ハイスクールD×D~ボンゴレの息子が悪魔に!?~   作:村雨刹那

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第7話

「二度と教会に近づいちゃだめよ」

 

アーシアと出会った日の夜に部長に念を押されている。

「教会は私たち悪魔にとって敵地。踏み込めばそれだけで神側と悪魔側の間で問題になるわ。今回はあちらもシスターを送ってあげたあなたの厚意を素直に受け止めてくれたみたいだけれど、天使たちはいつも監視しているわ。いつ、光の槍がとんでくるかわからなかったのよ?」

 

怖っ!?

やっぱり、あの場から離れて正解だったみたい

「教会の関係者にも関わってはダメよ。特に『悪魔払い』は我々の仇敵。神の祝福をうけた彼らの力は私たちを滅ぼせるほどよ。神器所有者が悪魔払いなら尚更。もう、それは死と隣り合わせるのと同義だわ。ツナト」

紅の髪を揺らしながら、部長が凄まじい眼力でにらんでくる。

部長が真剣だって事が伝わってくる。

 

「人間としての死は悪魔への転生で免れるかもしれない。けれど、悪魔払いを受けた悪魔は完全に消滅する。無に帰すの。―――無。何もなく、何も感じず、何も出来ない。それがどれだけのことかあなたはわかる?」

 

・・・無。

そんなこと、一度だって考えた事ないよ。

反応に困る俺を見て、部長はハッと気づいたように首を横に振った。

「ゴメンなさい。熱くなりすぎたわね。とにかく、今後は気をつけてちょうだい」

「わかりました」

俺と部長の話はそこで終わった

「あらあら。お説教はすみましたか?」

「おわっ」

いつの間にか俺の背後に朱乃さんがいた。

・・・全然気がつかなかった

「朱乃、どうかしたの?」

部長の問いに朱乃さんは少しだけ顔を曇らせた

「討伐の依頼が大公から届きました」

 

 

 

 

はぐれ悪魔

 

爵位持ちの悪魔に下僕としてもらった物が、主を裏切り、または主を殺して主なしとなる事件が極稀に起こるそうだ。

簡単に言えば野良犬

野良犬は害を出す。見つけ出し、主人、もしくは他の悪魔が消滅させることとなっているそうだ。それが悪魔のルール。

これは、他の存在でも危険視されていて、天使や堕天使側もはぐれ悪魔がいたらみつけしだい殺すよう命じられてるらしい

今回はそれを討伐するよう、上級の悪魔から依頼が来たそうだ。

 

 

時間は深夜。暗黒に満ちた世界。

周囲は背の高い草木が生い茂り、遠目からでも廃屋が見える。

悪魔になってから暗闇でも目が利くようになっている。

「・・・血の臭い」

小猫ちゃんがボソリと呟いた。

血の匂い?

俺はそんなもの匂わないけど?

小猫ちゃんの嗅覚が俺よりもすぐれてるのかな。

 

でも、周囲に満ちてる敵意や殺気が半端じゃない。リボーンの特訓がなかったら気絶しそうになるくらいだと思う。それぐらい密度の濃い殺気だ。

「ツナト、いい機会だから悪魔としての闘いを経験しなさい」

いきなり、部長が無茶を言ってくる

「神器が手袋なんで無理があると思うんですけど」

その前に戦いたくないし。

「そうね。それはまだ無理ね」

あっさり言い渡される。結構、鍛えてると思うんだけどな・・・

「でも、悪魔の戦闘を見ることはできるわ。今日は私達の戦闘をよく見ておきなさい。ついでに下僕の特性を説明してあげるわ」

「下僕の特性?」

一体どういうこと?

 

「主となる悪魔は、下僕となる存在に特性を授けるの。・・・そうね、頃合だし、悪魔の歴史を含めてその辺を教えてあげるわ」

部長は悪魔の現況について語り出す。

「大昔、我々悪魔と堕天使、そして天使を率いる神は三つ巴の大きな戦争をしたの。大軍勢を率いて、どの勢力も永久とも思える期間、争い合ったわ。その結果、どの勢力も酷く疲弊し、勝利する者もいないまま、戦争は数百年前に終結したの」

 

部長の言葉に木場君が続ける。

 

「悪魔側も大きな打撃を受けてしまった。二十、三十もの軍団を率いていた爵位を持った大悪魔の方々も部下の大半を長い戦争で失ってしまったんだ。もはや、軍団を保ていないほどにね」

