そういうのが苦手な方は、他の作品をオススメします_(:3」∠)_
MMDで一日が終わる_(:3」∠)_
ファスティバさんの大立ち回りとアクアの懸命の浄化により、何とか夕方に街に帰り着く事ができた。
「アクアー。いい加減に出てこいよー」
「嫌よー。私お昼食べ損ねたんだから」
クエストが終わったにも関わらず、アクアは檻の中から出てこようとしなかった。
理由は単純で、歩くのがたるいから。
今は檻の中でファスティバさんのお弁当を、食べている。
旨いんだよなー。家庭の味って感じがするんだこれが。
「んー♪おいひー!」
「嬉しいわ。アクアちゃん」
「このままいてくれたら良いのに」
おいやめろ。悲しくなるだろ。
「ごめんなさい。それは出来ないわ」
「……カズマ。召喚は覚えられないんですか?」
「……わりぃ」
「いえ、私こそすいません」
たった一日だ。だけど、ファスティバさんとの時間は濃厚で、優しくて、頼もしかった。
自然と足が重くなり、やがて止まる。
見ればアクアも箸を止め、視線を落としている。
……くそっ。やな空気だ。
「皆ありがとう」
え?
何でお礼なんて言ったんだよファスティバさん。
「あたし嬉しいわ。皆がここまであたしを思ってくれて」
「ファスティバさん…」
「でも皆、大丈夫よ!」
ファスティバさんが腕を大きく広げる。
厚い胸板が惜しげもなく晒され、沈んでいく夕陽もあって、まるで慈愛の神様のように見える。
今日だけでこの人にどれだけ憧れただろうか。
この人の言葉にどれだけ勇気づけられただろうか。
今日一日の事が一気に駆け抜ける。
これが走馬灯か…。
「この空のように、あたし達は繋がっているわ!そう!愛で!!」
そのセリフは体を衝撃となって駆け巡った。
そう、ファスティバさんはことあるごとに言っていた。
ラヴ。そうつまりは愛を!!
「ファスティバさん!」
「ファスティバ!!」
「フ"ァス"ティバぁ!」
「ファスティバ殿!」
四者四様にファスティバさんの名前を呼び、抱きつく。
力強い身体が俺たちを受け止める。
アクアは残念ながら檻に阻まれた。
父のようで、母のような安心感を覚える。
オネエって凄い。改めてそう思った。
「嬉しいわ。でもちょっと待ってて。今アクアちゃんを出すから」
そう言ってファスティバさんは俺たちを優しく離し、アクアの檻の鍵を開けようと近づいた瞬間だった。
「アクア様伏せてください!!」
という大声のあと、檻が切り裂かれた。
あ、アクアの30万エリスがあぁぁ!!??
「アクア様。ご無事ですか?」
突然現れた騎士風のイケメンは、切り裂いた檻に目もくれず、アクアの安否を確認していた。
つうかどうしてくれんだよ。さっきまで完全に感動的な雰囲気だったのに、こいつの場違いな行動のせいで一気に白けたぞ。
「もう安心ですよ、アクア様。あなたに選ばれたこのミツルギ・キョウヤが、あなたをお助け致します!」
と、俺達のそんな胸中など分かるはずもないイケメンは、一人で勝手に盛り上がっている。
「カズマ。何なんですかあいつは」
「さぁ?アクアに騙された可哀想な被害者Xじゃね?」
知らねーよ。俺のほうが聞きたいわ。
アクアも覚えがないのか、俺達の方に助けを求めて視線を向けている。
うん。わかる。分かるぞアクア。
俺がいつもそうだしな!
「そこの君達も安心したまえ。今この僕がそこの悪漢を倒し開放してあげよう」
は?
今こいつなんった?
悪漢?誰が?
「おい、聞き捨てならないこと言わなかったか?」
「カズマ。撃っていいですか?やっていいですか?」
「さしもの私も今の言葉には怒りを隠せないな。騎士としてではなく、人として許せん」
「遠慮なくやっちゃっていいわよ!死んでも生き返らせるから!」
俺達は確かな怒りの元に団結した。
こいつは許せない。
ファスティバさんの事をミリも分からねぇくせに、悪く言いやがって!
