ハイスクールD×D~ボンゴレの息子が悪魔に!?~   作:村雨刹那

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第12話

声がした方に顔を向けるとツヤツヤの黒髪でスレンダー体型の女性がいた。

「・・・・・・レイナーレさま」

彼女が誰か、わからないけどレイナーレというらしい。

「あの・・・どちら様ですか?」

 

「汚らしい下級悪魔が気軽に私へ話しかけないでちょうだいな。」

ッ!?

なんで俺が悪魔だって知ってるんだ?

「その子、アーシアは私たちの所有物なの、返してもらえるかしら?アーシア、逃げても無駄なのよ?」

 

「嫌です。私、あの教会へは戻りたくありません。人を殺すところへなんて戻りたくありません」

 

アーシアははっきりと嫌悪の言葉をはき出す。

 

どういうことだ?

彼女が教会の者だということはわかる。

でも、アーシアがここまで嫌な顔をするとは思わなかった。

 

「そんなこと言わないでちょうだい、アーシア。あなたの神器は私たちの計画に必要なのよ。ね、私と一緒に帰りましょう?これでもかなり探したのよ?あまり迷惑かけないでちょうだい」

レイナーレが近づいてくるが、アーシアは俺の陰に隠れる。

アーシアが怯えているのがわかる。

俺はアーシアを庇うように前にでる。

「やめろよ。アーシアが怯えてるだろ。レイナーレさん、あなた、この子になにするつもりですか」

「下級悪魔、私の名前を気安く呼ぶな。私の名が汚れる。さっさと主の元に帰らないと死ぬわよ?」

するとレイナーレさんは手に光を集め槍みたいな物をつくり出す。

 

「光!?まさか堕天使なのか!?」

「あら?気づいてなかったのね。やはり下級悪魔ね」

 

俺、堕天使にあったのこれが初めてだし。

というか、この人俺の事、絶対馬鹿にしてるでしょ。

 

「セイクリッド・ギア、発動!」

両手が光を覆い毛糸の手袋に変貌する。

 

やっぱり手袋……

わかっていたんだけどな、なんでグローブにならないんだろ?

 

「……フフフ」

俺の神器を見て、心底おかしそうに嘲笑う。

「手袋が神器なんて本当、下級悪魔にお似合いのシロモノね」

 

 

確かに俺の神器がグローブにならず、手袋のままだと何にも出来ないけど、ないよりマシだ。

なんとかレイナーレを退け、アーシアを連れて逃げる!

俺の家まで行けばなんとかなるか―――

 

 

ズドンッ!!

 

 

あぶなっ!

いきなり光の槍を投げてきた!

「よくかわしたわね」

レイナーレは俺がかわすとは思っていなかったのか驚いている。

「残念だったな距離が離れてたから、このぐらいならよけれるさ」

 

リボーンの特訓の中に銃弾を避けるのがあったんだ。

最初は100メートルぐらいでゴム弾だったんだけど、避けられるようになったら距離をつめていき、ゴム弾から実弾に変わったんだ。

しかもコロネロも一緒になって撃ってくるんだ。

あの時は本当に死ぬかと思った。

 

フリードの時は近すぎて避けられなかったら、今回のように距離が開いていたら避けることはできる。

 

・・・・・だいたい4割の確率でだけど。

 

 

 

「アーシア、その悪魔を殺されたくなかったら、私と共に戻りなさい。あなたの神器は我々の計画に必要なのよ。その力、『聖母(トワイライト)の微笑(ヒーリング)』はそこの下級悪魔くんの神器と違って希少な神器なの。応じないのならその悪魔を殺すしかないわ」

「なに言ってるんだ!俺はあんたの攻撃をかわした。だから、あんたの攻撃は俺には通じない!」

「あなたこそ何を言っているの?私の槍をギリギリで避けたくせに。このまま続けていたら、あなたは死んでいるのよ。それにあなたみたいな下級悪魔に力を使うのは面倒なのよ。それを見逃してあげるって言うの、感謝してほしいぐらいだわ」

レイナーレは冷酷な表情でにらみつけてくる。

 

 

「アーシア!俺のことは気にせず―――」

「わかりました」

俺の言葉を遮り、アーシアはレイナーレの提示を受け入れる。

 

「アーシア!なんで!?」

「ツナトさん、今日は一日ありがとうございました。本当に楽しかったです」

アーシアは満面の笑みを浮かべ、レイナーレのほうに進み出す。

 

「いい子ね、アーシア、それでいいのよ、問題ないわ。今日の儀式であなたの苦悩は消え去るのだから」

儀式?アーシアに何をする気だ!?

 

「アーシア、待ってよ!」

「ツナトさん、私と友達になってくれてありがとうございます」

振り返ったアーシアの表情はいまだに満面の笑みだった。

「さようなら」

それが彼女の別れの言葉だった。

アーシアの体をレイナーレの黒い翼が覆う。

 

「下級悪魔、この子のおかげで命拾いしたわね。次に邪魔したら今度こそ本当に殺すわね」

嘲笑うレイナーレは、アーシアを抱いたまま空高く飛び上がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何もできなかった。

 

昨日は守ることすらできず逃げて

今日は守るはずのアーシアに守られて

 

悔しくて悲しくて、涙が流れてくる。

 

自分の非力さを呪い、後悔した。

グローブに変化しないから何もできない。

そう思ってた。

 

 

でも違う。

何もできないと思い、なにもしなかっただけなんだ。

自分の中で覚悟ができていなかった・・・

 

 

「……アーシア」

 

返事は返ってこない。

そんなことは分かりきっている。

だけど彼女の名前を言いたくなった。

 

 

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