僕は戸惑いを隠せないでいた。どうしているはずのない友奈がこの世界にいるんだ?でも、少し考えてみるとある考えに行き着いた。
「友奈さんか……どうしたんですか?」
そっくりだから思わず友奈と勘違いしてしまったんだな。うん、僕はどれだけ友奈に会いたいんだよ全く……
「友奈さん?どうして急にさん付けなの?」
「いや、ちょっと前から名前で呼ぶようにしたじゃないですか。忘れたんですか?」
「どういう事?海くん、私の事ずっと名前で呼んでたよね」
これはどういう事だ?会話が噛み合わない。もしかして友奈さんに何かあったんじゃ……でもそれだと若葉さんたちが教えてくれるはずだし……
すると別の道から来た人物が僕に声をかけてきた。
「海くん~そんな所で立ち止まってどうした………の?」
声をかけてきたのは友奈さんだった。ん?友奈さんが二人?友奈さんも最初に声をかけてきた友奈さんを見て驚いてるし、こっちの友奈も友奈さんを見て驚いてるし……あれ?何だかよくわからなくなってきた。
「「えっ?えっ?私がもう一人?」」
二人の友奈さんが同時にそう言うのであった。というかもしかしてこの友奈さん(最初に声をかけてきた方の)は僕がよく知る友奈じゃないのか?
「えっと結城友奈だよな?」
「そうだよ!?」
どうして友奈がこの世界にいるんだ?とりあえず一度屋敷に戻り詳しい話を聞かないと思い、友奈と友奈さんを連れ、僕は屋敷に戻るのであった。
屋敷に戻るとカズマさんたちも二人の友奈を見て驚いていた。因みに友奈さんは見分けがつかなくなるからと思ったのか、髪を下ろしていた。
「えっと………ユウナ……というよりタカシマの双子の妹とかじゃないんだよな」
「うん、私一人っ子だし……」
「ですが写真で一度見ましたが、そっくりというよりもうり二つじゃないですか!?」
「本当に見分けがつかないな……」
カズマさん、めぐみん、ダクネスさんの三人も二人の友奈を見てそんなことを話していると、友奈は銀の事を見てあることを言っていた。
「何だか夏凛ちゃんにそっくりだね」
「夏凛?誰のこと?」
銀と夏凛がどことなく似ているのわかるけど、友奈、今はそんなことよりも……
「ダクネスさん、めぐみん、アクアさんは?」
「アクアでしたらギルドに行ってますよ。何か頼まれごとをしたとか……」
「ちょっと迎えに行ってもらっていいか?できればクリスさんも一緒に」
僕はダクネスさんとめぐみんに頼み事をし、二人を屋敷から出て行かせた。正直この話はこの世界の住人には聞いていいものではないと思ったからだ
「友奈、お前……何があったんだ?」
「何って?」
「僕はあの時、先輩が飛び出してからお前と別れた後のことは知らないんだ。ある人から聞いた話じゃみんなは平穏な日々を歩んでいるって聞いたんだけど……」
「えっと……知らないってどういうことなの?」
僕が死んだって言うことは知らないのか?そのことについては話さないほうがいいな。
「ちょっとした事情で詳しい事がわからないんだ」
「そうなんだ……えっとね」
友奈はあの後のことを話した。
先輩の暴走を止めた友奈たちは今まで聞いたことのない樹海警報を聞き、樹海に行くと無数のバーテックスが樹海を埋め尽くしていたとのこと。その原因は勇者が死なないこと、延々に戦い続けるしかないということを知った東郷が四国の壁を破壊し、世界を壊そうとしたらしい。
友奈はそんな東郷を止めるが、神樹を破壊しようとしている獅子型のバーテックスを撃退したらしい。でも、友奈はそこから意識を失い、気がついたらこの街にいたとのことだった。
「何だか結構やばい世界なんだな。お前のいた世界って……」
「四国以外は滅びてるからね」
「でも、こっちの友奈さんは死んじゃったってことなの?」
「ん?でも、死んだらあの部屋に導かれるんじゃ……」
銀と友奈さんが友奈がこっちに来てしまった事について気になっていた。それは僕もだ。普通だったら女神に導かれて、この世界に来るしかないはずなのに……どうして友奈がここにいるんだ?
するとアクアさんがめぐみんとダクネスさんに連れられて、帰ってきた。更にどこかで合流したのかクリスさんも一緒にだ。
アクアさんとクリスさんが友奈の事を見て少し驚いていた。
「何?ユウナって双子だったの?」
「アクア、そこら辺の話はもうやったから」
カズマさんと同じことを言うアクアさん。僕はアクアさんに事情を話した。するとアクアさんは友奈のことを隅々まで見ると……
「うん、なるほどね。この子、魂だけこっちに来たみたいよ」
「「どういう事?」」
僕と友奈がハモるとアクアさんは説明を続けた。
「普通なら魂だけじゃこっちに来れないんだけどね。何かしらの手違いで来ちゃったみたいね。でも大丈夫よ。準備に時間がかかるけど元の場所に戻すことができるわ」
アクアさんはその準備とやら取り掛かった。聞く限りそう言った事が前にあったらしく、その時はアクアさんを祀っているアクシズ教のプリーストに頼んで返したとのことだった。
アクアさんが準備をしている間、カズマさんとめぐみんは友奈にこの街を案内することになった。ダクネスさんはアクアさんの手伝いをし、友奈さんは一旦若葉さんたちの所に戻るとのことだった。
そして僕はクリスさんと二人で部屋であることを話していた。
「ウミさん、ごめんなさい」
「何でいきなり謝ってるんですか?」
「私、嘘をついていたんです」
「嘘?」
「最初にあなたに勇者部の皆がどうしているかって話したのを覚えていますか?あの時は平穏な日々を送っているって話しましたが、彼女……ユウナさんだけは違います」
友奈だけ違うってどういうことだ?
「彼女はある戦いのあと、力を使い果たしてずっと意識を失った状態だったんです。その事を貴方に話したら、きっと心配するだろうと思って話せませんでした」
だから何だか話がおかしいと思ったんだ。でも、あのことだけは嘘じゃないということなのか?
「みんなの満開が治ったっていうのは?」
「それは本当です。しっかり確認してます」
「それなら安心です。それに謝ることじゃないですから、クリスさんが……エリスさんが僕に気を遣って話さなかったんですよね」
「はい………」
「僕としては友奈が死んじゃったんじゃないかって思ったんですけど、生きているなら大丈夫ですし、元の居場所に帰れますしね」
僕は安心していると、エリスさんはあることを告げた。
「でも、正直こんな事になってほしくなかったです」
「どういう事ですか?」
「彼女が元の場所に戻ったら、もう貴方と会えなくなってしまうんですから……」
「……………」
それはそうだけど、もう二度と会えないか………
「今まで以上に悲しい思いをするのはウミさんなんですよ。大丈夫ですか?」
次回は友奈が帰還します