ハイスクールD×D The brother Dragons 作:黒木龍牙
真っ赤な血。
ヒトの体の7~8%を占めるその液体は、体を動かす為に必要なものだ。
当然だが、ヒトはそれを失うと死ぬ。
目の前で妹が腹に穴を開けられ、死に絶えかけている。
そんな状況、自分が体験するなんぞ、考えてもなかった。
駆け寄り、妹の体を抱える。
「い………せい?」
「喋るな…………、良いから喋るな!!」
死に絶えそうな妹の口から自分の名前が漏れる。
俺は傷口をよく見る。
穴。
何もなく、その淵から血が溢れる。
塞ぐにしてもデカすぎる。
血は………、止まらない。
「死に……たくな………い………よ……」
その一言きっかけか、涙のダムが決壊したのか、視界がぼやける。
どんどんと、俺の足と腕を染め上げる血は、妹の体からあふれ続ける。
妹の体から力がなくなった。
………………妹の命が尽きたのだ……。
だが、すぐに、妹の握られていた右腕の隙間から赤い光が溢れる。
何事か。
近くが赤く光り、女性が現れた。
「あなた達が、私を呼んだのね」
紅髪…………。
ストロベリーブロンドよりも鮮やかな紅色……。
俺の知っている人で、そのような鮮やかな紅色の髪の女性はあの人しかいない。
「リアス………、先輩………」
リアス・グレモリー
俺の通っている高校、駒王学園の三年生。
オカルト研究部部長であり、この高校を代表する有名な人だ。
そして………、悪魔だ。
悪魔…………、人間よりはるかに長く生きる事ができ、肉体も強く、魔力を操る事が可能な種族………。
「久しぶりね。こうして話すのは」
「………妹を………、助けてくださいますか………?」
俺の言葉を聞いたリアス先輩は少し目を閉じて考える。
そして、答えは出たらしく、口を開いた。
「ええ……、いいわよ」
その一言だった。
俺はその瞬間、妹の生き返りを確信し、絶望をかき消す。
悪魔は、死んだ者に、悪魔の駒(イーヴィル・ピース)を使うことにより、転生させ、自分の下僕にできるのだ。
涙は、止まった。
「それにしても、その傷………、堕天使ね」
「そうですね………、僕は復讐してきます」
「あら、大丈夫なの?」
「大丈夫です。たとえ種族が変わっても………、妹は妹ですから」
「そう………、でも、明日からもちゃんと学校に行くのよ?」
「ええ、でも、あいつは許しません。羽根を千切って、四肢をぐちゃぐちゃになるまで潰して、喉を潰して………。あ、処理はそちらのスタッフでもいいですか?」
「…………あなたって、結構グロいこともするのね」
先輩は少し、引いていた。
「当たり前です。溺愛している妹を殺されたんです。あなただって、もし自分の下僕を殺されたら、復讐するでしょう?」
「そうね………、増援は?」
「…………大丈夫です。残虐な殺し方ですし……」
もちろんだが、断っておく事にする。
正直、怒りを抑えられそうに無いからだ。
俺は妹を託す。
「妹を、よろしくです」
「分かったわ。この子………、可愛いわね」
「僕の自慢の妹です」
「あなたは………、私とどういう関係になるのかしら?」
そういえば………、そうだな……。
自分は先輩の下僕の兄だから……。
ええいややこしい。
「何だったら、俺も転生しましょうか?少し、時間をもらえれば」
「………簡単にそんなこと言ってもいいの?あなたの人種が悪魔になるっていうのに」
「良いんですよ。人間で致命傷でも、悪魔なら耐えられるという事もありますし、仕事をする事も悪く無いと思っていますから」
そう……と黙り込まれてしまった。
………そろそろ怒りが限界まで溜まってきている。
「では……、行きます。妹を頼みましたよ」
「ええ、わかっているわ」
俺はその場から立ち去った。
…………………連れを待たせているのを忘れて………。
連れサイド
…………遅い。
明らかに遅い。
デートに私から誘って、途中で飲み物買いに行ってもらったは良いけど………
「遅い!イッセーったら、何してるのよ!」
思わず口を突いて出てしまった言葉により、周りから視線を集めてしまった。
口を噤んで少し小さくなる……。
さっきナンパされたけど、頰を平手打ちして追い返してやった。
で、なんか数人の男に取り囲まれたけど、アイアンクローで持ち上げてやったら怖がって逃げて行った。
ざまーみろ、ふん……。
………………。
携帯で電話してみよ……。
数コールなった後、イッセーは出た。
「イッセー?いい加減戻ってきてもいいと思うんだけど……」
「あー………、夕麻………」
「風切り音がすごいんだけど?」
「悪い、もうちょっと遅れる、ってか、戻れるか怪しい」
「はぁ!?どういうことよ!」
何でよ。
何か事件に巻き込まれたの?
