裏方のお仕事   作:きりきり

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ドラゴンボールを読み直して、気になる点で妄想していたら浮かんできたお話。
メモ程度に書いていたら、なにやら止まらなくなってしまった。
メイン戦士とか、一切でません。
初投稿です、よろしくお願いします。


裏方のお仕事

「どうしてこうなった?」

 

 そうつぶやき始めたのは年の頃が10歳の男の子。土木建築の重機を操ってむごく掘り返された荒れ地の整地作業をしている。

 

 そもそもの始まりはよくある”転生”というお話だった。神様に会ったこともなければ事故死した記憶などもなく、気づけば赤ん坊として一才を迎えていた。

 現世での自分はどうやら孤児らしい。小さい頃、教会の前にかごに入れられて放置されていたそうだ。名前や身元を示すものは何もなく、でっかいカゴにバスタオルで包まれていたらしい。孤児院としての活動もしているから、たぶんここに置かれたんだろう。そのまま孤児院で育つ事になった。

 しかし俺の親は何を思ってココに置いていったのか。なんせこの教会は山間部にあり、周辺には五件しか家がない。それも全部農家だ。車で20kmほどいった所に大都市があるらしいが、山間の道を縫っていくので片道で5時間はかかる陸の孤島である。

 つまり俺の親は、その道を延々とやってきて教会に子供を置き、そのまま帰って行くという苦行を行った訳だ。近隣農家の皆さんは、みんな顔見知りなので子供を捨てる以前に、子供が出来ていたら即判明する。

 これを理解した時、我が親の思考回路が全くわからなかった。もしかしたら大都市出身でここの事を知ったのかもしれないが、ばれないように捨てるなら他にもあるだろうと思う。

 

 まぁそんな所だが、実はここの教会兼孤児院の人数は、なんと二人だ。神父兼孤児院の院長と、俺の二人だけ。4,5年前はもう少しいたらしいんだが、みんなある程度育ったら大都市まで送ってもらって自活しているらしい。奨学金制度とか整っているので、全寮制な学校探してはいるとか。

 うん、ここ学校どころか店もないもんね。電気だけはかろうじて来ているが、ガスとかプロパンだし。水道も住居近くにある貯水池からのくみ上げ+蒸留して使うとかどんな所だよ。

 だが、電話があれば困らなかった。カプセルという通販があって、ドローンで宅配してくれる。最初はカプセルをポイッと捨てていくだけなんで何事かと思ったよ。院長がそれを受け取って開くと、中から結構な量の雑貨なんかが出てくる。

 そこで思ったのが「ここ、前世と同じ地球じゃない」って。

 カプセル開くと質量無視して出てくるとか、どんなモンスターボールだよっ! ここはよくある二次小説の世界へと転生かっ! とテンションが上がった。そして院長に地理なんかが書いてある地図を見せてもらった。そしてポケモン世界じゃないことはわかった。ホウエン地方とか探したけど無かったよ……

 

 そしてやはり前世と同じ地図でもなかった。たまに院長先生が「地球と太陽はあれだけ離れているのに、なんでこんなに暑いんだ……」とかふざけた事を言っていたので、そのまま前世と同じ世界だと信じていたんだ。  地図にはアメリカとか日本とか、そういったものがなかった。なんとなくは似ているんだけどなぁ。手抜きされた世界地図のような感じだ。

 ただ、なんとなく見覚えのある地名はあった。そこがどんな所だったのかは不明だ。記憶が結構曖昧になっている所もあるしなぁ。

 院長先生が教えてくた所によると、ここは西の都が一番近いらしい。一応、この教会も西の都に所属しているので、ピザの宅配圏内に入っているとか。どんだけカプセルって謎技術が蔓延しているんだ……

 実は10歳まで、この教会近くから移動する事はほとんどなかった。山の中だと思っていたし、小学校に通うか? と院長先生に聞かれたが、もう一度小学生をやるのは御免被ると、特に必要を感じなかったからだ。言葉も何故か日本語とか英語が通じたし、知らない言葉もあったけどそれは院長先生が教えてくれたしなぁ。こんな事なら通っておけばよかった。地理とかも変わっていないと思って全然習っていなかった。失敗したなぁ。

 

 さて、ここに10歳で人生に失敗した俺がいる。……なんで昔の俺は小学校に通うことを選択しなかったんだっ……! 学力さえあれば学歴とか関係ない所だと思ってたんだよっ、周りは畑とか山しかないからさぁ! ついでにおっちゃん達の学歴が、この世界では上位の学校を出ているのを聞いてびっくりしたさっ。こんな外れで農家をやっているのは、自分達で改良した作物の育成実験も兼ねてとか、そんなんわからんわっ!「小卒もしてないの? っぷぷ」とか笑われる未来しか浮かばない……

 それが判明してから、農家のおっちゃんとか院長先生捕まえて、将来の潰しが聞く職業を聞きまくった。孤児院出身の他の子も同じようなことを小さい頃からしていたらしい。そのあたりは院長先生が将来の事を考えて、子供達の危機感をあおった結果らしい。俺の時は大人びているから、そのあたりも何か考えがあるのだろうと放置した、と。

