ハイスクールD×D~ボンゴレの息子が悪魔に!?~ 作:村雨刹那
祭壇の下に隠してあった地下への階段を下り、奥に進むと大きな扉が見つかった。
おそらくアーシアも扉の奥にいるのだろう。
「おそらく、奥には堕天使とエクソシストの大群が存在すると思う。覚悟はいい?」
「もちろんだよ」
木場くんの言葉に俺は答え、小猫ちゃんが頷く。
「わかった。じゃあ、扉を――――」
木場が扉を開こうとした時、勝手に扉が開いた。
「いらっしゃい。悪魔の皆さん。」
堕天使レイナーレが部屋の奥から言葉を掛けてきた。
部屋の中は神父だらけで光の刃を発生させる剣を持っていた。
その中には十字架に磔にされている少女がいた。
「アーシア!!」
俺の言葉にアーシアは気づき、こちらに顔を向ける。
「……ツナトさん?」
「助けに来たよアーシア」
「ツナトさん……」
「感動の対面だけど、遅かったわね。いま、儀式が終わるところよ。」
儀式が終わった?
俺がそう思った時、アーシアの体が突然光り出す。
「……あぁあ、いやぁぁぁぁぁぁぁ!」
アーシアが苦しそうな声を放つ。
「アーシア!!」
急いで彼女のもとへ駆け寄ろうとするが複数の神父たちがおれの前に現れる。
「邪魔はさせん!」
「悪魔め!滅してくれるわ!」
神父が俺の邪魔をするせいでアーシアの所まで行けない。
……こうなったら
―――バン!
後ろを振り返ってみると小猫ちゃんが神父の一人を殴り飛ばしていた。
「最初から全力でいかせてもらおうかな。僕、神父は嫌いだからさ。こんなにいるなら、遠慮なく光を食らわせてもらうよ」
木場くんも神父を相手にしているようだ。
そうこうしている間にアーシアから放たれる光は大きくなりだしていた。
それをレイナーレが掴んでいた。
「これよ、これ! これこそが、私が欲していた力! 神器! これさえあれば、私は愛を頂けるの!!」
狂喜に彩られた表情でその大きな光をレイナーレは強く抱きしめ、まばゆい光が儀式場を包む。
光が止んだ時、緑色に光が全身から発しているレイナーレがいる。
「うふふ。アハハハハハ!ついに手に入れた!至高の力!これで、これで私は至高の堕天使になれる!私をバカにしてきた者たちを見返すことができるわ!」
高笑いするレイナーレ。
俺はそんなこと構わずアーシアの下に駆け寄る。
神父は俺を行かせまいと立ちはだかるが、俺はグローブに炎を灯し、アーシアの下まで飛んでいく。
木場くんと小猫ちゃんは驚いているがそんなことを気にしてられない。
「アーシア、今度こそ君を助けに来たよ」
そう言いながらアーシアを拘束している手足の拘束具を解く。
「……ツナトさん」
返事をするアーシアの声はあまりに小さくて聞き取るのもやっとの声で生気を感じることがない。
「無駄よ。神器を抜かれた者は死ぬしかないわ。その子、死ぬわよ。」
アーシアが死ぬ?
俺はまた守れないのか
「沢田くん!ここでその子を庇いながらでは形成が不利だ!一度上に上がってくれ!」
どうしてアーシアが死なないといけないんだ?
「沢田くん!!!」
「っ!?な、何?木場くん」
「聞いてなかったのかい!いいからその子を連れて上がるんだ!僕と小猫ちゃんが道を開くからその隙に」
でもそれじゃあ木場くんと小猫ちゃんが……
「……大丈夫ですから」
「いいから行くんだ!」
いくら二人が強くてもこんなに人数がいたら無事じゃ済まないよ!?
