集まっていた。その中に若葉さんたちもいる。するとルナさんがデストロイヤーについて説明を始めた。

 

「それでは説明させていただきます。機動要塞デストロイヤーは元々対魔王軍用の兵器として、魔導技術大国ノイズで造られた超大型のゴーレムです。国家予算から巨額を投じられて造られたこの巨大ゴーレムは、外観は蜘蛛のような形状をしています。小さな城くらいの大きさに加え魔法金属がふんだんに使われ、外見に合わない軽めの重量です。さらに巨大な8本の脚で馬をも超えるスピードを出します。特筆するのは、その巨体と進行速度です。凄まじい速さで動くその脚に踏まれれば大型モンスターとて挽肉にされます。そしてその体にはノイズ国の魔導技術で作られた強力な魔力結界が常時張られています。これにより魔法が効きません。魔法が効かないので物理攻撃しかないのですが...。接近すると引き潰されます。かと言って弓や投石機などの遠距離攻撃はゴーレムの体が金属なのでそもそも効かないです。さらにゴーレムの胴体部分には空からのモンスターに襲われないために対空砲や自立型のゴーレムが小型のバリスタなどで撃ち落とし、戦闘用のゴーレムが胴体部分の上に配備されております」

 

下手をすればバーテックスより厄介なんじゃないのかな?

 

「それではご意見どうぞ」

 

一人が手を挙げ質問をした。

 

「あの、そのノイズ国ってのはどうなったんですか?」

 

「デストロイヤーにより真っ先に滅びました。なので弱点を知りません。他には?」

 

「巨大な落とし穴を作って上からフタをするとか?」

 

「すでにやりましたが、上からフタをする間も無くジャンプして失敗しています」

 

あーでもこーでもないと会議が続く中、僕はあることを思いついた。

 

「アクアさん、デストロイヤーの結界って破壊できたりしない?前に魔王城に結界も破壊できるって聞いたけど」

 

「まぁ、出来ると思うわよ。確約はできないけど……」

 

アクアさんの言葉を聞き、周りの冒険者が大声を上げていた。もしかしたらデストロイヤーを何とか出来るかもしれないという希望が出てきたのだ。

 

「でも、結界を破壊しただけじゃダメなんじゃないのかな?」

 

クリスさんがそう言うとまた話し合いが始まろうとした。すると杏さんがあることを告げた。

 

「あの、結界を破壊できたら魔法での攻撃が効くんじゃないんですか?それだったら、めぐみんちゃんの爆裂魔法で……」

 

杏の言葉を聞き、全員がめぐみんの方を見た。めぐみんは俯いていた。

 

「わ、我が爆裂魔法でも、全部の足を破壊できるとは……」

 

流石に一人じゃきついか。もう一人くらいいれば良いんだけど……

 

するとギルドの扉が突然開いた。

 

「す、すいませ〜ん!遅れました〜!ウィズ魔道具店の店主です。一応冒険者の資格を持ってるので私もお手伝いに……」

 

やってきたのはウィズさんだった。ウィズさんのことを見てその場にいた全員が歓迎の声を上げていた。どうやらウィズさんはこの街ではすごい有名人みたいだ。

 

しかも昔は凄腕のアークウィザードだったとか……ん?アークウィザード?

 

「ウィズさん、爆裂魔法って撃てる?」

 

「はい、撃てますよ?」

 

「なら勝てる算段はついた!今から作戦を言うぞ!」

 

カズマさんがそう言うとギルドが静かになる。

 

「まずはアクアが結界を破る。その次にめぐみんとウィズが爆裂魔法を脚に打ち込む。これだったら……」

 

「待って、もしも結界を破壊できたとしても、爆裂魔法が外れるかもしれない。そういう回避行動を持っているかもしれない」

 

「じゃあ、どうするんだよ!?」

 

「結界を破壊した後、僕がデストロイヤーの動きを止める」

 

僕の言葉を聞き、その場にいた全員が驚きの声を上げていた。流石にすごい力を持っていても、デストロイヤーの動きを止めることなんて出来っこないって思われてるんだけど……

 

「僕の特典にはまだ見せてないものがあるんだ。それを使えば何とか出来るかもしれない」

 

そう、満開を使えばデストロイヤーを止められることだって出来る。

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