この素晴らしい勇者に祝福を!   作:水甲

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今回は別作品での海の前日談の話になります。次回の話では原作の話に戻りますが、少し話が飛びます


78 前日談

「う~ん」

 

屋敷の広間で僕はスキル一覧を眺めながら唸っていた。コレは一体どういうことだろうか?

 

「一体どうしたんですか?さっきから唸って……」

 

「何か……ハァ気になることが…ハァあるのか?」

 

布団で簀巻にされているダクネスさんとこれ見よがしにダクネスさんの目の前に氷を見せつけているめぐみんが、僕が唸っているのが気になって聞いてきた。

 

「いや、ちょっとスキル一覧を見てて……というかダクネスさんとめぐみんは何をしてるんだ?頼むから教育に悪いから友海と牡丹の目の前でそんなことするなよ」

 

「いや、これは別に好きでやっているわけじゃ……」

 

「そうですよ。これはダクネスが我慢大会の練習に付き合ってくれって言われて……」

 

我慢大会の練習をするっていうのは聞いたけど、頼むからこんな所でやるなよ。今は友奈と銀と一緒にクエストに出かけてるからいいけど、本当に教育に悪い

 

「それに教育に悪いといいますが、きっとユミとボタンの二人はダクネスの性癖について分かっていると思いますよ」

 

「それはそうだけど……まぁいいや。ちょっとこれを見てくれないか?」

 

僕はめぐみんとダクネスさんの二人にスキル一覧を見せた。そこには勇者の精霊の名前や武器の名前が書かれていた。つい最近では雪花さん、棗さん、氷雨さんの武器を使えるようになったけど……

 

「なにかおかしい箇所でも?」

 

「この『前鬼・後鬼』『鵺』っていうスキルなんだけど、誰が使ってるものなんだろうかって思って……」

 

てっきり知り合った勇者の武器を使えるようになったはずなのに、今回に限ってはちょっと違う。一体これはどういうことだろうか?

 

「もしかしたら町中ですれ違った人のものではないのですか?」

 

「僕もそう思ったけど、ポイントが足りているはずなのに覚えられないんだ……」

 

「故障とかではないのか?間違えてそんな風に表記されたとか……」

 

「それならいいけど……」

 

特に気にしないようにと思いながら、僕はある一覧を見た。『酒呑童子』『大天狗』。この二つのスキルはまだポイントが足りないから覚えられないけど、もしかして前に若葉さんが言っていたもう一つの切り札なのかな?機会があったら聞いてみるのもいいかもしれない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日の朝、僕、カズマさん、アクアさん、ダクネスさん、友海、牡丹の六人はウィズさんのお店に来ていた。カズマさんはバニルさんに知的財産を売るとの契約をし、その報酬を受け取りに来たのだったが……

 

「ほう、そのドラゴンの卵だと思いこんでいる女神よ。貴様はいい度胸しているな」

 

「あら、ゼル帝は立派なドラゴンになるのよ。あんたいう鳥になるわけないじゃない」

 

バニルさんとアクアさんの二人が喧嘩をしていた。まぁいつもどおりの光景だから気にしない方が良いな

 

「バニルさんだぁー」

 

「悪魔だと聞いていましたが、全く変わっていないみたいですね」

 

友海と牡丹の二人はバニルさんの正体については知ってるみたいだけど、特に警戒はしてないところを見ると関係は良好みたいだな

 

「そっちの残念魔法に憧れてしまった娘と両親がもう少しイチャイチャしないかと期待している娘よ。どうやら貴様らは未来から来たみたいだが、悪魔の外見はそう簡単に変わらん」

 

「爆裂魔法は残念じゃないもん」

 

「未来でも相談しましたが、お母様とお父様はどうすればおじ様たちみたいにいちゃつくのでしょうか?」

 

「そこら辺の相談は未来の我輩にでも頼むか、もしくはそっちの頬の感触について未だに何なのか分からずにいる小僧にでも頼むのだな」

 

この悪魔は……何でそういうことを口にだすのかな?というか気になることを聞いたぞ

 

「今のどういう意味?」

 

「何だお前が感じたあの感触は……」

 

「そっちじゃなくって、牡丹の両親がイチャつくために僕が頼まれるんだ?」

 

明らかにあの言葉は未来の僕に対してではなく、今ここにいる僕に対して言った様に聞こえた。というか未来のことだから東郷の未来の旦那については聞かないようにしてたけど、誰なんだろうか?

 

「簡単な話だが、お前がこれから向かう先では、ある程度この世界にいる勇者に記憶が引き継がれる。それは勇者ではなく同一の人間にでもだ。まぁ集合体の加護と女神の加護を受けているからか少し見通しづらいがな。そしてそっちの腹筋が割れているクルセイダーよ。貴様には破滅の未来が待っているだろう」

 

僕が向かう先って……それに、ダクネスさんの破滅の未来って……

 

「破滅の未来というのは何なんだ?というかその腹筋が割れているというのは……」

 

「そしてそこのクルセイダーやネタ種族に邪な感情を抱いている小僧よ。貴様はこれから先も商品を作り続けるが吉だ」

 

バニルさんは話す気がないみたいだけど、一体この先何が起こるんだ?

そんなことを思っていた瞬間、頭の中に突然声が響いた。

 

『■●◆◆●■』

 

聞きなれない言葉が聞こえた瞬間、僕の意識が消えてしまうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カズマSIDE

 

バニルの話を聞くのに夢中になっていたからか、さっきまでいたはずのウミが姿を消していた。

 

「おい、ウミの奴何処に行ったんだ?」

 

「おい、バニル。貴様……何をした!!」

 

ダクネスがバニルの胸ぐらをつかむが、何故かアクアがそれを止めた。

 

「どういうことよ。何で神樹の声が聞こえたのよ!」

 

神樹?それって確かウミがいた世界の神様だよな。一体何が起きてるんだ?友海と牡丹もオロオロしてるし……

 

「駄女神よ。貴様が聞いた集合体の声は、こっち側ではなくもっと別の場所の集合体の声だ。なぁに、すぐに戻ってくる」

 

一体何が起きてるんだ?

 

 

 

 

 




海の行方は別作品である『花結のきらめき・二人の勇者の章』で明かされます。

次回には少し話が飛びますが、海が戻ってきます
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