この素晴らしい勇者に祝福を!   作:水甲

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32 危機

「貴様がアクアに危害を加えるというのなら、引く訳にはいかない。女神エリスに仕えるクルセイダーとして、ここは通さぬ!」

 

「アクアさんに手を出させない!」

 

ダクネスさんと銀がバニルに攻撃を仕掛けるが、バニルは笑みを浮かべながら二人の攻撃を避けていく。

 

「そっちの男と間違わられショックを受けている小娘よ!どうして、お前が使いたがっている切り札を使わないのか?」

 

「つぅ!?」

 

確かに満開を使えば、一撃でバニルを倒すことができるかもしれないけど、満開の時の装備ってかなり大きいんだっけ?下手すればこの部屋崩れかねないな。でも、ようやく白月の力を理解した僕は、

 

「だったら、借りますよ!友奈さん!」

 

僕は白月を抜き、叫んだ瞬間、以前友奈さんが使用した切り札と似たような姿に変わり、バニルの腹部を思いっきり殴ろうとするが、避けられてしまった。

 

「ほう、貴様の持つ刀、どうやら古き精霊の力を使えるみたいだな!!だが、攻撃を読めば……」

 

「読めばなんだって?」

 

僕がそう告げた瞬間、バニルの身体にロープが巻き付き、潜伏スキルで姿を隠していた

カズマさんが背後から飛び膝蹴りを喰らわし、バニルの身体が崩れ去った。

 

「おまっ、満開ってやつじゃないのか?」

 

カズマさんが僕の姿を見てそう言うが、僕は首を振った。

 

「これは若葉さんたちが使う切り札だよ。何だかダクネスさんの実家でもらった刀って、切り札の力を使えるみたいなんだよね」

 

満開みたいな急激な疲労感とか体の一部が機能しなくなったりとかないけど、少し疲れた。

 

「さっきのアレはなんだったんだかわからないが、どうやらあの悪魔を倒すことが出来たみたいだな」

 

「おい、ダクネス。そんなこと言ってると……」

 

「もしや討ち取ったとでも思ったか? 残念、何のダメージもありませんでした! おおっと、汝らの悪感情。大変に美味である」

 

バニルが復活した。どうやら本体はあの仮面みたいだ。どれだけ悪魔ってやつはしぶといんだよ

 

「長々と貴様らの相手をするつもりはない。吾輩の必殺技を見せてやろう!!」

 

バニルがそう言って、本体である仮面をダクネスさんに投げつけた。

 

「フ、フハハハハ!!小僧共、聞くが良い。我が力により『どうしよう!どうしよう二人とも!!体を乗っ取られてしまった!!』貴様らにこの小娘を攻撃する事は『一向に構わない!早くやってくれ!絶好のシチュエーションだぞ!これは!』やかましいわ!!何なんだ!!お前はぁぁぁ!?」

 

あれ?乗っ取られたと言うのに何だかダクネスさん、楽しそうだ。

 

「な、なんだ……この『麗しい』娘は……!?一体どんな頑強な精神を『まるでクルセイダーの鏡のようなやつだな』。ええい!やかましいわ!ゼェーゼェー……わ、我が支配力に耐えるとは、なかなかどうして、大した娘よ『いやぁ』だが耐えれば耐えるほど、その身には抗い難い激痛が『なんだと!?』貴様、喜んでいるな!?」

 

バニルはどうやら失敗したみたいだった。取り付く相手をダクネスさん以外だったらどうとでも出来たのだけど……

 

「それでどうするの?このまま放っておく訳にはいかないでしょ」

 

クリスさんがそう言うと、僕はあることを提案した。

 

「カズマさん。セナさんから渡されたものって、何に使うの?」

 

「ん?あぁ、これを貼れば魔法陣を封印できるとか……」

 

「それじゃ、これを……‥」

 

僕はダクネスさんの方を指差し、カズマさんは何となく僕が言いたいことを理解したのか、バニルの仮面に御札を貼るのであった。

 

そして僕は満開を使い、樹の武器で仮面を着けたダクネスさんを縛り上げた。

 

「あんまり満開は使いたくなかったけど、鎧の分重いから外まで運びづらいんだよね」

 

「ウミさん、お願いだから満開をもう少し気をつけて使ってくれないかな?」

 

クリスさんにそう言われる僕であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

縛り上げられたダクネスさんを運びながら、僕らは外へと向かっていった。

 

「ふはははは、仲間を躊躇なく縛り上げ、このような目を合わせるとは、小僧!なかなかの趣味だな!『うむ、意外と悪くない』」

 

気にしない方がいいな。うん、気にしない気にしない。でも、何だかイラつきながら、出口が見え、僕はダクネスさんを思いっきり投げ飛ばした瞬間、

 

「セイクリッド・エクソシズム!!」

 

アクアさんが浄化魔法らしきものをダクネスさんに対して放ってきた。悲鳴を上げるバニルとダクネスさんではあったが、バニルを浄化することはできなかった。どうやらダクネスが光の魔法に耐性を持っているから、効いていないみたいだ。

 

「ど、どうしよう。ダクネスがこのまま悪魔と一体化しちゃうわよ!?」

 

アクアさんが焦りながらそう言うけど、僕は僕で満開が解けてしまっている。

 

「カズマさん、何かいい方法ない?」

 

「いや、思いつかないからな!いや、待てよ!爆裂魔法であの悪魔を消し飛ばせば……」

 

カズマさんの出した提案を聞いた瞬間、すかさず銀が仮面に張り付いた札を切り裂いた。

 

「ダクネスさん!今のうちにその仮面を引き剥がして!」

 

「『ぐうう、やっているが……はずせん』無駄だ。そう簡単に外れるわけ無いだろ!『それだったらめぐみん、私ごと撃て』」

 

「で、ですが、そのようなことをしたらダクネスが!?」

 

「『安心しろ。私の硬さについては分かっているだろう』ぬぐう、このクルセイダー、我輩とともにする気か!?」

 

迷っているめぐみん、するとカズマさんはあることを告げた。

 

「めぐみん撃て!もしものときは俺が責任取ってやる。セナも聞いただろう!証人になってくれ」

 

「全くカズマさんだけに責任を取らすつもりはないよ。僕も責任は取る!」

 

僕とカズマさんの言葉を聞き、めぐみんは意を決して爆裂魔法を放つのであった。

 

「ふははは、最後に伝えておこう!災厄が現れるぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バニルは完全に消え、ダクネスさんも鎧とかボロボロだけど無事みたいだった。

 

「厄介な悪魔だったな……」

 

「…………最後の言葉……まさか」

 

僕はバニルが言い残した言葉を気にしていた。まさか災厄って……」

 

「クリスさん!カズマさん!冒険者の誰でもいいから、敵感知をお願い!?バーテックスが来る!」

 

僕がそう告げた瞬間、空が割れ、現れたのは山羊座の名前を冠するバーテックスだった。

 

「また出てきたのかよ!?ウミ、どうにか出来ないのか?」

 

カズマさんはそう言うけど、戦おうにも僕は満開を使った後で、あんまり動けないし、めぐみんは爆裂魔法を撃った後だし、前みたいにアクアさんから魔力をもらって撃てばいいのだけど、ダクネスさんの治療でアクアさんは動けないし、クリスさんは他の冒険者を避難させるので手一杯だ……どうすれば……

 

「それだったら海。ここは私がやるしかないよね」

 

銀はゆっくり前に出て、山羊型のバーテックスを睨んだ。

 

「みんな、疲れてるから、一気に終わらせるよ!満開!」

 

 

 

 

 




次回、銀の戦いが始まります
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