「満開は使わないで!!」
完成体のバーテックス6体が出現し、僕は満開を使おうとした瞬間、杏さんに止められた。
「海くんの満開は出来れば最後の………本当に最後まで残しておいてほしいの」
「でも、このままじゃ……」
「だから、完成体の動きは止められるかどうか分からないけど、鈍らせる役目は私。切り札発動!」
杏さんが叫んだ瞬間、神秘的な衣装に変わり、クロスボウから雪が舞い散っていった。その雪は吹雪のように完成体を襲い、凍らせていく。
「私が動きを止めている内に……若葉さんや海くんは……」
「杏さん。分かりました!」
僕は一気に駆け出し、完成体の一体牡羊型バーテックスをワイヤーで拘束した。
「必殺!」
力の限り牡羊型を地面に落とし、散弾銃で装甲を撃ち続け、大剣を取り出し、空いた装甲に思いっきり突き刺した瞬間、御霊が出てきた。出てきた御霊を2本の刀で切り刻み、御霊の真上に跳び上がり、思いっきり御霊を殴った瞬間、御霊は砕け散っていった。
「勇者乱舞!!」
地面に着地し、残りの完成体を倒しに行こうとするが、僕はあるものを見て足を止めてしまった。
「何だよ。あの炎の玉は!?」
完成体の中で一番大きなやつが巨大な炎の玉を生み出していた。それはまるで太陽みたいなものだった。あんなものを放たれたら防ぎようがない。おまけにあの太陽のせいか雪が溶かされていってる
「放たれる前に!!」
僕は攻撃を止めようとしたが、横から強い衝撃を受けた。見るとさっきゆんゆんが倒した小型のバーテックス。あれも完成体なんだろうけど、どうして……
「海くん!そのバーテックスは二体で一体みたいなものなんだよ」
友奈がバーテックスの群れと戦いながら、知らせてくれた。
「一気に………倒すしか……」
僕が小型の完成体と戦おうとした瞬間、炎の玉が街の正門目掛け放たれてしまった。
杏SIDE
迫りくる炎の玉。アレを止めるには私の切り札じゃ無理。だけどもこんな状況だ。無理なんて言ってられない。私は残った力で炎の玉を雪で冷やそうとするが、勢いが止められない。最後の力を振り絞ろうとするが、寸前で切り札の発動が止まってしまい、私はその場に倒れ込んでしまった。
「駄目、ここで倒れたら………」
諦めかけた瞬間、炎の玉の前に2つの影があった。あれって、まさか切り札を発動させたタマっち先輩と千景さん!?
「これを止めないと、やばいよな」
「当たり前よ。止めるわよ」
千景さんは七人に別れ、炎の玉を押さえ込んだ。その内一人はタマっち先輩の巨大な旋刃盤の後ろに隠れながら、タマっち先輩と一緒に炎の玉を押さえ込んでいた。
「千景さん!タマっち先輩!」
「抑えきれない………」
「諦めんなって!千景!!」
「誰が諦めたっていうのよ!!」
二人が押さえ込んでいるおかげか、段々と炎の玉の勢いが止まっていく。だけど勢いを止めるだけじゃ駄目だ。炎の玉の下には冒険者たちがまだいるのだから、このまま何とかして消し去らないと……
「タマちゃんや群ちゃんが止めてくれてるんだ。それに答えなきゃ……切り札発動!酒呑童子!!」
高嶋さんが光りに包まれ、今まで見たことのない衣装に姿を変え、両腕には巨大な鉄甲が装備された。
「勇者百裂パアアアアアアアアンチ!!」
百発のパンチが炎の玉を消し去った。タマっち先輩三人は切り札の使用時間切れなのか、元の姿に戻った。切り札を四人も使ったけど、まだ何とかなると思った瞬間、
「まだです!?」
美森ちゃんの声が響いた瞬間、タマっち先輩、千景さん、高嶋さんの3人目掛け無数の火球が襲ってきていた。三人共反応に遅れ、直撃を喰らい、そのまま地面に落ちていった。
「そ……んな………」
あの巨大なバーテックスの攻撃は私達を絶望に落とすのに十分な一撃があった。おまけに残っている完成体が合体してる
「このまま………終わるの……」
「おいおい、まずいぞ!?白うなぎがこっちに迫ってきてるぞ」
カズマさんの声を聞き、顔をあげると、何十匹かのバーテックスがこっちに迫ってきた。タマっち先輩たちがやられた隙を突かれてしまった。このままだと対応に間に合わなそうだと思った瞬間……