 そして聞きまくった結果、一つの職業が判明した。

 

「環境回復士」

 

 国家資格であり、かなりの高給取り。少し前までは最難関の資格だったが、最近は職業に必要なサポートAIの充実と、圧倒的人手不足からかなりの規制緩和を行ったらしい。

 

「まぁ、こいつになったら食いっぱぐれはないな! 景気が悪くなる事はほとんどないらしいし、よく高級ホテルに泊まっているのを見かけるぞ。……かわりにずっと放浪中のようなものだが(ボソッ)」

「よし、おっちゃん。俺、それになるよ」(聞こえてない)

 

 試験対策本を通販で取り寄せ、周囲の助けを借りながら受験勉強。そして院長に連れられて、試験会場のある西の都に初めて行く事になった。

 目の前に広がるのは、前世の都市圏を少し未来っぽくした街並み。違うとわかっていても、やっぱり前世の未来なんじゃないかと思ってしまう位、何か記憶に引っかかる。

 試験は通年通して受付をしており、申し込みをしたら即座に試験。個室に連れられて試験開始。地理を把握しているのか、共通言語を話せるのか、世界の交通ルールの把握とかそんな感じの内容だった。量も少なく予習さえしておけば問題なく受かるだろう。

 ペーパーテスト終了後、実技試験の前に受付の人と雑談をしてみる事にした。だって、こんな簡単な試験が以前は最難関って落とし穴がありそうでさ。

 

「試験の難易度? あー、それは難しい部分をサポートAIに任せる事ができるようになったからよ」

 受付のお姉さんは、気さくに答えてくれた。

「環境回復士って、元の生態系まで含めて回復するお仕事でしょ? だから植物学から生物学まで含めて理解しないといけなかったんだけど、そういった人は学者さんを目指すからねぇ。なら学者さんに必要知識をインストールしたサポートAIを作ってもらって、地形復元をする作業員を確保すればいいって事になったのよ。あ、土木作業員とは違うのよ、そのあたりはわかっていると思うけど、いつどこで”突発性破壊”が起こるかわからないから、その辺りが各個人の成績にもなり、AIにも予測不可能なのよねぇ」

 

 そう、環境回復士のお仕事内容というのは、突発的におこる原因不明の環境破壊について、元の生態系を含めた回復を行う職業なのだ。

 突発的環境破壊は、かなり昔から頻繁に起こっている災害なんだそうだ。原因不明で地震でも津波でなく、ひとけのない所に突然破壊された跡が見つかることが多いという通り魔的災害だ。もちろん被害者もたまに出ており、運良く生き延びた人に聞いても「何もわからない」と怯えたように答える事が多い。そういった被害者を宥めて応急処置し、病院へと搬送するのも環境回復士の仕事である。

 

 さて脳内回想は終了して、実技の重機操縦をしますか。

 この資格に合格すると、自分専用の移動トレーラー・重機・サポートAIを国が売ってくれる。担保なしでお金を貸してくれたりもする手厚い状態だ。そして重機とサポートAIは全部共通規格で決められている。移動先で故障する事もあり、そういった時にすぐに修理できるような規格化を進めた結果だそうだ。こだわって自己責任で改造している人も普通にいるとは聞いているが、ペイントで外観を変えるくらいが普通らしい。

 それで肝心の操縦なんだが、ゲームコントローラーのようなものだった。教本に書いてある通りなんだが、実際に動かしてみるとゲームセンターの可動型筐体にのっているような感じだな。かなり動かしやすい。つまり問題なく試験は合格。これで俺も晴れて環境回復士となった訳だ。

 

「合格おめでとうございます。これで資格を取得が完了しましたが、まだ実際にお仕事をされる訳にはいかない事はご存じかと思います」

「まぁ、そこは教本にも書いてありましたし、どこかの協会に所属するか自分で保証金を積み立てるかって話しですよね?」

 

 資格発行の受付のお姉さんと話をしながら色々な手続きをする。

 考えてみれば当たり前だけど重機などの購入の他にも、実作業をする場合はどっかの管理団体のようなものに所属する必要があるのだ。理由としては保証金みたいなものが必要な訳だ。作業先で事故を起こして何かを壊したりした場合などの保証金を積み立てないと、怖くて作業させられないという事だし。

 

「それで近くの協会にどんなものがあるのかという話になるのですが、ここだとカプセルコーポレーション一択ですね」

「……え?」

「もちろん知っているとは思うけど、この地区だと完全に独占状態でねぇ。ホイポイカプセルがないと仕事にならない位だし」

「……なんか聞いたことがあるような」

「世界的な大企業よ? 天才ブリーフ博士の作った企業。学校でもならったでしょ?」

「はははっ……(ここってドラゴンボールの世界かよっ!)」

 