「皆!落ち着きなさい!」
怒りで頭が湯だった俺達を沈めたのはファスティバさんの一喝だった。
「あたしの見た目が怖いのは事実よ!だからそんな事で怒っちゃダメ、ね?」
ファスティバさんが俺達の目を見て宥めてくる。
仕方ねぇ。ここは引いてやるか。
「茶番はそこまでにするんだな。そうやってアクア様をはじめ、このパーティーを誑かせたんだろう?」
「よし、分かった。泣かせてやる」
「カズマちゃん!」
ふざけんなよコイツ。
ミツルギ・キョウヤって日本風な名前って事は転生者だろ?
なんでそんなファンタジーに染まった格好してんだよ。
こちとら、未だにそこら辺にいる村人Aの別バージョン。みたいな恰好なんだぞ?
「あっ、思い出したわ。コイツ転生したやつよ。魔剣グラムを持って」
なにぃ?!ってことはアレか?チート持ってるってことかぁ?
………腹立ってきた。潰そ。
「ファスティバさん。ここは俺に任せてください」
「カズマちゃん…」
「恩人をバカにされて引き下がったら男じゃありませんよ。それに、個人的にぶっ飛ばしたい理由もできました」
「……そこまで惑わされているとは…仕方ない。君は眠らせてあげよう。起きるころには、悪い夢から覚めているさ」
イケメンはグラムを抜き、構える。
が、全然怖くなかった。
なぜならもっと怖いやつと対峙したことがある。
切国さんだ。
あの人の剣技は綺麗で、強くて、何より怖かった。
稽古していると頭でわかってても、いつか殺されるんじゃないかと何度も思った。
そんな切国さんに比べれば、目の前のイケメン(笑)はヘッポコだ。
だが俺は油断しない。もともと真正面から勝てるとは思ってない。
相手がチート持ちというのも勿論だが、職業の差もある。
見たところ剣士か、その一つ上のソードマスター。
冒険者の俺では一太刀も浴びせられないだろう。
だが、軍師はこう言った。
戦いは刃を交える前が肝心。
だから俺は提案する。
「お互い真剣勝負だ。殺さない、街に被害を出さない。そして外野には手を出さない。この3つを守れば手段は問わない。どうだ?」
「いいだろう。僕が勝ったら、君以外のパーティーメンバーを貰おう」
は?なんで?
「今気づいたんだが、君は最近噂になっているカズマだろう?パーティーメンバーに恵まれながら、そのメンバーを充分に活かしきれずにいるそうじゃないか」
まぁ、確かに面子は豪華だな。面子は!
宴会芸と高速借金が得意なアークプリースト!
爆裂魔法オンリーの一発屋アークウィザード!
命中率0、ところ構わずドM全開クルセイダー!
三人揃って見かけは立派!ポンコツトライ!!
「かっこ悪!!」
「?どうしたんだ?」
「気にすんなよ…」
思わず声に出ちまったぜ。
「ともかく…受けるのかい?」
「いいぜ。その代わりあんたが倒れたら、ファスティバさんに謝って貰う他にもう一つ何かしてもらうぜ」
「構わないよ」
こんにゃろう。間違いなく自分の勝利を疑ってない顔してやがる。
後ろの女二人組なんか「やっちゃえー」とか「謝るのはそっちよ!」なんか言ってるしよ。
対してこっちは……
「カズマ。絶対勝ってください。負けたらこの場で爆裂魔法撃ちます」
「なら私は生き返らせてぶん殴るわ!」
「で、では私はその両方を……いや、やっぱり勝ってくれ。アイツとだけは居たくない」
好き勝手言いやがって…まぁいいや。
この戦いに、ミツルギの勝ち目はねぇ。
ミツルギ・キョウヤ
原作 この素晴らしい世界に祝福を!
漢字で書くと御剣 響夜。画数が多い。
原作での死因は不明。
この世界でも死因は不明。
本来なら素直にイケメンとして認識される予定が、山姥切国広というでか過ぎる壁のせいでいまいちパッとしなくなった。
人の話は聞かない上に他人の心情も理解しないあたり、コイツもコイツでちょっとおかしい。