「厄介事に巻き込まれてるみたいですね」
突然私達の前に現れた鉄扇を持った少女が、迫り来るバーテックスに対して笑みを浮かべていた。
「に、逃げて下さい……ここにいたらバーテックスに……」
「安心して、こう見えて……」
遅い来るバーテックスを鉄扇で一瞬の内に切り裂いた。まさかこの子も勇者だというの?するとめぐみんちゃんが彼女のことを見て驚いた顔をしていた。
「ま、まさかどうして貴方がここにいるんですか!?ヒサメ!?」
「ふっ、我が名は鶴城氷雨!!紅魔の里の巫女であり、人類の敵であるバーテックスを倒す勇者よ」
ポーズを決めながら、名前を告げる氷雨さん。さっきのポーズって紅魔族特有のあれよね。
「久しぶりにめぐみんとゆんゆんに会いに来たんだけど、何だか大変なことになってるみたいね」
「あ、あの、勇者って、300年後の……海くん達と同じ時代の?」
「いや、違うみたいだよ」
するとタマっち先輩たちを背負ってやってきた白鳥さん。私は三人の生死を確認すると、まだ息があるみたいだ。
「彼女は私達から150年後、海くんたちから150年前の巫女であり勇者みたいなんだ」
「巫女であり……勇者って……」
「詳しい話は後だね。見て、あそこの巨大なやつが……」
合体したバーテックスを見ると残っていたバーテックスが合体バーテックスに集まってきている。まさかアレ以上に大きくなるつもり?
「まずいね。これ以上大きくなったら倒すことも………」
「まだだ!!」
突然戦場にいる海くんの声が響いた。
海SIDE
僕は満開をし、合体バーテックスを見つめた。すると若葉さん、友奈、銀、そのっちの四人が僕の所にやってきた。
「海!?どうするつもりだ」
「あんな風に合体するなんてこと私達のときにはなかったんだよ。一体どうするの?」
「決まってるだろ。倒すんだよ」
「ちょっと、アレを倒すなんてことできるの?」
「もしかして封印の義で御霊を出すの?でも、前にゆーゆたちが戦った時、御霊が出た場所は宇宙だったんだよ~」
「それは聞いてる。でも、満開の状態なら封印の義を使わないで倒せるらしいから、大丈夫だろ」
すると合体バーテックスはさっきの炎の玉を生み出し、放とうとした。やらせるか。こっちには天の神ですら対応できない最強最大魔法の使い手がいるんだからな
「めぐみん!!爆裂魔法で相殺しろ!!お前の爆裂魔法ならできるはずだ!!」
正門のところにいるめぐみんに声をかける
「ほ、本当にですか!?」
「あんな偽物の太陽ぐらいお前の爆裂魔法なら余裕だろ。見せてやれ!!」
「わ、分かりました。見せてあげます!!」
めぐみんが詠唱に入ると同時に、僕は合体バーテックスの真下まで移動した。移動したと同時に合体バーテックスが炎の玉を放った。
「見せてあげます。我が最強魔法を!!見ていて下さい海!!エクスプロージョン!!」
炎の玉と爆裂魔法がぶつかりあった瞬間、僕は全身の力を両手に込めた。
「お前を空まで帰してやるよ…………必殺!!勇者!!無限!!パンチ!!」
合体バーテックスを真下から拳の連打で削っていく。少しずつ削られていくと同時に上へと押し上げていく。
「ハアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
満開の状態でも両腕に少しずつダメージが伝わっていく。痛くて嫌だけど諦める訳にはいかない
「諦めるものか!!こっちまで来てお前みたいな使い走りにこの素晴らしい世界を無茶苦茶にさせられるか!!」
一撃を喰らわした瞬間、僕の満開が解けた。それと同時に合体バーテックスの御霊が出現したが、普通の大きさだった。だけど御霊はどこかへ逃げようとする。
「くっ、このままじゃ………」
逃げられてしまったらまた復活してしまう。どうにかしないと………
「おい、本当に大丈夫なんだよな」
「大丈夫。大丈夫。あれぐらいだったら引き寄せるぐらいだし、レベル差なんてもの私の巫女の力で関係なくしてあるから」
「よし、スティール!!」
カズマさんと誰かの声が聞こえた瞬間、逃げ出した御霊が正門近くまで引き寄せられていた。あれって、スティールの力?
