シルビアが向かった先は恐らく『世界を滅ぼしかねない兵器』が眠っている施設だと思い、僕らはそこへと向かうと、その途中、ゆんゆんが若葉さんと歌野さんとぶっころりーさんたちを引き連れていた。
「どうやら何かあったみたいだな。魔王軍の兵士たちがあっちに向かっていっているみたいだ」
「何かあったのかい?」
「実は魔王軍幹部がカズマさんを捕まえて………このままだとカズマさんの………カズマさんがそっちに目覚めるかもしれない」
「………風さん、海は何を言っているんだ?」
「まぁ、そうなるかもしれないわね。気に入っていたみたいだし」
「そっちってどっちなんだい?」
歌野さんがどういう意味なのか考えていると、施設にたどり着いた。だけど施設の入口にはカズマさんがいた
「カズマさん!?色々と大丈夫?」
「お前……俺がどんな目に遭っていたと思っているんだよ」
「それは………まぁ、僕の口からは言えないけど、下手をすればカズマさんがそっちの趣味に……」
「ウミ、大丈夫だ。掘られはしなかった」
「掘る?」
未だに何のことか分かっていない歌野さんを放っておくことにしよう。僕もそういった知識はたまたま大赦の女性職員が持っていた本を読んで学んだくらいだったからな
「それにしても遅かったな。シルビアなら俺の華麗な機転によりこの中に閉じ込めてやった。中からは開けられないみたいだしこのまま一月放置しておけば静かになるんじゃないか?」
施設の入口からはシルビアの声が聞こえていたけど、何を言っているか分からないでいた。
「中に閉じ込めたんですか?それって兵器が動かされるんじゃ……」
「さすがにそれはないですよ。あの兵器は誰にも起動方法が分かりませんからね。それよりもシルビアはよく封印を解けましたね」
カズマさんが冷や汗をかいていた。まさかと思うけど封印を解いたのがシルビアじゃなくってカズマさんとか……そんなわけないか
「ねぇここって危ない兵器が保管されてるところじゃなかったの?そんなところにあのオカマを閉じ込めてよかったの?」
「大丈夫だよ、外の人!俺たちにすら使用法が解読できないんだ。シルビアにそれができるはずないさ」
「そうだぜ。もしシルビアが兵器を起動できだから逆立ちして里を一周してやるよ!」
「さぁて、帰って一杯やろうと」
何だろうか?急に不安になってきた。というかこれってデストロイヤーのときと同じフラグでは……
そう思っていると、ダクネスさんが地面が揺れていることに気が付いた。そして見る見るうちに地面が盛り上がり、現れたのは………
「アハハハハッ!やってくれたわねボウヤ!あたし達がただ兵器を持ち出すだけだ思った?あたしの名はシルビア!見ての通り兵器だろうがなんだろうが身体に取り込んで一体化する力を持つ魔王軍幹部の一人!グロウキメラのシルビアよ!」
下半身を巨大なメタリック色の蛇の胴体と一体化していたシルビアが現れた。それと同時に空から無数のバーテックスが出現した。
「魔術師殺し!魔術師殺しが乗っ取れたぞ!」
「紅魔族が恐れて逃げていくわね。だけど真の恐怖を教えてあげる!造反神!!この生物兵器どもに魔術師殺しの力を!!」
シルビアが天高く両腕を上げた瞬間、バーテックスの色彩が白から銀色に変わった。まさかと思うけど………
「おい、めぐみん、魔術師殺しって何なんだ?あれが世界を滅ぼしかねない兵器なのか?」
カズマさんがめぐみんを揺さぶりながら聞くと、めぐみんは
「世界を滅ぼしかねない兵器というのはあれではない筈です………シルビアと一体化したアレは、同じくらい危険な『魔術師殺し』と呼ばれるもので、魔法が効かないという特性を持つ、私たちの天敵、対魔法使い用の兵器です………」
「おまけにバーテックスの色が変わった。もしかすると造反神の力を使って、バーテックスも魔術師殺しの力を得たということか?」
だとしたら紅魔族に勝ち目がないということか。
僕らは一旦その場から退いて、『魔人の丘』という、カップル御用達の丘に避難した。そこから燃え盛る紅魔の里を見下ろしていた。
避難していた紅魔族の皆は里をただただ見下ろすしか無かった。カズマさんはめぐみんに魔術師殺しを破壊できないかと話していたが、めぐみんがいうには大昔にも魔術師殺しが起動し、その猛威を奮ったのだが、対魔術師殺しの兵器によって破壊された。みたいだが、完全に破壊するのはもったいないということで、修理して封印をしたらしい。
カズマさんはその破壊できる兵器を使えば何とかなるんじゃないかと聞くが、その破壊兵器はあるにはあるのだが、誰にも使い方がわからず、それに使い方が書かれている書物も古代の文字で読めないらしい。その場にいた全員が万事休すかと思っていると、氷雨さんが手を上げた。
「その古代文字、私なら解読できるかもしれないわ」
「どういう事だ?」
「こう見えてこっちに来てからずっと大昔のことを調べていたのよ。族長にその破壊できる兵器に書かれた書物を読ませてほしいって頼み込んでいたけど、断られ続けたわ。でも、緊急事態よ。いいわね。族長」
氷雨さんは族長の方を見て確認を取ると、渋々族長は許可を取るのであった。
「出来たら付添としてカズマくん、アクアさん、巫女二人に来てもらうわね」
「何で俺らが?」
「バーテックスがいる以上、戦闘は避けられないかもしれない。それだったら私の力を少しでも上げられる巫女二人にスキルを持っているカズマくんがいてもいいでしょう。アクアさんはもしもの回復役よ」
氷雨さんがそう言いながら、施設に向かおうとすると、クリスさんが呼び止めた。
「待った。私も行くよ。もしかしたら魔術師殺しが起動したと同時にトラップが発動してるかもしれない。それだったら盗賊職の私がいたほうがいいでしょ」
「まぁ、そうね。じゃあ頼むわ」
兵器を取りに行くことに話がまとまった。さて、僕らは……
「バーテックスがいる以上は勇者の出番だな。風さん、夏凛、結城、銀、歌野、海、行くぞ」
若葉さんが勇者の衣装に変身しながらそう告げると、僕はカズマさんにあることを告げた。
「ねぇ、カズマさん」
「何だよ?」
「カズマさん達が苦労して兵器を取りに行く前にシルビアを倒したらごめん」
「お前………フラグ立てるなよ」
「大丈夫。まだ可能性は低いけど、2つほど試したいことがあるんだ。それを使えば……」
満開と切り札の同時発動と僕の切り札。やってみる価値はあるはずだ。僕はそう思いながら、里へと向かおうとするとクリスさんがあることを告げた。
「ウミさん、お願いだから無茶だけはしないでね。もしかしたら取り返しの付かないことに………」
「そうだよ。氷雨ちゃんが言っていた事、試さないでね」
もしかして同時発動のことかな?僕の考え読まれるなんて………
「安心して、取り返しのつかない無茶はしないから……」
「安心しろ。クリス。ウミを止められるようにするからな」
ダクネスさんも足止めのために僕らについていく気みたいだった。
「それじゃ行こうか」
「あの、私はどうすれば……」
めぐみんは自分はどうすればいいのか、僕らに聞いてきた。相手は魔法が効かない。爆裂魔法ならもしかしてと思うけど、確証がない以上ここに残っていてもらったほうがいい
「めぐみんはここで待ってろ。大丈夫。すぐにみんな無事に戻ってくるから」
めぐみんにそう告げ、僕らは燃え盛る里へと向かうのであった。