「すまん、ちょっと妹が、お前さんの部下の男に殺されたんだ」
「!?待ってどういう」
何でよ!?
あいつらには動くなって!
って、何でイッセーが部下の事なんか……。
それより、私のこと分かってるっていうの?
「ドーナシークだが、正直お前の部下だから殺すかどうか迷っている……」
「…………あいつ………、いけ好かないところがあるわ。でも正直使えない事は無い……」
「………………すまん。スペックは?」
「え?ああ………、この間グレモリーのネットワークに侵入して情報を書き出していたわね……」
「ああ、俺が作ったダミーに侵入してきたのはあいつだったか……」
「っ!!」
「残念だが、グレモリーの守備範囲はかなり広い。あんなもんじゃ無いし、それに、グレモリー管轄外でも、俺が見張っている場所なんか多くあるからな」
「じゃ、じゃあ、駒王町内のグレモリー管轄範囲の地図って……」
「おう、俺が作ったニセモン。完全にデータ引っ張って、喜んでたがな」
「じゃあ………、ドーナシークって………」
「俺の罠に引っかかったただの間抜けだな」
………………。
間抜け………、なのかな……。
「見込みはある…………、だが、正直俺は妹を殺した元凶であるあいつを………、許せんのだ」
「…………分かったわ。でも、気づいたのなら、何で私を早々に引き込まなかったのよ?」
「お前さんと遊ぶのが楽しかったから」
「…………」
少し、体温が上がった。
不意を突かれた。
ほおが熱い………。
だが、そんなことも構わず、イッセーは話し続ける。
「はじめての彼女が、妹を殺したやつの上司ってのは………、少し歪だが、やっぱり楽しかった。だから、お前さんとの関係を切りたくなかったってのはある……。お前さんに質問だ。イチカに近付くために俺の彼女になったのか?」
そう聞かれ、少し戸惑う。
最初はそうだった。
兵藤一華に近づく、そのためにイッセーに告白したつもりだった。
でも………、惚れた。
「沈黙は是と取るぞ?」
「違う!!絶対に違う!だから」
「分かった、分かったから、じゃあ、お前さん。とりあえず、ドーナシークだけど」
「…………、あなたの好きなようにして頂戴…………。ただし、ミッテルトとカラワーナは」
「もちろん、無傷で返すさ。心配すんな。そこまで俺は非常じゃねぇよ。じゃあ、あとで俺の家来てくれ、したいことがある」
「っ!」
ま、まさか
え、エッチな事じゃないわよね?
いや、イッセーってムッツリだったの?
「じゃ、またな」
「あ、ちょっと!」
電話を切られた…………。
…………まあ、いいわ…。
しょうがない……。
カラワーナに連絡を入れておこうか……。
って、そういえば、カラワーナもミッテルトも今日はホテルの一室借りて一泊してるから、大丈夫だったわね……。
未だ夕日が雲を赤く染める空を見上げながら、夜まで待つのだった。
イッセーside
俺は屋根の上を走りながら、目の前でカラスの羽を羽ばたかせ、飛んでいる奴を追う。
無駄に早い。
チッ、と舌打ちをしつつ、追う。
内ポケットに入れてある自家製の迎撃用の札があるがあいつと俺の間は約40mくらい離れている。
ちと狙うには遠い。
離れもしないが追いつけもしないといった感じだろうか?
俺は右腕の神器(セイクリッド・ギア)を展開する。
神器は神が作り出したシステムの一つ、所有者に不思議な力を持たせる物、とでも覚えておけばいいだろう。
こいつは、その中でも強力な力を得られる、その上、神、魔王すら倒せるというクッソ強い武器、神滅器(ロンギヌス)の一つ、赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)だ。
所有者の能力を十秒ごとに倍加させられる、とんでも武器。
まあでも、元の能力が低ければ、倍加前にやられるなんて事もあるから一概に強いとは言えない。
『おい、イッセー、どうする気だ?』
こいつはドライグ、この赤龍帝の籠手に憑依している元ドラゴン。
二天龍と言われた赤龍帝と白龍皇の赤い方。
赤龍帝、ウェルシュドラゴンというのが一応の個体名らしい。
だが、どうやら色々な事があったらしく、神器として顕現して俺と話す事ができるようになった時、俺の人格に感動していた覚えがある。
さらに言うなれば、こいつはこの世界の赤龍帝ではないらしい。
この世界の赤龍帝はオスではなくメスだという。
色々あるもんなんだなぁというのが俺の感情だ。
「カラワーナ、ミッテルトは協会にいないことは確認済みだ。協会であいつの追いついて、ぶっ飛ばすってのが一番いいだろう」
『そうだな、だが、どうやらあいつの目的地は………』
「少し違うらしい。この方向………、学校か?」
…………。
まさか……。
「俺の偽の資料に書いてあった悪魔の表を見て、勝てると思ったか?」
『可能性は大いにある。だが、恐らく、あいつは姫島朱乃にも劣るだろう』
「だな………、先に俺が倒すか……」
『その方が、あいつとしても良いだろうな』
俺は赤龍帝の力を、今から使用する。
まあでも、使用せずに、屋根を走ってる時点で俺は普通ではないのかもしれない(錯乱)。
『Boost!!』
よし、力が高まった!