「みんな!!ロープでコアを止めるよ」
更にはクリスさんの指揮の元、巨大なロープで御霊が縛られ、冒険者みんなが押さえ込んでいた。
「今よ!!ウミ!!」
「とどめを刺せ!!」
「最高の見せ場は譲ります!!トドメを!!」
「やっちまえ!!ウミ!!」
アクアさん、ダクネスさん、めぐみん、カズマさんの声が聞こえた瞬間、力が湧いてきた。
「やってください!!貴方は勇者なんですから!!」
「ウミさん、お願いします!!」
クリスさん、ゆんゆんの声が響き、右手に何かが集まってくる。
「海!!」
「海!!お前ならできる!!ずっと頑張っていたお前なら」
「カイくん………頑張って!!」
「海くん、貴方なら出来るはずだから、なんてたって私の子孫なんだから」
「見せてみろ!勇者の力をうどんの力を」
「お願い……」
若葉さん、銀、そのっち、ひなたさん、歌野さん、水都さんの声、更には街のみんなの声が響く。右手は物凄く熱い。これは………みんなの思い?
「お願い、私達の……勇者部の勇者の力を込めて」
「海くん………やっちゃえぇぇぇぇーーーーーーー!!」
東郷、友奈の声が聞こえた瞬間、僕は切り札を発動し、若葉さんの義経を発動させた。かなり危険であり、強力な切り札らしいけど、今の僕には御霊がある場所まで一気に行く必要があった。御霊の近くまで来た僕は右拳を握りしめ……‥
「この拳にはこの街の、勇者の、僕らの思いが、祈りがこもってるんだ!!神・勇者パァァァァァァァァァァァァァァァンチ!!!!」
僕の拳が御霊に当たった瞬間、御霊は砕け散り、割れた空が元に戻っていった。僕はというと、力が抜け、そのまま地面に落ちていった。
友奈SIDE
「海くん!!」
合体バーテックスを倒した海くんが、そのまま地面に落ちていってしまった。私は駆け寄り声をかけ続けた。
「海くん、起きてよ。アクアさん、お願いします」
「ちょっとまってなさいよ。こっちもけが人が多くって……」
もしかして死んじゃったの?このままだと間に合わなくなってしまうんじゃないのかな?そんなの嫌だ。ようやく再会できて、海くんの気持ちに答えようとしたのに……またお別れになっちゃうの?そんなの嫌………
「海くん、起きてよ。お願い………私はまだ返事してないんだよ。お願いだから……聞いてほしかったのに、海くんの事が好きだって………」
「…………友奈…‥……それ本当か?」
声が聞こえた瞬間、私は海くんの事を見つめていた。
「大丈夫………死んでないし、ただ無茶しすぎて体が動かせそうにないだけ………」
「海くん………」
私は海くんに肩を貸し、みんなのいる場所まで連れて行った。
「なぁ、友奈。さっきの返事のことだけど……」
「う、うん、私は海くんの事が好き。大好き」
「そっか、じゃあ、改めて僕も友奈の事が大好きだ」
「うん」
この日、私と海くんは恋人同士になり、そして大きな戦いに終わるのであった。だけど………
氷雨SIDE
「上里海、そっちの150年前の巫女の子孫ね」
「はい、今は勇者だけど……」
「勇者ね………でも、気になるわね」
「気になるですか?」
「えぇ、見る限り彼は特典で勇者になったみたいだけど、宿した精霊の力なのか………人々の祈りを力に変えてしまう力。彼に宿った精霊は何なのかしら?」
「それは………」
「まぁ、調べておくわ。あと置き土産に冒険者の彼にいいものを教えたしね」
さっきスティールで御霊を引き寄せた彼には、今後また同じことがあった場合のために、巫女の力の一つをスキルとして覚えさせておいたし、大丈夫であろう。ただ気になるのは、ひなたや水都と同時に受け取った神樹の神託…………造反神の出現か
次回から原作の話に戻ります。
最後に海がやった思いのこもったパンチは、アニメでアクアがやっていたゴッドレクイエムみたいなものです。
どうしてそんなことが出来たかは、宿した精霊の影響です
そしてついにうみゆゆになりました