ってワケで今回はベル視点、シュライン屋上からお送りします。
ベルがいるのは工事中の高層ビル。その目の前でビルを見上げる彼は前髪の奥の眉をひそめた。
「シュライン…って、完成してるはずじゃなかったか?」
そう呟きつつベルは中に入りエレベーターで最上階を目指す。
その数分後、薄紫色の髪の女性がエレベーターの表示を見て、少しだけ思案してから階段を上っていった。
さらに時が経ち、数分後。次に現れたのは学生服の青年。彼もまた階段の方へと向かい、段に足をかけ、登っていった。
・・・・・
屋上。ベルフェゴールを待っていたのは球体のような何か。そこから投影された影に、ベルはすこしだけ動揺し、次に恐る恐るきく。
「あ~、ボス?」
「るせえ。」
ボンゴレ独立暗殺部隊ヴァリアーのボスそのものの口調でソレは言う。
「フン。タタリの取った形が吸血鬼じゃねえとはな。殺戮がおこっても血が飲めねえんじゃ本末転倒じゃねエか・・・」
まあ良い。と呟いてXANXUSそっくりのソレは両手に拳銃を構えた。
「俺の前から失せろカス。すぐにかっ消してやる」
「何なんだ?ボスそっくりのテメエは?」
・・・・・
「タタリ?」
「そうだあ」
スクアーロはルッスーリアに相槌を一つ打つと用語解説を行う。
「世の中人外は数いるが、アレは掛け値無しに人間じゃねえ。マーモン、死徒って分かるか?」
「ああ、それが?」
説明してやれ。と首筋に剣を突きつけてまで投げるスクアーロ。マーモンはため息をついて説明をする。
「ヒトに近い外見を持ち、しかし人とは根本的に異なる生き物、吸血種。その中でもっとも強い力を持ち、もっとも美しい最初の1を真祖というんだ。その真祖に血を吸われたことで吸血行為を行うようになった人間を死徒と呼ぶんだ。・・・こんなカンジで良いかい?」
十分だあ。と言ってスクアーロは後を受ける。
「そんな死徒の中で強い力を持ち、親元たる真祖の影響下から離れた者達のことを死徒二十七祖と言い、その13位がタタリ。正体不明、外見不明、神を強く信奉し、そのテの異端を許さない教会ですら追跡できず、実在すら怪しまれる祖の一角だ。」
ルッスーリアは話しについて来ているらしく、怖いわね~。などと言ってくねくねしているが、レヴィの方は話に付いてこられてはいないらしく、?が頭の周りを飛び交い、逆立った髪すらも覆い隠されてまるでアフロのようだ。
「・・・噂は前に幻覚地獄でズタズタにした死徒から聞いたけど、本当にいるのかい?と言うか祖ってことはあのネロ・カオスクラスってこと?」
第10位を例に出すマーモンにスクアーロは首を振って
「そうとも言えるが違うとも言える。タタリってのはな、決まった形状を持たず、噂や恐怖、脅威、苦手意識などを元に具現する。故に一応大本の形はあるがその形は基本とらねえ。具体的に言うと、俺が見たタタリは先代ボスの剣帝テュールだった。まあ、大本と朝までやり合ったがな。」
「まあ!そんな強いの?なんかゾクゾクしちゃうわね~!」
「やめとけ、肉弾戦しかやらねえテメエじゃ血ぃ吸われて死徒になんのがオチだ。ソレはソレとして、つまり例えばベルが、と言うか俺らがアレに出会えば、恐らくタタリはあのクソボスの姿で現世するはずだぜ。で、まあ何だ。タタリはある特定のルートに沿って世界中を霊的エネルギーのこもった分子として世界を循環していて、これまた特定周期で現世する。仕上げに、これまでに起こった中で重要なのを上げると、300年ほど前、最初に現世したのがルーマニアのワラキア領。ワラキア候ブラドの吸血鬼疑惑が具現して最初のタタリが起こった。これが由来でタタリは別名ワラキアの夜と呼ばれる。次に上げるのがまだ途中の俺の昔話の舞台、4年前にイタリアの片田舎で起こったタタリだ。最後に日本の美咲って街で起こったタタリ。偶然か必然か今ベルがいるのも日本だ。他にも調べりゃなんどかタタリが発動しているのがわかんだろーな。」
「ん~、何か長い名前ね~。もーワラキーでよくない?」
ルッスーリアの発言で沈黙が落ちた。残り3人の考えはたった一つ。
(に、似合わねえ!)
・・・・・
「テラー・ニュース」
「くっ!」
「レプリカント・コンダクター」
「バレルレプリカ・オベリスク!」
極太の光条が薄紫色の髪の女性と同じ顔をしたタタリを貫く。ふう。と一息ついて彼女は上階の轟音を聞いた。
「・・・やはり、誰かが先に行ったようですね。」
最上階。戦闘の爪痕も生々しいフロアを後にし、彼女は階段に向かった。
・・・・・
「悪いな、アルクェイドの形で暴れられるとこっちも機嫌が悪い。」
「!」
斬―!
「くふふ・・・あのときと同じ17分割ねえ・・・随分と気が利いて・・・」
「黙れ」
青年は金髪の女性を砂嵐に帰すと眼鏡を掛け直し、ため息をつくと階段を上っていった。最上階より一つ下である。
・・・・・
「ッ!うぉ!っぶねえ~っけどよお、本物に比べりゃ出力弱いぜ」
言ってベルは突撃を仕掛ける。すかさずXANXUSが銃口から炎を迸らせるが、ベルの言うとおりヴァリアー幹部をはじめとするXANXUSの恐怖を知るもの達からすればハードスペックが落ちたとしか思えない次元の炎だ。
質、量、弾速。全てにおいて本物には及ばず、ベルの方が強い炎をリングに灯してすらいる。
「こっちだし♪」
くるりとステップして難なくその弾丸をかわし、代わりにナイフを投げる。
「ヌウッ!」
「胴体にクリーンヒットォ!しししっ。じゃまあ〆るぜ?ヴィゾーネ・ブリッツ!」
八本のナイフが宙を疾駆し、XANXUSに突き刺さる。それを追うようなミンクの突撃。ギリギリでミンクを躱したXANXUSに向けて更に大量のナイフが襲い掛かる。
「ナイフで奏でる切り裂きワルツ・・・ししっ。おっしま~い♪」
「―!!!!!」
崩れ落ち、足先から砂嵐と化していくXANXUS。ニヤリと笑うとベルは誇らしげに宣誓した。
「あいむうぃなー」
「王子にまぐれとか無いし。つか、このニセモノ弱くね?」
ちなみにスクアーロとマーモンがやたらと詳しい件ですがマーモンは超能力者でもあるわけで、そちらの方面で、スクアーロは奇数話の件が気になって調べ上げたという設定です。教会で好き勝手に暴れ回り、異端諮問騎士さん達を震え上がらせて吐かせたんだとか・・・こええよ!
ちゃおちゃおー。