あの後、意気投合した私はそこから二ヶ月間、毎日のように足繁くリ・ホームに通った
最初はおっかなびっくりだったが、通い続けるうちに皆良い人だという事が自分でもわかり、ロウさんにそれを打ち明けるとロウさんは笑って私にこう言った
「だから言ったろ?メカが好きな奴に悪い奴はいねえってな!」
その言葉も、最初は理解出来なかったが今の私ならよくわかる
「ふふっ、そうですね!」
リ・ホームに通うようになってから、私はよく笑っていた
両親もそんな私を見てとても嬉しそうにしていた
通い始めて四ヶ月、その日は突然やってきた
「どうしたの?父さん、いきなりリビングに来いなんて」
その日も私は、リ・ホームに行きロウさん達とジャンクいじりをしていた
そして家に戻るといきなり父親から呼び出されたのだった
「風花、急な話ですまないが…父さん、転勤する事になってしまったんだ」
「うん、それで?」
「なっ…それで?って、お引越しするんだぞ?リ・ホームってところのみんなと会えなくなるんだぞ?嫌じゃないのか?」
「嫌だけど…ロウさんいつも言ってたもん。どうしようもない事ってのはいつか必ず来るって」
そんな時、ロウさんは決まってこう言っていた
「ねえロウさん、例えば私がメカを嫌いになってここに来なくなったら…どうする?」
「え?そんな事ある訳ねぇと思うけど…まあ、もしそんなことになっちまったとしても─」
ロウさんはニカッと笑ってこう言った
「そん時ゃそん時だ!」
私は呆気に取られた直後、何でかおかしくなってしまい吹き出してしまった
「なんで笑うんだよ!それにな、生きてりゃいつか会えるんだ。悲しむ必要なんてねえよ」
ロウさんはこう笑っていたから
だから─
「仕方ないし、生きてればきっといつか会えるから!」
そうして、私の引越しが決まった
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あれから6年
私がリ・ホームのみんなに引越しの事を伝えると、みんな揃って引越しの見送りに来てくれ、ロウさん達からの餞別で、なんとアタッシュケースサイズの人工知能搭載のコンピュータ、
そして今日、ついにこの街に戻ってきたのだ!
「ロウさん達、元気かなぁ」
私が8に問いかけると8もピブ!という音と共にディスプレイに文字を表示し、返答してくれる
[きっと元気さ!]
「うん、きっと元気だよね!」
私が街から離れ、リ・ホームの皆と連絡が取れない間に色々な出来事があった
私自身にあった事も話したいが、何よりもISの発表、白騎士事件等による女尊男卑の風潮が一番の心配事だった
「もうすぐ…もうすぐだから…」
6年前まで暮らしていた家はどこか記憶よりも綺麗で、それでいて少し小さく見えた
「あれ…こんなにこの家小さかったっけ…?」
「フフ、それだけ風花が大きくなったってことよ」
「もう、茶化さないでよ母さん!」
「あら、私は事実を言っただけよ?」
そんな感じで私は荷物を部屋に押し込むと8を掴んで久しぶりの街の散策といってリ・ホームへと向かった
「変わってないなぁ…」
リ・ホームの前に到着した私は懐かしむように看板をそっと撫でる
「おーいお嬢さん!リ・ホームに用かい?」
懐かしい声がする
あれ?どうしてだろう、視界が少し歪んでいる?
「お、おい!どうしたんだよいきなり泣き出して?」
懐かしすぎて声すら出ない
そんな私を見かねて(?)8が助け舟を出してくれた
[私だ、8だ!]
「ん?8じゃねえか!」
ロウさんはそこでようやく私が誰なのか理解したようだった
「ってことはお前…風花なのか!?デカくなったな!」
[とりあえず中に入ろう、ここだとロウが風花を泣かしてるようにしか見えん]
「お、おう、そうだな」
久しぶりのリ・ホームはどこか懐かしくて、それでいてとても大きく見えた
「つっても、今日は誰ももういねぇんだけどな」
「本当に…久しぶりですね、ロウさん」
ようやく涙の引いた私が辺りを見回すと見慣れない物が転がっている事に気付く
「あれ、なんですか?あれは」
「ん?ああ、アレか!アレはな─」
ロウさんが嬉しそうに転がっているパーツの説明をしようとした瞬間だった
ドォォォォン!という大きな音が響き、何かがリ・ホームへと入ってきた
それと同時に私と8はロウさんに引っ張られるような形で大きな何かの部品の裏へと隠れた
「ロウ・ギュール!大人しく出てきて貴様が今開発しているものをこちらに差し出せ!そうすれば命だけは保障してやる!」
響いたのは女性の声
侵入者はなんと言った?開発しているもの?命?
「ロウさ「なあ、風花」」
私の言葉を遮るようにロウさんが私の目を見ながら話しかける
その目はいつにも無く真剣なものだった
「お前は、自分を守るために機械を、【IS】を動かす覚悟はあるか?」
私は息を飲んだ
正直言って怖い
この街に戻ってきていきなりこんな事に巻き込まれて、わかっているのは今、命が危ないって事だけ
相手はリ・ホームの入口をぶっ壊して入ってきたからきっと私達を撃つのも躊躇わないはずだ
そして何よりも
「ロウさん、私…!」
「IS、動かせないんです!」
ISを起動させられた試しがない
IS適正自体はBと悪くはないのだ
しかし一度もISを起動、展開させられた試しがない
しかしロウさんは不敵な笑みを浮かべていた
「大丈夫さ。俺を、俺達ジャンク屋を信じな!」
そう言うとロウさんは足元の床を蹴落とす
「行け、風花!赤と白のISだ!頼んだぜ!」
私は半信半疑のままコクと頷き、8をつかんで穴の中に入っていった
穴の中には赤のフレームに白の装甲のISが佇んでいた
「ねえ8、ロウさんは出来るって言ってたけど…どうすれば起動するのかな…」
[私にもわからん]
「動かせなかったらどうしようか…」
「そん時ゃそん時だ!」
そう言うロウさんの姿が頭の中に浮かぶ
「そうだね、その時はその時だ!」
私は気合を入れ直す
「で…どうやって起動させるのコレ…」
新品のISに触れることなど滅多に出来ることでは無いのだが、肝心の起動方法がわからない
「8…わかる?」
8はほんの一瞬だけ間を開けてからピブ!という音と共にたった二文字のメッセージを表示した
[気合]
「あーもうっ!わかったよ!気合ね気合!」
そしてISに触れる
瞬間、不思議な感覚が私を覆い、気がつけばその身にISを纏っていた
更に不思議なことに、8もISに取り込まれたらしく、8のメッセージウィンドウが視界の端に映る
[何が起きた!?]
「わからない、わからないけど今はまず!」
ロウさんを、助けに行く!
「武器は何が…」
拡張領域にある武装を確認する
表示されたのはライフルとシールド
「よし…これでとりあえず戦える!」
直感で、侵入してきたISのいるであろう場所の真下から天井(床)を突き抜けながら突撃をかける
「うおおぉぉぉぉ!!おぉ…?」
絶対絶命
私、敵の真正面にこんにちは!?