 

今度は朱乃さんが口を開く。

 

「純粋な悪魔はそのときに多く亡くなったと聞きます。しかし、戦争は終わっても、堕天使、神との睨み合いは現在でも続いています。いくら、堕天使側も神側も部下の大半を失ったとはいえ、少しでも隙を見せれば危うくなります」

そして部長が再び語る。

「そこで悪魔は少数精鋭の制度を取ることにしたの。それが『悪魔(イーヴィル)の駒(ピース)』―――」

「イーヴィル・ピース?なんですかソレ?」

俺は気になる単語が出たので部長に聞いてみた。

「爵位を持った悪魔は人間界のボードゲーム『チェス』の特性を下僕悪魔に取り入れたの。下僕となる悪魔の多くが人間からの転生者だからって皮肉を込めてね。それ以前から悪魔の世界でもチェスは流行っていたわけだれど。それは置いておくとして。主となる悪魔が『王』。私たちの間で言うなら私のことね。そして、そこから『女王』、『騎士』、『戦車』、『僧侶』、『兵士』と五つの特性を作り出したわ。軍団を持てなくなった代わりに少数の下僕に強大な力を分け与えることにしたのよ。この制度をできたのはここ数百年のことなのだけれど、これが意外にも爵位持ちの悪魔に好評なのよね」

 

「好評?チェスのルールが?」

 

「競うようになったのよ。『私の騎士は強いわ!』、『いえ、私の戦車のほうが使える!』って。その結果、チェスのように実際のゲームを、下僕を使って上級悪魔同士で行うようになったのよ。駒を生きて動く大掛かりなチェスね。私たちは『レーティングゲーム』と呼んでいるけれど。どちらにしても、このゲームが悪魔の間では大流行。今では大会も行われているぐらいだわ。駒の強さ、ゲームの強さが悪魔の地位、爵位に影響するほどにね。『駒集め』と称して、優秀な人間を自分の手駒にするのも最近流行っているわ。優秀な下僕はステータスになるから」

 

ゲームが強い方が悪魔として自慢になるのか。

俺は戦いとかそういうのは嫌なんだけど。

 

「私はまだ成熟した悪魔ではないから、公式な大会などには出場できない。ゲームをするとしても色々な条件をクリアしないとプレイできないわ。つまり、とうぶんはツナトやここにいる私の下僕がゲームをすることはないってことね」

とうぶんはってことはいつかは戦わないといけないんだ。

「そういえば、部長、俺の駒はなんですか?」

「そうね、ツナトは」

そこまで言って部長は言葉を止めた

「不味そうな臭いがするぞ?でも美味そうな臭いもするぞ?甘いのかな?苦いのかな?」

不気味な声が聞こえてくる。

「はぐれ悪魔バイザー。あなたを消滅しにきたわ」

部長は一切臆さずはぐれ悪魔に言い渡す

ケタケタケタケタケタケタケタケタ・・・

異様な笑い声が辺りに響く

暗がりから女性の上半身とバケモノの下半身を持った言葉に表すことができない存在がいた。両手に槍らしき得物を一本ずつ所持している

正直いって、気持ち悪い。

 

「主のもとを逃げ、己の欲求を満たすためだけに暴れまわるのは万死に値するわ。グレモリー公爵の名において、あなたを消し飛ばしてあげるわ!」

「こざかしぃぃぃ!小娘ごときがぁぁ!その紅の髪のように、おまえの身を鮮血で染め上げてやるわぁぁぁぁぁ!」

うるさいな、耳が痛くなる。

「雑魚ほど洒落のきいたセリフを吐くものね。裕斗!」

「はい!」

バッ!

近くにいた木場君が飛び出す。

速い!目で追うのがやっとだ!

 

「ツナト、さっきの続きをレクチャーするわ」

話?特性のこと?

