魔王軍を撃退し終え、ゆんゆんは例の小説の差出人に制裁を加えにいくと別れた。歌野さんはどうやらこのままゆんゆんの家で厄介になることになり、僕らはめぐみんの家に泊めてもらうことになった。
めぐみんの案内で着いた場所は、まぁ一般家庭よりちょっ小ぢんまりした家だった。めぐみんはドアにノックすると小さいめぐみんが出てきた。
「ほう、めぐみんの妹か? 随分とかわいらしいな」
「ちっこいめぐみんだわ。小めぐみん。飴ちゃん食べる?」
アクアさんがどこからともなくアメを取り出す中、めぐみんは小さいめぐみんの頭をなでながら、優しい声で……
「こめっこ、ただいま帰りましたよ。良い子にしていましたか?」
何だか今まで見たことのない表情をしているめぐみん。妹のことが本当に大好きなんだな。
めぐみんの妹、こめっこは僕とカズマさんのことをじっと見つめて、大声で……
「おとうさーん! 姉ちゃんが男ひっかけて帰ってきたー!」
めぐみんの妹よ。どこでそんな言葉を覚えてきたんだ?
アクアさんがこめっこに芸を見せ、ダクネスさん、銀、友奈、クリスさん、先輩、夏凛が食い入る中、僕、カズマさんはめぐみんのお父さんとお母さんと対面していた。
「……家の娘が日頃からお世話になっているそうだね。それについては心から感謝する」
「本当に家の娘がお世話になっています。娘からの手紙で、よくお二人の事を書かれているので、知っていますよ」
僕らのことは手紙で知っていたんだ。というかどんな風に書かれているか気になる
「……で、キミは家の娘とはどのような関係なんだね?」
これで三度目の質問になるな……まぁ、大切な娘のことが心配なのは親としては当然か。
「友人であり、仲間です」
カズマさんがそう答えた瞬間、めぐみんの父親ひょいざぶろーさんが卓袱台をひっくり返そうとし、それとめぐみんの母親ゆいゆいさんが止めていた。今のところに怒る所はないと思うのだけど、いや、もしかしたら……
僕はカズマさんに耳打ちをした
「カズマさん、ここは娘さんを下さいって言わないと………」
「ちょっと待て、それはそれで誤解が生まれるぞ」
「だって、こめっこちゃんが男を連れてきたーとか言ったから誤解してるんじゃ……」
「まずはそこら辺の誤解を解かないと駄目だろ!?」
「さっきから何の話をしているのかね?」
「いえ、別に……」
「そちらのウミさんは娘とは?」
「めぐみんとは友人で仲間です。いつも娘さんには助けてもらってます」
「あら、手紙では兄的な人ができたと書かれていましたよ」
「お前みたいな息子はいないが……」
何だか色々と誤解されてる。
カズマさんはアルカンレティアのお土産であるまんじゅうを渡し、話の流れを変えることに成功した。こめっこちゃんは物欲しそうにしていた。その様子を見て僕はめぐみんにあることを聞いた。
「仕送りとかしてないのか?」
「いえ、しているのですが、父が魔道具開発にお金を……」
「何だか色々と苦労してるな。僕に何かできることがあったら協力するぞ」
「助かります」
僕らがそんな話をしていると、ゆいゆいさんがカズマさんにめぐみんと一緒になるのであれば、借金を返した方がいいと言う話になったり、カズマさんがめぐみんに色々とセクハラしていることを暴露されていた。
その後、夕食までの間里をぶらつくことになり、僕、友奈、クリスさんの三人はめぐみんから聞いた氷雨さんの家を尋ねることになったのだが……
「「「…………何事!?」」」
氷雨さんの家は小さめの小屋だったのだが、その周りには沢山の本が置かれていた。更に若葉さん、ひなたお姉ちゃん、水都さんが掃除をしていた。
「海たちか、すまない。手が離せなくって魔王軍の所に行けなくって」
「いえ、紅魔族が殆ど蹴散らしてましたから大丈夫ですけど、何があったんですか?」
「氷雨さん、本の下敷きになっていたのよ」
「助け出して、片付けを手伝ったりして大変でした」
水都さんが疲れた顔をしながらそう言うと、氷雨さんが小屋の中から出てきた。
「あら、君たちも来ていたのね」
「色々とありまして……所で造反神の事聞きましたか?」
「えぇ、彼女たちからね。おまけにこっちでも確認はしている。君が知りたいことについては調べている途中なんだけど……」
僕が知りたがっていること……いくつかあるのだけど、どうしても気になることが合った。
「女神と神樹との盟約って何かわかりますか?神託でそんなことを言っていたって聞いたんですが、アクアさん達に聞いても分からないみたいなんです」
僕はクリスさんのことを見た。クリスさん……エリスさんは盟約のことはわからないみたいだ。それはアクアさんもだ。一体女神と神樹の間に何があったんだ?
「それについては調べがついているわ。まぁ、調べたというよりかは知っていたと言うべきね」
「どういう事ですか?」
「私が勇者と巫女として活躍していた時に、神樹様から神託があったんだけどね。その時に教えてくれたわ」
氷雨さんが言うには、その時の神託は『天の神の進行に対して、こちらも女神の力を借りようとしたが、女神はそれを断った。自分たちが神樹と一緒になると魂を導くものがいなくなってしまう。神樹は神樹の役目を、女神には女神の役目を、互いの役割には干渉をしない。そう約束した』と
「女神たちは長い年月を生きる存在。盟約を覚えてなくっても仕方ないこと。ただ造反神に対抗するために、神樹様は時を操り勇者をこの世界に送り込むことにしているみたいね」
それが須美と小学生時代のそのっちか。
「まぁ、天の神のバーテックスの進行は現状大丈夫みたいだからいいけどね」
氷雨さんは今度は友奈の事を見つめた。
「ただこっちでの事が終われば、転生者以外の勇者は元の世界に戻り、もう渡り歩くことは出来なくなることは確かね」
「!?」
友奈は氷雨さんが言っていることを理解した。それは僕もだ。でも、温泉の時に一度話してあるけど………
「こっちから聞いてもいいかな?」
「何か?」
「君は転生の特典で勇者になった。君専用の満開の姿があるのに、どうして150年前の勇者が使っていた切り札で、専用のものがないんだい?」
「それは………切り札を使えるようになったのはこの白月の……」
「特典なら切り札も扱えるはず。女神が教え忘れたのかな?」
クリスさんの事を見ながら言っているけど、この人、クリスさんの正体に気がついてる?
「この先戦い続けるのであれば、他者の力を借りず、自分の力を扱えるようになったほうが良い。それと何が起きるかわからないけど、切り札と満開は同時に発動できるかもね」
氷雨さんは笑みを浮かべながらそんなことを告げ、若葉さんとひなたお姉ちゃんは氷雨さんの家に泊まり、水都さんは歌野さんの所に戻るのであった。
海専用の切り札は紅魔の里編で出すつもりです。そして切り札と満開の同時発動に関してはどうするかはまだ決まっていません