デストロイヤーとの戦いが終わった夜、僕はある異変に気がついた。それは右目の視力がなくなっていることだった。
左目は普通に見えているのに、右目だけは何故か真っ暗だった。
「これは……先輩みたいな後遺症だな」
僕はため息をつき、この事を隣の部屋にいるクリスさんもといエリスさんに相談した。
「右目が見えないですか?」
「はい、全く見えないですね」
「おかしいですね。後遺症は貴方が知っている後遺症みたいなことは起きないと思っていたのですが……すみません。私がもっとしっかりわかっていれば……」
落ち込むエリスさん。別に今回の件についてはエリスさんは何一つ悪くないのに……
「あの気にしないでください。治らないと決まったわけじゃないですから……」
「それは……そうですけど……」
「アクアさんにも相談してみますよ」
僕はエリスさんの部屋をあとにするのであった。部屋を出る前にエリスさんが小さな声で「ごめんなさい」と呟いたことに僕は気が付かなかった。
アクアさんの部屋を訪ね、エリスさんに話したことを話すと……
「う~ん、その後遺症だったら治るわよ」
「本当ですか?」
「えぇ、ウミのあの満開ってやつは、普通だったら神に供物としてあげちゃうじゃない。でも、ウミやワカバたちの勇者システムは私やエリスが作ったものよ。その右目の後遺症は一日立てば治るし、切り札を使っての肉体疲労や精神汚染なんかもすぐに元に戻るようにしてるから大丈夫よ」
それを聞いて、少し安心した僕。すぐ治るならあんまり心配しないほうがいいな
「でも、油断は禁物よ。強すぎる力はいずれ自身の体を蝕むわよ。特に満開は一日一回にしときなさい。二回使ったら、戻るものも戻らなくなるわよ」
「わ、分かりました。それと聞きたいんですけど、この黒陽ってなんですか?」
僕はスキル一覧に刻まれた黒陽の文字を見せた。するとアクアさんは冷や汗をかいていた。
「な、何であんたのスキル一覧にこの子がいるのよ!?」
「どういうことですか?」
「その子は私やエリスみたいな神様が作った精霊よ。ほら、百鬼夜行って知ってるでしょ」
百鬼夜行って、妖怪の群れのことだよね。最後に太陽に焼かれて消えるっていうやつじゃ……
「その子は百鬼夜行の最後に現れる太陽を、妖怪の主だったらって言う感じで作った精霊よ。その力は全ての能力を使用できるってやつなんだけど……もしかしたらウミの勇者の力はその子が力を貸してくれてるみたいね」
ということはかなり強力な精霊じゃないのかな?普段はみんなの武器を使えて、満開時には黒陽の力で満開したみんなの武器を使えるって……チートすぎるだろ
「とりあえず治るってわかったんで、今日はありがとうございます」
「それと私が言うことじゃないけど、案外エリスの奴、あんたのその右目について思い詰めてたりするんじゃないかって思うのよ。あの子自身、後遺症については詳しくは知らないから、気にかけてあげなさい」
「はい」
僕はアクアさんの部屋をあとにし、再度エリスさんの部屋に入り、アクアさんに聞いた話をした。
「そうだったんですか……すみません。あんなに思い詰めたりして……」
「いえ、知らなかったから仕方ないですよ。本当に気にしないでください」
「でも、ちゃんと知っていれば……」
まだ思いつめるかこの女神様は……
僕はため息をつき、エリスさんの額にデコピンを喰らわした。
デコピンを喰らったエリスさんは額を抑えながら、僕のことを見つめていた。
「本当にこれ以上気にしていると怒りますからね。今回の件は僕が自分で使おうと思って満開を使ったんです。悪いのは僕なんですから……」
「あ、で、でも……」
「それに僕はここでの後遺症を知っていても、満開を使っていましたよ。誰かを守るためにね」
僕は笑顔でそう言うと、エリスさんはため息を付いた。
「誰かを守るためにまずは自分の事も守ってからにしましょうね。じゃないと私、心配でしょうが無いですから」
「あはは、分かりました」
次の日、目が覚めた頃には右目の視力は元に戻っていた。こうして後遺症の問題については解決したのだが…………
僕は朝の鍛錬を終わらせ、屋敷に戻る途中のことだった。
「海くん…‥……?」
誰かに呼ばれ、振り向くとそこにいたのは……
「ゆう……な?」
どうして平穏な日常を歩んでいるはずの友奈がこの世界にいるんだ?
結城友奈の登場で終わりでした。