「裕斗の役割は『騎士』、特性はスピード。『騎士』となったものは速度が増すの」

部長の言うとおり、木場君の動きが徐々に速度が増してきた。

バケモノも槍を振るって攻撃するが、まったく当たる気配が無い。

「そして、裕斗の最大の武器は剣」

そして、足を止めた木場君の手には西洋剣が握られていた。

そのまま剣を鞘から抜く。そして、再び走り出す。そして敵が認識するよりも速く、両腕を切り落とした。

「ギャァァァァァァアアアアっ!!」

敵の悲鳴が木霊し、両腕から鮮血が飛び散る。

「これが裕斗の力。目では捉えきれない速力と、達人級の剣さばき。ふたつが合わさることで、あの子は最速のナイトとなれるの」

悲鳴を上げるバケモノの足元に小猫ちゃんが近づく

「次は小猫。あの子は『戦車』。戦車の特性は―――――」

「小虫めぇぇぇぇぇっっ!!」

その言葉と同時に、バケモノは小猫ちゃんを踏み潰しにかかる。しかし、バケモノの足は地面につくことはなく、小猫ちゃんに全衝撃を受け止められた。

イヤ、あり得ないだろ。

「『戦車』の特性はシンプル。バカげた力。屈強なまでの防御力。無駄よ。あんな悪魔の踏みつけたぐらいでは小猫は沈まない。潰せないわ」

グンッ!

完全にバケモノの足を持ち上げてどかす小猫ちゃん。

「・・・・・・ふっ飛べ」

小猫ちゃんは空高くジャンプし、バケモノの腹に拳を撃ち込む。拳の威力にバケモノの体が後方に大きく吹き飛ぶ。

・・・小猫ちゃんには逆らわないようにしよう。

 

「最後に朱乃ね」

「はい、部長。あらあら、どうしようかしら」

朱乃さんが笑みを浮かべながら、さっきの一撃で倒れこんでいるバケモノのもとへ歩みだす。

「朱乃は『女王』。私の次に強い最強の者。『兵士』、『騎手』、『僧侶』、『戦車』、すべての力を兼ね備えた無敵の副部長よ」

「ぐぅぅぅぅ・・・・」

近づいてきた朱乃さんを睨みつけるバケモノ。それをみてまた笑みを浮かべる朱乃さん。

「あらあら。まだ元気みたいですね?それなら、これはどうでしょうか?」

天空から光り輝き、バケモノに雷が落ちた。

「ガガガガッガガガガッガガガッッ!」

激しく感電するバケモノ。

「あらあら。まだ元気そうね?まだまたいけそうですわね」

カッ!

再び雷がバケモノを襲う。

「ギャァァァァァッッ!」

すでに断末魔に近い声をあげている。

だけど朱乃さんは三発目の雷を繰り出していた。

「グァァァァァァァァァァアアアァッァァッッ!」

朱乃さんの表情は冷徹で怖いほどの嘲笑をつくりだしていた。

あの人、絶対楽しんでるよ、笑ってるもん。

「朱乃は魔力を使った攻撃が得意なの。雷や氷、炎などの自然現象を魔力で起こす力。そして何より彼女は究極のSなのよ」

そんなこと言われなくても分かりますよ。怖すぎるよ。

「普段、あんなにやさしいけれど、一旦戦闘となれば相手が敗北を認めても自分の興奮が収まるまで決して手を止めないわ」

夢に出てきそうなんですけど!

「怯える必要はないわ、ツナト。朱乃は味方にはとてもやさしい人だから、問題ないわ。あなたのこともとてもかわいいと言っていたわ。今度甘えておあげなさい。きっとやさしく抱きしめてくれるわよ」

「うふふふふふふ。どこまで私の雷に耐えられるかしらね?ねぇ、バケモノさん。まだ死んではダメよ?トドメは私の主なのですから。オホホホホホッ!」

無理ですよ!?あんなの見てどう甘えろと!?

それから数分、朱乃さんの雷攻撃は続いた。

朱乃さんが一息ついたのを確認したら部長が完全に戦意がなくなったバケモノのもとへ歩き出す。そして、地面に突っ伏すバケモノに向かって、部長は手をかざす。

「最後に言い残すことはあるかしら?」

「殺せ」

「そう、なら消し飛びなさい」

 

すると、部長の低い声音とともにどす黒い魔力の塊が手のひらから撃ち出される。塊は巨大なバケモノの全身を包み込み。そして、魔力が宙に消えたとき、バケモノの姿も完全に無かった。

部長は息をつき

「終わりね、みんな、ご苦労さま」

これが悪魔の闘い。俺、あんな風に戦えないんだけど。

それに

「俺の駒って、下僕としての役割って何なんですか?」

ニッコリと微笑みながら部長はハッキリと言ってくれました

「『兵士』よ。ツナトは『兵士』なの」

『兵士』って一番弱くなかったっけ?

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