 それからの事はよく覚えていない。気づくと重機購入やら、所属協会への申請書など全部手続きが終わって孤児院の部屋に戻ってきていた。

 衝撃的な事実が発覚した訳だが、月がある事を考えると原作開始前なんだろうか。いや、まぁ俺みたいな普通のやつは近寄りたくもないが、地球人全体で死亡フラグが立っている世界だ。逆に考えると、どうしようもない。つまり目先のお金稼ぎが最重要となる。

 環境回復士は給料がもらえる仕事じゃない。作業に対する出来高制だ。新人は先輩から現場に呼ばれて作業するタイプがほとんどだ。その場合はまぁ給料は普通にもらえるよりも少なくなる。バイト先にヘルプで呼ばれるようなもので正社員扱いは現場をしきる先輩という構図だ。

 なんでこんな風になるのかというと、作業現場を新人が探すのは、ものすごく難しい。先輩方はそれぞれの情報網を持っていたり、ダウジングや占いで決めているという話しを聞くくらいだ。下っ端として現場を体験しつつ、そういったノウハウを学ばなければならない。

 

 ここで閃くものがあった。

「もしかして突発性環境破壊って、武道の達人達の暴れた跡じゃね?」

 原作が開始されてなくても、レッドリボン軍とかピラフ一味とか鶴仙人一味が暴れていれば、そこが現場になるんじゃないか、と。

 原作でどこら辺りだったかまで描写があったかは覚えていないが、なんとなく登場人物の名前は覚えている。チャパ王とかサタンとかは環境破壊を起こせるような達人とも思えない。

 しかし殺し屋一味の近くで作業すれば巻き添えを食う可能性は高いしなぁ。もしかして亀仙人がまだ修行している最中かもしれないし、その辺りを追っていけばなんとかなるかも。

 さらにいえばZ戦士が大暴れする頃には、大規模な環境破壊が頻繁に起こるはずっ! それまでに資金を貯めて人を雇えるようにしておけばっ!

 

 夢が広がりまくる

 

 金銭的なウハウハを目指して”危険”の2文字に気づかなかった過去の俺を殴り飛ばしたい。

 突発性環境破壊が起こりやすい所に目をつけ現場目指して到着した途端、目の前に広がるのは殺人現場だった。

 

「……桃白白じゃん!」

 

 どこかの武道家との戦いが目の前で繰り広げられ、最後に桃白白のドドン波が炸裂。環境破壊と殺人が同時に起こっていた。

 

「そこの木陰にいるのは、そのまま死にたいのか? 殺してほしければ1億ゼニー用意しろ」

 Oh……すっかりばれていらっしゃる。頭の中身を高速回転しつつ、身の保身を図るしかない!

 

「いや~~、これほどの達人同士の果たし合い(、、、、、)を邪魔してはいけないかと身を潜めておりました。高度な技の応酬で何が起きたのかよくわかりませんでしたが……」

「おぅ坊主、なかなか見る目があるな。しかしこんな密林近くに一人で何をしていた? まさか俺をつけていたとか、いやそんな気配を感じないほど俺様は鈍くない……」

 

 なにか考え込んでいる桃白白を尻目に、冷や汗の止まらない体を叱咤しなんとか口を動かそうとする。

 

「俺、通りすがりの環境回復士なんっすよ~~。まだ成り立てなんで一山当てようとさまよっていたら爆音が響いてきたもんで、ちょっと気になって」

 

 ゴマすりだろうが何だろうが「命大事に」で俺はやり過ごす気マンマンだ。

 

「ん? 坊主、お前”環境回復士”なのか。良いところに来たな、俺様もちょうど後釜を探していた所だ(ニヤリ)」

 

 え、なんすか。嫌な予感が止まらないんですが。

 桃白白様の行くところ、突発性環境破壊が良く起こる?

 前にも専属に近い奴がいて、色々と食事の準備もしてくれた?

 あ、そうですか。私はそろそろ移動しy

 いや、待って。襟首掴まないで。苦しいから。

 で、殺しa、果たし合いを見届けたと桃白白様のレコーダーに記録を入れてくれたら、突発性環境破壊の現場を教えてくれる?

 拒否権はなしですか、そうですか。

 

 ……すでに亡くなった前任者はクズだったようだ。

 というか、俺がその後釜にされそうだが、ぶっちゃけ逃げられる気がしない。

 ……桃白白が孫悟空にやられるまでは、俺が後釜とか。

 

 

 急いでくれ悟空ーーーーーーーー!

 

 

 

 10歳にして、大金を稼ぐ新人が現れたと業界で噂になったのは直ぐのことだった。

 

 




内容がなんとなく説明書きっぽいのは、この話をプロローグ的に書いたからです。

最初に書いたものはもう少し長めの話でして、途中まで書いてから我に返りました。
「メモ的に書いたけど、結末考えてない」
あの破壊された環境の驚異の回復力を見て、ぜったい誰か直して無いと有り得ないと思ったのが最初です。

川とか消し飛んでいたら、生態系めちゃくちゃだろ。これ、人類的にも不味いから国家規模で対応しているはず。
って思考からです。 
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