そして俺は右腕に力を込めると、肘に空気の噴出口ができる。
「じゃ、行くか!」
『Jet!!!』
噴射口から恐らく魔力的な何かが噴出した。
俺は操ることができないのでそういったことはすべてドライグに任せっきりだが、潜在魔力量がかなり多いらしい。
人間なのに……。
人間なのに……………!!!
『因みに言っておくが、魔力だけでなく、天使、堕天使と同じく光力、それに妖怪の有している妖力も多少ながらだがあるぞ?』
マジで?
『ああ、それに、お前の脳内を探っていると、数回多くの剣の内包した世界にたどり着いた。あれは何だ?』
そんなもんは知らん。
深層意識じゃね?
まあいいやと思い、前を向く。
スピードが増した俺はそろそろ、ドーナシークに追いつこうというところ。
『Boost!!』
「何だ?」
ドーナシークが赤龍帝の籠手の音声で振り向いた。
チャーンス!
「落ちろおおおお!!」
俺は右足に力をこめ、跳んでドーナシークの顔面に、体をひねって全体重を右腕に込めてコークスクリューを捻じ込んで殴り落とす。
「グベアッッ!?」
おお、ちょうど空き地に落ちた。
俺は素早く着地体制に入り、着地する。
「な、何者だ?」
「復讐しに来た、お前が殺したあいつの兄だ」
「ふん………はははっ………、なんだ……、レイナーレ様と一緒じゃないのか?」
「ああ、デートほっぽらかして、お前を殺しに来た」
俺は言い切る寸前で踏み込んで前に走る。
だが、ドーナシークもすぐに避ける。
かかった。
「ぐあああああ!?」
「残念だったな、お前さんを止める方法なんざ、多く作ってるんだよ」
ドーナシークは、俺以外を見ていなかった。
つまり周囲への注意が散漫になっていたわけだ。
俺は少しだが、結界術を使うことができる。
ちょっと前に京都に行った時、狐の妖怪に教えてもらったのだ。
いやー、いいお姉さんだったなぁ。
あ、そうだドーナシークだ。
俺が張った結界に触れて、電撃で痺れたのだ。
「ああ、ドラゴンでも一撃で黙るくらいには、電撃強めといたから流石にすぐには動けないと思うよ?」
「……………ぶ……ぎぃ………ど……………」
?
何を言っているんだろう?
ん?後ろから気配
ザンッ!!
斬撃!?
しかもかなり早かったぞ!?
前に転がったおかげで、なんとか避けられた。
後ろにいたのは
「おやぁ?避けられましたか〜、一撃で決められると思ったんですけどねぃ?」
白髪鬼だった。
黒い神父服に、首からぶら下がっている銀色の十字架が揺れている。
そしてそいつの手には剣が握られている。
『Boost!!』
「へぇ……?ただの人間ちゃんにしては強そうじゃないですか〜。楽しめそうですし〜?」
「……………ドーナシークの部下か?」
「ええ、もぉっちろんですよ〜。名前はフリード!フリード・セルゼン様だ!」
また剣を振るう白髪鬼。
いや、はぐれのエクソシストか?
俺はバックステップで避ける。
で、フリードとやらが剣を切り返しに斬りかかってくる前に殴りにかかるとしますか。
フリードの剣が振り終わり、止まる瞬間を狙って右肘のブースターを吹かせ殴る。
「ギャオバッ!?」
そんな声を出しながらフリードが後方にぶっ飛んだ。
あれ?そんなに力増してたっけ?
『3回も倍加がかかっていれば8倍………。充分に吹っ飛ぶと思うが?」
「あ、ほんとだ、8倍になってる……」
『Boost!!』
16倍になった。
あー、どんどん倍加していくんじゃぁ〜。
「調子こいてんじゃねえですよクソガキがああっ!」
と、また切り掛かってくる。
俺は足元に落ちてあった石を持って、投げる!
「痛いっ!」
手元に当てたので、剣が吹っ飛んだ。
あれ?こっちに飛んでくる?