「……木場くん、小猫ちゃん。絶対に無茶しないでよ!」
二人のことを心配しながらその場を離れた。
階段を上り、聖堂に出た。
そこでアーシアを長椅子に寝かせた。
アーシアの顔は真っ青だ。
「アーシアしっかりするんだ!」
俺はそれぐらいの言葉を掛けるだけで何もできない。
アーシアの顔色がさらに悪くなっている。
体温も少しずつ失われているようだった。
「……私、少しの間だけでも……友達ができて、幸せでした」
「やめてよ」
アーシアは苦しみながらも微笑む。
「……もし、生まれ変わることができたら……また、友達になってくれますか?」
「やめてよ。君は死んだりなんかしないんだから。それにホラ、本を買ったり、花を買ったりするんだろ?一緒に君を助けに来た二人にも君を紹介したいんだ。二人共いい奴らだからさアーシアの友達になってくれるさ。だから、死ぬなんて言わないでよ」
気がついたら涙が止まらなかった。
この子は死ぬ。
頭では分かってもそれを受け入れることができない。
否定したいのに否定できない。
「……きっと、この国で生まれて、ツナトさんと同じ学校に行けたら」
「行こうよ!アーシアがいたらきっと楽しいよ」
アーシアが俺の頬をなでる。
「……私のために泣いてくれる……もう、何も……」
頬に触れている手が静かに落ちる。
「……ありがとう……」
微笑んだまま逝った。
優しいこの子が死んでいいはずがないんだ。
この子は誰でも経験してることをしたことがないんだ。
楽しいことや嬉しいことそんなことをしたことがないんだ。
アーシアはいつも苦しいはずなのにそんなことを微塵にも出さすに笑っていた。
それはきっと他の人に迷惑をかけないようにするためだ。
「あら、泣いてるの?悪魔のくせに」
後ろからレイナーレの声が聞こえてきた。
「見てご覧なさい。ここへ来る途中、下で『騎士』の子にやられてしまった傷。」
レイナーレは自分の傷に手を当てる。
淡い緑色の光が発せられて、傷が塞がっていく。
「見て、素敵でしょう?どんなに傷ついても治ってしまう。神の加護を失った私たち堕天使にとってあの子の神器は素晴らしい贈り物だったわ。」
あの光はアーシアの心そのものなんだ。
あんたが気軽に使っていいものじゃない。
「堕天使を治療できる堕天使として、私の地位は約束されたようなもの。偉大なるアザゼルさま、シェムハザさま、お二方の力となれるの!こんなに素敵なことはないわ!ああ、アザゼルさま……。私の力を、私の力をあなたさまのために……」
「……どうでもいいよ」
もうアーシアは戻ってこないんだから。
『本当にそれでいいのか?』
誰?
『君といつも居た者だ』
いつも?
俺、キミのこと知らないんだけど
『分からなくてもいい。だが、アーシアの敵はとらないのか?』
敵とかアーシアは喜んだりしないよ
俺といつもいたならわかるだろ
『確かに彼女は喜ばないだろうだが、彼女の神器を奪われたままでいいのか?』
っ!?
だけど俺じゃあいつに勝てない!
『君はそれでいいのか?』
よくないよ!
でも俺はアーシアを助けることができなかった。
俺に力がないから!
『力があれば君は戦うのか?』
確かに力があれば……
アーシアが死ぬことはなかったのかもしれない。
けどさ
戦わないと思う。
『ほう?なぜだ』
確かに俺は力があればあいつに勝てると思ったよ。
でもさ、どんなに強い力があっても俺はその力を守るために使いたいんだ。
『ならば想え』
想う?
確か部長も同じことを……
―――想いなさい。神器は想いの力で動き出すの。そして、その力も決定するわ。
……取り返す
アーシアの神器を取り返す!
『それでいい、君は一人ではないのだから』
ああ
そうだね、俺は一人なんかじゃない!
ここまで一緒に来てくれた。木場くんと小猫ちゃん。
それに君もいる。
誰だかわからないけど。
『ふっ、ジョットだ』
え?
『俺の名前だ』
ジョットってボンゴレⅠ世の?
『そうだ、沢田綱人』
もしかしていつもいたって言うのは神器として?
『よくわかったな。そう君の神器の一つボンゴレリングとして』
ちょっとまってよ!
ボンゴレリングって神器だったの!?
『その話は後だ。あの堕天使にひと泡吹かせてやれ』
そうだったね。
まずはアイツをぶっ飛ばさないと!
「死んでも死にきれねぇ!!」
ツナトの右手にはボンゴレの紋章が刻み込まれ、左手には赤い龍の紋章が刻み込まれたグローブが装着されていた。