では今回もお楽しみください
「ん~あ~、いっけね。またドクドクしちゃった」
アレは実感無いからあんまし好きじゃないんだよね。などとうそぶいてベルは屋上で一人立ち上がる。と、そんな彼に声がかけられた。
「貴方が元凶を倒し、タタリを終わらせたのですか?」
「みたいだね。記憶無いけど」
軽く肩をすくめてシオンの問に答えたベルは何とはなしに屋上の外に目をやり、少しずつ白んでくる東の空に微かに眼を細めた。
「夜が明けていく・・・これで全てが終わりました。ありがとう」
「いーっていーって。俺は好きで殺しただけだから」
そう言おうとしたベル。しかし俺は好きで殺した・・・まで言ったところでポケットに入っていた小型の無線機から特大ボリュームの叫び声が聞こえてきた。
<う゛お゛お゛お゛お゛い゛!無事なんだろうなベルウウウウウウウウウウウウウウウウ!>
誰あろう、ベル曰くアホのロン毛隊長たるスクアーロの声だ。
「あ~スクアーロ隊長、うん、無事だよ」
<テメエ、なんで厄介ごとに巻き込まれてるなら連絡しなかったあ゛あ゛あ゛!>
「いーじゃんめんどいし。だって俺王子だもん。」
<答えになってねーぞおおお!>
叫ぶスクアーロ。通信機から漏れる大音声に反応したシオンがベルの手から無線機を奪い取る。
「スクアーロ!?本当にS・スクアーロなのですね!?」
<…っ!シオンか。久しぶりだなあ。>
「ええ、四年ぶりになります」
<殺し屋の俺が人の体調を気にするのも何だが、元気してやがったか?>
はい。と頷くシオン。無事に残ることが出来たリーズバイフェも、未だ意識を取り戻さない彼女を肩に担いだ志貴も、すぐ近くで無線機を取られたベルも入り込むことは出来そうもない。
しばらくそうしていただろうか。志貴は金髪の女性、即ち真祖の姫たるアルクェイドに連れられてシュラインを離れた。
「ち。アホのロン毛隊長においしいとこ全部もってかれちまった。」
頬に少しだけ癇癪筋を浮かべ、ベルはポケットに両手を突っ込んだまま屋上から姿を消した。
・・・・・
「で、結局どうだったのよ?シオンってコ、どうだったの?」
「あ゛あ゛?確かにあん時はワラキアに意識が行ってたが、そうだな・・・今思えば結婚相手としちゃかなりの好物件だった気もするな。冷静だったし、何より、まあ、何だ。可愛いっつーか、美人だったしな・・・ってなに話させんだあ゛!」
キツいボディブローをくれて部屋から出て行くスクアーロ。一人残されたルッスーリアは一人考え込む。
「あの通信しているときの様子から考えるとそのシオンってコ、スクアーロに惚れてるわね。もしくは惚れてた?どっちでもいいけどちょっとキューピットになってあげようかしら~?」
・・・・・
後日・・・
三咲町某所の路地裏・・・
シオンたち日陰者の吸血鬼によって構成される団員数四名(一人幽霊)の防衛組織、路地裏同盟の本拠地たるそこに、一人の女性がやってきた。誰あろう、メルブラプレイヤーおなじみ、今作でも冒頭でベルの台詞にちょろっとだけ出てきた腹黒割烹着の琥珀である。
「おや?琥珀じゃないか、どうしたんだ?」
一見して男性か女性か分からないような声をかけたリーズに琥珀はにっこりと笑うと
「いえ、今日は貴方に用があるわけじゃないんですよお」
と言って左手を口元に持って行き、メガホンの形を作る。
「すーっ・・・シオンさーん!」
と、リーズは琥珀が小脇に抱えた封筒に興味を示して質問した。
「それは何だ?まさかまたおかしな商品の設計図とか契約書じゃないだろうな?」
「いえいえ、違いますよ?シオンさん宛のエアメールです」
「エアメールとは珍しいな。」
「でしょう?この路地裏の住所が分からなかったので遠野家の方に届いたようですので私がお持ちした次第でございます」
ご苦労様。などと二人が話しているとツインテールの少女が手で顔を煽ぎながらやってきた。
「あついよ~、のどかわいたよ~、いくら真夏だからってこれはやり過ぎだよお」
彼女は弓塚さつき。路地裏同盟ナンバー2、楽観担当だ。
「確かに砂漠に比べて湿度が高く、纏わり付いてくると言うのには賛成できますがしかしこの程度で弱音を吐いてはいけないさつき。すみませんドクター。お待たせして」
「いえいえ、いいんですよ。で、これがシオンさん宛のエアメールなんですが、ルッスーリアという人からですよ」
「知らない人ですね」
そう呟き、探知もしてみたので危険ではないと確認し、シオンは封筒を開く。そこに入っていたのは・・・
「銀髪の青年の写真・・・か?」
「何かカッコイイ人だね~」
思い思いの感想を述べるリーズとさつき。と、シオンがその色白の肌を真っ赤に紅潮させてフリーズした。
「おやおや~?いっしょに手紙も入ってるみたいですよ」
<ルッス姐さんはいつでも恋する乙女のミ・カ・タ>
モヒカン刈りの男の写真とその手紙を放ったままでシオンはスクアーロの写真だけをあっという間に回収、さっさと路地裏の奥に消えてしまった。
「ど~したんだろ~ねシオン。リーズさん、分かる?」
「いや、私にも分からないが・・・ひょっとしたらシオンにも好きな人がいるんじゃないか?顔真っ赤だったし」
「きっとそうなんでしょうね~」
くくくっ。と狐狸のようにニヤリとした笑みを浮かべる琥珀なのであった。
・・・・・
「ルッスーリア!テメエ何かってに人の写真おくってんだ!」
「いいじゃないの!」
ニマニマしながらベルが見ている前でスクアーロの写真を勝手に送った罰で踏みつぶされるルッスーリアであった。
「ひどいわああーっ!」
GAME OVER
「オイ・・・」
はっ、ハイッ!?ボス、どーかなさいましたか!?
「何故俺の扱いがここまで悪い」
い、いえ、あの、あれですよ。ボスは自分から動くようなお方じゃないでしょう?
「そこじゃねえ。何故俺のタタリがあれほど弱い」
本物の凄さを表現するためです!はい!そうですとも!
「だったらもう2,3話書いて俺を活躍させやがれ!だがその前に・・・かっ散れ!」
ひぎゃあああああああ!
「ふん」
ちゃ・・・ちゃおちゃおー・・・がくっ。
【挿絵表示】