近くの地面に突き刺さる。
俺はそれを無造作に地面から抜く。
そして、ドーナシークに向ける。
「おい、人間ごときに負けてるぞ?悔しくないか?」
「っ……………」
「だんまりか、まあそれでもいい」
「くっ!はいじゃらば!!」
俺がドーナシークをあおっていたら、フリードが割って入り、煙幕を広げた!
剣を振って、煙幕を切ると周りが見えるようになったが、フリードとドーナシークは消えていた。
逃したか……。
剣を地面に突き刺し、頭をかく。
携帯を取り出し、リアス先輩に電話する。
おそらく、もうそろそろ転生が終わっているはずだ。
…………、生きていてくれるなら………、復讐なんて………。
いや、あの妹なら自分で自分の復讐するとか言い出しそう………。
数コールなってから、リアス先輩が出た。
「あら、もう終わったの?」
「いえ、逃げられました。追うか悩みますが、そちらはどうでしょう?」
「ええ、イチカは私の兵士(ポーン)として転生したわ」
ホッとその言葉で安心した。
失敗する例もあるらしく、成功しないとそのまま死んでしまうという。
まあ、もしそうなっても、ハーデスの下まで行って魂取り返してくるが……。
「そういえば、前回は先輩と姫島先輩しかいなかったですけど、他は誰がいて、誰がどの駒なんですか?」
そういえば聞いていなかったと思い、持っていた情報があっているかどうか確認のために聞いて見る。
すると先輩は簡単に答えてくれた。
「これから顔合わせするものね。私が王(キング)なのはわかるわね?朱乃は女王(クイーン)、そして木場悠斗、騎士(ナイト)、塔城小猫、戦車(ルーク)、そして兵藤一華、兵士(ポーン)よ。一人、僧侶(ビショップ)がいるんだけど、その子の紹介はもっと先になるわ」
ふむふむ、木場がナイトで小猫ちゃんがルーク、そして僧侶…………、外に出てきていないというので一つ思い当たるものがある。
インターネットサイトでの悪魔契約だ。
そういえば、グレモリーのセキュリティの改善とかで一回話したっけ。
「………………いえ、その僧侶の子とは一応知り合ってますよ。ヴァンピィとかいう名前で取引していますよね?」
「あら、そういえばお兄様が何か頼んでいたようだけれど、インターネットサイトのことだったの?」
「あ、はい。ソーナ会長の方も色々とセキュリティー強化ということで魔王様2人から頼まれまして………、いやはや、魔王お二人の妹大切具合は半端ないですね」
「はぁ………、全くね………。あ、イチカだけどちゃんと自宅のベッドに寝かせておいたわ。堕天使があなたの家の前で待機していたけど、どうかしたの?」
「あ、忘れてた…………、話があるんで俺の家まで来てもらったんですよ。あ、明日はどうしますか?」
「明日は体を慣らすために一日、あなたが近くにいてあげてくれるわね?クラブは明後日からということで、明日の夕方にちゃんと話してあげてちょうだい。じゃあ、また明後日ね」
「ええ、また」
電話が切れ、ふと足元を向いた俺の目に飛び込んだのは。
みゃー
白と黒のまだら柄の子猫。
俺が少し下がると、それについてくるように足にすがりついてくる。
右手で持ち上げてやる。
「にゃー」
みゃー!
俺がそう言うとちゃんと返してくれた。
優しい。
『おい、こいつは普通の猫じゃないぞ』
「ん?ああ、そうだな猫又だよな〜?」
みゃー
猫に聞くと俺の質問を分かっているように、ないた。
おそらく言葉は分かっているんだろうな。
猫は尻尾を二本ゆらりゆらりとさせている。
俺は着ているパーカーのフードに入れて、右手で剣を持つ。
すると猫がフードから上半身を出して、右肩に腕をかけるように乗っかった。
フードを足場にしている感じだ。
「じゃ、帰るか」
『持ち帰るのか?』
「ああ、持って帰って飼う。首輪つけたら人化の時首締まりそうだな」
みゃっ!?
「しねえよ。大丈夫だ」
俺はドライグに頼んで、空気の膜を作ってもらい、風除けとして使った。
猫が吹っ飛んだらかわいそうだ。
家の前まで着いた。
「遅い!」
こいつがいたのを、猫の事ですっかり忘れていたがね。
どうも、黒木です。
はい、また新しい物として書き始めました。
評価、感想、待ってます。
とりあえず、レイナーレ仲間化決定。
ドーナシーク死すべし慈悲などない。
カラワーナ、ミッテルトはどうなるのか、そこは順次考えていく予定です。
赤龍帝の籠手は右腕に、そして色々と音声と機構を増やしています。
『Booooooost!』
16倍化
『Resurrection』
追加効果の無効化
『Trace over!』
能力のコピー
『illusion』
透明化
『Clock up!』
体内時間の倍加
以上!
っつー事で次回もお楽しみに。
ではでは